2005年06月30日

スワップポイント

昨日の記事の例題で、“スワップポイントは・・・”と、さらっと書きましたが、“スワップポイント”とは何か?

専門用語で言うと、スポットレートとフォワードレートの差のことです。通常の為替取引は決済日が2日後にあり、その時に用いられるレートはスポットレート。テレビのニュースで「現在、1ドル=110円で取引されています」などと言われますが、普段私たちが使う為替レートは、スポットレートのことを指します。

ある輸出企業が、商品の代金をドルで1ヶ月後に受け取る契約を結んだ時。1ヵ月後に代金のドルを受け取ってからドル売りをして円転しても良いのですが、為替リスクを恐れる企業は今すぐ為替レートを確定させたいと考えます。そんなとき、今日の時点で1ヵ月後に決済日が来るような為替取引を実行します。その時用いるのがフォワードレートです。1ヶ月後だけじゃなくて、1週間後、2ヵ月後、3年後に決済する取引も基本的には可能なので、あらゆる決済日に応じたフォワードレートが理論上は存在します。

例えば、現時点で、スポットレートが110円00銭だとすると・・・。1ヵ月後のフォワードレートは109円70銭。半年後は108円00銭。1年後は105円90銭。2年後は101円90銭。3年後は98円20銭・・・・・。あくまで理論値の概算ですが、決済日が3年後で良ければ、現在1ドル=110円のUSD/JPYがたった98円で取引ができるのです。

110円のものが98円で買えるなんて、おいおいものすごく有利じゃないか! と思われるかも知れません。これは日米の大きな金利差が背景にあるのですが、実際に、FX取引(外国為替証拠金取引)では、そのスポットレートとフォワードレートの差分について日々、受払いが行われます。
また、スポットレートの110円でドルに換えて、そのドルで金利モノの商品に投資すれば、手数料などのコストを無視すると、理論上はスワップポイントと同じだけの金利収入を得ることができます。先の例で言えば、3年で、110円−98円=12円分の金利収入が得られる計算になります。12円と言えば、12円÷110円=11%というかなり高い収益率のように見えますが、米国債3年物利回りは現在年率換算で3.7%程度。3年なので単純に3倍すると、3.7%×3年11%。おおーっ、同じ11%じゃないか! それも当然、理論上同じになるように金融市場が動いているからです。

ただ、実際の投資においては、金融機関が手数料をぼったくる風習があるため、投資手法により収益に差が出る場合があります。すべての条件を一定として、どの程度の差があるのかをチェックした上で、有利な投資対象、自分のスタイルにあった投資手法を選び出せれば、資産運用に関して“プロ”の域に達していると言っても良いでしょう。

  

Posted by kawase_oh at 11:22TrackBack(20)

今日のポジション(6/30)

<USD/JPY>
「ドル買い・円売り」ポジションを継続保有します。

<EUR/USD>
「ユーロ売り・ドル買い」ポジションを継続保有します。


米金融政策について、FOMCが昨日から開催されています。為替王倶楽部の予想アンケートでは、3%から3.25%への利上げを予想する人が8割近く。一方で、米景気軟化・米株下落やインフレ率抑制を考慮してか、2割程度の方が、金利据置もあると予想されています。利上げを小休止しても良いとの考え方も理解できますが、私は、今回敢えて、市場の大方の予測と異なる金融政策を実施する必要性は薄いと考え、3.25%への利上げを予想します。
短期的な為替市場へのインパクトはないと考えますが、主要国との相対比較では高金利と言えるくらいな米政策金利水準は、長期的には当然ながら米ドルにとってポジティブに働く要因だと判断します。


玲子さんの現在の戦略
USD買いJPY売り5万ドル 取引(6/28)109.35 重要ポイント108円台前半
EUR売りUSD買い5万ユーロ 取引(6/13)1.2118 重要ポイント1.21台半ば
*取引とは玲子さんが売買執行した日付とレート。重要ポイントは現在のポジションを利益確定または損切りなど戦略変更する上で重要であると考えるポイント。

  
Posted by kawase_oh at 09:21TrackBack(3)
2005年06月29日

個人投資家も時価会計

相場に参加する時、自分の運用成績を正しく認識することが不可欠です。企業会計は“時価会計”をするのが随分前から世界的な流れです。日本の運用業界でも時価評価が主流であり、遅れを取っていた年金基金業界もここ数年でほとんどが時価評価体系に移行しました。わたしたち個人投資家も“時価会計”を取り入れなければなりません。毎日売買する人は日次で、たまにしか売買しない人は週次または月次で、自分の資産を時価で正しく把握することが大切です。


