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弁護士川井信之(東京・銀座)の企業法務(ビジネス・ロー)ノート

東京都中央区銀座の弁護士が、企業法務に関するニュース・話題を中心に情報発信するブログです。

会社法改正(平26)

31 12月

監査等委員会設置会社への移行を公表した上場企業一覧(2015年12月31日現在)


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 監査等委員会設置会社への移行を公表した上場企業を、一覧にまとめてみました。(公表企業数が増えすぎてフォローしきれなくならない限り・・・)順次アップデートいたしますので、皆様の御参考になれば幸いです。

※スマホで見る場合や、PCでもGoogle Chromeで見る場合には、上手く表示ができない(字の位置にズレが生じてしまう)ようです。PCでかつInternet Explorerでご覧になることを推奨いたします。

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19 10月

旬刊商事法務最新号(10月5日・15日号)の座談会で目を引いたこと


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1.
 さて、旬刊商事法務の最新号(2080号〔10月5日・15日の合併号〕)は、興味深い記事がてんこ盛りでしたが、まずは、巻頭の座談会(永池正孝=松井秀征=茂木美樹=角田大憲「2015年株主総会にみえる運営実務の変化と今後の課題(上)」(同号6頁))を読ませて頂きました。

(全くの余談ですが、旬刊商事法務では、年に3回(1月、5月、10月)、合併号が発行されます。合併号では通常号とは異なり、目次が見開き2ページになるのですが、その見開き2ページの目次のページ上部には、毎回、両ページにわたる、白黒ながら美しい風景等の写真が掲載されます。そしてこの写真の画像は、毎回違います。今年の1月合併号では冬の雪山、5月合併号ではお花畑、今回の合併号では公園の噴水の写真でした。目次の上部の写真画像にも配慮を怠らない旬刊商事法務さん、素晴らしいですね。ただできれば、どこの場所の写真なのか、クレジットして欲しいなあとも思っておりますが(笑)。)

2.
 座談会には、私にとって新しい情報というものは(僭越ながら)余りなかったのですが、一つ、大いに目を引いた御発言が1箇所、ありました。

 それは、茂木美樹氏(三井住友信託銀行)の、以下の御発言です。
 (以下、発言部分の太字は川井による)

* * * *

茂木:今年の6月末までに(監査等委員会設置会社への)移行についてリリースされた会社が189社でして、いまはちょっと増えて200社突破という状況です。
 (中略)
 当社で、監査等委員会設置会社に移行した会社について、従前の社外監査役が、移行時に何名、監査等委員である社外取締役になったかということを調べましたところ、従前の社外監査役は一人も監査等委員にならなかったという会社が5%ぐらいありました。1人しかならなかった会社が22%ぐらい。・・・移行に当たって社外監査役から監査等委員にならなかった方がいる会社が27%ぐらいあるというのが、当社で189社を調べた結果です。」(同号19頁)

茂木監査役が監査等委員にならなかったというケースで、ならなかった方の属性として結構多いのが弁護士なのです。

 角田:理解できます。

 茂木弁護士の場合は、違法なのか適法なのかということはご職業柄非常にフィットされるわけですね。ただし、経営はやっていないので、経営者としてパフォーマンスがうまくいっているのかというようなことの評価というのは自信もないと。それでそういう重い職責というのはちょっと担い切れないということで、お辞めになったのは弁護士の方が多いです。お辞めになった方は監査役と監査等委員の違いに対する十分な認識の下に降りられていらっしゃるという状況があります。」(同号20頁)

* * * *

 へええ。そうなんですね・・・。
 監査役から監査等委員への「横滑り」(言い方が悪くてすみません)をしなかった方の属性については調べたことがありませんでしたので、上記の茂木氏のご指摘は新鮮でした。

