2009年03月25日

WBCのMVP松坂大輔投手が所属するボストン・レッドソックスオーナーの笑いが止まらない理由

野球の世界大会WBCで最優秀選手(MVP)に選ばれた松坂大輔投手の所属するメジャー球団ボストン・レッドソックスのオーナーの名前はジョン・ヘンリー。彼は、裸一貫から成り上がった偉大な相場師として私たちの憧れの存在でもあります(ジョン・ヘンリー氏がどのような相場哲学・投資手法で、メジャー球団を保有できるほどの大富豪になれたかについてはカレンダーのガイドブックのP.13をご参照ください)。

ジョン・ヘンリー氏は、配下の松坂投手がWBCでMVPを獲得しただけでなく、他の理由でも笑いが止まりません。なぜなら、  続きを読む

Posted by kawase_oh at 07:47TrackBack(22)
2008年07月04日

FXCMジャパンのGCIグループ山内社長独占インタビュー 〜ヘッジファンドの全貌〜

FXCMジャパンを傘下にもつGCIグループを率いる山内英貴社長の独占インタビューの第5回(※過去の連載記事はこちら)。

今回は、みなさまお待ちかね。ヘッジファンドについて。
  続きを読む
Posted by kawase_oh at 07:42TrackBack(75)
2008年02月01日

高収益追求しながら元本確保するヘッジファンドのカラクリ

高収益を狙うヘッジファンドの元本が保証されているとしたら?
そんな夢のような金融商品があります。元本確保型のヘッジファンド。しかしそれって、やはり怪しい金融商品なのでしょうか? そのカラクリを解説いたしましょう。
  続きを読む
Posted by kawase_oh at 07:44TrackBack(81)
2008年01月21日

ヘッジファンドって本当に儲かるの?

日本でも機関投資家や富裕層を中心にヘッジファンド販売・購入が徐々に広がりを見せていますが、さて、「ヘッジファンドって本当に儲かるの?」という点がみなさまの一番の関心事だと思います。
  続きを読む
Posted by kawase_oh at 07:03TrackBack(76)
2007年05月16日

「ヘッジファンドは儲かる」の幻想

2004年秋、国内大手証券で、日本ではまだ馴染みの薄い絶対収益追求型の投資信託(=いわゆるヘッジファンド)が個人投資家向けに販売されました。  続きを読む
Posted by kawase_oh at 06:49TrackBack(53)
2006年03月25日

ヘッジファンドブームの陰に大量のヘッジファンド破綻

読者の方の中には、『ヘッジファンド』に興味があって、投資したいなぁと考えてらっしゃる方も多いかと思います。


ヘッジファンド・リサーチというその名のとおり、ヘッジファンドを調査している会社があるのですが、その会社の発表によりますと、驚くべき事実が発覚しました。


2005年には、10分の1の確率でヘッジファンドが破綻したというのです。


現在、ヘッジファンドの数は、世界中で数千から1万近くあると言われています。
2005年だけで2,000もの新規ファンドが設立された一方で、1,000件近くもの膨大な数のファンドが消えてなくなりました。中には、投資金額がほとんど戻ってこないケースもあったようです。


原因として私が思いますに、

  続きを読む
Posted by kawase_oh at 09:31TrackBack(28)
2006年02月12日

ヘッジファンドの運用成績

2005年以降ドル安を予想し、為替相場予想に関しては、まったく精彩を欠いているヘッジファンド界の帝王ジョージ・ソロス。

しかし、彼の主宰するヘッジファンド「クオンタム・ファンド」は昨年も好成績でした。(現在、クオンタム・ファンドの現場の運用責任者は、ジョージ・ソロスの息子のロバート・ソロスが担当しています。)
2005年のクオンタム・ファンドの年間上昇率はおよそ13%。


昨年私たちは日本株やドルに投資していれば、それを上回る成績を上げることができていますので、「たったそれだけか!?」という声も聞こえてきそうです。が、巨額のファンドをリスクを回避しながら安定的に運用しなければなりませんので、1年で13%というリターンを獲得するだけでも大変な労力を要したことと思います。

“ヘッジファンドは儲かる”というイメージをお持ちの方も少なくないかも知れませんが、実際には、収益極大化よりもリスク極小化、どんな局面でも安定的な運用成績を残すことを目的としているファンドが多いです。