<例題>
手元資金100万円で下記のFX取引をしました。各週末時点の損益計算・運用評価をして下さい。スワップポイントや取引コストなどは一切無視します。

第1週:新規に1ドル=110円でドル買い・円売り10万ドルの取引を実行。週末レートは1ドル=109円。
第2週:売買なし。週末レートは1ドル=106円。
第3週:第1週に買った10万ドルを1ドル=108円で損切り。さらに新規に1ドル=108円でドル売り・円買い10万ドルの取引を実行。週末レートは109円。


<解答>
第1週末:90万円
第2週末:60万円
第3週末:70万円


第1週に110円でドル買いをした後、109円、106円と円高になりました。「損切りはしていないのだから、資金は100万円のままだ」と、思ってはいけません。変動した為替レートを基準に時価で評価し直し、未実現の損(含み損)であっても実現損と同様に認識することが必要です。
第3週は、損失を確定させる決済をした上に、新たに108円で構築したドル売りポジションも週末時点のレートは109円なので、含み損を抱えています。にもかかわらず、第2週末よりも運用成績が向上しています。

もし、実現損益のみで運用評価をすれば、第1週末も第2週末も100万円ちょうどのまま。第3週末は、損切りしたマイナス20万円を計上して80万円、との認識になるでしょう。しかし、含み損益を加味しない実現損益ベースの運用評価は基本的にはやってはいけません。

株の信用取引や商品の先物取引で破産した人、あるいは怪しげな金融商品でひどい目に遭った企業・基金などは、例外なく正しい時価評価ができていませんでした。含み損を把握しないこと、あるいはわかっていてもきちんと損失計上しないことは極めて大きなリスクをはらみます。
企業は“リスク管理”をきちんとすることがキーワードになっています。私たち投資家も、利益を極大化(資産増大)し、損失を極小化(資産保全)するという点においては企業と同じ目的を持っています。時価ベースで正しい運用評価をするクセをつけることがリスク管理の第一歩だと思います。


  
Posted by kawase_oh at 13:40TrackBack(1)

今日のポジション(6/29)

<USD/JPY>
「ドル買い・円売り」ポジションを継続保有します。

<EUR/USD>
「ユーロ売り・ドル買い」ポジションを継続保有します。


昨日、USD/JPY短期戦略をドル買い円売りに転じたことが運良く功を奏しましたが、“ミスター円”こと榊原元財務官から昨日次のようにコメントがありました。「1ドル=110円を円安方向に抜けて、111円から112円までドル高・円安が進んだとしても、その後は逆に戻ってくる可能性の方が高い」
私も、今月はもう少しドル調整があってもいいかなあと思っていましたので、目先は榊原氏のおっしゃるような展開があるかも知れません。実際に、USD/JPYの109〜110円、EUR/USDの1.20〜1.21の壁はまだしっかりしているようにも思います。
しかしながら、榊原氏がドル上昇抑制要因と考える米国景気悪化があった場合でも、それは日欧などの主要国経済基盤にとっても悪材料であり、米国はこの1年で低金利通貨から高金利通貨に変わりつつあることも勘案すると、長期的なドル高見通しを堅持することに、私はまったくためらいはありません。短期予想に基づき、多少ポジション変更をすることがあったとしても、長期予想に基づき、着実に資産内における米ドル配分比率を高める戦略を継続して良いと考えます。


玲子さんの現在の戦略
USD買いJPY売り5万ドル 取引(6/28)109.35 重要ポイント108円台前半
EUR売りUSD買い5万ユーロ 取引(6/13)1.2118 重要ポイント1.21台半ば
*取引とは玲子さんが売買執行した日付とレート。重要ポイントは現在のポジションを利益確定または損切りなど戦略変更する上で重要であると考えるポイント。

  
Posted by kawase_oh at 09:25TrackBack(0)
2005年06月28日

人気マネー商品危険度チェック

「週刊東洋経済」(2005.6.25)の“人気マネー商品危険度チェック”というコーナーで、私が昨年から警笛を鳴らしていたデリバティブ金融商品が取り上げられていました。シティバンクのプレミアム・デポジットという商品です。(ご参照:2004年10月9日記事、 2004年10月10日記事) “安全な預金”だと思って預け入れたおカネの大半を失ってしまったAさんのお話が紹介されています。Aさんは“預金”だと思って預けた結果、何億円も損してしまったそうです。


「でも、シティバンクは金融庁から行政処分を受けたし、プライベートバンク部門は撤退することになったからもう安心ね!」と、思っているあなた!
シティバンクが開発した、一見“外貨預金”の雰囲気を漂わせながら、実はデリバティブが組み込まれている“プレミアム・デポジット”を真似した金融商品は、すでにすべてのメガバンクおよびいくつかの地方銀行などで販売されています。日本の銀行らしい人真似・横並び戦略です。