 そして、上記引用箇所の最後で、茂木氏は、弁護士が監査役から監査等委員にならなかった「理由」についても述べられています。これが茂木氏の推測によるものなのか、それとも実際のお仕事を通じて、当該弁護士の何人か(または当該会社のいくつか)からそういったお話を聞いたことを根拠とされているのかは、上記の茂木氏の御発言からは明確ではないのですが、御発言のトーンからは後者のように思われました。

3.
 しかし、そうした「理由」が仮に真実だとしますと、なんとなく「うーん・・・」という気が、私が弁護士であるだけに、いたしますね。
 
 もちろん、個々の弁護士で監査役から監査等委員になられなかった先生方は、それぞれが熟慮の末ご決断されたのでしょうから(あと、そもそも論として、当該弁護士先生の御判断ではなく、会社の判断かもしれませんし・・・)、そのご決断に対して弊職ごときが異議を述べる権利も資格ももちろん全くないのですが、そのご辞退の理由が「弁護士という職業」であるが故のものである、と解釈されうるものになってしまっているのは、「うーん」という気がいたしました。
 要するにこの御発言が拡大解釈されますと、「弁護士の中には、社外取締役である監査等委員(ひいては、社外取締役そのもの)に就任するのに躊躇される人が相当数いる」と思われかねないのではないか、と思ったのです。

 現時点では社外取締役は1・2名の上場企業がまだ多いものの、もしかしたら今後は社外取締役が更に増える状況が来る可能性があり、そうした状況下では、社外取締役のメンバーもバックグラウンドが多様化する必要性が高くなる訳でして、弁護士もそうした社外取締役の有力な給源とならなければならないのだろう、と考えております。
 そして、実際にも、「弁護士としての業務特性」にこだわらず、経営評価などの取締役業務を行おうという意欲に満ち、また能力を有する弁護士も沢山いるのではないか、と思っています(そもそも、「経営をやっていない」という理由で取締役となるのをご辞退されるとなると、社外取締役に就任する適性のある方というのは、経営者OBまたは現役経営者だけ、ということになりますので・・・)。

 したがいまして、「弁護士は一定数、社外取締役にはなりたがらない人がいるようだ。それは、弁護士の職業上の特性によるものだ」と思われてしまう状況は、(まあ、それは本当なのかもしれませんけれども(苦笑))、できれば避けたいよなあ、弁護士業界全体にとっては・・・という気がいたしました。

(また、上記で茂木氏のコメントに「理解できます。」と返答された角田大憲先生のコメントの真意も、少し気になりました。)

 まあでも、良く考えますと、上記の茂木氏の御発言によれば、社外監査役から監査等委員に全員が「横滑り」した会社が全体の73%はある訳でして、その中には、弁護士の方も多数含まれているような気がいたします。したがいまして、絶対値からすれば、「社外監査役から監査等委員にならなかった弁護士」よりも「社外監査役から監査等委員になった弁護士」の方が多いかもしれませんので、余り気にする必要はないかもしれませんね。

* * * *

 以上、今日のブログ記事には、私の(弁護士としての)ポジション・トークが多分に含まれている可能性がありますが(笑)、本日はこんなところで・・・。

17 9月

多重代表訴訟の対象である完全子会社を有する上場企業の数について~「特定完全子会社」の数を調査してみて


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 さて、本日のネタは、先日の弊所セミナーの東京会場で雑談として話したテーマを敷衍したものです。

1.
(1)
 ご承知のとおり、改正会社法で導入された、いわゆる多重代表訴訟では、対象となる完全子会社は一定の要件を満たすものに限定されております。

 具体的には、原則として、

 「発起人等の責任の原因となった事実が生じた日において最終完全親会社等及びその完全子会社等・・・における当該株式会社の株式の帳簿価額が当該最終完全親会社等の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1・・・を超える場合」

に限定されています(会社法847条の3第4項)。

 上記は、ざっくり言いますと(やや不正確なのはご容赦下さい)、

 『最終完全親会社等における当該完全子会社の株式の帳簿価額』が、『最終完全親会社等の総資産額』の5分の1を超える場合

 に限られることになります。(以下、「5分の1要件」といいます。)

