色彩から考えること・3

印刷は概ね4色刷りで出来上がっているので、それをルーペで覗いてみるとロゼッタという色のリングがうかびあがり、刷られた物のディティールをそこねている事が分かる。
また刷られた組成のそれぞれの4つのインキの色がはっきり確認できてしまうことで本来の色を現わし切れない欠点があるが、FM高精細印刷方式で印刷すると、その元の4つの色はそれぞれの場所で混ざりあって、オレンジ色や黄緑色や紫色などの中間色がそのものとして、鮮やかに存在するようになる。
FMスクリーンという、考え抜かれたパターンの為せる結果なのだが、ドットで換算すると約500線に相当する解像度の高さで印刷する技の成果なのだといえる。印刷していて固有の色がそこに生まれて来るのを見るのは、印刷人として望外の喜びともなっている。

色彩から考えること・2

実 験

眼を閉じてまぶたの目尻側に両手の人さし指を当てそっと圧迫すると、何も見えない暗闇の中から、赤や緑の幾何学模様の流れが出現しだし、放射状に溢れたり、星雲のような渦巻が遠くから近付いて来たりするのを見ることが出来るのだけれど、そこに見える確かな映像は現実には存在しない、実体のない色と形をしている。
人は物を見て、記憶、あるいは認識するのに、その対象を分解して記録することが分かっているけれど、それらの証拠をそんな方法で見ることが出来る。
それは、観念は抽象で出来ているということの証拠でもある。

色彩から考えること・1

さまざまな色をランダムに打ち続けると、色は濁りだし、やがてグレーになってしまう時がある。固有の美しい色を使用しても、その配色によって、流れ、リズム、生命感等色の相対効果が出る時と、色の均等な混ざり合いによってグレーに見えてしまい、そこからは生命力も方向性もなくなって、言わば澱んだ“死”の状態になってしまう時がある。
そんなことは誰しも理屈では知っていて、理解していることと思うのだけれども、その現象が絵画の上のことでないもの(観念上のことであったり、大きな人的組織)であったりすると、平等とか平均とか安定とかの言葉に表現されて、ふとそれが良い事のように錯覚してしまう傾向がありはしないだろうか。
色彩的に破綻した状態というものを、物理的に置き換えて見たり、又社会的な色々な軋轢などを色彩的に表現し直して、それを良い解決のための方途の参考にすることは充分に可能だと思う。そうすることによって、実社会の中にある見えにくい様々なモノを、よりクリアに理解することができるのではないか。
色彩的に美しい形やバランスを意識して、人々を組織すると美しい仕事に向いた組織ができたり、色彩的に力強い形やバランスを意識して人々を組織すると、力強い仕事に向いた人的配置を作りやすくなったりするのではないか。それは決して想像に難くない。
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