自称「リベラル」を名乗る日本の「反日左翼」

悪意ある国に囲まれて、危機迫る日本。元通信社編集委員のジャーナリストの読書感想、国際関係・憲法・マスメディアなどについての草莽のコラムです。

2012年11月

◎北京は太平洋の覇権を握れるか

◎北京は太平洋の覇権を握れるか
  ―想定・絶東米中戦争―


兵頭二十八著
草思社刊
2012年9月発売
 
【推薦度】★★★★


 「絶東」とは「極東」のこと。中国とアメリカがもし激突したらをサイバー攻撃、宇宙戦争を含めてリアルにシュミレートした本。結論から言えば、中国は海・空・陸の全局面で惨敗と予測。中国側はこの戦力格差を十分承知しているという。


 問題は、今後、軍拡が進む中国と日本はどうつきあうか。OTHレーダーの設置や無人機母艦の建造などのほか、対中核抑止力として、自前の核を持っていないドイツや、イタリア、オランダなどのように米国からB61核爆弾の供与を受け、F2戦闘機に搭載して核攻撃を行える体制づくりを提唱している。米国の「核の笠」を確実なものとするには、これが最も現実的だろう。

◎大川周明 アジア独立の夢=玉居子精宏著

◎大川周明 アジア独立の夢=玉居子精宏著


玉居子精宏著
平凡社刊(新書)
2012年8月発売


【推薦度】★★★


    昭和13年に大川周明を所長として、外務省、陸軍、満鉄が出資して設立された“私塾”の東亜経済研究所附属研究所塾生が2年間の修学の後、任務を帯びて派遣されたタイ、ベトナム、インドネシアで何を行ったのかを検証した本。


 日本の南方進出に貢献する人材を育てることを目的としたことから、東南アジア各地で太平洋戦争の裏面や現地の独立運動に関わったことなどを卒業生の証言を基にその実態を明らかにしている。


 塾生が「アジア解放」という大川塾の理念と、日本軍の先導役との間で葛藤し、数奇な運命に翻弄されたする姿が浮かび上がる。

◎交渉術=佐藤優著

◎交渉術=佐藤優著


佐藤優著
文藝春秋刊
2009年1月発売


【推薦度】★★★★★


 鈴木宗男代議士とともに外交官として北方領土交渉の第一線で活躍した著者が、インテリジェンスの技法を明かした本。各国の諜報機関が繰り広げるカネやセックスをも用いた交渉術や霞が関の外務官僚と政治家の交渉術などを生々しく実名を挙げて詳述。交渉術の実用書、北方領土交渉の記録としても、すごく面白いの一言に尽きる。


 著者が知っている駐露大使7人のうち、通訳を介せずロシア語で仕事ができたのはたった1人、外務省幹部や大使で辞書を用いずにロシア語の新聞社説を読むことができるのは1人もいない、などと外務官僚のお寒い実態も暴露。外務省に出入りする学者の大部分のロシア語能力は平均的外務官僚よりも低く、中学3年制程度というのだから、驚いてしまう。これでは、北方領土の返還は「夢の夢」か、と思う。

◎「天皇制」という呼称を使うべきではない理由=谷沢永一著【書評】

◎「天皇制」という呼称を使うべきではない理由=谷沢永一著【書評】


谷沢永一著
PHP研究所刊
2001年3月発売


【推薦度】★★★


  「天皇制」という用語は「君主制」を意味するドイツ語のMonarchieの和訳である。1932年のコミンテルンのいわゆる「32年テーゼ」は、共産主義革命を日本で行うため日本の君主制をロシア帝国の絶対君主制であるツァーリズムになぞらえて「天皇制」と表記し、天皇制と封建階級(寄生地主)・ブルジョワジー(独占資本)との結合が日本の権力機構の本質であると規定した。


    天皇陛下ならびに皇室を、憎しみ、貶(おとし)め、罵(ののし)るための用語であり、「天皇制」という言い方は、天皇制否定、天皇制廃止、天皇制打倒、という風に、皇室に敵対する表現である。


 太平洋戦争が終結するまで「天皇制」は共産党の用語であり、一般には認知されていなかったが、今ではマスメディア等一般にも使用されている。これは何を意味するか。


 我が国では、昔から、皇室、とお呼びする習慣が定着している。国民としては、伝統に即して、皇室という呼称を用いるのが妥当だ――というのが著者の主張である。

◎明治・大正・昭和 30の「真実」=三代史研究会著【書評】

◎明治・大正・昭和 30の「真実」=三代史研究会著【書評】


三代史研究会・著
文藝春秋社刊(新書)
2003年8月発売


【推薦度】★★★


 福沢諭吉は「人の上に人を造れ」と主張した、;統帥権独立は「諸悪の根源」ではなかった、司法の独立を守ったのは児島惟謙ではない、乃木希典は戦下手の将軍ではなかった、日本軍は捕虜になることを禁じていなかった、など明治以降の歴史的できごとなどに関する「通説」を否定、あるいは疑問を投げかける本。


 歴史的できごとを「通説」通りに解釈・理解していいのかどうかについて、慎重な配慮が求められることを改めて考えさせてくれる。が、本書で取り上げている事項のかなりの部分、例えば「近衛文麿は軍部よりも日中戦争に積極的だった」「ノモンハンは日本軍の一方的敗北ではなかった」などは、通説になりつつある。


 個人的に関心があったのは、「柳原白蓮は身分制度の犠牲者ではなかった」。九州の石炭王、伊藤伝右衛門が妻の白蓮のために大分・別府に作った別荘の赤銅御殿(あかがねごてん)を買い取りホテルに改造し、その後も交遊があった叔母夫婦がいたので、子供のことから白蓮の名前はよく聞いた。その身分制度に反逆した白蓮が、今上天皇の結婚に反対したとは知らなかった。

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