水見式というのは建前で、念を目覚めさせるのが目的だったとは…
クラピカの戦略を真に受けすぎてしまった;;;
そして、自分たちにも系統を明かさず、それぞれの護るべき王子の安全を図ることを優先させた。
その誠実さは頑なで高圧的なマオールの心も溶かした。

第5王子の語るところによれば、第2王妃は実質、第2王子に隷属状態のようだ。
王子の護衛についている正規兵(王室警護兵)は王妃に所属しているし、忠誠心も護衛する王子ではなく所属する王妃に向けられているとあった。
(第8王子の警護兵隊長だったムシャホが講習期間中に念獣の子機が付いていなかったのは、接触時間が短いことに加え、第8王子に対して私設兵ほど好意がなかったせいかもしれない)
ともあれ、第2王妃の所属兵は、実質的に第2王子の意向で動くと第2王妃出生の王子達は認識しているようで、
それをわかっているからこそ、
第5王子も第9王子も王室警護兵を自分の船内従事者に加えなかったのだろう。
『本当の味方』になるはずの生母の所属兵が長姉による監視・刺客になる危険があるわけだから。(実質、警護兵が全員監視だった最下位の王子と同等になってしまう)
今回、かなりの年長だとはっきりしたマオールは『少尉』と王子の私設兵でありながら軍属という立場だった。
おそらく元は、第2王妃所属の警護兵だったのではないか。
しかし、第2王妃が第2王子の支配下な状態なことから、第5王子を守る為に王妃所属を抜け、軍内部の出世も捨てて第5王子の私設兵に志願したのかもしれない。
そんな気概のある人物が傍にいるのに、『不足』と言ってしまう第5王子。
王子の上位5位に入り、上位王妃に生まれ、財力もコネもあれば、自分の為に育成された私設兵を持っている。
同母弟も含めた彼女より下位の王子達の方がよほど絶望的な戦いを強いられていて、その最たる立場がクラピカの守る第14王子だ。
それぞれに、自身が使えるものを使って懸命に生き延びる努力をしている(運よく生き延びているものもいるが)。
第5王子だけが(恵まれた環境の中で)自分の持っているもので戦うことを考えず、足りないものばかりに目を向けて焦っている。
クラピカを高く評価しているのはいいんだけど、自分の周囲を蔑ろにしていて、生き延びられるとは思えない。


ビルは強化系だったのか…しかも、男性では珍しいサポート型。
クラピカは幻影旅団への攻撃に使う為に強化系を望んでいたけれど、
その強化系で誰かの助けになる力を作ったビルは尊敬に値するのかも。
しかし、ビルの植物の生長を促す能力ってかなり無難すぎるというか、穏当すぎるというか、ビヨンドの脱出作戦のメンバーに選抜された理由が見えてこない。暗黒大陸の探検よりは新大陸開拓に使える力ではないか…??

カートン(乗り物)とサイールド(連絡係兼操縦者)はわかる。
さらにビヨンド脱出のメンバーに加える者としての役割を考えると、
ビルはビヨンド脱出において一体何の役割で乗り込んだのか。

疑惑が増すばかり。

それに強化系だからといって能力が一つとは限らない。
例えば、ゴンはグー・チョキ・パーに見立て、
打/強化(短距離)・斬/変化(中距離)・砲/放出(遠距離)と、
単純だが三種類の能力がある。
しかも比較的、苦手な変化系でもキメラアントを両断した程であり、三系統の能力を使いこなしているし、
制約と誓約を使い自身を強制成長させたこともある。
強化系にとって念による成長の促進は基本能力のようであり、即興/土壇場でも発現していた。
また、カストロのように強化系でも分身(具現・操作)を使っていた例もあり、自身の系統ではないものとて、全く使えないわけではない。
ビルは戦闘向きの能力ではないことは自覚しているが、固有能力が一つだけとも言っていないのだ。
おそらく、クラピカは(第1王子の私設兵達も含めて)特質系以外の念能力者だと、固有能力は一つだという先入観があるのではないか。
例え、一種類しか使えなくとも、キルアやモラウの様にバリエーションの多彩さで対応している場合もあり、系統や固有能力が特定されても戦闘状況に応じて対処可能で複数の能力持ちよりも読みにくいくらいだろう。

もしかすると、講習会初日の黒ボッコによる暗殺時、クラピカはビルに対して確認したと言っていたけれど、
シマヌのように直接殺したのかを訊くのではなく、
より具体的に、ビルの能力を聞いたのかもしれない。能力者相手なら、殺意よりも能力を言えるか、言えないかを確認した方が確実だ。

対してビルが『球根(ハルジオン) 植物を生長させる力』と答えれば、嘘をついていないことになり、鎖は揺れない。

しかし、『ビヨンドからの指示』というが、ビヨンドは協会本部に、ほぼ一年拘束されていたし、自力脱出が前提で拘束された時点で脱出計画はなかった。
何度も繰り返してしまうけれど、
ビヨンド一味を実質的に指揮しているのはジンなのに、なぜかビルからはパリストンやビヨンドの名前しか出てこない。
ジンに口止めされているような素振りでもないのだ。
ジンは、ゴンの育児放棄やグリードアイランドの問題放置等、BW号に潜入したメンバーを見捨てたとしても不思議ではない実績はあるんだけど、
ゴンに仲間への謝り方を教え諭した以上、
自身も実践していない筈もないだろうし、
分かっていて無視できる人でもないだろう。
頼っても大丈夫といった印象を与える人であり、また、仲間想いでもある(ハズ)。
この状況下で、なぜ、ビルは助けを求めようとしないのか。
同じ船に乗っていれば、携帯はつながっている様子なのに。
外部と携帯が繋がらないと気付いている様子も無い。
ビルの状況が描写される度に感じる違和感。
そして、協力してくれることへの感謝をお互いに伝え合っている描写は嫌な予感しかしない;;;

また、クラピカによって念能力を強制的に目覚めさせられたマオールたちがオーラを留めるのに手間取っているのに対し、オイトが裏窓を解除してもマオール達のような素振りは無かった。12時間も同調していたからという可能性もあるけど、
マオール達は1日数時間、10日近く、オーラのコントロールを学んだ上であの有り様。
(強制的に念に目覚めさせる前に最低限オーラをコントロールする技術を身に着けさせるために時間を使った模様)
逆にオイトはビルの指導で指先の小さなオーラを辛うじて感じられた位だった。
ビルもオイトも、やっぱり怪しい…