書評と時事評論の交差点

悪意ある国に囲まれて、危機迫る日本。通信社元編集委員の読書感想、国際関係や憲法、マスメディアなどについてのコラムです。

2016年11月

◎なんと、また無投票当選か=来年1月の川越市長選挙に思うこと

 今回は、地元川越限定の少し真面目な話題です。来年1月に川越市長選挙が行われますが、前回と同様に、現職の川合市長が無投票当選となる雲行きとなりました。いろいろな問題を抱える人口35万人の都市としては、2回連続無投票という“汚名”は避けるべきだと思いますが…。


 先陣を切って出馬を名乗り出て選挙運動を行っていた元民主党参議院議員の山根隆治氏がこの28日に、急に「健康上の問題」を理由に出馬を取りやめました。かなり目立つた選挙活動をしていただけに、名乗りを上げる前に健康チェックを怠ったとは驚きです。出馬をうわさされている県議もいるのですが、今のところ音なしで、このままだと誰も対立候補がないことになります。


 では、それほど現職の市長は2期、8年の間に優れた実績を残したのかと言えば、疑問だらけです。それなのに、もう1期、計12年もやるのはウンザリという市民も多いと思いますが、誰も立候補しないならどうにもなりません。


 現職の川合市長は、市政に望む基本姿勢に「改革」「公正」「公開」の3つの柱を掲げてきましたが、この8年間を総括するとどうだったのでしょうか。


 行政面では、川合市長が実績として自慢する施策の多くは前職の市長時代に考え出され、その路線に惰性的に乗っかかっただけというのが政治通の見方で、「改革」の姿勢はみられないと言います。例えば、週末には大混雑する蔵の街・一番街の交通規制問題です。いろいろと交通規制のテストを行った結果、一方通行を決めたものの住民の声を反映したものでなかったために総反発をくい、結局は何もせずそのまま放置しています。「決断」ができない政治の典型例です。観光面でも、たいした価値もない建物を伝統的建造物と称して購入し、その維持管理費がかさむばかりという収支計算無視の典型的なハコモノ行政で、税金の無駄遣いです。


 政治姿勢の面では、東京都の桝添知事のように、公用車の私的利用を市議会で指摘されたり、後援会役員懇親会などでの収支不足分を後援会費でまかない、買収と取られかねないとして川越市議会から「市長に説明責任と猛省を求める決議」を可決されるような問題行動がありました。


 また、市政の私物化のような問題も浮上しています。この11月に、市民グループがさいたま地方検察庁に河合市長を親密な関係にある地区後援会会長が経営する会社に便宜を図ったとして、官製談合防止法、都市計画法違反で告発したことが報じられました。この問題、市議会ではごく一部の市議が取り上げただけで、大半は沈黙です。真実を明らかにする姿勢に欠けた市議会にも呆れ果てます。市長が市長ならそれをチェックすべき市議会も機能不全の市議会です。こんなことだから誰も市政に関心を持たず、投票率が超低率なのも分かります。


  最初に記したように、対立候補がないままこのままいくのかどうか、政治は一寸先は闇と言いますから予測不可能ですが、最低限、対立候補が政策を掲げて出馬し、選挙が行われて欲しいものです。ひょっとすると、共産党辺りから誰か出馬するのかな―。“玉”次第ではチャンスかもしれません。

◎えげつない何でもありのトンデモ国家・中国=手を変え品を変え韓国に圧力

 今や犬猿の仲となった中国と韓国ですが、いよいよ中国が「「韓流」」の全面禁止に乗り出すというニュースが流れていました。国策として映画やドラマなどを海外に売りまくり「ドル箱」としていた韓国ですが、既に国内経済が死に体状態の上に、「韓流」まで中国市場から閉め出されようとして、散々なようです。


 それにしてもえげつないのは中国です。かって日本政府の尖閣国有化の際に、これに反発して中国各地で反日デモを行って日系関連の商店や工場を破壊・略奪・放火したりして、日本に圧力を掛けたことを思い出しました。レアアースの輸出規制ということもありました。自分の思い通りにならないと露骨な圧力を掛け、何をするか分からないトンデモ国家です。


