今年の1月,安倍晋三内閣が発足しました。

安倍氏と言えば,5年前に政権を投げ出した人です。そのときは,参院選挙で大敗したにもかかわらず,強気に第2次安倍内閣を発足させ,国会における所信表明で「全身全霊をかけて、内閣総理大臣の職責を果たしていく」などと大見得を切った翌々日に突然の辞意表明をして退任しました。病気のことなどは一言も触れずに,です。私は,政治家の言葉がいつもいつもこんなに軽く,かつ不実でいいのかと怒りを感じて,そうブログに書きました。

今度は,安倍氏は国会の所信表明の中で,5年前のことに触れ,病気とは言え,総理を突然辞任し,大きな政治的挫折を味わった人間であることを積極的に表明し,そういう人間だから日本のためにすべてを捧げると言っております。気負いと自信過剰なのは相変わらずのようです。
 マスコミは,安倍内閣のデフレ脱却,景気回復政策等に期待を寄せ,少し円安になったとか,株価が上がったとかはやし立てていますが,私は,安倍内閣の本性は憲法を改悪し,正式に軍隊を持てるようにするところにあるとみています。

それは,私が勝手に想像して言っていることではありません。安倍首相はかって発刊した「美しい国へ」という新書の完全版だとして「新しい国へ」という題名の文春新書をこの1月に発刊しました。その中で憲法の戦争放棄条項をこき下ろし,ハッキリと集団自衛権を認めるべきだと書いています(この結論を導き出すための論理や例の出し方に対する批判は後日にしたいと思います)。

また,平成24年4月に自民党は日本国憲法改正草案を決定し発表しております。それを見てみますと,「陸海空軍その他の戦力は保持しない。國の交戦権はこれを認めない」と明記されている憲法9条2項を削除し,それに代わり憲法9条の2で国防軍を保持し,「法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」を行うと決めています。この国防軍は国際社会の平和と安全という名目のために,米軍と一体となって活動をすることになることは必定です。米軍の敵はすなわち日本国防軍の敵だという集団自衛権が繰り返されるのも必定です。こんな改憲を許したら,日本はアメリカの子分として戦争をする国に変質してしまいます。

安倍内閣の危険性を軽視しないで,早めに憲法「改正」の策動をつぶす運動が必要だと思います。

閑話休題。当事務所のホームページの一つの目的として,護憲の立場からの世論形成にささやかながら貢献したいという思いがあったのですが,安倍氏の政権投げ出しを批判した上記ブログ以来,更新をサボってしまいました。5年ぶりの安倍氏の再登場に私なりに大きな危機感を覚え,ホームページを全面的にリニューアルして再出発することに致しました。國光甘雨弁護士の入所も紹介しないまま来ていますので,そのことも兼ねてのリニューアルです。よろしくお願い致します。