インド経済発展の裏の、ある重要な変化
先日、インド人の経済専門家にインド経済について話を聞く機会があり、率直に質問してみました。
私が彼にぶつけた質問は、
「インドの経済成長は本物か?」
「インドの経済成長はまだ続くのか?」
インド人の彼からは、興味深い答えがたくさん返ってきました。
「1990年代以降、インドの経済改革を進めてきたのが当時の財務大臣のシン氏。彼こそ今、首相となってインドを引っ張っている人物である。」
「1950年以降、およそ3%〜5%程度だった経済成長率が、シン首相のリーダーシップにより、最近では7%に達している。仮に今の成長が続けば、数十年後にGDP(国内総生産)で日本に追いつくことも夢ではない。あくまでインドの高成長と日本の低成長がずっと続けばの話だが。」
「インドの国民所得、生活水準はまだ一部だけだが確実に上昇している。特に、IT業界が目覚しく、IT業界の労働者の所得は過去5年で毎年25%ずつUPしている。つまり、5年前と比較すれば3倍の所得になっている。」
「今後その流れが、インド中流階級にも広がっていくだろう。中流階級の人口だけで4億人。人口3億人の米国で中流層をメインとしている小売業ウォルマートがインドに進出する予定だ。先日のブッシュの訪印も米企業のインド進出後押しが狙いのひとつだ。」
「インド経済のマイナス面は、インフラ整備が遅れていること。私の家でも、ほんの数年前までは、1日に電気を3時間しか使えなかった。インフラ事情は改善しているが、まだまだこれからだ。インフラ整備のためのプロジェクトひとつに何年もの時間を費やしていることは問題だ。」
他にも、彼は経済専門家らしく、とてもわかりやすくインド経済について解説してくれました。要約すれば、インド人から見ても、今後の自国の経済成長に対してかなり期待しているようです。
続いて彼はさらに興味深い話をしてくれました。
「インド国民の精神的な変化が大きい。昔は、“あるもので満足する”という考えだったのが、今では、“ないものを求める”という生活スタイルに変化してきた。それが今後も力強い経済成長の原動力となるだろう。」
この言葉は、衝撃的でした。
彼は食生活において宗教的な理由で制約があります。それほどインドの人たちにとって宗教観とか倫理観・道徳観というものが大きなウエイトを占めていると思っていたのですが、経済的価値観の占めるウエイトが上回ってきているように感じました。
彼はさらにインド人の精神的な変化を教えてくれました。
「私の父は絶対に借金をしなかった。車を買ったのは、年を取っておカネが貯まってからだった。しかし、今のインドの人たちの考え方は変わってきている。借金をすること(ローンを組むこと)に抵抗感が少なくなっている。」
インドに投資する理由のひとつに、戦後これまでの日本が経験したダイナミックな経済変化がこれからのインドで生じると期待されていることが挙げられます。
これまで日本人が経験したお金やモノに対する考え方の変化、ドラスティックな精神構造変化も、これからのインドで同じように生じるのかも知れません。
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