 多重代表訴訟の対象となる完全子会社は、親会社から見て、それだけ子会社の規模が大きい場合に限られている訳ですね。

(2)
 で、この「5分の1要件」を満たす完全子会社を有する上場企業がどの程度の数があるか、という点については、法制審における審議や要綱案・要綱ができた頃は、

・「メガバンクまたはそれに匹敵する規模の非常に大きな会社に限られる」
・「事業会社ではまず考えにくい。ホールディングスでもせいぜいグループの上位1、2社が対象になるだけでは」
・「全体で20数社の上場企業でしか、対象となる完全子会社はない」

などという話や言及がなされていたのを、私は記憶しております。

 その後、そういった情報が訂正された話も、私は寡聞にして聞いたことがありませんでした。

(3)
 他方、改正会社法施行規則において、上記の5分の1要件を満たす完全子会社があったら、その完全子会社(「特定完全子会社」)に関する情報を事業報告に記載せよ、というルールが新設されました(会社法施行規則118条1項4号)。

 この規定の趣旨は、立案担当者によれば、株主が多重代表訴訟における提訴請求をするための手がかりとなる情報を開示させることで株主の便宜を図るとともに、多重代表訴訟の要件をおよそ満たさない完全子会社に対して提訴請求がなされることによる会社側の事務負担の軽減を図るため、とされています(「一問一答 平成26年改正会社法〔第2版〕」(2015、商事法務)187頁)。

 厳密には、会社法施行規則118条1項4号に基づき事業報告に記載する特定完全子会社は、「事業報告の末日時点において」5分の1要件を満たすものなのに対し、多重代表訴訟における完全子会社は、「役員等の責任原因事実が生じた日において」5分の1要件を満たすことが要件なので、両者は厳密には一致しないのですが、それでも事業報告における特定完全子会社の記載が、株主に対して多重代表訴訟に関する提訴請求を適切な子会社にできるかどうかについての一定の有力な情報となることは、間違いないところだと思います。

2.
 上記の改正会社法施行規則に基づき、事業報告に特定完全子会社の記載が必要となる扱いは、経過措置の関係で、今年の8月に定時株主総会を開催する会社から適用が開始されております。 

 で、SNSにおける(某さんの)情報によりますと、8月総会で特定完全子会社が存在することを事業報告で開示した会社が、5社あったそうです。

 私は、それを知った時点で「あれ?」と思いました。
 8月総会の会社って、上場企業全体からみたらかなり少ないはずなのに、特定完全子会社があると事業報告で開示した会社がもう5社もあるの・・・?

3.
 そこで、弊所スタッフに、手の空いた時間を使って、(8月総会ではなく、より最新の情報を、と思い、)9月総会の会社で、特定完全子会社の存在を開示した会社がどの程度あるかを調べてもらいました(スタッフに何をお願いしてるんだか自分・・・(笑))。

 まず、日経のサイトで、9月に定時株主総会を開催する上場企業(東京PRO Marketを除く)の名前のリストを入手してもらいました。全部で111社でした。

 次に、すでに本日までで、9月総会の会社の招集通知は日程的に全て出揃っていますので、日本取引所グループや、他の証券取引所のサイト等を使って、各社の事業報告をチェックしてもらいました。

 その結果、特定完全子会社の存在を事業報告に記載していた会社は、以下のとおり、9社ありました。(個人的には、9社「も」あったのか、という印象でしたね・・・)

(会社名そのものを書くと差し障りがある可能性があるので、証券コードを記載します。また、会社のおよその規模がイメージできるように、直近の事業年度の連結の売上高も記載しました) 

