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弁護士川井信之の企業法務(ビジネス・ロー)ノート

東京・銀座の弁護士が、会社法など、企業法務に関する話題を中心に情報発信するブログです。

          
28 2月

[本ブログにお越し頂いた方へのご挨拶・ご連絡先]


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 本ブログにお越し頂きまして、誠にありがとうございます。弁護士の川井信之と申します。東京・銀座で弁護士をしております。
 本ブログでは、法律関係(主にビジネス法が多いですが、余り厳密には考えていません)の法改正、裁判例、ニュースのご紹介と、それらについての私なりのささやかな整理とコメントを皆様にご提供させて頂いております。

 [ご連絡先] (メールでのご連絡が一番確実かと存じます)
 〒104-0061 東京都中央区銀座7丁目15番11号 銀座セブンビルディング9階
 川井総合法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士 川井 信之
 TEL:03-6226-4133(代表) 
 事務所ホームページ(ウェブサイト):
http://www.kawailaw-japan.com/
 事務所Facebookページ:https://www.facebook.com/kawailawjapan  
 メールでのご連絡先: info(a)kawailaw-japan.com (「(a)」を「@」に変換の上、ご送信下さい。)

 「得意分野・積極対応分野の業務ご案内」:
 
http://blog.livedoor.jp/kawailawjapan/archives/8206266.html

 「私の経歴書」(前編):
 http://blog.livedoor.jp/kawailawjapan/archives/8062717.html
 「私の経歴書」(中)(作成中):
 
http://blog.livedoor.jp/kawailawjapan/archives/8181003.html

※各種法律相談のご依頼(中小企業、ベンチャー企業、地方企業、個人の方からのご相談も大歓迎です)、および講演・執筆のご依頼は、上記の電話番号またはメールアドレスにご連絡下さい。上記メールアドレスに頂いたメールの内容は、私川井にて全て拝見させて頂いております。

(※本ブログの各記事に頂いたコメントは、承認制とさせて頂いております。何卒ご了承下さい。)

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(当事務所専用ウェブサイトのご紹介)

[東京・銀座の弁護士によるビジネスパーソンのための夜間法律相談(離婚・男女問題・労働問題ほか)サービス]
 
http://biz-yakan.jimdo.com/
 (↓ スマートフォン対応ページ)
 
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[ビジネスエグゼクティブ(会社役員(取締役・監査役・監査役会)・執行役員)のための法律相談]
 
http://biz-executive.jimdo.com/

[中小・ベンチャー・外資系企業のための英語(英文契約・国際取引)サポートサービス]
 
http://bizlaw-english.jimdo.com/

東京・銀座の弁護士による、中小企業・ベンチャー企業のための法律相談・顧問弁護士サービス]
 
http://bizlaw-support.jimdo.com/

18 2月

裁判所人事(2017年3月)(2)


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* * * *

 さて、本日は業界ネタです。

1.
 政府は、17日の閣議で、戸倉三郎東京高裁長官が最高裁判事に任命されるのに伴い、深山卓也さいたま地裁所長を高裁長官に任命することを決め、これを受け、最高裁は深山判事を東京高裁長官に充てる人事を決定した、とのことです。(発令は3月14日付とのことです。)

2.
 なるほど、東京高裁長官の後任は、深山判事でしたか・・・。全く予想もつきませんでした(笑)。
 深山判事は、元法務省民事局長で、法務省のご勤務経験が非常に長く、各種の民事系の法改正に携わった関係で(その最後の大作(?)が、民事局長時代の民法(債権関係)改正、ということになるでしょうか)、企業法務関係者にはお馴染みの方ですね。

 深山判事、定年まであと2年半程ありますので、これは、「次」のポストがあるかな・・・と強く感じさせる、今回の異動ニュースでした。

3.
 今回の異動情報を踏まえた、高裁長官のメンバーは、以下のとおりです。

[高等裁判所長官](敬称略)
札幌   綿引万里子 1955年05月02日生 修習32期 2016年04月就任 (前職)東京高裁部総括判事
仙台   河合 健司 1952年04月06日生 修習32期 2016年02月就任 (前職)さいたま地裁所長
東京   深山 卓也 1954年09月02日生 修習34期 2017年03月就任 (前職)さいたま地裁所長
名古屋  原   優 1953年09月04日生 修習31期 2016年07月就任 (前職)千葉地裁所長
大阪   井上 弘通 1953年01月24日生 修習29期 2016年09月就任 (前職)東京高裁部総括判事
広島   川合 昌幸 1952年10月23日生 修習29期 2016年02月就任 (前職)大阪家裁所長
高松   小久保孝雄 1952年09月01日生 修習33期 2016年05月就任 (前職)京都地裁所長
福岡   小林 昭彦 1955年02月05日生 修習33期 2017年01月就任 (前職)東京高裁部総括判事