国内銀行では、それらを“特約付き外貨定期預金”などという名称で販売しています。当然ならが、預金でも何でもありません。単に、デリバティブがくっついていて、為替レートを当てる勝負をするような商品です。

すでに、これらの商品を納得されて購入された方は良いと思いますし、充分仕組みを理解された上でご自分の資産形成にプラスだと判断される場合もあるでしょう。
が、私は、このような金融商品に手を出すくらいならば、普通に外貨預金をした方がよっぽどましだと考えます。これらのデリバティブを組み入れた金融商品のリスク・リターンの関係・期待値はいびつであり、通常の外貨購入により得られるリスク1単位あたりのリターンの形状の方がはるかに合理的であることは理論上明らかだからです。

私はこの金融商品そのものを責めるつもりはありませんし、場合によっては、投資家のニーズに本当に適合しているケースもあるかも知れません。
ただ・・・。
投資家の判断以前に、窓口で販売している銀行員がそれらの仕組みをきちんと理解しているのかどうか・・・? 甚だ疑問です。当局は、投資家の自己責任を謳う前に、商品を供給する側のレベルを調査して頂きたいです。

  
Posted by kawase_oh at 10:52TrackBack(9)

今日のポジション(6/28)

<USD/JPY>
「ドル売り・円買い」ポジションをクローズして「ドル買い・円売り」ポジションを構築します。

<EUR/USD>
「ユーロ売り・ドル買い」ポジションを継続保有します。


長期的なドル高見通しを堅持しながら、短期戦略としても再度USD/JPYはドル買い・円売り戦略に転じます。が、正直に申し上げて、実践的にはポジション量を落としながら円安・円高のどちらを狙っても良いと思います。USD/JPYは109円前後での推移が続く中、テクニカル指標のいくつかは中立を示しており、利益を上げるのがとても難しい局面だと思います。短期戦略としては109円を軸に、動いた方向についていくという単純な戦略を取りたいです。
昨日発表されたドイツの景況感指数が改善を示しました。4ヶ月連続で悪化していただけに、とりあえず下げ止まったことは良かったと思います。今週はまだまだ独・仏の経済指標発表が続きますので注目したいです。


玲子さんの現在の戦略
USD買いJPY売り5万ドル 取引(6/28)109.35 重要ポイント108円台前半
EUR売りUSD買い5万ユーロ 取引(6/13)1.2118 重要ポイント1.220前後
*取引とは玲子さんが売買執行した日付とレート。重要ポイントは現在のポジションを利益確定または損切りなど戦略変更する上で重要であると考えるポイント。

  
Posted by kawase_oh at 09:29TrackBack(0)
2005年06月27日

為替市場の相対観

米投資会社バークシャー・ハザウェイ会長であり、世界的に有名な投資家ウォーレン・バフェット氏のコメント。「米国の政策に大きな変化がない限り、何年にもわたってドル安が続く可能性が高い。ドル安予想の投資は当社のコカ・コーラ株への投資と同じようなものだ」

私は基本的には株も為替も同じ相場だとの考えです。しかし、いくつかの違いもあります。もちろんバフェット氏も百も承知でしょう。今日は株と為替の相場概念の違いを記してみたいと思います。


一つ目は、相場の上下に対する概念。
株については、株主も経営者も従業員も皆、頑張っています。その頑張りは普通、株価上昇につながります。なので、株は上昇するのが良いこと。下落するのは悪いこと。という概念があります。
為替にはそのような概念が薄いです。好景気の国の通貨は上昇するという理論はありますが、通貨価値が上昇しすぎるとその国の経済にマイナスの影響を与えるケースがあります。昨今の日本のように通貨価値の下落が景気回復につながるから日本にとって良いことだとの発想を持つ人もいます。

二つ目は、絶対基準と相対基準。
株はA株が上昇するとき、同時にB株が上昇しても不思議ではありません。しかし、為替は通貨Aが上昇するとき、通貨Bは通貨Aに対して下落しています。ある通貨ペアを考えた時、一方の上昇は必ず他方の下落を意味します。
株は売るだけ、という行為が可能です。が、為替市場においてある通貨を売ることは、必ず同時に何か別の通貨を買うことを意味します。つまり、ある通貨の上昇は、他の通貨の下落があって始めて成り立ちます。


