儲かる期待よりも損する懸念が重要
国際復興開発銀行(IBRD/世界銀行)、南アフリカ・ランド建て債券
2012/5/14満期、利率0%
買付単価53.3 利回り8.695%
この債券は、利率0%のいわゆるゼロクーポン債なので、通常の債券のように、毎年決まってもらえる利息がありません。その代わり、2012年5月の償還時には100で戻ってくる債券が53.3という安い単価で買えるのです。その差が計算上、年8.695%という高い利回りになるということを意味します。こんなに利回りが高いのは、発行体のIBRDが太っ腹なのではなく、南アフリカの経済状態がそうだからです。
さて、この高い利回りは、あくまで、ランドという南アフリカの現地通貨ベースの話です。したがって、日本人にとっては、円換算での収益、すなわち為替リスクを考慮する必要があります。
債券の償還日までは7年半あります。その間に、53.3で買ったものが100になる。約1.87倍になる訳です。ちなみにこれは利回り8.695%から計算しても同じ結果になります。1+8.695/100=1.08695を7回半かけると、1.87に近づきます。
つまり、債券元本部分が1.87倍になるのだから、為替レートが1.87分の1になって為替差損が出ても相殺される。円ベースの投資元本割れは生じないと考えることができます。
ZAR/JPYの為替レートが1ランド=17円で購入したとすると、7年半後に1ランド=9円まで円高になっていなければ大丈夫!
本当かどうか検証しましょう。900万円の投資資金。ランドに換算するとおよそ53万ランドです。それがこの債券を買えば、7年半後に100万ランドになります。そのとき為替レートが9円なら、100万ランドを円換算すると900万円。債券収益と為替差損が相殺されました。
この様に、投資元本確保ができる為替レートを計算できれば、後は、その円高可能性についての分析や、予測をする作業に移ります。
最初にこの外国債券を見たとき、一体何者なのか?という議題から始めましたが、これでようやく分析対象の焦点が定まりましたね。
すべての投資の基本として「どれくらい儲かる可能性があるか?」より「どれくらい損する可能性があるか?」を考えて、そのポイントを潰していくことが重要です。
*上記の計算値は、為替手数料や税金などを考慮しない概算値ですので、本気で購入される際には、取引コストも加味して下さい。
大好評債券特集、まだまだ続く!
為替王の推薦図書 「ラリー・ウイリアムズの相場で儲ける法」
今日、最初にご紹介するのは、 「ラリー・ウイリアムズの相場で儲ける法」(日本経済新聞社)です。
内容は、ラリー・ウイリアムズ本人の著書、「The Definitive Guide To Futures Trading」(Winder Books)を、日本人の相場関係者が翻訳したものです。題名に“Futures Trading”という文字が含まれるのは、彼がもともと米国の先物運用チャンピオンシップで卓越した成績を挙げ、その後も先物を中心とした取引で莫大な利益を獲得しているからです。
私がお薦めする一番の理由は、その内容の具体性です。取引手法・テクニックが極めて具体的に記述されています。彼自身が分析し利用した手法を書いているため、とてもわかりやすく、すぐに実践で生かすことができます。学者やアナリストの見解ではなく、実際に相場と格闘している人間の言葉には重みがあります。
私は彼の手法のいくつかを、先物相場でなく、為替相場や株式相場に当てはめたことがあります。他の相場でも応用できるテクニックが多い、との印象を持つに至っています。
相場経験豊富な方でも「なるほど!」、「そんな手法があるのか!」と感嘆する部分が多いと思います。相場初心者の方も、実践経験を積むに連れ「そういうことだったのか!」と思う部分が必ずあり、手放せない一冊となるでしょう。
本当に、読んだ次の日から実践に使えます。私の大好きな本です。
玲子さんの戦績(10月25〜29日)
7月22日100万円で為替投資を始めた玲子さん。為替王の「今日のポジション」を見ながらUSD/JPYとEUR/USDの売買をしています。前週末で148万円だった資産は、今週末時点で、161万円になりました。
玲子さんの現在のポジション
<USD/JPY> ドル売り・円買いポジション5万ドル。10/11に1ドル=109円80銭で構築したポジションを継続保有。
<EUR/USD> ユーロ買い・ドル売りポジション5万ユーロ。9/9に1ユーロ=1.2190で構築したポジションを、この2ヶ月近くずっと継続保有。
今週は、「今日のポジション」を見てもお分かりの通り、売買はまったくせず、USD/JPYもEUR/USDも、前週からのUSD売り戦略を維持し、そのポジションを継続保有しました。
前週のドル安局面が急激だったため、今週は少し戻すことも覚悟していましたが、運の良いことに、ドル安の流れが為替市場全般で継続したため、含み益が拡大しました。
玲子さんの過去の戦績については、こちらを参照。