例えば、2005年、日本国内では、株で資産を何倍にも増やした投資家がいましたが。一方のヘッジファンド業界では、収益率が100%以上(=資産を2倍に増やした)というファンドは数えるほどしかありません。
世の中に数千〜1万近くもあると言われるヘッジファンドの中から、運良くそんなファンドに巡り会えるのは奇跡的なことだったかも知れません。


むしろ、たくさん儲けようとしてリスクを取りすぎているヘッジファンドは危険です。
  続きを読む
Posted by kawase_oh at 09:30TrackBack(16)
2005年06月04日

最近のジョージ・ソロス

年収1千億円のファンドマネージャーを先日の記事でご紹介しました。そう言えば、日本でも有名なジョージ・ソロス(George Soros)ってどうなっちゃったんでしょうか?どこかへ行っちゃったんでしょうか?

いえいえ、ソロスは健在です。すでに74歳と高齢ですが、昨年の報酬は日本円換算で軽く300億円を超えちゃいました。ちなみに一昨年の2003年は800億円も稼いでいました。報酬は半分以下に減ったものの、年収300億円というのは、ファンドマネージャーの中でも驚異的な報酬額で、もちろんまだトップ10に入っています。

2003年の800億円から2004年は300億円へと、気絶しそうなほどの金額が減ってしまったソロスですが、その理由は何だったのでしょうか?
主な理由はやはり彼のファンドの運用成績が悪かったからだと思われます。ソロスの運用する主力ファンドと言えば、ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、通称クオンタム・ファンド、現在の正式名称はQuantum Endowment Fundと言います。このファンドは2003年は年間でおよそ15%というまずまずの好成績でしたが、2004年には5%弱に悪化してしまいました。およそ9千億円規模の巨大なファンドで好成績を残すのは大変なことではあります。がしかし、高い手数料を徴収するのであれば、5%弱という成績ではちょっと物足りません。

昨年のソロスは米大統領選挙に夢中で、ファンド運用にはあまり目が向いていなかったのかも知れません。実際、現在の運用責任者はソロス本人ではなく、息子のロバート・ソロスが担っています。ファンドマネージャーが“世襲”するとは!? ちょっとどうかと思いますが・・・・・。

米大統領選挙でケリー候補を応援したジョージ・ソロスは、反ブッシュの政治団体にはなんと、30億円もの大金を寄付するほどの熱の入れ様でした。結果はご存知の通りケリー陣営は負けてしまいました。
選挙に負けて大金がパーになったのが相当むかついているのか、今年に入ってからも、ブッシュ大統領の政策提案を過激に批判するなどして頑張っています。74歳のソロス爺さん、老いてもなお存在感は衰えるところを知らないようです。
  
Posted by kawase_oh at 12:54TrackBack(10)
2005年05月30日

年収1千億円

高額納税者No.1が100億円も稼いだファンドマネージャーである、とのニュースが今月は大いに話題となりました。しかし世界に目を向けると、もっと稼いでいる人がいます。

専門誌によれば、昨年最も高額な報酬を手にしたファンドマネージャーは・・・・?

米ヘッジファンド運用担当者で、手にした額はなんとなんと・・・・・、日本円換算で1,000億円!
日本では1,000万円稼いでいるだけでもすごいですが、そんな1,000万円プレーヤーの1万人分の給料をたった1人で稼いだことになります。

どんな人なのか? 読者の皆様も興味のあるところだと思いますので、ご紹介します。
お名前は、エドワード・ランパートさん。年齢はまだ42歳。エール大学を卒業したエリートで、卒業後はゴールドマンサックスという米国の大手金融機関で働き始めました。しかし、わずか数年でその会社を辞めて、1988年にESLインベストメントという会社を設立します。現在もその会社で会社経営およびファンド運用の指揮をとっています。高学歴・高収入の上に、細面でかなりハンサムです。

で、どのようにして稼いだかと言うと・・・?
ファンドマネージャーと言っても、私たちがイメージするように、頻繁に株を買ったり売ったりして稼ぐと言うよりは、ある会社の株を買い占めて経営権を握り、そして、経営に携わることでその会社の価値を高めたり、さらに他の会社を買収したりして資産価値を増大させるような戦略を取ります。エドワードさんは有名な米ディスカウント小売店Kマートの経営権を握っており、昨年はKマートによる他店買収戦略などが功を奏し、莫大な報酬を得たようです。