バフェット氏の発言に戻ります。
一つ目の考えを基にすると、米国の政策が仮に“悪い”ものであったとしても、それが必ずしも通貨の“下落”に結び付く訳ではありません。良い例は、これまでの日本。日本の放漫財政や不況は“悪い”ことなので、通貨が下落して当然とも思えますが、少なくとも過去3年間、日本の通貨価値は上昇しました。
二つ目の考えを基にすると、米ドルを売ることは、同時に他に魅力的な通貨を探して買う必要があります。バフェット氏が米国・米ドルに悲観的で米ドルを売りたいなら、他に米国よりも魅力的な国・通貨を見つけなければなりません。この点では、諸外国の投資家から見れば、どう見たって自国より米国経済基盤の方が優位です。バフェット氏が1兆円分のドル売りを実施しても、日本人が日本を悲観し、個人金融資産の仮に0.1%だけ円を売ってドルを買いさえすれば、そのドル買い圧力の方が勝ります。米国に対するバフェット氏の絶対的な悲観は、米国に対するグローバルでの相対的な楽観にかき消されることが充分あり得るのです。

  
Posted by kawase_oh at 12:27TrackBack(0)

今日のポジション(6/27)

<USD/JPY>
「ドル売り・円買い」ポジションを継続保有します。

<EUR/USD>
「ユーロ売り・ドル買い」ポジションを継続保有します。


戦略・見通しは維持します。
今週は重要経済指標発表がたくさんあります。30日(木)のFOMCでは米政策金利は3%から3.25%に引上げられると予想する人が多く、私もそう思います。
1日(金)の短観では日本の景気を、27日(月)にドイツ、28日(火)にフランスの景況感指数、さらに30日(木)には独・仏の雇用についての指標が発表されますので、そこでユーロ圏の景気を確認したいです。独・仏の景況感はさすがに、若干の改善は見られるかも知れませんが、雇用への波及はまだないだろうと予想します。


玲子さんの現在の戦略
USD売りJPY買い5万ドル 取引(6/22)108.50 重要ポイント109.20〜60あたり
EUR売りUSD買い5万ユーロ 取引(6/13)1.2118 重要ポイント1.220前後
*取引とは玲子さんが売買執行した日付とレート。重要ポイントは現在のポジションを利益確定または損切りなど戦略変更する上で重要であると考えるポイント。

  
Posted by kawase_oh at 09:12TrackBack(1)
2005年06月26日

日本経済を左右する日銀委員

わが国の金融政策について、5月の日銀金融政策決定会合の議事録が6月20日に公表されました。5月20日の会議の内容をちょうど1ヶ月遅れで公表するのはちょっと時間がかかり過ぎで、もうちょっと早くならないものかと思いますが・・・。まずは内容をチェックしましょう。

日銀当座預金残高目標は現在、30〜35兆円で据え置かれたままです。5月の会合で、据置に賛成したのは日銀総裁、副総裁などを含めて合計7人。一方、27兆円〜32兆円程度に引下げるべきと主張し、据置に反対したのが2人。結果的には、7対2で据置が決定しました。

反対した2人とは?
ひとりは、福間年勝氏。三井物産のたたき上げで副社長にまで上り詰めた人です。もうひとりは、水野温氏。ドイツ証券など金融界で活躍した経歴を持ち、マーケットを意識した考えを持つ人(のはず)です。水野氏は年齢はまだ46歳と日銀政策委員としてはとても若いです。
2人以外の賛成派委員の中にも「目標減額はひとつの選択肢」と述べて、将来の引下げに含みを持たせた委員がいたとのことです。

量的緩和解除を議論するだけならば、私も大いに賛成です。しかし、2人の委員のように、実際に現時点で明示的な金融政策変更を試みるという発想には反対です。以前にも申し上げましたが、このような日銀のやや性急な動きは、一時的に市場に予想以上にネガティブな影響を与えることを私は懸念します。

一方で、武藤日銀副総裁は先日の講演の中で次のような話をしました。
「景気回復は維持されている。先行きは遠からず踊り場を脱し持続的な成長軌道に向けて回復を続けていくと見込まれる。しかし金融政策に関しては、量的緩和政策の枠組みをいずれ変更する可能性はあるが、現時点ではその時期は明らかでない。時期を言うのはまだ早い」

私も副総裁と同様の見解です。日本経済が踊り場にあるとの認識ならば、現在の緩和的金融政策の枠組みを性急に変えようとすると、踊り場から、下りの階段へと進むことになりかねないので注意が必要だと思っています。

  
Posted by kawase_oh at 01:32TrackBack(0)
2005年06月25日

為替相場は夜動く

為替王倶楽部では活発な議論が展開されていて、私も大変勉強になっています。議論のひとつに、“為替相場は日本の夜、すなわちロンドン市場やニューヨーク市場で動くが、東京時間の日中は比較的動きが乏しいのでは?”といったものがありました。

「為替相場で食べていこうとするならば、昼夜逆転した生活を送り、日本時間の夜、すなわちロンドン時間、ニューヨーク時間で勝負すべきだ」、といった意見も持つ人もいます。