玲子さんが見ている「今日のポジション」は、こちらを参照。
南アフリカ・ランドは値動きが荒い
昨日、注意点として「格付け」は、IBRD(=国際復興開発銀行)に対するもので、南アフリカとは関係がないことを指摘しました。いくら、IBRDがAAA(トリプルエー)という最高級の格付けを取得していても、この外国債券の収益は、南アフリカという経済後進国の影響を大きく受けます。
南アフリカの格付けはA(シングルエー)です。一般的に言えば、Aという格付けを付与されている国は政治・経済のリスクが比較的大きく、金融市場も激しく変動する局面が散見されます。南アフリカの場合はどうでしょうか?
南アフリカの通貨ランドは、世界中の通貨の中で、ボラティリティが高い部類に属します。ボラティリティが高いとは、為替レートの値動きが荒いということを意味します。
ここ数年のZAR/JPYの値動きを見ると、1998年の1ランド=27円50銭から、2001年末には9円30銭になりました。4年近くもの間、一貫してランド安・円高が進みました。1000万円投資していたら、340万円に減ってしまっている計算になります。
ところがその後、商品市況高騰などを背景に、ZARは2002年以降じりじり上昇(円安)を続け、今年の7月には一時18円40銭まで戻しました。仮に、2001年の安値で投資していれば、為替差益だけで資産は倍増していたことになります。
夢があると言えばそれまでですが、やはり“怖い”という印象を持つべきだと思います。かと言って、びびって何もしないわけではなくて、よーく分析した上で、金融資産のごく一部、ほんの数パーセント程度ならば、投資する価値はあると思います。債券投資するというよりは、株などと同様に、リスクの高い資産に投資するという認識が必要です。
次回ではさらに、具体的な分析の仕方をご紹介します。
今日のポジション(10/29)
「ドル売り・円買い」のポジションを継続保有します。
<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」のポジションを継続保有します。
昨日(10/28)、中国人民銀行(中国の中央銀行)が政策金利の引上げを発表しました。利上げ幅は小さく、1年物人民元貸出金利は5.31%から5.58%への変更です。市場の反応は、中国の景気抑制との判断から、影響を受けやすい日本や豪州を売る動きがあった一方、人民元高につられた円高を連想しての円買いも見られました。
私のドル売り・円買いの戦略は継続です。
EUR/USDの戦略も上記の通り継続ですが、1ユーロ=1.2700ドル前後を重要ポイントとして位置付け、そのポイントを下回る動きがあれば、現在のユーロ買い・ドル売りポジションを利益確定し、戦略転換する予定です。
南アフリカの通貨ランド建ての債券
銘柄:国際復興開発銀行、南アフリカ・ランド建て債券
格付け:AAA(S&P)、Aaa(Moody`s)
利率:0%(ゼロクーポン)
参考利回り:8.695%(10/22現在、税引前)
償還日:2012/5/14(約7年6ヶ月)
E*Tradeというネット証券会社で個人投資家向けに販売されているものを例として挙げてみました。一体この債券は何者なのか?順にチェックしましょう。
国際復興開発銀行とは、英語名はIBRD(International Bank for Reconstruction and Development)、どこかの国の銀行ではなく、国際的な機関です。“世界銀行”という組織の一部、と言い換えればピンと来るかも知れません。日本はもちろんこの組織に加盟しており、戦後は多額の資金を貸してもらってお世話になりましたが、今では逆に出資者であり、金銭的には最大級の貢献をしています。
ランドとは、通貨コードZARで表示される南アフリカの通貨です。かなりマイナーな通貨で、こんな通貨を売買している為替ディーラーや、分析対象にしているアナリストは、ほとんどいません。
格付けが“AAA”となっていますが、これがクセモノです。AAAにしろAaaにしろ、安全性・信用力に関して最高級の評価なんですが、これはあくまで、この債券の発行体であるIBRDに対して付与されたものです。つまり、「IBRDが破綻して債券が紙くずになることはないですよー」と言っている訳で、南アフリカやその通貨ランドに対する評価ではまったくありません。
ちなみに、S&PとかMoody’sというのは米国に母体がある格付け会社です。こいつらは、日本という国に対して、低い格付けを付けており、もし仮に、もう一段階下げられると、クウェートやボツワナ、あるいはマレーシアという国々と同じランクになってしまいます。
まったく世界第2位の経済大国である我が日本を、なんと心得ているのでしょうか? これについては、“しおじい”こと塩川元財務大臣が激怒し質問状を送ったことがありましたが、他人の評価に一生懸命で、的外れな分析しかできないこんな奴らは強制送還したら良いでしょう。
おっと!怒りのあまり脱線してしまいました。続きはまた明日!