    (ア)     (イ)     (ウ)     (エ)
①  2689     1社    945億円    あり
②  4826     1社    175億円    なし
③  1414     1社    521億円    あり
④  3076     2社    413億円    あり
⑤  5698     2社    325億円    あり
⑥  2226     1社    311億円    なし
⑦  3286     1社    125億円    あり
⑧  4845     1社     22億円     なし
⑨  6028     1社    812億円    あり 
 
(ア)=証券コード
(イ)=特定完全子会社の数
(ウ)=直近事業年度の連結売上高
(エ)=社名に「ホールディングス」が含まれているか
 
 上記を見ますと、会社の規模は連結売上高で数十億円~数百億円であり、「メガバンクと同じ規模」の会社とまでは言えない規模の会社(失礼な言い方で申し訳ありません)が特定完全子会社を有していることがわかります。

 ただ、上記9社のうち6社がホールディング・カンパニーのようでして、特定完全子会社を有する上場企業は、やはり持株会社の場合が多いことは(ある意味当然ではありますが)言えそうです。(上記のうち残り3社も、社名にホールディングスの語がないことしかチェックしていませんので、会社の状況をもう少し調べれば、傾向がより明らかになるかもしれません。)

4.
 以上をスタッフに調べてもらって感じたことは、

・多重代表訴訟の対象となる完全子会社を有する上場企業は、当初言われていた予想より、もっと多く、中堅規模の上場企業も少なからず含まれることになるのではないか。(少なくとも、多重代表訴訟は、メガバンクまたはそれに匹敵する非常に規模の大きな会社に限られる訳ではないのではないか。)

(非常に雑な計算ですが、9社を111社で割ると、約8%。上場企業全体の1割弱に特定完全子会社が存在すると考えると、なかなか多い数字ではないか、とやはり思えます・・・。)

・したがって、「多重代表訴訟はごく一部の超大企業だけの話で、ウチは関係ない」という認識は、もしかしたら改める必要がある会社さんが、それなりの数存在するのではないか。

ということですね・・・。

 まあもちろん、ご承知のとおり、多重代表訴訟にはもう1つハードルの高い要件として、株主が1%以上の議決権を6ヶ月間継続保有していること、という要件がありますので、5分の1要件を満たす完全子会社が当初の想定より増えたからといって、そう簡単に多重代表訴訟そのものが起きる訳ではないとは思います。
 しかしながら、ある会社において「5分の1要件を満たす完全子会社が当社グループに存在する」ということは、多重代表訴訟リスクを一定程度意識した経営を今後行う動機付けとなることは間違いないと思いますので、こうした「特定完全子会社の存在の当初想定以上の広がり」というものが、実際にどの程度のものなのか、気になるところです。

* * * *

 それでは、本日はこんなところで・・・。
 皆様、良いシルバー・ウィークを。

22 6月

会社法改正による、キャッシュ・アウトの手法の重要な変化について


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 さて、本日は(久々かもしれません)M&Aネタです。

1.
 法律雑誌「ビジネス法務」の最新号(2015年8月号)で、弁護士の小島義博先生(森・濱田松本法律事務所)のご執筆された「期間短縮・わかりやすさで選ぶ キャッシュ・アウトの手法」という論稿(同号153頁)に、大変重要な内容が含まれておりましたので、本日は、その内容を紹介させて頂きます。

2.
 さて、小島先生の論稿の紹介の前に、序論と、一つ別の論稿のご紹介を。
 
 いわゆる二段階買収取引によるキャッシュ・アウトを行う際、二段階目の取引、すなわち、まさにキャッシュ・アウトを行う手続については、改正会社法施行前は、専ら、全部取得条項付種類株式の方法が取られてきました。
 これに対し、改正会社法では、「株式等売渡請求」の制度を新設し、また、従来は(株主の利益保護の手段が不十分なため)キャッシュ・アウトの手法としては使われていなかった「株式の併合」の制度に株主の利益保護を図る制度を盛り込んだ結果、改正会社法の施行後は、

