2004年09月30日

神々の集団、LTCMの崩壊

今日は好評連載中のヘッジファンド特集の第12回です。昨日(9/29)の「神々の集団、LTCMの破綻前夜」の続編です。見逃した人は、是非、先に読んでください。

1997年、タイの通貨バーツが変動相場制に移行したことに端を発するアジア通貨危機が、翌年の1998年にはロシアに伝染し、いわゆるロシア危機を招きました。それは、世界的に、より安全なものに資金を逃避させるという流れを生みました。
その当時、LTCMは割安なロシアなどの新興国の債券を買って、割高な米国債を売っていました。彼らの複雑怪奇な理論によれば、割安な債券価格は絶対に上昇し、割高な債券価格は絶対に下落する。そして絶対に儲かるはずだったのです。

ところが、アジア危機・ロシア危機を受けて、世界的な金融危機の恐れが生じたとき、割安なはずの債券価格はさらに下落しつづけ、ロシアはついに債務不履行(債券価値がゼロになること)を宣言しました。一方、割高なはずの米国債は世界的に投資家の資金逃避先となり、価格上昇がますます止まらなくなりました。LTCMが買っていたものが暴落し、売っていたものが暴騰したのです。そんな相場の動きを見ても、彼らは自分たちの戦略を変えようとしませんでした。おそらくLTCMの社内ではこんな会話が飛び交っていたことでしょう。

「買っているロシア債の価格が下がってる?博士の俺が上がると思ってんだぞ!いずれ上がるに違いない!」
「えっ!まだ下がってるの?ノーベル賞学者の作ったプログラムでは上がることになってんのよ!市場が間違ってるのよ!」
「売っている米国債の方は逆に上がり続けているのか?そんなバカな!大学教授は偉いんだぞ!教授が下がるといったら下がるんだ!市場参加者はマヌケだ!」
「学者の考え出した理論と逆の方に相場が動いている!やっぱり市場参加者はバカだ!偉い俺達の考えは理解できないんだ!」
「それにしても損失が巨額になっている・・・・・。レバレッジをかけ過ぎたか・・・?」
「いや、上手くいくはずだ!おれは博士だぞー。ふぎゃー。」
「私も有名大学でMBAを取ってるのよー。キャー。」
「お前のせいだ!」
「あなたのせいよ!」
「元副議長!何とかしてくれー!」
「もうだめだぁー。」


すべて私の推測ですが、おそらくこんな感じだったのでしょう。間違っていたのは市場でも他の市場参加者でもなく、彼らの方でした。彼らの犯した誤りは2つ考えられます・・・。


(明日に続く)
  

Posted by kawase_oh at 18:20TrackBack(15)

今日のポジション(9/30)

<USD/JPY>
「ドル買い・円売り」の戦略を維持します。

<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」の戦略を維持します。

USD/JPYは引き続き、ドル高・円安予想で、目標値は1ドル=113円台です。
JPY以外の通貨については、これも今まで通り、USD弱気の基本見通しを継続です。
  
Posted by kawase_oh at 09:20TrackBack(14)
2004年09月29日

神々の集団、LTCMの破綻前夜

今日は、好評連載中のヘッジファンド特集の第11回です。これまでの連載の中で度々、LTCMに言及した(ご参照:第3回第10回)ところ、読者の方から、「LTCMって何でしたっけ?」というご質問を複数頂戴しました。今日は読者の皆様とともにLTCMの事件を振り返ってみたいと思います。

LTCM(Long Term Capital Management)とは、1993年末に米国で設立されたヘッジファンド会社です。創設者は有名な債券トレーダーのジョン・メリウェザーで、彼自身は過去にすごく稼いだ辣腕トレーダーでしたが、もっとすごいのはその周りを固めるメンバーでした。
マイロン・ショールズとロバート・マートン。2人とも大学教授であり、且つ、なんとあのノーベル経済学賞を受賞したことのある人たちです。さらに米連邦準備制度理事会の元副議長のデビット・マリンズや、有名大学で博士号を取っている人間も多数参加しました。まさに、高学歴・高職歴のオンパレードです。

