さて、本日は、備忘代わりのブログ記事になりますが…。

1.
 昨日2月4日、労働基準法の一部を改正する法律案が、国会に提出されました。

 法律案の内容は、厚生労働省のこちらのページにございます。
 https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/201.html

 今回の改正法案は、賃金請求権の消滅時効期間の延長が改正の中心であり、非常に重要な改正内容になります。

 民法(債権法)改正の法律が国会で成立した時から、「民法の消滅時効の原則的ルールが変更になったが、では労働基準法の賃金請求権の消滅時効はどうなるのか」という形で、法律関係者の関心が比較的高かったテーマでしたよね。

 私、この論点については、民法(債権法)改正により、債権一般の消滅時効が原則5年(および10年)に改正された以上、賃金請求権についてもそれに併せて、現在の2年から5年に当然に変更されるのだろう、と当初は思っていました。

 しかしながら、ご存じの方も多いと思いますが、労働基準法の消滅時効の規定の改正に関しては、そのような流れには当然にはならず、議論が非常に難航しました(したようでした)。
 私も詳細な議論のフォローはできていませんでしたが、報道記事等で議論の進捗状況を何度か見た範囲でも、相当難航したことは、容易に窺われました。

2.
 以下、厚労省内での議論の手続的推移について、整理しておきます。

 この改正に関しては、2017年(平成29年)12月から、「賃金等請求権の消滅時効の在り方研究会」という会で論点整理がなされました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou_503103.html

 その後、労働政策審議会(労働条件分科会)で、昨年7月以降、7回にわたる審議を経て、意見の取りまとめに至りました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126969.html

 そして、去年の12月27日に、労働政策審議会が、厚生労働大臣に対し、賃金等請求権の消滅時効の在り方について建議を行いました。「賃金等請求権の消滅時効の在り方について」という報告書が公表されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08737.html

 その後、厚生労働大臣が、今年1月10日に、労働政策審議会に諮問した「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」について、同審議会の労働条件分科会で審議が行われた結果、同日、同審議会から加藤勝信厚生労働大臣に対して、答申が行われました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08856.html

 以上を受け、2月4日の法律案の提出に至っております。

3.
 改正法案のポイントですが、ごく簡単に言いますと、

① 賃金請求権の消滅時効について、現在の2年から5年に延長(同法115条)。
  (消滅時効の起算点は、「これを行使することができる時から」と115条に明記)

② 上記のルールの施行期日は、改正民法と同じく、令和2年4月1日

③ しかし、賃金請求権の消滅時効は、「当分の間」は、5年ではなく、「3年」(143条3項)。

となります。
 
 いやはや、最終的には5年に延長になったけど、「当分の間」3年、なんですよね…。

 私は企業側の仕事をするケースの方が多い弁護士ですが、そんな私でも、何じゃそれは、と、さすがに思います…。

 なお、今回の改正法案では、使用者による、賃金台帳等の記録の保存義務の期間についても、現行法の3年から5年に改められました(109条)。しかしこれも、「当分の間」、5年ではなく、3年のままとなっております(143条1項)。

 民法と労働法との関係や原則から考えれば、賃金請求権の消滅時効もやはり当然5年に延長しなければならないと思うのですが、使用者サイドの反対が非常に強かったため、厚労省内の会で議論をまとめるためには、ある程度使用者サイドに配慮しなければならなかった、ということなのでしょうかね、この落としどころは…。
 うーん…。

4.
 本法律案、施行日までもう2ヶ月切っていますので、国会でも急ピッチで審議が進み、あっという間に可決成立するのかなあ…と予測しております。

* * * *

 ということで、本日はこんなところで…。