(1) 公開買付者(買収者)が、一段階目の公開買付けで議決権の90%以上の株式を取得した場合
→対象会社は、「株式等売渡請求」の制度を利用し、キャッシュ・アウトができる。

(2) 公開買付者(買収者)が、一段階目の公開買付けで、議決権の90%未満の株式しか取得できなかった場合
→対象会社は、「全部取得条項付種類株式」または「株式の併合」の制度を利用し、キャッシュ・アウトができる。

という手法を使うことができることになりました。

 すなわち、上記(2)については、改正会社法施行後は、公開買付者(買収者)が、一段階目の公開買付けで、議決権の90%未満の株式しか取得できなかった場合には、対象会社は、キャッシュ・アウトの手法として、「全部取得条項付種類株式」または「株式の併合」の制度のどちらかを選ぶことができる訳です。

 では、この「90%未満」の場合、全部取得条項付種類株式」または「株式の併合」の制度のどちらを利用するのがいいのか、という点については、森・濱田松本法律事務所の内田修平先生と李政潤先生が、今年の3月に公表された旬刊商事法務の論稿で、諸要素を比較検討された上で、

「・・・端数処理型の方法による場合、一般論としては、株式の併合を選択することが望ましい場合が多く、ただ、その他の考慮要素との関係で必要な場合(略)には全部取得条項付種類株式の取得も検討するといった対応が、実務の主流となるのではないかと思われる。」

と記述されていました(内田=李「キャッシュアウトに関する規律の見直し」(旬刊商事法務2061号(2015年3月5日号)23頁以下。上記引用箇所は同号33頁)。

 このように、改正会社法施行後は、「90%未満」の場合には、一般的には「株式の併合」の手法が「望ましい場合が多(い)」「実務の主流になるのではないか」、というニュアンスが、(やや慎重な言い回しながらも)上記の論稿で既に示されていた訳です。

3.
 そして、会社法施行後1ヶ月半ほど経過して公表された、冒頭でご紹介した小島先生の論稿では、以下のように、もっと踏み込んだ記載がなされておりました。

 すなわち、

・改正会社法の施行後は、キャッシュ・アウトの手法としては、先行する公開買付けの結果が「90%以上」の場合には株式等売渡請求、「90%未満」の場合には株式併合、の手法を使い分けることが主流となる。(同号153頁)

との記載がまず冒頭に記載されており(文章は要約しました)、その後、「90%未満」の場合に考えられ得る2つの手法である「全部取得条項付種類株式」と「株式の併合」を、両者のメリット・デメリットを詳細に比較し(この詳細比較がこの論稿のキモの1つだと思われますので、この部分のご紹介は控えさせて頂きます)、結論として、

「改正会社法のもとでは全部取得条項付種類株式ではなく株式併合を利用する手法がキャッシュ・アウトの手法の主流となることが予想される。」(同号155頁)

と書かれています。

 上記2の内田先生、李先生の論稿よりも、より踏み込み、「90%未満」の場合には株式併合の手法が「主流となる」、と明確にご主張されていますね。

4.
 さらに、小島先生の論稿の最後には、先生の上記ご主張を明快に裏付ける事実のご紹介がされています。
 それは、直近で開示されたキャッシュ・アウトを前提とした公開買付け案件3件では、いずれもキャッシュ・アウトの手法として①株式等売渡請求、②株式併合、の2つの手法を使い分けることとされている、という事実です。

 ここでその3件がどの会社なのかについては、さすがに個社名を書いてしまうと、私が小島先生から「労力のただ乗りでは・・・」と怒られそうなので、会社名の記載は控えさせて頂きます。詳細は、小島先生の論稿をご確認頂ければ・・・。
 (なお、時期だけ申し上げますと、1件は今年4月末の開示、他の2件は今年5月中旬の開示です。)