当初はそんな「神様のような存在の人達」が考え出した複雑な理論をもとにした投資手法で大きな利益を上げました。95年、96年は、ともに40%以上という素晴らしい運用成績を残しました。この成績は素直に賞賛に値します。彼らの投資手法は主に、割安な債券を買うと同時に割高な債券を売る、という戦略です。2種類の債券の価格差が拡大しても、理論的にはいずれ、拡大した価格差は収斂する。つまり、市場変動により、一時的に価格差が拡大している債券を見つけ出せれば、絶対に儲けることができる!絶対に!彼らはそう信じていました。

当初の好成績に気を良くした彼らは、レバレッジをかけて実際の資金の何倍もの取引量を、同じような戦略のもとで行いました。40%の利益が出る取引を10倍のレバレッジをかけて行えば、利益も10倍で、400%の利益になります。おそらくLTCMの社内では、こんな会話が飛び交ってたことでしょう。

「おー、また儲かっちゃったなあ。何しろ私は博士だから!」
「へっへー、楽勝だね。なんてったって、ノーベル賞取った学者の戦略なんだから!」
「損する気がしないねー。だって僕は大学教授なんだもん!」
「よしっ、絶対儲かるプログラムなんだから、実際の資金の何十倍もの取引をやっちゃおうよ!何かあっても、こっちには米連邦準備制度理事会の元副議長がいるんだぜー!」
「絶対儲かるぞ!へっへっへーーー!」
「儲かりすぎちゃう!うっひゃっひゃー!」


すべて私の推測ですが、おそらくこんな感じだったでしょう。
しかし、このとき彼らは大きな落とし穴に気づいていませんでした。そして、とんだ勘違いをしていた「神様のような集団」のLTCMを、本当の神様は許しませんでした。


(明日に続く)
  
Posted by kawase_oh at 17:07TrackBack(14)

スターバックス値上げ!

題名を見てドキッとされた方、日本の話ではありませんのでご安心を。アメリカ国内のスターバックスの店舗では、来週から一斉に値上げするとのニュースが報道されました。コーヒー一杯の値段は日本円換算で約12円程度、値上げするそうです。

スターバックスのニュースが経済全体に大きな影響を与えるわけではありませんし、その値上げ幅や、4年ぶりの値上げということを考慮すると、なおさら、個人消費動向やインフレ率に対する影響を気にする必要はなさそうです。

*インフレ率:日本語で物価上昇率とも言う。金融市場参加者としては、これが上昇すると、一般的には金利上昇や株価上昇につながるので、注目すべき経済指標のひとつ。
  
Posted by kawase_oh at 11:49TrackBack(7)

今日のポジション(9/29)

<USD/JPY>
「ドル買い・円売り」の戦略を維持します。

<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」の戦略を維持します。

USD/JPYは昨日夕方に上昇したものの、戻ってきてしまいました。しかしながら引き続き、ドル高・円安予想で、目標値は1ドル=113円台です。
JPY以外の通貨については、これも今まで通り、USD弱気の基本見通しを継続です。
  
Posted by kawase_oh at 09:08TrackBack(17)
2004年09月28日

えっ、1000万円がたった30万円に!

今日は、大好評ヘッジファンド特集の第10回です。これまでの連載の中で、運用成績上位のヘッジファンド(ご参照:第1回第4回)や、運用資産規模の大きいヘッジファンド(第5回第9回)を紹介してきました。しかし、私はヘッジファンド業界の回し者でも、セールスマンでもありません。皆さんと同じ一人の投資家です。今日は、良いものばかりでなく悪いものも、怖いもの見たさで、ちょっと覗いてみようという趣旨で、運用成績の悪いファンドの例を上げてお話したいと思います。

過去(1998年)にLTCMという米国のヘッジファンド会社が破綻したときは、結構大きなニュースになりましたが、最近でも、破綻したり、行き詰まった後清算するヘッジファンドはよくあります。ちゃんと成績を公表しているファンドの中で、直近の運用成績が最悪なのは・・・・・、さずがに名前を出すのは可哀想なので、ここでは仮にAファンドと呼びましょう。

