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 さて、本日の話題は、本ブログのテーマであるビジネス・ローではないのですが、法律実務家として、やはりこれを採り上げない訳にはいかないな、と思いまして、民法900条4号を違憲と判断した本日(2013年9月4日)の最高裁大法廷決定につきまして、五月雨式に簡単にコメントさせて頂きます。
(以下、決定文を読んでいないと意味不明の記載が多いかと思いますが、その点は何卒ご容赦下さい。)

・決定文を全文読みました。非常に読みやすい日本語で、丁寧に論じられた決定内容ではないかと思います。

・14名の裁判官の全員一致の意見ということ(寺田裁判官は審議に加わらなかったようです。法務省民事局長を以前にされていたから、ということなのでしょうね、おそらく)に、少し驚きました。反対意見が一人も出なかったのですね。

・法廷意見を読む限り、最高裁も、法律婚を尊重する意識が日本では現在でも幅広く浸透していることは認定しているのですね。
 とすると、900条4号の区別が合理的ではない、と最高裁が判断した根拠は、結局は国民意識の変化というよりも(もちろんそれもあることは否定はしませんが)、諸外国の状況の変化、国際連合等の委員会からの勧告、日本における嫡出子と非嫡出子の区別に関する法制の変化、といった点によりどころを求めているのではないか(そして、そこに求めざるを得ないのではないか)、という気が個人的にはいたしました。(まあこの点は、異論も多々あるでしょうが・・・。個人的な感想です。)

・法廷意見には、「本件規定は、遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していたものというべきである。」とありますが、何故「遅くとも平成13年7月当時において、」そうだったと言えるのかの説明が、法廷意見にはない気がしました。
 平成7年の大法廷判決の頃と今回とで、結論が逆になるということは、その間に考え方の逆転現象が起きたとも言える訳で、そういう逆転を引き起こす意識の変化がいつ頃生じたといえるのか、という点が、従来と結論を変更することを正当化するために本来は必要な議論なのだと思います。
 まあでもこれは、理由を説得的に説明することは事実上不可能だと思いますので、最高裁がこの点に言及しなかったのも、やむを得ないとは思いますが・・・。

・「先例としての事実上の拘束性について」の項は、今回の違憲判決に伴う各種の混乱を避けるために、最高裁としても記載は必要不可欠なものと考えていたのでしょうね、おそらく。
 この部分には、混乱を最小限に抑えたい、という、最高裁の並々ならぬ「決意」を感じました(おそらく、「過去」の反省を踏まえているのでは・・・)。

 また、この項で私が気になったのは、

 「既に関係者において裁判、合意等により確定的なものとなったといえる法律関係までをも現時点で覆すことは相当ではないが、関係者間の法律関係がそのような段階に至っていない事案であれば、本決定により違憲無効とされた本件規定の適用を排除した上で法律関係を確定的なものとするのが相当であるといえる。そして、相続の開始により法律上当然に法定相続分に応じて分割される可分債権又は可分債務については、(中略)、その後の関係者間での裁判の終局、明示又は黙示の合意の成立等により上記規定を改めて適用する必要がない状態になったといえる場合に初めて、法律関係が確定的なものとなったとみるのが相当である。」
「本決定の違憲判断は、Aの相続の開始時から本決定までの間に開始された他の相続につき、本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。」

 というくだりの「明示又は黙示の合意の成立等により上記規定を改めて適用する必要がない状態になったといえる場合」というところです。黙示も入ること、「等」とあること、からしても、結構微妙な場合が出てきそうですよね・・・。

・金築裁判官、千葉裁判官、岡部裁判官の補足意見があり、それぞれ読ませる内容となっておりましたが、個人的に(いろいろな面で)一番納得感があったのは千葉裁判官のものでした。

 以上、書いていくうちに長くなりましたが、本日はこんなところで・・・。

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