 小島先生の論稿に紹介されていた3件のリリースを私もチェックしてみました。確かに、3社のリリースとも、キャッシュ・アウトの手法として①「90%以上」の場合には株式等売渡請求、②「90%未満」の場合には株式併合、の2つしか書かれておらず、全部取得条項付種類株式という手法を採ることは選択肢として全く記載されていませんでした。

(なお、3件における、対象会社のリーガル・アドバイザーは、それぞれ、北浜、アンダーソン・毛利・友常、TMIでした。)

 なるほど・・・。5大法律事務所等のM&Aを専門とする先生方の間では、キャッシュ・アウトの手法のうち「90%未満」の場合には、今までの「全部取得条項付種類株式」の手法ではなく、「株式の併合」の手法を原則として使用するという方向性で、実務がほぼ固まりつつある(既に固まった?)のかもしれないですね。
 これは明らかに、会社法改正によって実務が大きく変更された実例、と言えそうです。非常に重要な変更と思われますね。

(まあそもそも、キャッシュ・アウトの手法として全部取得条項付種類株式の制度を使うのは迂遠・複雑だし、本来の制度の趣旨からは外れるよね、という問題意識から、株式等売渡請求の制度の新設や、株式の併合の制度の規定の改正が行われたのですから、上記のような実務の変更は、改正会社法の趣旨にマッチしたもので、歓迎すべき、ということになるのかもしれませんが・・・。)

* * * *

 それでは、本日はこんなところで・・・。

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30 4月

書籍紹介~江頭憲治郎先生「株式会社法(第6版)」(有斐閣)/ほか


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 さて、遂に発売されましたので、早速購入いたしました。

IMG_2705-30

 ご存じ、江頭憲治郎先生の「株式会社法」第6版(有斐閣)です。

 前回の第5版は昨年7月末に発売されましたので、約9ヶ月ぶりの改訂版ということになります。

 今回の改訂の趣旨は、皆様既にご存じかと思いますが、改正会社法法務省令の内容を反映させる、というのがメインですね。また、出版社の宣伝文を見ますと、その他に、改正金商法の内容への対応、というのも改訂の趣旨だそうです。

 改正会社法に対応した前回の第5版が出た際、「もう少しすれば、改正法務省令に対応した改訂(補訂)版が出るであろうから、第5版を買うのはスルーしようかな。」と思われた方々も一定数いらしたようですが、そういった方々でも、さすがに今回の第6版は買わない訳にはいかないでしょうね・・・。

 第5版の本文のページ数は994ページだったのに対し、今回の第6版の本文のページ数はちょうど1000ページになっております。

IMG_2708-30

 という訳で、第5版さん、短いお付き合いでしたが、お世話になりました。ありがとうございました。
 第6版さん、今回は少し長いお付き合いになるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

* * * *

 改正会社法関係で、もう1つニュースが。

 司法書士の内藤卓先生のブログで知ったのですが、法務省の「日本法令外国語訳データベースシステム」に、今月28日付で、改正会社法の英訳(暫定版)が公表されております。

 
http://www.japaneselawtranslation.go.jp/

 上記のリンク先を見ますと、「監査等委員会設置会社」の英訳は、「a Company with Audit and Supervisory Committee」となっておりました。この英訳、確かコーポレートガバナンスコードの英語版における英訳と同じだった気がしますね。
 日本の法律用語としては、仮称だった「監査・監督委員会」は最終的には採用されず「監査等委員会」になりましたが、英訳では前者の「監査・監督委員会」の文言が採用されている、というのは、(マニアックながら)興味深いです。

 あ、そうそう、そう言えば、明日から改正会社法・法務省令が施行されますね。これが一番大事な話だった(笑)。

 改正会社法施行目前で、英訳もでき、江頭先生の改訂版も出されましたので、これで施行を準備万端で迎える、ということになりますでしょうか(若干意味不明・・・)。

 それでは、本日1本目の記事はこんなところで・・・。

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