 高裁長官以上の地位の裁判官の次の異動は、4月ですね。

 それでは、本日はこんなところで・・・。
 
17 2月

JCOM(ジュピターテレコム)最高裁決定の読み方について


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* * * *

1.
 さて、本ブログをご覧の皆様であればご存じ(?)、昨年7月のJCOM(ジュピターテレコム)最高裁決定ですが、昨年末~今年初めにかけて、最高裁調査官が執筆したものと思われる解説記事が公表されております。

 まず、判例タイムズ1429号(2016年12月号)89頁以下で、同最高裁決定が紹介されていますが、この冒頭の解説記事は、最高裁調査官の解説と思われます(判例時報や判例タイムズで最高裁判決や決定が紹介される場合、その冒頭の解説記事が最高裁調査官の執筆によるものであることは、法曹関係者であれば周知の事実かと思います)。

 次に、金融・商事判例1507号(2017年1月15日)19頁以下でも、同最高裁決定が紹介されています。私の理解では、「金融・商事判例」で最高裁判例・決定が紹介される場合には、その冒頭の解説文は最高裁調査官の執筆によるかどうかは必ずしもはっきりしない、と理解しているのですが、今回の同誌同号の冒頭の解説記事は、間違いなく、最高裁調査官が執筆したものだと思います(判例タイムズの上記紹介記事の冒頭の解説と、文章が全く同じなんですね。ただ、金融・商事判例の解説記事の方が、執筆スペースに余裕があったせいかどうかはわかりませんが、いくらか+αの記述が見られました)。

2.
 で、私、判例タイムズの方の解説記事を読んで満足してしまい、うっかり金融・商事判例の方の解説記事を読まずにいたのですが、どうやら、金融・商事判例の同決定の解説記事の中に、判例タイムズの同決定の解説記事には記載がなかった内容の記述があり、その記述中に、本決定の読み方に重要な示唆を与える指摘がある、という話に、数日前に某SNS上の某先生のコメントで接しました(某先生、ありがとうございます)。

 そこで、本日のブログ記事は、その内容のご紹介です。

3.
 金融・商事判例の上記解説記事の中に、こんな記載があります。(同誌1507号(2017年1月15日)21頁)(この記載は、判例タイムズの上記解説中には、言及がありません。)(以下、太字は川井による)

「なお、本誌1497号の本決定速報の匿名コメント13頁右段においては、本決定から『経営判断の原則にみられる会社経営の生理的な現象面では、取締役の行為時における判断を尊重して、裁判所が事後的にその判断の是非に介入しないという判断の枠組みを看て取ることは許されるようである。』との言及がある。『経営判断の原則にみられる会社経営の生理的な現象』の具体的な意義は不明であるが、本決定は、2段階買収の取引条件決定手続が一般に公正と認められる手続によるものと評価される場合における取得価格の判断枠組みについて判断したにとどまり、その前提となる上記の取引条件決定手続が一般に公正と認められるか否かの審理判断にあたり、取締役の行為時における判断等を尊重すべきものではないことは決定理由等に照らし明らかであろう。上記匿名コメントもこれと異なる趣旨をいうものではないと推測されるものの、読者の誤解を避けるため、念のため付言しておきたい。」

 ・・・うーん、そうなのかあ、という感想ですが・・・。

 まあでも、最高裁調査官がおっしゃることですから、相当の重みをもって理解しなければならないことは事実なんでしょうね・・・。

 (ちなみに、上記で「『経営判断の原則にみられる会社経営の生理的な現象』の具体的な意義は不明であるが」と書かれていましたが、いや、この分野に土地勘のある弁護士であれば、当該具体的な意義は全員わかると思いますけれども・・・

* * * *

 それでは、本日は(とりあえずご紹介だけ、ということで、)こんなところで・・・。

14 2月

提訴請求を受けた監査委員会が取締役の責任追及等の訴えを提訴しなかった判断について、監査委員の善管注意義務・忠実義務違反はないとされた裁判例(後編)


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* * * *

 さて、遅れましたが、先週の木曜日に書いたブログ記事の「後編」です。
 (余談ですが、時間がなかったため思いつきで書いた昨晩のブログ記事、想像以上に沢山のアクセスがありまして、本ブログをご覧の皆様が本ブログにどういう内容の記事をご期待なさっているのか、良くわからなくなってきたりしました・・・(笑)。)

* * * *

↓ 「前編」はこちらです。
http://blog.livedoor.jp/kawailawjapan/archives/8734243.html

(前編からの続き)

4.
 学説上は、「監査役」が(監査委員ではなく)株主からの提訴請求を受けて、取締役に対して責任追及の訴えを提起するか否か、という場面を主に念頭に置いてですが、以下のような議論がなされています。

(1)
 まず、法律上は取締役が責任を負うと判断される場合であっても、取締役が無資力であったり、賠償額が少額に過ぎないような場合には、ことさらに訴訟に訴えなければならないというべきではない、という見解があり(山下友信「取締役の責任・代表訴訟と監査役」(旬刊商事法務1336号12頁))、この見解は、概ね支持を受けているようです(江頭会社法〔第6版〕527頁・注(6)など)。