 この事態を招いたのはもともと、歴史的に根深い韓国伝統の「綱渡り二股外交」が原因です。墓穴を掘ったとも言えます。


 ところで韓国の今の混乱は、血族優先社会が原因です。だから、これを改めなければどうにもなりません。それを国民が自覚することが何よりも求められますが、民族性を変えるのは生半可なことではできないので、だれが大統領になっても同じこと。歴史がそれを証明しています。


以下は、21日付けの時事通信ニュースです。


◎中国、「韓流」全面禁止か=迎撃ミサイル配備で圧力? ―韓国紙


 【ソウル時事】21日付の韓国紙・中央日報は、中国当局が韓国製ドラマや映画などの放映、韓国人芸能人の中国国内での広告出演を全面的に禁止する方針だと報じた。
 中国の娯楽サイト・芸恩網などを引用して伝えた。
 中央日報によると、中国の放送事業を統括する国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局はまだ公式文書を出していないが、テレビ局の責任者は既に対策を練り始めているという。
 外交専門家の間では、米韓両政府が韓国への地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備の動きを加速させているため、中国側が対韓国圧力を強化したのではないかという見方が出ている。

◎どちらが本当なのか=トランプ氏の日本の核兵器保有容認発言

 日本メディアで米国のトランプ次期大統領が、選挙戦で日本などが核兵器を保有することを容認する考えを示したと伝えられていましたが、この13日にもまたトランプ氏がツイッター上で「そんなことは言ったことがない」と否定しました。


 どちらが本当なのか、我々には知る術がありません。ネットで調べていたら、日経新聞の記事を見つけました。ニューヨーク・タイムズ(電子版)が先月26日に掲載したインタビュー記事を引用して、トランプ氏が「米国は世界の警察官はできない。米国が国力衰退の道を進めば、日韓の核兵器の保有はあり得る」と述べ、北朝鮮や中国への抑止力として日韓の核保有を認めた、とありました。


 この記事から判断すると、「米国が国力衰退の道を進めば、日韓の核兵器の保有はあり得る」というのは、「国力衰退の道を進めば」という前提条件を置いた上で、単に将来予測を述べただけで、日本の核兵器保有を容認するかどうかの判断を示したわけではないという構図が浮かび上がってきます。つまりは、そこまで言っていないのに記者の判断で先走りして日本の核保有を容認したと勝手に受け止め、記事を執筆したのではないかという疑念です。他紙もどうせ米国メディアのコピー記事を引用してリライトするという似た状況でしょう。つまりは、自分流の推測・臆測記事の恐れがなかったのかということです。


 自らが直接聞いた、あるいは見たのでなく、他のメディアの記事を引用する場合には、発言者の発言内容の全体やニュアンスが分からないために、真意が正確に伝えられているのかどうか、細心の検証が必要です。国内記事ではこのような引用記事はないのに海外記事だけというのもおかしな話です。基本的にはリライトする元記事の真偽がハッキリせず責任が持てないのですから、海外記事の場合も他社の記事の引用はやめるべきです。ましてや、「反トランプ」「ヒラリー支持」の姿勢を明確に打ち出してバイアスのかかったニューヨーク・タイムズなのですから、なおさら慎重であるべきです。

◎痛ましい「劣化」メディア=トランプの勝利まったく予想できず

 トランプが次期大統領選挙で勝利したことで、ほとんどの大手メディアの報道に「悪夢」「衝撃」「異端」「大衆迎合」「怪物」「絶望」などのタームが氾らんし、その狼狽ぶりがうかがえます。メディアの予想が的外れとなり恥さらしになったこと、せっかく用意していた「ヒラリー勝利」の予定原稿が役立たずになったことへの怒りが噴出したようです。


 でも、それは自らのまいた種。自分で刈り取るしかありません。過激でレッテル貼りのようなタームで、紙面を埋めるのはやめるべきでしょう。


 全米の大手メディアが「ヒラリー支持、トランプ反対」の姿勢を明確にし、これをネタ元にオウム返しに伝えるだけなのが悲しいことながら日本のメディア(とりわけ民放は)なのですから、親亀こけたら皆こけるのは必然です。