今日のポジション(10/28)
「ドル売り・円買い」のポジションを継続保有します。
<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」のポジションを継続保有します。
昨日のUSD/JPYは、106円20銭あたりまで円高になりましたが、現在は106円台後半まで戻しています。EUR/USDもややUSDが買い戻されています。
見通しは、昨日とまったく同様に、USD弱気の基本見通しを継続しながら、この局面からのさらなるUSD売りには慎重です。
EUR/JPY、GBP/JPYなどのUSD以外の通貨に関しては、反発(円安)局面は一時的で、中期的な円高見通しは継続です。
ユーロ中堅国は財政事情改善に熱心
さて今日は、英国に次いで外国債券市場規模第6位以降になります。英国に続くのは・・・・・、スペイン、ベルギー、オランダ、・・・と、ユーロ圏の中堅国が並んでいます。大雑把に日本円換算すると、それぞれ30兆円前後の国債市場規模を有します。
スペインという国はラテン系のイメージがありますが、財政状態は、日本とは比較にならないくらい良好です。2002年以降、財政収支は黒字に転換しています。
ユーロ加盟国の基準となる債券は、昔も今もドイツ国債です。スペイン国債は、最近ではそのドイツ国債と同じくらいの水準で取引されています。つまり、投資家の人気・評価が債券に関しては、スペインはドイツと同じくらい高いということです。
次にベルギー。私は以前、ベルギー財務省の方とお会いしたことがありますが、お堅い雰囲気はまったくなく、近所のパン屋のおじさんといった印象でした。(人懐っこい笑顔で、気さくにお話し頂いたという意味。) 日本の機関投資家に、ベルギー国債の良さをアピールするため来日しており、熱心な説明を頂戴しました。そのようなベルギー当局の積極姿勢が功を奏したのか、ベルギー国債発行残高のうち約半分は非居住者によって保有されており、毎日、活発に取引されています。
オランダ国債については、あまりにふつーなため省略しますが、そんなユーロ建て国債のうち、どれを購入すればよいかは、多分に人の好みによります。年1回の利払があるユーロ建て国債のうちで、唯一、年2回利息を受取れるイタリア国債が好きな投資家もいますし、そんなに差がないから、基準とされるドイツ国債を中心に売買する人もいます。もちろん、細かい人になると、近年、財政事情が改善してきたスペイン国債やベルギー国債などを狙って取引する人もいます。
大好評債券特集の世界各国外債めぐりはまだまだ続く!