(2)
 他方、それに加えて、「取締役の責任を追及することが会社の社会的信用を損なうおそれがある」などといった政策的理由による不提訴の判断が許されるか否かについては、争いがあるようです。
 この点は、そうした政策的理由を不提訴の判断の理由とすることは許されないという説(否定説)が多いようなのですが、江頭先生は、監査役は取締役の責任の一部免除等への同意権を有すること(会社法425条3項1号、426条2項、427条3項など)との均衡から肯定説をとるべきとされ(江頭会社法〔第6版〕528頁・注(6))、また、本件と同じ監査委員の場面について、伊藤靖史先生は、監査委員会による監査には適法性監査のみならず妥当性監査も含まれることを理由に肯定説をとるべきとされています(会社法コンメンタール第9巻136頁)。

(上記4の学説の議論状況については、江頭先生の基本書のほか、川島いづみ「取締役責任追及訴訟を提起した監査役からの費用償還請求」(金融・商事判例1502号(2016年11月1日号)4~6頁)が大変参考になりました。)

5.
 なお、コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会が取り纏めた「コーポレート・ガバナンスの実践」(平成27年7月24日)の「別紙3 法的論点に関する解釈指針」の12頁には、取締役の責任追及に関する監査役の提訴の判断についての考え方として、

「監査役の提訴の判断においては、(取締役が任務を怠ったか否かに限られず、)提訴されることにより会社が被る不利益、将来において取締役が積極的な意思決定を見送る可能性等も総合的に勘案して、会社の利益の観点から、提訴すべきか否かを判断されるべきである。」

と記載されています。
 これは、上記4の学説の対立のうち、政策的理由に基づく不提訴の判断を許容している、というふうに読めるのかなあ、と、私には思われました。

6.
 以上の裁判例・学説等の状況を踏まえて、今回の東京地裁判決の判断基準がどういうスタンスに立ったのか、を考えますと・・・。

(1)
 今回の東京地裁判決は、「当該判断・決定時に監査委員が合理的に知り得た情報を基礎として、同訴えを提起するか否かの判断・決定権を会社のために最善となるよう行使したか否か」という判断基準を定立したのですが、「当該判断・決定時に監査委員が合理的に知り得た情報を基礎として、」という部分はともかく、「会社のために最善となるよう行使したか否か」という基準については、今までの裁判例では登場したことのない文言ではないかと思われ(前記3で引用した過去の裁判例の文言とは異なっておりますし)、この規範の文言が何に依拠したものなのか、が良くわからないでおります。当事者がこういう主張をしたのか、それとも、裁判官が独自に生み出したワーディングなのか・・・。まあもっとも、文言自体はごく自然であり、違和感はないのですが。
 本論点について、具体的考慮要素を挙げる以前に、何らかの一般的な規範を定立するとしたら、こういった一見抽象的な文言にならざるを得ないのかなあ、と思いました。

(2)
 他方で、今回の東京地裁判決は、「会社のために最善となるよう行使したか否か」という基準への該当性を判断する具体的な考慮要素・ファクターというものは、「完全に明確には」提示しませんでした(この点は、前記3で引用した過去の裁判例とは異なるところです)。
 しかしながら、今回の判決は、「少なくとも、責任追及の訴えを提起した場合の勝訴の可能性が非常に低い場合」には、不提訴の判断をしても、監査委員には義務違反はないと判示しています。
 したがって、今回の判決は、具体的考慮要素のうち、「責任追及の訴えを提起した場合の勝訴の可能性が非常に低い場合」についてのみ、不提訴の判断理由として義務違反にならない旨示したものの、「少なくとも」という文言からわかりますとおり、それ以外にも不提訴の判断が義務違反にならない場合が残されていることを示した(ただし、それがどのような場合なのかについては敢えて判示しなかった)ということになるものと思われます。
 そして、「会社のために最善となるよう行使したか否か」という文言から推察しますと、不提訴の判断理由として義務違反にならない場合には、上記4で学説に争いがある、政策的理由による場合も含みうる余地を残した(ただし、含むと判示した訳でももちろんなく、解釈の余地を残した)、ということが言えるのでしょうね。

 また、今回の裁判例が、監査委員における不提訴の判断について、どの程度の裁量を許容したのか、経営判断原則に近いレベルのものまで許容する趣旨なのか、ということについても、判決内容からは明らかではないように思われました。

(3)
 以上のように分析しますと、今後、監査委員や監査役が不提訴請求をする場合に裁判所がどのようなメルクマールで判断するかはまだ不明確な部分が多い(また、地裁の判決なので、今後の同種訴訟への拘束力・影響力は決して強くはない)とは思います。
 しかし、裁判例が非常に少なく、今後も争点の性質上、裁判例が蓄積される可能性は必ずしも高くない争点について裁判所が判断を示した今回の地裁判決が、一定の意義を持っていて、今後の実務において(実際の提訴請求に対する対応を監査役や監査委員が判断する際においても)参照しておく必要のある裁判例であることは、間違いないものと思われますね。
 
* * * *

 それでは、本日はこんなところで・・・。ようやく「後編」まで書き終えました。

* * * *

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