統計上はどうなのか? という問いかけがありましたので、私の分析結果を為替王倶楽部の方に投稿しましたが、東京時間の為替市場の動き、相場の厚みが乏しいとしたら、それはとても残念なことです。
世界経済の中心が米国だから、という理由がかなり大きいと思いますが、日本当局の姿勢もマイナスの影響を与えたと私は考えます。


ひとつは、構造的問題。
これは為替ビジネスに限ったことではありませんが、欧米企業がアジアに拠点を置くとき、税制などのコストや商売のしやすさなどを考慮して、日本よりもシンガポール、日本よりもオーストラリア、といった発想を持つ企業が少なくありません。日本円は米ドルやユーロと並んで、世界3大通貨の一翼を担っているのに、日本がアジアビジネスの拠点として選択されないことはとても残念です。

もうひとつは、市場介入。
日本当局は、為替相場が大きく変動することを悪だと見なし、過去に膨大な資金量をもって幾度も市場に介入しました。円高が良いか円安が良いかという議論はまったく別として、市場変動がないところにビジネスチャンスは存在しません。ビジネスの観点から東京市場の魅力を感じなくなった外資系金融機関の為替部門のいくつかは、すでに東京から撤退しました。外資系企業といえども、日本に居る間は、日本人の雇用や収入、消費や税収に貢献していました。
2003年1月から2004年3月までの総額35兆円を超える規模の円高阻止の市場介入は、総合的に見て功を奏したのかどうかは知りませんが、市場介入が日本経済にマイナスの影響を与えた点が確実に存在したのは事実であることを指摘したいです。

  
Posted by kawase_oh at 09:35TrackBack(3)

玲子さんの戦績(6月20日〜6月24日)

0506042004年7月22日100万円で為替投資を始めた玲子さん。為替王の「今日のポジション」を見ながらUSD/JPYとEUR/USDの売買をしています。前週末で190万円だった資産は、今週末時点で197万円に増加しました。



USD/JPYは、6月14日に109円40銭で構築したドル買い・円売りポジション5万ドルを6月22日に108円50銭で損失確定の決済をしました。同時にドル売り・円買いポジション5万ドルを構築しました。

EUR/USDは、まったく売買しませんでした。6月13日に1ユーロ=1.2118で構築したユーロ売り・ドル買いポジシン5万ユーロを継続保有しました。前週末時点と比較してユーロ下落が進み、運用成績向上に貢献しました。

USD/JPYもEUR/USDも狭い値幅で推移しており、なかなか利益が出にくい相場局面と認識しています。長期的なドル高見通しは堅持しますが、USD/JPYは109〜110円、EUR/USDは1.20〜1.21でドル上昇が阻まれる展開が長引いています。従いまして、一時的なドル調整には引き続き注意を払いたいです。


玲子さんの過去の戦績については、こちらを参照
玲子さんが見ている「今日のポジション」は、こちらを参照

  
Posted by kawase_oh at 09:27TrackBack(2)
2005年06月24日

イングランド銀行のMr.ビーン

6月9日に英国イングランド銀行は政策金利を4.75%のまま据え置くことを決定しました。一昨日の22日にその議事録が公開されました。極めて興味深いものでした。

7対2の賛成多数で据置が決定されましたが・・・。反対した2人は、“利上げ”を主張したのではありません! 7人が据置を主張。2人は4.75%から4.5%へ金利を引下げることを主張しました。
ついこの前までは、多数の金利据置派に対して、 タッカーラージ副総裁 など一部の委員が5%への利上げを主張するという構図でした。なのに・・・、今月の会合では、一部の委員が4.5%への利下げを主張するという明確な変化が生じました。

今回利下げを主張したのは。
マリアン・ベルとチャールズ・ビーンです。ベルは先日の記事で書いたとおり、もともとハト派(利下げ派)です。イングランド銀行のMr.ビーンについては、私は今回ノーマークでした。
ベルは、今回を最後に退任するので良いとしても、ビーンが利下げを判断した根拠は気になります。

ビーンはクリケットやオペラが好きな52歳の貫禄ある英国紳士で、有名コメディドラマのMr.ビーンとはかなり異なる風貌です。金融・統計分析を専門とし、金融政策委員会の中でチーフ・エコノミストという重要な立場にあります。ビーンは、現状の英国経済成長および雇用や物価上昇がやや鈍化していると判断したようです。そして、「この段階で小幅利下げを実施しておけば、後々、大幅な利下げを実施する必要性が生じるのを未然に防ぐことができる」と考えたようです。

ということは、利下げ派も、絶対やるべきということではなく、予防的にやった方が好ましい、といった程度の認識のようです。そして、イングランド銀行を率いるキング総裁は、「減速は一時的である可能性がある」として、利下げを急ぐべきではないとの立場をとっています。

以上から、来月以降も4.75%のまま金利据置と予想するのが妥当だと思います。が、金利据置という結果に至るまでの過程は、今年に入ってから目まぐるしく変わっており、今後も注意が必要です。