Aファンドはイギリス人の運用するヘッジファンドで、投資対象は為替市場です。通常の為替売買だけでなく、為替オプションなどのデリバティブ取引も運用に取り入れているようです。Aファンドは2002年に運用を開始して以来、ずっとマイナスの運用成績です。成績の推移をグラフにすると見事なまでに右肩下がりです。
もし仮に、2002年の設定と同時にこのファンドを1,000万円で購入していたらどうなっていたでしょうか? このAファンドは、購入手数料をなんと5%もとっているので、運用を開始してもらう時点で、50万円を徴収されて950万円になっています。そして、2年以上にわたり、一生懸命運用してもらった結果・・・・、今残っているお金はわずか30万円弱です。

1,000万円が30万円に! これもヘッジファンドの現実です。


大好評ヘッジファンド特集! まだまだ続きます。乞うご期待!
  
Posted by kawase_oh at 19:36TrackBack(6)

今日のポジション(9/28)

<USD/JPY>
「ドル買い・円売り」の戦略を維持します。

<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」の戦略を維持します。

USD/JPYは昨日(9/27)の「今日のポジション」で言ったように、引き続き、ドル高・円安を予想していて、目標値は1ドル=113円台です。
JPY以外の通貨についてはUSD弱気の基本スタンスは継続です。EUR/USDは動きが鈍いので、ここ数日の安値圏である1ユーロ=1.2240〜1.2260あたりまで下落してくると、一旦、利益確定する予定です。
  
Posted by kawase_oh at 09:43TrackBack(5)
2004年09月27日

客を殺さねば自分が殺される!

読者の方から、金融商品販売に関して面白いコメントを頂戴したのでご紹介します。
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N證券の社員に、「あなたは、どれくらいそのお勧めしているファンドを買っていますか?」と質問したところ、「月に3000円くらいです」と答えました。N證券の社員なら、まあそれなりに給料をもらっているわけだし、本気でいいものだと思っていれば、月に10万円くらいは買うだろうと思いました。そんなこともあって、私は、そのお勧めしているファンドがいいものとは思えませんでした。
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確かに、本人が本気で儲かると思っていないものを、他人に勧めるのはちょっと無理がありますね。貴重な体験談ありがとうございました。

私たち個人投資家は、訳もわからず金融商品を買わされることがありますが、それと同様に、営業マンの方も訳もわからず売らされている、といったケースがあります。冗談ではなく本当にあります。なぜなら会社の営業マンに対する評価は、金融商品の良し悪しが判断できるかどうかではなく、商品を客に売れるかどうかにかかっているからです。“深く考える奴”より“売れる奴”を会社は重宝します。「こんなファンドは売れませんよ!」なんて上司に刃向かうような営業マンは、即、左遷されてしまうでしょう。

先月は株を売れと指示し、先週は外債を売れと命令し、今日は投信を売れと脅迫する。そんな証券会社の個人顧客に対する営業戦略は今も昔もあまり変わっていません。外資系であっても事情は同じ。資産コンサルティング型営業を目指した、メリルリンチ日本證券の個人営業部門は大赤字で撤退し、別な意味で撤退する、シティバンクのプライベートバンク部門は、證券会社顔負けの回転売買で荒稼ぎをしてきました。

「客を殺さなければ自分が殺される」とは、これまで、金融機関の自社の利益と顧客の利益が必ずしも一致しない矛盾点を上手く言い表す言葉です。少なくとも読者の方は、“殺されない”ように、この「為替王」サイトをお役立て下さい。

大好評連載中のヘッジファンド特集! 今日はお休みですが、明日お楽しみに!
  
Posted by kawase_oh at 18:14TrackBack(12)

今日のポジション(9/27)

<USD/JPY>
「ドル買い・円売り」の戦略を維持します。

<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」の戦略を維持します。


基本的にUSD弱気のスタンスです。週末には、GBPが対USDで上昇し、久しぶりに1.80台に乗ってきました。ただ、USD/JPYだけは例外で、引き続き、USD強気(=円安)で見ていて、1ドル=113円台を予想(期待!?)しています。
  
Posted by kawase_oh at 09:21TrackBack(8)
2004年09月26日

ファンド・オブ・ファンズは低リスク低リターン、それでいいのか!