 自前の取材などはほとんどしない、あるいはする能力がないので、CNNや通信社のニュースなどを見てそれをリライトし東京に送稿するというのがほとんどでしょうから当然の結果。しかも、ネタ元の米国メディアが「反トランプ」の情報バイアスがかかっているのですから、それこそマインドコントロールにかかった状態だったのではと思いたくなります。


 株価変動についても、このトランプ勝利を奇貨として、一儲けしょうという者があるからです。下がる経済的要因はないので、現にすぐに戻っています。陰で悪いやつが一儲けしているというわけです。


 今回の大統領選挙は、グローバリズム勢力と保守・民族主義勢力の戦いであり、英国のEU離脱と同じ歴史的な動きです。日本メディアは、米国の保守主義運動について掘り下げた報道をすべきなのにそれもせず、一方でオバマのリベラルはかなり前から死に体政権だのにこれにはほとんど触れずでした。その不人気のオバマの後継者としてヒラリーが出馬し、その人格や政治資金問題などのマイナス面も批判を浴びていたので、私は、終始、トランプ勝利を予想していました。


 今たまたま日テレを見ていたら「トランプ勝利で、違法入国した人が国外追放になるとおびえている」というニュースがありました。このテレビ局、午後からのニュースは、視聴者が主婦層のためか、かなりいい加減で雑なニュースがあります。違法入国した者は国外追放されても何もおかしくはありません。それが国際社会の当たり前のルールです。


 搦め手のトランプ批判のつもりでしょうが、問題の本質から外れたお涙ちょうだい的ないい加減なニュースは悪質、度が過ぎています。

◎“ダラ幹”もここまでとなると…=日教組委員長のビックリ仰天の不祥事に思うこと

 週刊誌に不倫疑惑が報じられていた日教組の委員長が、引責辞任するようです。教師にあるまじき行為という批判は当然のこととしても、これがなぜ今までは発覚しなかったのか不思議でなりません。


 週刊誌報道によると、東京・赤坂の会員制クラブで勤務していた既婚のホステス兼歌手に入れ込んで、委員長就任後は2カ月に1回、多い時には月100万円程度支払っていたといいます。しかも、店側は日教組あての請求書を出していたというのだから、開いた口が塞がりません。


 私が労働記者の時にも、飲食店にしょっちゅうそれなりの飲食店に通っていた労組幹部がいましたが、一体お金の方はどうなっているのだろうか、と不思議でした。記者との懇談会なら一応は“公費”ということで組合払いの名目が立つのですが、それ以外の場合は一体どうなっていたのか。とは言ってもさほどの高給取りではないのですから、自腹は無理で、どうせ組合員から徴収した組合費からの支出だろうとはおおよその想像は付きます。


 今は知りませんが、かってはスト対策資金なるものを特別徴収して、その額が数百億円にも達したという労組もありました。現実にはストはほとんどしないのですから、貯まる一方でした。さらに、当時は高金利時代なのでこれを資産運用しすればさらに金が貯まるので、その一部を、組合幹部の交際費名目で飲み食い費などに充てるということもあったのではないでしょうか。


 許されることはありませんが、労組はいろいろと飲み会の機会も多かったり、表に出せないような使途があったりするので、その中にこっそりと紛れ込ませてどうにでも処理できたのではないかと思います。なにせ、当時は金は余りに余っていた時代ですから、管理もルーズだったことでしょう。そんな体質が根付いていたために、次第に金銭感覚が麻痺していくのも道理です。


 組合財政は大会の時には報告されるのですが、そこは“善意の団体”なので誰もが細かいことを言わずに監査報告をシャンシャンで了解するというのが一般的です。ここら当たりにも、公私混同の付け回しを可能とする土壌があるということです。でも、会計を担当している担当者らは、こうした事実を知っていながらも黙認しているというのは、一般組合員を裏切る犯罪的行為です。


 この委員長には、背任や横領の疑いがあるのですから、組合費がどのように使われているのか、捜査当局のメスが入り解明して欲しいものです。お詫びして済む話ではないでしょうから…。この委員長の場合は、極端なケースでしょうが、大なり小なり、こうした不明朗な金の使い方は、1人だけだとは思いません。
記事検索
記事検索
月別アーカイブ
読者登録
LINE読者登録QRコード
プロフィール

まきちゃんマン

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