海外投機筋の円買いポジション、もし全て巻き戻し反対売買されたら為替ドル円レートいくら円安になりますか？

【コブシメさんから】
〜〜〜
為替王さま
こんにちは。
いつも為替王さんのブログで勉強させて頂いております。
私はFX万年初心者で、恐縮ですが質問があります。
3/12のブログで投機筋の円買いポジションは巨大な円安要因との事ですが、2/8の記事でデジタル貿易赤字が年間10兆円でドル円レート10円円安方向と言う事でした。そうすると、投機筋のポジション1.6兆円は1.6円しか円安要因にならないのではないでしょうか？
何か私の考え違いでしょうか。お手数をおかけしますが、教えて頂きたく。

よろしくお願いします。
コブシメ
〜〜〜

コブシメさん、お便りありがとうございます！
私のブログを熟読してくださっている方は、同じ疑問を持たれたかもしれません。一緒に確認していきましょう。

◆1兆円でドル円いくら動く？
2022年以降の円安局面において、日本政府・日銀により巨額の為替介入（ドル売り・円買い）が何度か実施されました。その時の為替の変動幅と、後に発表された介入額のデータを照合しますと、ざっと1兆円あたり1円ほど動きました。

◆投機筋のポジションとは？
よく話題になる「投機筋のポジション」とは、正確には、アメリカの先物取引所CMEの国際通貨市場IMMで取引されているデータで「IMM通貨先物ポジション」と呼ばれます。実際には、その取引所以外の為替取引量も膨大です。大手ヘッジファンドなど自分たちの手の内を知られたくない投資家は、その取引所を使ってないといわれます。私の感覚的には実際その10倍以上あるだろうと思います。ただ、日本でも「くりっく365取引所」や大手FX会社のデータを見れば、ある程度の傾向は推測できますね。IMMのデータを見れば、おそらくその10倍以上の同じような取引が世界全体でなされているだろうなあくらいな想像ができるわけです。

◆投機筋の円買いポジション反転でいくら動く？
過去のデータで検証してみましょう。
●過去、円買いポジションが目立った時期といえば2020年。当時最大5万枚で、現在の円買いと比べて4割弱。当時その円買いポジションが一気に解消されるまでに6〜7円ほど円安に動きました。現在の枚数に換算すれば、15〜18円ほど動かす圧力になります。
●その前で目立った時期は2016年。当時は最大7万枚、現在と比較して5割強。当時その反転で最大18円ほど円安に動きましたが、終盤一時だいぶ行き過ぎた部分を差し引いて控えめに見積もっても12円程度。それを現在の枚数に換算すれば22円も動かす圧力になります。

◆まとめ
以上をまとめますと、現在の投機的な円買いポジションが、将来もしも全て反対売買されて手仕舞われた場合、15円〜20円くらいは円安方向に動かす圧力になる可能性があると推測されます。もし今後さらに投機筋が円買いを強めて、為替レートが140円や130円へ下げが深くなったとしても、彼らがポジションを全て巻き戻す頃には160円以上に戻るだろうと思います。
※今年のドル円は高値からせいぜい10円ほどしか円高になっていないので、計算が合わないと思った方もおられるかもしれません。それこそが実需の円売りです。投機筋が過去になかったほど膨大な額の円買いをしているにもかかわらず、今年せいぜい10円ほどしか円高になっていない理由は、貿易やら日本企業および個人の海外投資やら実需の円売りと相殺されているからです。もし投機筋の円買いがゼロであれば、今年も160円を超えて円安が進行していたことでしょう。


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