今日のポジション(10/27)
「ドル売り・円買い」のポジションを継続保有します。
<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」のポジションを継続保有します。
見通しは、昨日と同様で、USD弱気見通し継続ながら、この局面からのさらにUSD売りすることには慎重です。EUR/USDは今年2月の史上最高値(1ユーロ=1.29ドル)を目前に、やはり一旦跳ね返された感があります。(週初に1ユーロ=1.28まで達した後、現在1ユーロ=1.27ドル。ちなみに99年のユーロ発足当初は1ユーロ=1.16ドル)
ポンド建て債券ならギルト
答えは英国です。英国債は通称ギルト(GILT)と呼ばれており、中世の商工業者の同業組合であったギルド(Guild)を語源としているとの説が有力です。その発行残高は日本円換算でざっと見積もって50兆円程度。ユーロ建て国債は、ドイツ、フランス、それ以外にもたくさん在りますが、ポンド建て国債は、この英国債しかないので、国内投資家も積極的に売買しています。
ギルトは、日本国債や米国債と同じく年に2回の利払いがあり、3月&9月あるいは6月&12月に利息を受取れるタイプが多いです。細かい話になるので、この部分は実際に投資を考えている方だけ読んで頂ければと思いますが、ギルトには“権利落ち”という制度があります。通常の債券では、利払日当日の債券保有者に利息が支払われますが、ギルトは利払日の7営業日前までの保有者に利息を受取る権利があります。そのため、利払日の5日前にギルトを購入したため、最初の利払日に利息はもらえない、ということもあります。
ギルト10年物利回りは、90年代初頭には10%を超えていました。そんなに利回りが高いなら、わざわざリスクを背負って株式投資などせず、債券投資だけでも資産が増えそうですね。
最近の利回りは5%前後で安定的に推移しています。昔に比べて低下したとは言え、米国債やドイツ国債と比較すると1%ほど高く、為替リスクを無視すれば魅力的ですね。
“為替リスクを無視すれば”と最も重要なポイントをさらっと流そうとしてしまいましたが、それではあまりに無責任なのでコメントしておきましょう。
過去にGBP(英ポンド)は急落する局面が何度かありました。将来的にも統一通貨EURへの参加を巡って不透明な要素は残っています。かと言って、為替ヘッジをすれば、ヘッジコストというものがかかって、高利回りの収益も相殺されて台無しです。事前にどれくらいの英ポンド安(円高)に耐えられるのかを勘案した上で、投資するのが望ましいです。もちろん、英ポンドでずっと保有するつもりの人は、為替リスクは関係なく、債券利回りだけ重視していれば問題ありません。仮に英国がEUR参加表明して、金利がユーロ諸国と収斂するなら、英国債にはプラス要因です。
今日のポジション(10/26)
「ドル売り・円買い」のポジションを継続保有します。
<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」のポジションを継続保有します。
昨日のUSD/JPYは、夕方に106円20銭まで円高が進みましたが、その後反発し、現在106円80銭あたりまで戻しています。考え方は、昨日とまったく変わりありません。USD弱気見通しで、すでに構築しているUSD売りポジションは継続保有するものの、この局面からさらにUSD売りすることには慎重です。
腐ってもドイツ −ユーロ建て債券の基準−
読者の方から、外国債券の国別の情報も知りたいとのご要望がありました。これは極めて重要なポイントだと私は思います。国債を国別に分析することで、ますますグローバルな経済情勢に対する理解が深まります。なので今日は、米国債以外の外国債券を見渡してみましょう。
米国債の次に市場規模が大きい国として、ドイツ、フランス、イタリアなどが並んでいます。これらは、ともにユーロ加盟国の中心をなす国々です。特にドイツ国債は、ユーロ建て国債を知る上で最も重要と言って良いでしょう。最近はドイツ経済のていたらくぶりが何かと話題にされていますが、それでもなお、ドイツ国債利回りは、ユーロ加盟国すべての国債の基準としても利用されています。発行残高は日本円換算でおよそ100兆円もあります。
ドイツ国債は、ドイツの中央銀行であるブンデスバンクを通じて発行されています。機関投資家や専門家の間では、ドイツの長期国債のことを、“ブンズ”という愛称で呼んでいます。先週の「米国債はTreasury(トレジャリー)」の記事でも似たようなことを言いましたが、証券会社で「ブンズを買いたい!」と言ってみてください。もし、「はっ?」と言われたら、「なにっ!ブンズも売ってないの!?」と言い返してやりましょう。株や投信も売らなきゃいけない証券会社の販売員には少し酷ですが、債券投資については売る側のレベルアップも必要だと思います。
最近のブンズ10年物利回りは、4%弱で推移しています。米国債10年物利回りよりも若干低い水準です。景気の悪い日本の国債10年物利回りが1.5%程度ですから、ユーロ諸国は米国よりも少し景気回復が遅れているんだなあ、ということがわかります。長期金利決定要因は景気だけではありませんが、長期金利(国債10年物利回り)から、その国のおよその経済状態がわかります。
さて次に行きたい所ですが、ちょっと長くなりましたので続きはまた明日。大好評債券特集の外国債券国別情報は明日に続く!
