今日は、ブログ作成に余り時間が取れませんでしたので、(自らの備忘も兼ねた)軽めの記事とさせて頂きます・・・。すみません。

 
※以下は、特定の事案とは何ら関係がなく、一般論であることにご留意下さい。

 さて、会社法369条1項・2項には、以下の規定があります。

会社法369条
① 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
② 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。

 取締役会における、代表取締役の解職という議題については、解職の対象となっている当該代表取締役は、上記の会社法369条2項の特別利害関係人に該当し、当該議題に関する取締役会の議決には加わることができません。この点は一部反対説もありますが、実務上はほぼ固まった考え方であると私は理解しています(判例も、この場合は特別利害関係人に該当する、としています)。

 しかし、他方で、ご存じの方も多いと思いますが、代表取締役の選定という議題については、選定の対象となっている当該代表取締役候補者は、特別利害関係人にあたらず、当該議題に関する取締役会の議決には加わることができる、とするのが、実務上の通常の取扱いです。
 でも、これって、解職の場合と選定の場合とでアンバランスじゃないのかなあ、特別利害関係があるという点では、選定の場合だって利害関係はあるのでは、と、前から疑問(というほどでもありませんが、不思議)に思っています。

 この点、江頭先生の「株式会社法(第3版)」390頁には、「代表取締役の選定につき候補者自身が議決権を行使することは、業務執行の決定への参加にほかならず、特別利害関係には当たらないと一般に解されている」と記載されています。「業務執行の決定への参加にほかならず」という理由付けについては、うーん、わかったようなわからないような・・・。

 まあ、そもそも論として、代表取締役の解職の場合に、解職対象者が議決から外れるのは、「解職の議案の対象になっている人は、私心を去って、公平な観点から、自分が会社の代表取締役として解職されるにふさわしいか否かを、取締役の善管注意義務・忠実義務等を果たす観点から判断することは難しいから」というロジックからだと思うのですが、でも、例えば取締役内の派閥闘争などの結果として代表取締役を解職しようとする場合(または、一人だけ独断専行する代表取締役に対し他の取締役がクーデター等を起こそうとする場合)には、解職しようとする側の取締役達だって、「会社の善管注意義務・忠実義務等を果たす観点から、私心を去って、公平に、当該解職の議題を判断」しているか、というと、事実上はしてない場合も多いんじゃないかと思うんですよね、おそらく・・・。
 そうすると、こういうケースの場合には、解職される取締役だけに議決に加わらせる事に問題があり、解職する側の取締役達にはそういう問題はない、という話には必ずしもならず、両サイドの取締役とも、私心を捨てた判断ができているかという観点からは、同じようなものなのではないか、とも思えるのですが・・・。

 まあ、だからといって、代表取締役の解職という議題については、解職の対象となっている当該代表取締役が特別利害関係人に該当しない、という結論を採ることも、常識的な感覚からすれば少し変かなという気もしますが・・・。

 すみません、本日の記事は、ただの若干の疑問点の提起に過ぎませんが、思ったことを少し書いてみました。