中国の巨大経済圏構想「一帯一路」構想を資金面で支えることが期待されているアジアインフラ投資銀行(AIIB)がこの16日に開業から4年を迎えました。設立時に57カ国だった加盟国は100カ国・地域を上回る規模となりました。


 では、その成果はどうなのか。産経新聞を引用すると、AIIBのホームページでの累計投資額は約120億ドル(約1兆3200億円)にとどまり、中身を見ると世界銀行やアジア開発銀行(ADB)などとの協調融資が目立つそうです。原因は、単独でプロジェクトを進められるような専門人材がまだ十分に集まっていないためといいます。


 要するに人材不足で半人前の仕事しかできないということです。そりゃそうでしょう。中には金に目がくらんでスカウトに応じる人もいるでしょうが、米中冷戦の中で、国際情勢に通じたエコノミストが火中の栗を拾うことは避けるのが当然でしょう。


 一方、「一帯一路」事業の甘い汁にありつこうとした企業の方も予想通り、中国の国有企業がほぼ独占しているようで、欧州企業は事業にありつけないとブルムバーグが報じています。中国政府は「公平性の原則」に従って入札している説明しているそうですが、同じ言葉を使ってもその意味が国際社会と中国では全く異なることがままありますので、詭弁を弄しているだけでしょう。


 そもそも、「一帯一路」構想自体が、中国が世界の覇権を握ろうとする野望、さらには国内で莫大な過剰生産となっている鉄鋼や建設資材などの在庫処理、国内失業者の海外派遣による失業救済という狙いがあるのですから、おいしいところは中国企業が占めるは予想されたことで、欧州企業はおこぼれに預かるしか道はないのです。


 日本でも、金に目がくらんだ財界が「バスに乗り遅れるな」と言わんばかりに、日本のAIIB参加を強く求めていましたが、これらの現状をどのように受け止めているのでしょうか。中国は、尖閣諸島で恒常的に領海侵犯などを繰り返している国であるということを忘れてはいけません。


▽以下は、17日付けのブルムバーグ・ニュースです。


◎欧州企業の大半、「一帯一路」事業に参加できず-EU商業会議所


(ブルームバーグ): 中国の習近平国家主席肝いりの巨大経済圏構想「一帯一路」の関連事業から大半の欧州企業が排除されていると在中国欧州連合(EU)商業会議所(中国欧盟商会)が指摘した。中国の国有企業が独占的な役割を担い、入札プロセスが不透明なためだとしている。
  同会議所が北京で16日公表した調査報告によれば、調査に参加した加盟企業132社のうち、少なくとも1件の一帯一路プロジクトに応札したと答えたのはわずか20社。そのうち7社が直接契約を狙い、13社が下請けとして入札に参加した。
  落札を目指す欧州企業に入手可能な情報が不十分だとの回答が半数を超え、一帯一路関連事業の調達制度は透明性が十分ではないとの答えは4割近くに上った。
  同会議所のヨルグ・ワトケ会頭は「国の支援と安価なファイナンスに支えられた中国を代表する巨大企業が、多国籍の開発計画と比較して異例に大きな割合の契約を確保している」と説明。一方、中国外務省の耿爽報道官は北京での同日の記者会見で、一帯一路プロジェクトに参加している中国と外国の企業は「公平性の原則」に基づく市場ルールに従っていると主張。「入札プロセスは透明」で入札に参加するかどうかは「完全に企業自身の選択だ」と述べた。