今日のポジション(10/25)
「ドル売り・円買い」のポジションを継続保有します。
<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」のポジションを継続保有します。
先週から引き続き、為替市場全般におけるUSD弱気の見通しは維持します。強気見通しのCADは対USDで、先週、11年振りの高値更新をお伝えしたばかりですが、もう、12年振りの高値を更新しています。($1=C$1.22) 正直申し上げて、相場変動のスピードは私の予想以上です。
ただ、他の通貨ペアに関しても同様ですが、さらにここから新規にUSD売りポジションを大きく積み増すことには慎重です。
債券の販売価格は証券会社によって違う
「米国債を買いたいが、販売価格は適正か?」の記事の中で、A証券さんの提示価格は、市場価格(適正取引価格)よりも単価で0.7、つまり、仮に約1億円分購入するなら、機関投資家が買える価格よりもさらに、手数料として75万円くらい上乗せした価格であることを指摘しました。これについて、「個人投資家をバカにした価格である」と偉そうに言いました。言い過ぎたと反省しています。
先日、私の度肝を抜く情報を目にしました。
B証券さんのサイトです。そこにも、まったく同じ米国債が販売リストの中にありました。10月21日10時半現在の価格が表示されていました。A証券さんとライバルの会社ですから、提示価格でどの程度しのぎを削っているのかと、わくわくしながら、販売価格を見ました。
その価格は104.20となっていました。見直しましたが間違いありませんでした。A証券さんが販売単価103.25を提示しているのとほぼ同じ時間帯に、B証券さんでは104.20という単価が個人投資家に提示されていたのです。仮に1億円分の債券購入なら、A証券さんよりも、さらに100万円を手数料として余分にふんだくろうというのです。歌舞伎町のぼったくりバーを彷彿とさせます。いや、それ以上かも知れません。
B証券さんのために言っておきますが、すべての銘柄がそうなのではありません。A証券よりも投資家に有利な販売価格を提示している債券銘柄も多数あります。
ポイントはどちらの証券会社が良いかということではありません。債券の世界では、同じ銘柄でも、販売価格が業者によってまちまちだということです。
ある銘柄の在庫が大量にあったり、それを早めに処分したいときなどは、市場価格ぎりぎりの魅力的な安い値段で投資家に販売することもあります。近所の八百屋さんや電器屋さんのイメージに近いですね。お店の事情で、日によって、時間によって、環境によって、値段が変わる!
だからこそ、債券投資家は、“お店”の言いなりではなくて、いろんな“お店”を調べる必要があります。
円売り介入すれば、それでいいのか谷垣大臣!
「ファンダメンタルズを反映しない形で思惑が出れば、我々は必要な措置をとる」
これを私なりに訳すと、
「我々は経済ファンダメンタルズを反映すれば、絶対に円安になると思い込んでいるのだが、なぜか円高になっている。頭のいい我々の分析結果と違う方向に進んでいるのは、きっと投機的な動きがあるに違いない。うん、きっとそうだ!あんまり円高が進んだら、円売り介入してやろう。我々の力を、平民どもに思い知らせてやる!」
大臣や官僚は腹の中で、きっとこのように思ってるのでしょう。
ちょっと1円、2円変動しただけで、すぐに為替市場に直接介入する用意があることをちらつかせる。世界第2位の経済大国の財務大臣の発言としては情けないです。谷垣大臣は、米国の経常赤字の問題や、国内企業・機関投資家の為替リスクに消極的な体質は、円高を誘発しやすいという“ファンダメンタルズ”をご存知のはずだと思いますが。
我が国にとって、本当に円安が国益となるのならば、もっと本質的な法改正を含めた政治的判断をすべきです。米国は、「本国投資法」という法案を通そうとしています。これは米国内の経済活性化および金融市場への影響を狙ったもので、米国自身の国益に叶う法案です。日本だって、為替市場に影響を与えたいのなら、あまりまくっている国内余剰資金を海外に向けさせるような税制改革を行えば良いのです。株の空売り規制にしても為替介入にしても、どうして市場に直接介入するという短絡的な発想しか持てないのでしょうか?