今日は、大好評ヘッジファンド特集の第9回です。

運用資産規模が世界No.1のファンドは特集の第5回でも紹介した通り、ソロスのクオンタム・ファンドで、資産規模は日本円換算で約9千億円にも上ります。

では、世界第2位の巨大ヘッジファンドは何でしょうか?
答えは、アブソリュート・アルファ・ダイバーシファイド(Absolute Alpha Diversified)という名前のファンドで、ロンドンにあるフィナンシャル・リスク・マネジメント(Financial Risk Management)という会社が運用を行っています。運用資産額は日本円換算で6千億円超です。

いったいどんなヘッジファンドなんでしょうか? 実はこれ、ヘッジファンドの中でも“ファンド・オブ・ファンズ”と呼ばれるものに分類されます。ファンド・オブ・ファンズとは、ヘッジファンド業界だけでなく、通常の投資信託なんかでも使われる言葉です。意味は、「複数のファンドを組み合わせてひとつにしたもの」です。普通の人がたくさんのファンドを調べて、良いもの(目的に合ったもの)だけをいくつか選んで購入することは時間がかかるし面倒ですね。株式投資家ならたくさんの株を買ってリスク分散している人が、読者の方の中にもいらっしゃると思いますが、これのヘッジファンド版だと考えてもらえれば話が早いと思います。

話を戻すと、世界第2位の巨大ファンドを運用しているのは、フィナンシャル・リスク・マネジメントという会社だと言いましたが、実際には運用しているのではなく、ファンドの選定をしていると言った方が正確かも知れません。で、アブソリュート・アルファ・ダイバーシファイドについて話を進めると、何度見ても長ったらしくて覚えにくい名前ですが、日本語に訳すと、“絶対収益追求分散投資ファンド”といった感じになります。運用成績に目を移すと、リスク分散しているだけに、大損することはあまりなく、逆に大儲けすることもありません。過去1年では4%、過去5年では8%という安定した成績を残しています。過去3ヶ月では−0.3%とマイナスですが、いずれにしても低リスク、低リターンと言って良いでしょう。

おっと、忘れていましたが、高手数料であることは、他のヘッジファンドと変わりありません。例えば、1年前にこのヘッジファンドを1,000万円で購入した人は、購入時点で3%の手数料を徴収されて元本は970万円に減らされてしまっています。ようやく1年経って、徴収された手数料分が回復して、元本の1,000万円に戻ったところです。送金手数料なども考慮すれば、まだマイナスかも知れません。いくら安定してる方がいいと言っても、安定した高リターンではなく、安定した低リターンであるならば・・・、高い手数料のヘッジファンドに投資する意味があるかのかどうか? 考えもんです。
  
Posted by kawase_oh at 15:35TrackBack(12)
2004年09月25日

玲子さんの戦績(9月第4週)は久しぶりにプラスでした

9月第4週の玲子さんの収益率は6%弱でした。それまで3週連続でマイナスの成績だったので、気づかれないように玲子さんのコーナーを閉鎖しようかとも思いましたが、久しぶりにプラスになってほっとひと一安心です。前週末に112万円だった資産も118万円に増大しました。7月22日に100万円で投資開始したので、それ以来の運用成績は18%になります。

今週(9/20〜9/24)の玲子さんの投資行動(過去の戦績のご参照:9月第3週9月第2週9月第1週8月最終週それ以前

<USD/JPY>
9月17日に1ドル=109円65銭で構築したUSD売り・JPY買いのポジション5万ドルを、9月22日に1ドル=110円00銭で反対売買して損切り。これでUSD/JPYは3連敗で泣きそうになる。 同時に同レートで新規にUSD買い・JPY売りのポジション5万ドルを構築。その後USD/JPYは運良く上昇し、含み益の状態で週末を迎える。
<EUR/USD>
9月9日以来のEUR買い・USD売りのポジション5万ユーロをそのまま維持。相場変動により含み益が前週末より5万円増える。