  
Posted by kawase_oh at 09:47TrackBack(7)

今日のポジション(6/24)

<USD/JPY>
「ドル売り・円買い」ポジションを継続保有します。

<EUR/USD>
「ユーロ売り・ドル買い」ポジションを継続保有します。


戦略・見通しは維持します。
EUR/JPYは重要な131円を割れる可能性もあり、GBP/JPYも含めて、先日減らしたポジションをさらに減らすかすべて閉じたいと考えます。EUR/JPYは131円を完全に割れると、次の目標値は128円あたりになると考えます。
昨夜、グリーンスパンFRB議長は、米国議会で動きが進んでいる対中制裁関税について批判しました。「人民元の対ドルでの切上が米国製造業を著しく活発化させ雇用を増加させると信じるのは誤りであり、対中制裁関税は米国経済を“脅かす”ものだ」と警告しました。私は6月14日の記事で、米国議会の中国たたきの動きがヒステリックに加速することを懸念しましたが、米当局に、グリーンスパン氏のように良識を持ち勇気を持って発言できる人がいることを知り安心しました。


玲子さんの現在の戦略
USD売りJPY買い5万ドル 取引(6/22)108.50 重要ポイント109.20〜60あたり
EUR売りUSD買い5万ユーロ 取引(6/13)1.2118 重要ポイント1.220前後
*取引とは玲子さんが売買執行した日付とレート。重要ポイントは現在のポジションを利益確定または損切りなど戦略変更する上で重要であると考えるポイント。
  
Posted by kawase_oh at 09:29TrackBack(1)
2005年06月23日

大人気のインド

中国株関連の投資信託が人気が下がる一方で、インド株関連のファンドに資金が大量に流入している。というニュースをちらほら見かけるようになりました。複数のインド株投信にはそれぞれ数百億円規模で資金が流入している、との景気のいい話も聞かれます。
国内投資家が感情面で中国に対してややネガティブになったことに加えて、冷静な分析においても、中国の今後の経済成長にやや不透明さがあるのに対してインドはまだまだ潜在的な成長力を秘めている、と判断する投資家が多いことを反映しているのではと思います。

水を注すようで恐縮ですが・・・。
例えば、野村インド株投資という投資信託は、購入時の手数料が3%、それに加えて毎年の信託報酬として2%のコストが発生します。それらの消費税も合わせると、投資した初年度には5.25%もの手数料を徴収されてしまいます。他のインド株投信の手数料も似たようなもので、ちょっと取り過ぎじゃないのー!と思ってしまいます。

話を戻しまして、インドの主要株式指数と通貨の推移をちょっと見てみましょう。
インド株式市場は90年代以降バブル的な急騰とその後の急落を何度か経験しました。今回のインド株上昇局面は2003年に始まったものですが、上昇幅の大きさとその上昇スピードは過去のどんな上昇局面をも凌ぐものとなっています。すでに“おいしい局面”の大部分は終わったようにも思えますが、私の見る限り、最後のもう一伸びはまだ期待できるかなあという感じがします。

インドの通貨はルピー(INR:Indian Rupee)です。基本的には変動相場制ですが、取引・投資に際しては様々な制約が存在します。USD/INR相場は、歴史的にはほぼ一貫してドル高ルピー安でした。1970年代には1ドル=8ルピー程度だったのが、通貨切り下げなどを経て、2002年には1ドル=49ルピーというルピー最安値をつけます。その後、過去にはなかったようなドル安ルピー高に転じ、現在は1ドル=43ルピー程度です。INR/JPYで言えば、1ルピー=2円50銭程度となります。
  
Posted by kawase_oh at 10:51TrackBack(3)

今日のポジション(6/23)

<USD/JPY>
「ドル売り・円買い」ポジションを継続保有します。

<EUR/USD>
「ユーロ売り・ドル買い」ポジションを継続保有します。


戦略・見通しは維持します。
EUR/USDは先週から私が重要視する1.21あたりで、踏み止まっています。ユーロ売り・ドル買いポジションを維持しながらも、再度、1.22あたりを目指し上回るような動きがあれば、場合によっては明確なユーロ反発局面に入る可能性があると考えます。その場合は即座に戦略転換したいです。もし仮に、ユーロ反発局面に入れば、5月下旬にEU憲法がフランス国民投票で否決される前の水準である1.25から1.26あたりまでの短期的上昇は想定する必要があると考えます。但しそれは、私の長期的なドル強気見通しに影響を与えるものではありません。