円安が良いか円高が良いかは議論が分かれるところもありますが、それとは別な問題もあります。
当局は、“円安”ではなく、為替市場の“安定”を望んでいるのだと、いつものたまっていますが、安定して変化のないところにビジネスチャンスはありません。世界最大の為替業界をリードするあのシティバンクだって、アジアの為替部門拠点は、今や東京ではなくシンガポールに移ってしまいました。グローバル企業は今後ますます東京を離れて、シンガポールやオーストラリア、あるいは将来は中国に行っちゃうかも知れません。すでに、いくつかの企業、あるいはその部署が東京から縮小・撤退しています。その影響をちょっと考えただけでも、雇用・消費・税収にはマイナス要素です。世界第2位の経済大国日本の政治家たち!しっかりしてください!
大好評債券特集は今日はお休み、明日お楽しみに!
玲子さんの戦績(10月18〜22日)
7月22日100万円で為替投資を始めた玲子さん。為替王の「今日のポジション」を見ながらUSD/JPYとEUR/USDの売買をしています。前週末で127万円だった資産は、今週末時点で、148万円になりました。
玲子さんの現在のポジション
<USD/JPY> ドル売り・円買いポジション5万ドル。10/11に1ドル=109円80銭で構築したポジションを継続保有。
<EUR/USD> ユーロ買い・ドル売りポジション5万ユーロ。9/9に1ユーロ=1.2190で構築したポジションを、この1ヶ月半ずっと継続保有。
今週は、新規の売買はまったくせず、USD/JPYもEUR/USDも、前週からのUSD売り戦略を維持し、そのポジションを継続保有しました。
運良く、為替市場全般で、USDが売られる展開になったため、含み益が急拡大しました。7月22日の運用開始以来、為替相場は全体的に変動が乏しく、順張り型戦略では、なかなか利益が伸ばせませんでした。しかし、ようやく、大きいトレンド(USD売りトレンド)が生じたため、良い結果を残すことができました。
EUR/USDはこれまで連勝している一方、USD/JPYについては、2勝4敗というひどい戦績です。それでも、利益拡大できるのは、小さく負けて大きく勝つという戦略を取っているからです。
玲子さんの過去の戦績については、こちらを参照。
玲子さんが見ている「今日のポジション」は、こちらを参照。
元本保証の債券も価格は常に変化する
1日で価格が上昇した理由は、彼らが、さらにぼったくろうと企んでいる訳では決してありません。市場価格が上昇したからです。このように債券価格も株価と同じように上がったり下がったりします。日々の金融市場・金利動向・経済情勢などの変化に応じて、債券価格も変化します。
債券って元本保証じゃなかったの?と訝しがる方もいらっしゃるかも知れませんが、償還日の2013年8月15日には、単価は100ちょうどで戻ってきます。ただ、償還されるまでの間は、価格が変動します。毎日変動します。株価と同じように、買い注文を出そうかなあと悩んでいる間に、値上がりしていることもあります。
100で戻ってくるものを、102.90だろうが103.25だろうが、100以上の単価で買ったら損するじゃないか!と思われるかも知れません。
その点は大丈夫。利率4.25%は確定で毎年必ず受取れます。それを考えると、この米国債の元本の差損部分は1年分の利息で充分埋め合わせがなされます。
利率は債券によって異なりますが、利率10%の米国債、利率4.25%の米国債、利率2%の米国債、それらが同じ単価だったら不公平ですね。他の条件が同じならば、利率10%の米国債の単価は高くなります。一方の利率2%のものは安い単価で買えます。結局、単価で調整された結果の“利回り”は等しくなります。これが、利率ではなく、利回りこそが重要なチェックポイントである理由です。
高い利率に目を奪われて外国債券を買っても、大した利回り(=運用成果)を得られなかった!為替差損も出てないのにおかしいなあ? その理由は、高い単価で調整された結果の“利回り”が、もともと魅力的ではなかったからでしょう。
大好評債券特集!調子に乗ってまだまだ続く!
