2004年10月03日

[0023] 自分マーケティングを怠らない

「ベストセラーとは、売れ行きが良いという理由でなぜか売れて
しまう本」とは、アメリカの学者ダニエル・J・ブーアスティンの
言葉である。

最近、これを目にしたのが、セカチュー現象である。私も、ベスト
セラーならば読んでみようかと購入したが、あまりの単調なトーン
に飽きて、途中で読むのをやめてしまった。なぜ、ベストセラーな
のか、いまだに理解できない。まさに、宣伝効果といえるだろう。

出版社の営業会議では、マーケティングが重視される。この本が売
れるのかどうか、読者層の設定や類書の売り上げ状況などから検証
がおこなわれる。

私は過去に痛い思いを何度もした。自分の強みを発揮できるテーマで
企画書をつくり、懇意になった編集者がいる出版社へメールする。

編集会議ではそれなりにがんばってくれているようだが、
営業会議になると、雲行きがとたんに怪しくなる。

出版社は、書店のVANを使って書店での売上状況を調べている。
新しい企画があれば、類書の販売部数を調べ、その種の本がどの程
度の購買力を抱えているのか探るわけである。

ライター側には、VANを契約するほどの予算はない。
しかし、読者ターゲットの市場規模はさまざまな統計情報から仮説
をたてることもできる。

わかりやすい例が、資格関係の本。試験主催団体から受験生の実績
が公表されている。その数字をもとに、自分なりの仮説を組み立てる。
出版社によっては、受験生が1万人に満たなければ企画は通さない、
という基準をもつところもある。

だが、なんぼがんばっても、ライターはマーケッターにはなれない。
出版社しか知りえないような数値で勝負せず、自分を売り込む自分
マーケティングに力を注ぐべきだろう。

同じ料理でも蛍光灯よりも白熱灯で照らしたほうがおいしく感じる
ように、同じ企画書でもプレゼンの仕方によっては魅力的にみえる。
もちろん、企画書そのものの質は問われるが。

紙に書かれた企画のみを売り込まず、自分マーケティングを
怠らないことが成功に導く。

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