モーツァルトのセレナード第13番ト長調、ケッヘル525番。
モーツァルトの楽曲の中でも一二を争う知名度を誇る楽曲である。

この季節にこの曲を聴くと、涙がハラハラと止まらなくなり、胸がキューンとなってしまうのよ。

いや、涙は誇張だけど、胸がキューンとして胃がキューっとして冷や汗が出てくるのは本当。
忘れもしない、いや、忘れたくても忘れられない28年前のあの日のこと、少々語ってもよろしいかな?


あれは昭和64年の1月。いや平成元年になっていただろうか。
とにかく、1月初頭に行われた高校生アンサンブルコンクールなるものに出場するため、アタイと吹奏楽部の木管パートチームはJR高塚駅周辺のホールに訪れた。

我が校は男子校ゆえ、楽器に触ったことないようなド素人が「近所の女子校の吹奏楽部と合同で練習できる」などという嘘にまんまと騙されて入部してしまったような輩が半数以上占めている弱小な吹奏楽部だった。

中でも木管パートはド素人しかいないという酷い有様。
リードミスで超音波のような「ピッ!」という不快音を多発し、クラリネットと思えないようなヒステリックで硬質なサウンドを奏でていた。
もちろんピッチはバラバラ。不快を超えて殺人的なハーモニー。

そんな奴ら4人が、出たくもないのにアンサンブルコンクールに出場させられ、重苦しい気持ちと極度の緊張を抱えたまま入場したわけです。

コンクールはさくさくと進み、あっという間に我々の出番。

2本のクラリネットと1本のバスクラリネット、1本のホルンという編成。
曲はくだんのアイネ・クライネ・ナハトムジーク。

お互いの顔を見合わせ、アイコンタクトで一斉に吹いたら、、あ、1人出遅れた!

焦ったアタイたちは遅れたパートに合わせようと少しスローダウンしたら、出遅れた彼は更に焦って走ってしまい、アタイたちの吹いている場所を追い越してしまった。
そして、4人が4人テンポバラバラで空中分解し、開始数小節でまさかの演奏停止。

高校生のアンサンブルで演奏が止まるなんて普通ありえないですよ。

静まり返る会場、冷たい視線、噴き出る汗、一様に泳ぐ我ら目線。
オレたち、どうなっちゃうの?

てか、こうなったら開き直るしかない。
間違っても変な音出しても、最後まで吹ききるぞ!!

と、アンサンブルなんてとても呼べないバラッバラの合奏を最後まで続けた。
誰かが止まっても気にしない。アタイも止まったけど気にされない。

とにかく完走目指して突き進み、一通り演奏は終わった。
拍手はまばらだった。


そして1時間くらい経った頃、すべての演奏が終わって結果発表があった。

ウチらはなんと40校中、、38位!
おおっ!!ビリじゃない!ビリじゃないでえええ!!

いやはや、あんな演奏でビリじゃないなんて、残り2校はどんだけ下手だったんだよ(笑
と笑っていたんだが、その後で衝撃の事実を突きつけられた。

2校欠席(棄権?)。

つまり、、ウチらビリじゃん!!


ま、当たり前か。


あ、ちなみに今は男女共学となって経験者の入部が増え、コンクールでも金賞とか優秀賞を取ってしまうくらいレベルが高いそうです。
もうアタイが知ってるあの吹奏楽部じゃないね。OBヅラして顔なんて出せないね。お恥ずかしい。