さて、昨日(1月16日)の夜、渋谷のミクシィ本社の会議室を利用して行われました「利用規約ナイト Vol.2」に、私も参加してきました。
 去年に次いでの2回目の開催だそうですが、去年の1回目は30名ほどの参加者だったのに対し、今回は80名もの方々が参加したそうで、利用規約に関する関心の高さというものを窺わせるものでした。参加者の内訳も、弁護士、企業の法務担当者、企業のエンジニア等、多彩なメンバーだったようです。

 今回の利用規約ナイトの内容については既に他のご参加者の皆さんがブログに書かれておりますので、内容の詳細なご紹介はそちらに譲らせて頂くことにし、ここでは私自身が考えたことをいくつか書かせて頂きます。

1.
 私自身が現在民法(債権法)改正の情報フォローに注力していることもあり、今回のイベントで利用規約のあり方等についていろいろ聞かせて頂いて一番気になったのが、今回の債権法改正が利用規約のあり方にも今後結構な影響を及ぼす可能性があるのだろうな、という点です。債権法改正を以前からフォローされている方々にとっては、何をいまさら、という話でしょうが・・・。具体的には、「約款の組入要件」、「賠償額の予定」、「不当条項」あたりに関連するでしょうか。

 ですので、今後公表される中間試案に対しては、利用規約の実務の観点からどうか、という検討も必要になるでしょうし、もし中間試案の内容に、利用規約の場面特有の問題点があるのであれば、パブリック・コメントの手続において、そうした問題点を当局対して意見として述べることが重要になってくるのだろう、と考えております。法制審の部会の委員が、利用規約についてどれだけ意識しているかは不明でしょうから、言える機会に言っておくことが大事かな、と思います。

2.
 今回私にとって少なからぬ驚きだったのが、「利用規約」という法律テーマのイベントに、80人もの参加者がある、という事でした。

 我々弁護士は、普段取り扱っている案件との関連からか、どうしてもテーマが法改正とか、訴訟とか、不祥事対応とか、M&Aとか、(法改正を別にすれば、)いわゆる「有事」(ここでいう「有事」とは悪いことに限定されるのではなく、「企業ではそうしょっちゅうは起こらないこと」という意味です)の場合に有益であろうテーマを題材に、セミナーをしたり論文を書いたりすることが少なくないように思っています。
 しかしそれって、企業の法務担当者の日常的なニーズからはおそらく離れている場合が多いんだろうと思います。企業の法務担当者の主要なニーズは「平時」をどう上手く対処するかであり、そこでいう平時というのは、契約書(利用規約もここに入るのでしょう)の作成、チェック、レビューや、せいぜいクレーム対応といったものが圧倒的に中心なのであって、したがって、そういう「平時」に有益な情報こそが企業担当者のニーズが最も高いものなのだと、私は現在思うに至っております。

 まあ、役割分担として、弁護士からの情報提供は「有事」中心でもいい、という考え方もあるのかもしれませんが、少なくとも、企業の担当者のニーズのメインは「平時」の場合の情報である、ということを理解しておくことが、弁護士にとっては必要なのだろうと思いました。(どうもこのへんに、弁護士と企業担当者との間にミスマッチが若干あるような気がしておりまして、私自身も反省しているところです)

 ちなみに、企業の担当者のニーズのある情報が何か、というものを弁護士が理解・把握するにはどうしたらいいのか、という点については、企業の法務担当者のブログ、ツイッター等による情報発信も大いに参考になりますし、書籍レベルでは、何と言ってもBusiness Law Journalに掲載されている各種記事がどういうテーマを取り扱っているかをチェックすることが、大変参考になると思っております。

3.
 イベント中、利用規約についてはやっぱり弁護士に相談しなさい、という企業の法務担当者の方のプレゼンがあって、弁護士である私からすれば有り難いコメントだなと思ったのですが(笑)、その担当者の方が「弁護士でも誰でもいい訳ではなく、専門家に相談して下さい。」とのコメントもありましたので、その点について思ったことを以下に幾つか書かせて頂きます。

 純粋にリーガルな点に絞ってみますと、利用規約のレビューという作業は企業法務を取り扱う弁護士であればさほど難易度の高い業務ではない(簡単である、とは言いませんが)、と個人的には思っております。

 ただしもちろん、リーガル「以外」の観点から見れば話は別で、利用規約の対象となるサービスやビジネス等をどの程度理解しているかはレビューする際にも重要ですので、そういう点からすれば、当該サービスまたはそのサービスの属する業界・ビジネスを良く理解している弁護士に依頼するのが最も望ましいことになるでしょう。

 もっとも、そういう弁護士ってそんなにはおりませんし、そういう弁護士を見つけることができるかどうかもわかりませんので、そういう弁護士が見つからない場合には、企業法務に手慣れた弁護士に対してであれば、ビジネスやサービスのバックグラウンドをきちんと説明する等さえすれば、通常はきちんとした対応をしてくれるのではないか、と思っております。若干業界びいきが入っているかもしれませんが・・・。

 ただ、「経産省の準則って何それ?」っていう弁護士はかなり沢山いますので(・・・)、そういう意味では、ある程度「情報感度」の高い弁護士に頼んだ方がベターではあると思います。(ここで「情報感度の高い弁護士」という、何だか良くわからない表現を使いましたが、「これこれこういう弁護士には頼まない方がいい」という私の考えをここでストレートに書くとさすがにまずいので、敢えてぼかした書き方をさせて頂いております・・・)

 あと、プレゼンをされた法務担当者の方が、「弁護士は飛び込みではなく、紹介で」とのコメントもされていましたが、最近では企業法務の競争激化、弁護士数の大幅増加に伴い、企業法務の世界でも「飛び込みの案件は受けない」とか「いやだ」と思う弁護士は非常に少数になっていると思います。したがいまして、いきなりアポなしで事務所に行ってはさすがに駄目ですが、紹介もなしでメールや電話でアポを取って相談に行く、というのは全然大丈夫だと思いますね。

 それから、プレゼンをされた法務担当者の方が、「金額の予算は企業の担当者から弁護士に言って下さい」ともおっしゃっていましたが、それは是非そうして下さい(笑)。企業側から予算を言うことを嫌がる弁護士って今はほとんどいないんじゃないかなあ、と思いますので。また、大抵は予算内でやってくれると思います。(もし弁護士の方で、予算が低くて受けられない、ということであれば、残念ながら縁がなかったと思うしかないかなと・・・) ただ、「費用を踏み倒されないだろうか?」ということについては、弁護士はさすがに意識することが多い点には御留意頂ければ・・・と思います。

* * *

 では、本日はこんなところで・・・。イベントを企画いただいた皆様、大変ありがとうございました。

* * *

(お知らせ)
第4回法律セミナー
「民法(債権法)改正の最新動向~中間試案を踏まえて実務家から見たポイント」
(開催日時:2013年3月4日(月)午後6時40分~8時30分)

 1月7日(月)夜から募集を開始しまして、只今、お申し込み受付中です。
 (↓ 詳細は下記のリンク先をご覧下さい)
 
http://blog.livedoor.jp/kawailawjapan/archives/6192776.html

 ご興味がございましたら、是非お気軽にお申し込み下さい。多くの皆様のお申し込みを心よりお待ちしております。