玲子さんの現在の戦略
USD売りJPY買い5万ドル 取引(6/22)108.50 重要ポイント109.20〜60あたり
EUR売りUSD買い5万ユーロ 取引(6/13)1.2118 重要ポイント1.220前後
*取引とは玲子さんが売買執行した日付とレート。重要ポイントは現在のポジションを利益確定または損切りなど戦略変更する上で重要であると考えるポイント。

  
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2005年06月22日

イタリアリラ復活の動き

昨夜、スウェーデンの中央銀行であるリクスバンクが政策金利を引下げました。利下げする可能性が高いことは先週の記事で指摘しましたが、利下げ幅は予想以上でした。2%から1.5%への利下げです。

最近、先進諸国の金融政策は金利据置というつまらない結果が多い中、0.25%ではなく一気に0.5%も変更したのは注目に値します。
一般的に金利が高い通貨が買われやすく金利が低いと売られやすいという理論があります。
昨日のこのニュースが発表された直後、スウェーデンの通貨クローナ(SEK)は一時、急落しました。SEK/JPY相場は発表後に、10銭ほど急落する場面もありました。「たった10銭!?」と思われるかも知れませんが、SEK/JPYレートは現在14円30銭前後であり、10銭はその0.7%程度に相当します。USD/JPYで言えば80銭、GBP/JPYで言えば1円40銭も急落したのと同じ感覚です。

その後の市場の反応はまた面白く、スウェーデンが利下げしたのだからユーロも! という発想からか、ユーロ圏の利下げを連想した投資家がEURを売る場面も見られました。
今年はユーロ圏が利上げをすると予想する専門家がほとんどであった中、利上げができないことを想定していた私は自分のシナリオに満足していましたが、ここへきて、利下げ予想まで飛び出てきました。現時点で、その見方は性急だと思いますし、ユーロ圏の政策金利見通しが多少変わったところで、EURの長期的な対ドルでの下落予想にはあまり影響を与えません。

それよりも私はイタリアの迷走ぶりが気になります。
現在のイタリアは連立政権ですが、それを構成する一部与党や閣僚から、「イタリアはユーロから離脱をしてリラを復活させるべき」との声が挙がっています。イタリア首相のベルルスコーニ氏はもちろんキッパリ否定しており、イタリアがユーロから脱退することは現時点で想定する必要はないと思います。
ちなみに、リラ復活を主張する政党の地盤であるイタリア北部のあるレストランでは、ユーロを模擬貨幣と交換してそれで飲食をすることができます。交換レートはユーロと旧リラとの交換レートと同じです。その模擬貨幣の通貨単位はユーロ(euro)でもリラ(lira)でもなく・・・、“ニューロ(neuro)”!

  
Posted by kawase_oh at 12:17TrackBack(4)

今日のポジション(6/22)

<USD/JPY>
「ドル買い・円売り」ポジションをクローズして、「ドル売り・円買い」ポジションを構築します。

<EUR/USD>
「ユーロ売り・ドル買い」ポジションを継続保有します。


USD/JPYの110円台狙いは短期的には一旦あきらめます。先週13日月曜日から、109円台で何度も上値を抑えられており、仕切り直しとしたいです。短期戦略においてはドル売り・円買い戦略に転じます。
USD/JPYの一時的な調整予想に従い、EUR/JPYやGBP/JPYなど他通貨もロングポジションは継続しながらも、そのポジション量を落とします。

今回の戦略変更は短期スタンスに基づくものです。米国などの経済基盤分析においては何ら見通し変更すべき個所はないので、長期ドル高予想は堅持します。長期スタンスの投資家にとっては、私の予想通り、USD/JPYが一時的に円高に進むような局面があれば、それは米ドルを買い増す絶好の機会だと考えます。


玲子さんの現在の戦略
USD売りJPY買い5万ドル 取引(6/22)108.50 重要ポイント109.20〜60あたり
EUR売りUSD買い5万ユーロ 取引(6/13)1.2118 重要ポイント1.230前後
*取引とは玲子さんが売買執行した日付とレート。重要ポイントは現在のポジションを利益確定または損切りなど戦略変更する上で重要であると考えるポイント。

  
Posted by kawase_oh at 09:10TrackBack(2)
2005年06月21日

軟調な南アフリカ・ランド

今日は久しぶりに南アフリカの通貨ランド(ZAR:South African Rand)を取り上げます。

ZARは今年すでに対円で、10%も円高になっています。南ア・ランド建債券を保有している国内投資家は少なくなく、心中穏やかでないかも知れません。

今年は為替市場全般的に米ドル高の局面となっています。USD/ZARの為替レートもUSD高ZAR安に大きく動きました。2002年初頭から始まった過去3年間のZARの上昇率が驚異的(対ドルで約1.5倍、対円で1.6倍)だったので、ある程度の調整があるのは仕方ないとしても今後が気になります。