玲子さんって何者?
玲子さんとは当サイト上の仮想投資家です。その投資スタイルは次の通りです。
‥蟷餠盂曚100万円。2004年7月22日に売買スタート。
為替王の「今日のポジション」の戦略に従い売買する。
E蟷饌仂歡眠澆USD/JPYとEUR/USDの2つだけ。
で簀稈碓未USD/JPYは5万ドル、EUR/USDは5万ユーロに固定する。(売買単位は100万円の投資金額に対して適切なリスク量として為替王と相談の上決めました。つまり投資金額が200万円ならば、売買単位はそれぞれ倍にしても良いとの判断になります。)
ゲ樵枦蟷餡箸箸い辰討癲売買コスト、スワップポイントなどは実際に則して厳密に考慮する。
  
Posted by kawase_oh at 13:16TrackBack(10)
2004年09月24日

ジョージ・ソロス、ヘッジファンド界の帝王への道

今日は大好評ヘッジファンド特集の第8回です。これまでのヘッジファンド特集の中で、読者の方からのソロスに関するご質問が後を絶ちません。なので、今回はソロスの生い立ちと、彼が有名になるきっかけとなった欧州通貨危機についてお話ししたいと思います。

ジョージ・ソロス(George Soros)は1930年ハンガリー生まれのユダヤ人です。ハンガリーがナチスドイツに占領されたとき、ユダヤ人のソロスは他人に成りすまして生き延びたと言われています。戦後は共産党支配の祖国ハンガリーに嫌気がさし、ロンドン、さらにはニューヨークへと移住しました。
アメリカでは金融機関でトレーダーやアナリストとして働いた後、1969年頃からヘッジファンドの運用を開始します。そして、1973年に現在クオンタム・エンドウメント・ファンドと呼ばれるソロス・ファンドを設立したのです。
それより以前からヘッジファンドと呼ばれるファンドは存在しましたが、ヘッジファンドという言葉を一躍有名にしたのはソロスであり、それは1992年のことでした。

1992年9月、当時、イギリスはERM(欧州為替相場メカニズム)という現在の欧州統一通貨EURの前段階システムに参加していました。その時のイギリスは今と違って不況に苦しんでおり、低金利を維持せざるを得ない状態にありました。一方、同じくERMに参加するドイツは、当時は東ドイツとの統合により、インフレ&高金利の状態でした。
正反対の経済環境でありながら、統一通貨を目指して同じ通貨メカニズムを採るのはどうしても無理があります。これが1992年の欧州通貨危機であり、そこに目をつけたのがソロスです。彼は巨額の資金を投じて英ポンドの空売りを開始しました。それに対してイギリス政府も黙っていませんでした。自分たちこそ世界の中心であると信じて疑わないイギリス人たちは、大英帝国の威信にかけてもヘッジファンドごときに負けるわけにはいかなかったのです。当時のイギリスのラモント蔵相はヘッジファンドを潰してやると意気込み、不況下であるにもかかわらず政策金利引上げの手段に打って出ました。さらに、イギリス中央銀行は英ポンドを買い支えるために巨額の資金を投入しました。しかし・・・・・、ソロス側はひるむことなく英ポンドを空売りし続けました。当時の日本円換算で1兆円以上の英ポンドを空売りしたと言われています。
結局、下落しつづける英ポンドに対して、イギリス政府は打つ手がなくなり、負けを認めざるを得ませんでした。間もなく政策金利を元に戻し、その後、更なる金利引下げとERMからの脱退を余儀なくされたのでした。一方、イギリス政府との戦いに勝ったソロスは、日本円換算で1,000億円以上を荒稼ぎしました。

現在、私たちはGBP(英ポンド)という通貨に投資することができますが、もし仮にソロスがいなければ、GBPはとっくにEURに統合されていたことでしょう。彼は世界経済の歴史を変えてしまったのです。

*ERM(欧州為替相場メカニズム):欧州通貨統合(EUR)を目指して、各国は金利水準を収斂させ、為替相場変動幅を一定以内に保つことが求められていた。当時のイギリスはソロスのGBP(英ポンド)売り浴びせに遭い、ERMの条件を満たせなくなった。


大好評ヘッジファンド特集!まだまだ続きます。次回をお楽しみに!
  
