今年11月予定の米大統領選挙での候補者選びで、民主党内でのバイデン下ろしが表面化してきました。
バイデンの私邸などから機密文書が見つかった問題で、捜査を進めていた司法省の特別検察官が2月8日、バイデンが「故意に機密資料を保持し開示した」と結論する報告書を発表しましたが、起訴はしないとの判断を示しました。
同様なことを行ったとして、トランプ前大統領については起訴しながら、バイデン大統領については起訴しないというのは、「民主党の司法の武器化」を象徴する不可解な話ですが、問題はその理由について、バイデン大統領が「記憶力に劣る高齢男性」であるため、有罪にするのは難しいと結論づけたことです。機密文書持ち出し当時のバイデンは副大統領などのポストにあり、痴呆症ではなく刑事責任を問える健康状態であったにもかかわらずであり、こじつけとしか言いようがありません。
それよりも政治的に大きな問題は、これまでバイデン政権と民主党、それを支える主要メディアはバイデン氏の痴呆症による奇っ怪な行動について隠してきましたが、ここに来てこの「バイデン痴呆症」問題を唐突に表面化させたことの意味合いです。
それは何故なのか。このままだと、大統領選がバイデン VS トランプとなると、各種世論調査の結果をみても、トランプ勝利は確実とみられています。そこで何としてもバイデンを引きずり下ろして他の候補者を擁立したいと画策する動きが民主党内にあり、候補者の一人として党内に大きな影響力を持つオバマ前大統領夫人のミシェル・オバマ夫人が有力視されています。つまりは、このためにバイデン引きずり下ろしの理由付けのために「痴呆症」を利用しようとしているわけです。党内候補者選びまで残された時間はあまりないので、このタイミングを選んだのでしょう。
このオバマのシナリオに対して、バイデン支持派が無抵抗ということはあり得ないでしょうから、今後、民主党内での抗争がどうなるかが注目されます。バイデン不利は否めませんが、オバマ派が勝利すれば、民主党の左傾化がさらに進みそうです。
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