南アフリカにとって重要な金の価格は6月は上昇しており、直近の企業活動や個人消費に関する南ア経済指標を見ても、一旦落ち込んだ後の回復の兆しが確認できます。
一方で、マイナス材料は、南アフリカ当局の政策です。南アフリカの政策金利は利下げサイクルにあり、4月に7%に引下げられたばかりです。7%というのは南アフリカの歴史の中では極めて低い水準ですが、当面、引上げに転じる可能性は薄そうです。そのような中央銀行の金融政策に加えて、南ア政府も“競争力のある為替レート”、すなわちある程度のランド安を望むようなコメントを度々発しています。

昨年末にZAR/JPY相場は1ランド=18円50銭を超える高値をつけた後、今月月初は15円台まで円高になってしまいました。その後、16円台に反発しています。南ア当局の方針を考慮する限りにおいては、今後、さらなる円高は踏みとどまったとしても、積極的にZARの上昇を狙うのはちょっと厳しそうです。
ただ、債券投資の観点からは、南ア債券市場は依然として高利回り環境(政策金利が7%、10年債利回りが8%超)にあり、仮に為替差損が発生したとしても債券による高収益でかなり相殺されます。なので、為替相場がマイナスに動いたからと言って、慌てて売却する必要はありません。債券から得られる収益と為替から想定される損失とをよく計算してから、つまり、債券からの収益でどれくらいの為替差損をカバーできるのかを熟考した上で対応を考えたいです。

  
Posted by kawase_oh at 12:42TrackBack(22)

今日のポジション(6/21)

<USD/JPY>
「ドル買い・円売り」ポジションを継続保有します。

<EUR/USD>
「ユーロ売り・ドル買い」ポジションを継続保有します。


USD/JPYは再び109円台に乗ってきました。目標値は引き続き110円台後半から111円を狙います。しかしもし、109円台で上値を抑えられて108円台に完全に下落してしまうようならば、一旦短期ドル買い戦略を決済して方向転換することも検討します。
GBP/JPYは200円目前というところまで上昇しました。GBP/JPYの目標値としては先週申し上げた202円あたりを引き続き狙いたいです。

米国の有名な投資家であり、投資会社バークシャー・ハザウェイの会長でもあるウォーレン・バフェット氏は昨日の会見で、「為替相場を左右する基本的な要因に変化はない。米国がとっている政策は、何年もの期間をかけたドル安につながる可能性が高い。ドル安は非常に長期にわたり持続する公算が大きい。ドル安予想の投資は、当社のコカ・コーラ株への投資と同じようなものだ」とのコメントを発表しました。
それにしても、自信満々の態度ですね。
私はドル高予想を堅持しています。少なくとも、過去数ヶ月間は、誰がどう見てもドル高でした。そして私は、今後もバフェット氏の見通しに反して、長期的にドル高基調が継続すると予想します。


玲子さんの現在の戦略
USD買いJPY売り5万ドル 取引(6/14)109.40 重要ポイント108円台半ば
EUR売りUSD買い5万ユーロ 取引(6/13)1.2118 重要ポイント1.230前後
*取引とは玲子さんが売買執行した日付とレート。重要ポイントは現在のポジションを利益確定または損切りなど戦略変更する上で重要であると考えるポイント。

  
Posted by kawase_oh at 09:20TrackBack(2)
2005年06月20日

米国財政赤字は改善中

財政悪化に苦しむ日本や欧州主要国を尻目に、米国の財政赤字が縮小傾向にあります。
米国の財布が依然として赤字であることに変わりはありませんが、先月1ヶ月間の赤字額は353億ドル。1年前の赤字額625億ドルと比較すると、赤字額は大幅に縮小しました。

理由としては、米景気拡大に伴って税収が大幅に増加したということに尽きます。

私は、過去記事でも申し上げた通り、米国財政赤字はある程度改善するとの予想をまったく変えていません。ブッシュ大統領は“財政赤字半減”を公約にしています。“半減”はちょっと厳しいかなあとは思いますが、米財政収支は引き続き改善傾向を示すものと見ています。実際に、今年度の財政赤字額は、これまでのところ2720億ドルです。前年度の同じ時期は3460億ドルの赤字でした。およそ20%程度も赤字額が改善しています。

昨年は“米国双子の赤字”のひとつとして為替市場で盛んに注目された米財政収支赤字。もともと私は、財政赤字自体はリスク要因であるけれども、主要な為替変動要因として捉えるべきではないとの考えですが、今後は、米財政赤字を過度に注目する投資家やエコノミストの存在がますます影をひそめると思います。
短期的にはここ数日米ドルが軟調ですが、長期的な観点では、このことが私の予想する長期ドル高見通しをサポートする材料のひとつとなると判断します。

  
Posted by kawase_oh at 10:19TrackBack(9)