Posted by kawase_oh at 18:47TrackBack(6)

USD/JPYとJPY/USDは違うのか?

先日、読者の方から、大変興味深いご質問を頂戴したので紹介します。

「こんにちは、一つ質問していいですか?日本ではUSD/JPY、上がドル高、下が円高ですよね?では、欧米では自国の通貨を中心としたJPY/USDといった感じで日本とチャートが逆転するのでしょうか?」

ご質問のポイントとして、
USD/JPYではなく、JPY/USDで考えてる人はいるのか?
▲船磧璽函福甓甬遒料蠑譴凌箘椶鬟哀薀娉修靴燭發痢砲肋絏爾逆になることもあるのか?
以上の2点に絞ってお答えします。

,砲弔い董6罰ζ發任論こΧδ未如△匹海旅颪凌佑USD/JPYで考えていて、1ドル=XXX円という言い方をします。逆にJPY/USDで考えていて、1円=XXXドルと言う外人はいないことはありませんが、極めて少数派で、私は今までそんな人と出会ったことはありません。
でも私は、そんな点を疑問に思う読者の方は、すごく相場のセンスが高い方だなあと感じました。例えば、「1ドル=120円が心理的な相場の壁になっている」というような局面が仮にあったとします。もしそのレートをJPY/USDで考えれば、1円=0.008333ドルになります。そんな端数では、壁にもなんにもなりません。もしJPY/USDで考える相場参加者が多ければ、JPY/USDで区切りのいい別なレートが重要視されるでしょう。

△砲弔い董チャートは通常、一番下がゼロで上に行くほど数字が大きくなるので、USD/JPYのチャートを書けば、上がドル高・円安で下がドル安・円高です。たまに、日経新聞でも上がドル安・円高になっているチャートが載ったりしてますが、あれではさすがに天下の日経新聞といえども素人っぽく見えてしまいます。

私が外人とミーティングするときも、JPY/USDではなく、USD/JPYで考えて、チャートは上がドル高・円安という前提で話し合っています。
  
Posted by kawase_oh at 12:25TrackBack(9)

今日のポジション(9/24)

<USD/JPY>
「ドル買い・円売り」の戦略を維持します。

<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」の戦略を維持します。

USD/JPYは祝日前に、重要ポイントとして見ていた、1ドル=110円台前半を突破してきました。さらに上昇する可能性が高いと思っています。逆に下落した場合は、これまでの下値の目安であった109円台半ばを戦略上重要なポイントとして位置付けています。
為替市場全般について言うと、JPY以外の主要通貨はすべて対USDで強気を継続です。
  
Posted by kawase_oh at 09:15TrackBack(6)
2004年09月23日

ソロスが注目してる株は?

今日は大好評ヘッジファンド特集の第7回です。昨日(9/22)の第6回の記事でソロスの昨年(2003年)の報酬を記したところ、読者の方から「トップがひとりじめですね!」なんてご感想を頂戴しましたが、まさにおっしゃる通り。おそらく部下の多くは安月給で働かされているのでしょう。可哀想に。

さて、今日はソロスのヘッジファンドの投資先についてちょっとお話します。

今年は原油価格の高騰が世界的に注目されてきましたが、ソロス・ファンドもちゃんと石油会社の株に投資していました。その辺はさすがですね。ちょっと名前を明かすと、BPというイギリスの会社や、シェブロンテキサコというアメリカの会社の株です。ともに世界的に事業展開している大きな石油化学会社です。

しかし、残念!!! 
というのは、今年の6月あたりまでに保有株を売却してしまっていたようです。それまでに結構、株価は上昇しましたが、その後も原油価格は皆さんご承知の通り、更に高騰し続けました。そんな事情を背景に、両方の株価ともに、6月以降だけでさらに10%以上も上昇しちゃっています。残念!

