さて、本日は、最近個人的にいろいろ検討することの多い、特別利害関係取締役について考えたことを、雑感レベルではありますが、少し書かせて頂きます。

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1.
 特別利害関係取締役は、取締役会の決議について定める会社法369条のうちの2項に規定があり、そこには、「前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。」とあります。
 この規定は、取締役会の決議について定める条文(会社法369条)の中にあることからわかるとおり、取締役会設置会社における取締役会での決議に関して適用されるルールな訳です。

2.
 では、この規律は、取締役会非設置会社の場合にはどうなっているかといいますと…。

 取締役会非設置会社の場合には、特別利害関係取締役という概念は採られていないんですね。

 取締役会非設置会社の場合、取締役が複数いるケースでは、業務執行の決定については、「取締役の過半数によって決定する」とされています(会社法348条2項)。
 すなわち、取締役の決定による必要があるのですが、取締役会は存在しませんので、会議を開く必要はなく、書面の回覧等、持ち回り等で決定してもいい訳です。

 そして、既述のとおり、こうした取締役の決定については、会社法上、特別利害関係取締役という概念は、採用されていません。したがって、取締役会非設置会社については、取締役会設置会社の取締役であれば特別利害関係取締役として議決に参加できない者であっても、決定に参加することができることになります。

3.
 しかし、冷静に考えますと、利害関係により議決の結果によろしくない影響を及ぼしうる可能性は、取締役会非設置会社の取締役の場合にも、取締役会設置会社の取締役の場合と同程度にあるのではないか、と思います。

 それにもかかわらず、取締役会設置会社の取締役に適用される特別利害関係取締役の規定が、取締役会非設置会社の取締役の場合に適用がないのは何故なのか…。
 本来は、理論的に(または、政策的理由につき?)説明がなされなければならない話だと思いますね。
 でも、その点の説明というのを、寡聞にして私は見た事がないのです。

4.
 ちなみに、取締役会設置会社の場合、書面決議の時にも、特別利害関係取締役に該当する場合には議決には参加できないことになっていますので(会社法370条の「(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)」という文言は、そういう趣旨だと思います)、「リアルの会議体についての影響」という観点で、取締役会設置会社と取締役会非設置会社との間で特別利害関係取締役の適用の有無を分ける、という整理は、できないと思いますね。

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 以上、会社法関連の実務をしていると、取締役会非設置会社の場合の規律について、取締役会設置会社の場合との比較という観点から、不思議に思うことが時々あるので、本日は、その一例につき、メモ代わりに書かせて頂きました。

 それでは、本日はこんなところで…。