さて、11/26に衆議院本会議で修正可決され、参議院に移った会社法改正法案ですが、衆議院法務委員会での法案修正の内容が、本日、衆議院のウェブサイトにアップされていました。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/syuuseian/3_5692.htm   

 法律案の常ではありますが、衆議院のウェブサイトにアップされている修正内容を見ても、具体的にどこがどう変わったのか、少しわかりにくいので、私にて、以下、新旧対照表形式に修正内容を落とし込み、「現行法」「法務省提出の法律案」「衆議院における修正法案」の3つがそれぞれどのように異なるかを、並べて比べてみました。

 確認したところ、新聞報道の内容から想像していた以上の修正内容になっていて、少し驚きましたね。

1 会社法第304条

[現行法]
第304条 
株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合は、この限りでない

[法務省提出の改正法律案]
第304条
株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 当該議案が法令又は定款に違反する場合
二 株主が、専ら人の名誉を侵害し、人を侮辱し、若しくは困惑させ、又は自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で、当該議案の提出をする場合
三 当該議案の提出により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合
四 実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合


[衆議院での修正可決後の法律案]
第304条
株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合は、この限りでない

→要するに、修正可決後の法律案の304条では、法務省提出の当初法律案304条但書の内容規制に関する新設規定は全部削除され、結局、304条は現行法のままとする、ということですね。


2 会社法第305条

[現行法]
第305条

1~3(略)

4 
前三項の規定は、第一項の議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合には、適用しない

[法務省提出の改正法律案]
第305条

1~3(略)

4 
取締役会設置会社の株主が第一項の規定による請求をする場合において、当該株主が提出しようとする議案の数が十を超えるときは、前三項の規定は、十を超える数に相当することとなる数の議案については、適用しない。この場合において、当該株主が提出しようとする次の各号に掲げる議案の数については、当該各号に定めるところによる。
一 取締役、会計参与、監査役又は会計監査人(次号において「役員等」という。)の選任に関する議案 当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
二 役員等の解任に関する議案 当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。三 会計監査人を再任しないことに関する議案 当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
四 定款の変更に関する二以上の議案 当該二以上の議案について異なる議決がされたとすれば当該議決の内容が相互に矛盾する可能性がある場合には、これらを一の議案とみなす。

5 前項前段の十を超える数に相当することとなる数の議案は、取締役がこれを定める。ただし、第一項の規定による請求をした株主が当該請求と併せて当該株主が提出しようとする二以上の議案の全部又は一部につき議案相互間の優先順位を定めている場合には、取締役は、当該優先順位に従い、これを定めるものとする。

6 第一項から第三項までの規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 第一項の議案が法令又は定款に違反する場合
二 株主が、専ら人の名誉を侵害し、人を侮辱し、若しくは困惑させ、又は自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で、第一項の規定による請求をする場合
三 第一項の規定による請求により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合
四 実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合


[衆議院での修正可決後の法律案]
第305条

1~3(略)

4 取締役会設置会社の株主が第一項の規定による請求をする場合において、当該株主が提出しようとする議案の数が十を超えるときは、前三項の規定は、十を超える数に相当することとなる数の議案については、適用しない。この場合において、当該株主が提出しようとする次の各号に掲げる議案の数については、当該各号に定めるところによる。
一 取締役、会計参与、監査役又は会計監査人(次号において「役員等」という。)の選任に関する議案 当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
二 役員等の解任に関する議案 当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。三 会計監査人を再任しないことに関する議案 当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
四 定款の変更に関する二以上の議案 当該二以上の議案について異なる議決がされたとすれば当該議決の内容が相互に矛盾する可能性がある場合には、これらを一の議案とみなす。

5 前項前段の十を超える数に相当することとなる数の議案は、取締役がこれを定める。ただし、第一項の規定による請求をした株主が当該請求と併せて当該株主が提出しようとする二以上の議案の全部又は一部につき議案相互間の優先順位を定めている場合には、取締役は、当該優先順位に従い、これを定めるものとする。

6 第一項から第三項までの規定は、第一項の議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合には、適用しない

→以上、パッと見ただけでは少しわかりづらいですが、

・現行法の4項の規定→修正可決後の法律案では6項に移る。
・法務省提出の法案の4項・5項の規定→修正可決後の法律案でもそのまま残る。項の位置もそのまま。
・法務省提出の法案の6項→修正可決後の法律案では全部削除。

ということになります。

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 以上のとおり、304条・305条とも、法務省提出の当初法律案における、内容規制の新設規定は、全て削除されておりました。削除されるのは「困惑させ」という文言だけか、または、「困惑させ」の文言を含む号だけかと思っていたら、内容規制がまるまる全てカットされていたとは…。

* * * *

 以上、取り急ぎ、まとめてみました。もし私の整理が間違っておりましたら、ご指摘頂ければ幸いです。
 それでは、本日はこんなところで…。