他の投資先を見ると、有名なコンピューターソフト会社のマイクロソフトの株やコンピューター処理サービス会社のADPの株なども保有しています。両者ともアメリカの会社ですが、今年の株価の推移はあまりパッとしません。そして、ソロス・ファンドの最大の投資先は? となると何といってもジェットブルーエアウエイズです。なんだそりゃ?とお思いの方もいるでしょうが、ニューヨークのJ..F.ケネディ空港ではかなり幅を利かせている航空会社で、低料金のノンストップの航空サービスなどで頑張っています。ソロス・ファンドはその会社の株を、日本円換算で300億円相当以上保有しています。残念ながらこの会社の株も今年は低迷しており、それがソロス・ファンド全体の運用成績の悪さの原因のひとつとなっています。


大好評ヘッジファンド特集!まだまだ続きます。乞うご期待!
  
Posted by kawase_oh at 22:17TrackBack(6)

今日のポジション(9/23)

<USD/JPY>
新規に「ドル買い・円売り」の戦略をとります。

<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」の戦略を維持します。

一昨日は何もしませんでしたが、昨日はとうとう我慢できずに1ドル=110円にのったところで「ドル売り・円買い」のポジションを損切りして、同時に「ドル買い・円売り」のポジションを新規に構築しました。

<ご参考>
玲子さんのポジション
USD/JPY:「ドル買い・円売り」5万ドル、取引レートは1ドル=110円。(昨日の損切りによる実現損は約2万円)
EUR/USD:「ユーロ買い・ドル売り」5万ユーロ、取引レートは1ユーロ=1.2190
  
Posted by kawase_oh at 09:20TrackBack(7)
2004年09月22日

錬金術師ソロス、成績は低調でも報酬は絶好調!

好評連載中のヘッジファンド特集の第6回です。昨日の第5回で有名なソロスと彼のヘッジファンドについてお話しました。やはり読者の方のソロスへの関心は高いようで、彼に関するご質問をたくさん頂戴しています。以下は一部抜粋です。

********************
「昔ソロスってヘッジファンドマネージャーで有名でしたよね。彼っていまどうしてるんですか?為替王は彼のことどう思っていますか?」
「ソロスは今どうしてるんですか?」
「ソロス本人はもう一切運用に関与してないんですか?」
********************

お答えします。

昨日の記事でもご紹介したように、彼は今でも、世界最大のヘッジファンドであるクオンタム・エンドウメント・ファンド(Quantum Endowment Fund)を運用する会社、ソロス・ファンドマネジメント(Soros Fund Management)のトップの座にいます。ここの運用担当者が最近ころころ替わるという話は昨日しましたが、現在は長男のロバート・ソロス氏が運用責任者になっています。ちょっと首をかしげたくなる人事ですが、それは今後の運用成績を見て判断することにしましょう。で、ソロス本人は一切運用から手を引いたかというと、決してそんなことはなく、意見や指図は与えているものと思われます。ちなみにソロスがハンガリー生まれというのは有名ですが、趣味はスキーやテニスだそうです。日本の軟派な大学生みたいですね。

世間ではソロスの話題が減っているかも知れませんが、彼は決して落ちぶれたわけではありません。ファンドの運用成績はかつてほど良くありませんが、ファンドの資産規模が莫大(約9千億円)であるため、大した成績でなくても毎年たくさんの運用報酬が入ってきます。ソロスの報酬はあくまで推定ですが、2003年は800億円以上が彼の懐に入りました。ヘッジファンド業界では間違いなく最高額です。

あなたはソロスのヘッジファンドを買って、彼の更なる収入増に貢献したいと思いますか?かつての好成績ならともかく、昨日ご紹介したような直近の運用成績は、リスクを取って尚且つ高い手数料を払うに値するものとは思えません。ましてや運用担当者もころころ替わっていて、どのようなビジョンなのかも見えてきません。
「ソロスのクオンタム・ファンドを買いたいんだけどどうかなあ?」というご質問があれば、私は即座に「ノー」とお答えします。

好評連載中のヘッジファンド特集!まだまだ続きます。乞うご期待!
  