今日のポジション(10/22)
「ドル売り・円買い」のポジションを維持します。
<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」のポジションを維持します。
USD/JPYは運良く、目標値であった107円台に突入しました。2週間前に109円80銭で構築したドル売り・円買いポジションについては継続保有します。しかし、利益確定したくてうずうずしている!という方は、目標値を達成したこともあり、ポジションの一部あるいは全部を決済し利益確定するのも良いかと思います。「休むも相場」という格言がありますので。私には休みはありませんが・・・。
米国債を買いたいが、販売価格は適正か?
個人投資家向けに販売されている米国債を買ってみるという想定です。(単価や利回りなどの数値は10月20日9時現在のものとして野村證券さんのサイトに載っていました)
通貨 米ドル
銘柄名 アメリカ国債
利率 4.25%
償還 2013年8月15日(残存8年9ヶ月)
単価 102.90
利回り 3.85%
第一チェックポイントは、なんと言っても利回りです。超低金利に辟易している日本人から見れば、3.85%という利回りは結構高く見えます。実は、異常な低金利というのは日本だけの話ではなくて、残存8年9ヶ月の米国債の利回りが3.85%というのは、米国の歴史上極めて低い水準です。2000年に入ったばかりの頃は、軽く6%を超える水準でした。同時テロもあり、その後の景気回復もままならない状況では、今のような低い利回りも致し方ありません。
その重要な利回りを決定付けるのが単価です。これは通常手数料込みの額面100あたりの価格です。野村證券さんのサイトで10月20日9時現在として、単価102.90となっていますが、これについては非常に残念です。
もし、私が機関投資家として、その時間にこの米国債を発注したら、おそらく最悪でも、102.20くらいの単価で買えたことでしょう。それが、私の見たところの適正価格(もちろん手数料込み)です。世界中のどの投資家に聞いても、きっと同じような答えが返ってきます。
102.90と102.20の差は小さいので、どっちでもいいですか?
その差はでかい!と、思った人はおそらくすでにお金持ちの人か、これからお金持ちになる人だと思います。仮に1億円分を買うとすれば、その差は7千ドル。日本円換算で約75万円も余分に手数料として証券会社に支払わなければならないのです。
もし私が、102.90などという価格を提示されたら、私はその証券会社と2度と取引しないでしょう。いわゆる「債券をよく知らない投資家をバカにした価格」と言えます。
購入金額の大小によるんじゃないの?という疑問もあるかと思います。が、たとえ1000万円くらい、いや、100万円くらいの買い注文であったとしても、もう少し、ましな価格を提示してもらいたいものです。
今回、たまたま野村證券さんの米国債販売リストを例に挙げました。国内最大手の野村證券ですから、他の証券会社よりは、お得な価格かも知れません。購入金額が大きければ、天下の野村證券さんならきっと、価格交渉にも応じていただけるでしょう。また、個人投資家相手だと、高い手数料を徴収しないとやってられないんだよー!という反論もあるかも知れません。
私は、市場を決定するのは消費者だと思ってます。株のネット証券が消費者(=投資家)に支持されて大手証券と肩を並べつつあるように、為替や債券の世界でも、業者と消費者が対等な立場に立てる日がくることを願ってます。
大好評債券特集!まだまだ続く!
今日のポジション(10/21)
「ドル売り・円買い」のポジションを維持します。
<EUR/USD>
「ユーロ買い・ドル売り」のポジションを維持します。
一昨日、米ドルは対円で下落したのに続き、昨日の米ドルはほぼすべての主要通貨に対して下落しました。基本的には、米ドル安見通しを継続です。
以前に、強気見通しをご紹介したCAD(カナダドル)ですが、カナダ中央銀行は、今月もまた、政策金利引上げ(2.25%から2.50%へ引上げ)を行いました。その結果、対USDでは、11年ぶりの高値を更新中です。(現在、$1=C$1.24)