Posted by kawase_oh at 18:02TrackBack(10)

今日のポジション(9/22)

<USD/JPY>
「ドル売り・円買い」の戦略を維持します。

<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」の戦略を維持します。

昨日は、私が重要なポイントとして考えていた、USD/JPYは1ドル=110円台前半、EUR/USDは1ユーロ=1.2150あたりで相場が膠着していました。そのポイントをクリアするかどうかによって損切りや戦略転換の必要があるため、大きなストレスを感じて泣きそうな一日でした。幸いEUR/USDは大きく上昇したのでほっと一安心ですが、USD/JPYは引き続き注視する必要がありそうです。
昨日、コメントしたGBPは対ドルで1.79台後半にしっかり入ってきたと判断し、各主要通貨でUSD弱気の流れがはっきりしたと考えます。
  
Posted by kawase_oh at 09:16TrackBack(5)
2004年09月21日

ソロスの世界一巨大なヘッジファンド

好評連載中のヘッジファンド特集、これまでは主にヘッジファンドの過去の運用成績や手数料に焦点を当ててきました。(ご参照:ヘッジファンド特集第1回第2回第3回第4回第4回の質疑応答
今日はその第5回、運用資産規模No.1のヘッジファンドについてお話したいと思います。


全世界でヘッジファンドと呼ばれているファンドの数は、正式にカウントされているだけで数千から1万近くあります。それほどたくさん存在するヘッジファンドの中で、運用資産規模で頂点に立つファンド、すなわち世界で最も巨大なヘッジファンドは何でしょうか? 答えは、クオンタム・エンドウメント・ファンド(Quantum Endowment Fund)です。このファンドこそ、あのジョージ・ソロス率いるソロス・ファンド・マネジメント(Soros Fund Management)という会社が運用する世界一巨大なヘッジファンドなのです。その運用資産規模は日本円に換算すると、およそ9千億円にもなります。

その巨大ファンドの日々の運用・売買はソロス本人ではなくその部下たちが行っています。部下たちを取り仕切るのに運用責任者がいる訳ですが、最近は運用責任者がころころ替わっているため、私も誰がどうなっているのだかよくわかりません。2000年以降だけでも運用責任者が5人くらいは辞めています。クビになったのか、けんかして辞めたのか、むかついて辞めたのか理由はわかりませんが、少なくとも運用成績にはその混乱ぶりが表れています。

かつては1年で30%とか40%とかすごい運用成績を上げたことがあるクオンタム・ファンドですが、2000年にマイナス15%という運用成績で落ち込んで以来、過去5年は9%、過去3年では7%、今年にいたっては、たった0.23%という銀行預金並みの成績に甘んじています。今年のヘッジファンド業界全体の運用成績の平均値さえも下回っています。

これは、運用資産規模やネームバリューは、必ずしも運用成績と比例しないことを示す良い例です。むしろヘッジファンド業界では、資産規模が大きくなると逆に運用成績が悪くなる傾向も見られます。みんなが買っているから、人気があるから、という理由で取引してはいけません。話は少し逸れますが、かつて日本一安全で高利回りと呼ばれた日興の「チャンス」は元本割れし、日本一大きな投信であった野村の「ノムラ日本株戦略ファンド」は大損して塩漬けするしかない状態です。皆がお金を増やしてくれると信じたシティのプライベートバンクは悪いことをした上に、部門ごと消滅することになっちゃいました。

大きいものや人気があるものが良い、という考えはどうやらこの業界には当てはまらないようです。

好評連載中のヘッジファンド特集! まだまだ続きます。次回をお楽しみに!
  
Posted by kawase_oh at 18:03TrackBack(6)

今日のポジション(9/21)

<USD/JPY>
「ドル売り・円買い」の戦略を維持します。

<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」の戦略を維持します。

USD/JPYは1ドル=110円台前半、EUR/USDは1ユーロ=1.2150あたりを重要なポイントとして考えており、引き続き注視します。

USDに注目すると、現在私のポジションは基本的にUSD弱気ですが、唯一GBPに対してはまだUSD強気/GBP弱気です。理由はテクニカル的にGBPの反発が鈍いと判断しており、1.79台後半を反騰するには重要なポイントとして考えています。

*読者の方の貴重なご意見もあり、今までのようにUSD/JPY,EUR/USDだけでなく、他の通貨や為替相場全般についても必要に応じてコメントを加えていきたいと思っています。
  
Posted by kawase_oh at 09:40TrackBack(5)