蛇足ですが、正確に日本円換算すると、1,000億円ではなく1,100億円になります。100億円という金額ですら、エドワードさんの報酬においては端数と見なすことができてしまいます・・・・・。

  
Posted by kawase_oh at 12:58TrackBack(7)
2005年05月28日

イスラム教徒向けのヘッジファンド

ヘッジファンドはいまや何千ものファンドが乱立していて、その投資手法や投資対象も様々です。新規のヘッジファンド立ち上げのニュースは毎日のようにありますが、先日、ちょっと珍しいヘッジファンド設立のニュースがありました。

イスラム教徒向けのヘッジファンド・・・!!!
お酒の会社には投資しない。タバコの会社にも投資しない。金利の付いた証券には投資しない。などなど・・・。
イスラム教徒も自分の資産を運用して欲しい。しかし、イスラム教の戒律を破ってはいけない。そんなニーズを満たすヘッジファンドにするそうです。

SRIの考え方に似ていますね。SRI(Socially Responsible Investment)を訳すと、“社会的責任投資”となります。これは単に、儲かるか損するかというような投資基準だけでなく、企業の法令遵守や地域社会・環境へ与える影響など、様々な側面から社会的貢献度を評価して、投資判断をする発想です。この発想を基に、ギャンブルや武器関連の企業には投資しないというファンドも存在します。SRIは欧米で発達した考え方なので、もともとキリスト教などの宗教的な倫理観が多分に入っていたという見方もできます。

話を戻しまして、イスラム教徒向けファンドが酒やタバコの会社に投資しないのはわかりますが、金利の付いた証券に投資しないとは・・・?

ご存知の方も多いでしょうが、イスラム教では金利を徴収することを悪いことだと考える習慣があります。おカネを借りる側の貧しい人が金利を払うとますます貧しくなり、おカネを貸す側の裕福な人が金利を受け取るとますます裕福になる。アラーの神の下で平等であるべきイスラム社会では金利の徴収は禁じられていたのです。

資本主義社会に生きる私たちにとって、金利がつくことは当たり前のことですが、富める者がさらに富み、貧しい者がさらに貧しくなる循環をストップさせるこのイスラム教の発想には、なるほどと頷いてしまいます。いやっ、そう言えば、今の日本もまるでイスラム教の戒律を守っているかのように、金利がぜんぜんつきませんね。

しかし・・・、
金利を受け取らないのは私たち預金者だけで、銀行は私たちからただ同然で借りたおカネでぼろ儲けをするという構造が何年間も続いています。アラーの神が見たら、さぞ驚かれることでしょう。

  
Posted by kawase_oh at 12:06TrackBack(14)
2004年10月02日

神々の集団、LTCMの考察

今日は好評連載中のヘッジファンド特集の第14回です。9月29日の第11回「神々の集団、LTCMの破綻前夜」、9月30日の第12回「神々の集団、LTCMの崩壊」、10月1日の第13回「神々の集団、LTCMの後始末」に続く最終章です。まだ読んでいない方は、是非そちらを先にご覧下さい。


選りすぐりの高学歴・高経歴のエリートたちが参加し、神々の集団とも呼ばれたLTCM(Long Term Capital Management)社、その名を訳すと“長期資産運用会社”となりますが、自分たちの能力に自惚れて市場・相場を甘く見たために、創設からわずか5年という短期間で、その最期を迎えることとなりました。

米国の有名大学では、日本の個人投資家なら誰でも知っているような投資の原則についての知識がなくても、博士号やMBAが取得できるようです。しかし、大学で勉強しただけの“学歴人間”や、上役に媚びるだけの“エリート・ビジネスマン”が持つ能力と、資産を増やす能力とはまったく異質なものであることが、LTCMの破綻により証明されました。テストで良い点数を取る能力、優れた論文を作成する能力、会社で出世する能力、資産を増やす能力、それぞれ別物です。当たり前の事ですね。世界の金融機関においては、まだそのことがわかってない会社がたくさんあって、そんなわかってない人達によってあなたの大切なお金が運用されてます。残念ながら・・・。

「私は貧乏人だから、そんな金融機関とは縁がありません。」と言ってるあなた! そんなあなたが毎月徴収されている年金も、資産を増やす能力はないが、お世辞を言うのだけは上手い“エリート・ビジネスマン”によって運用されているかも知れません。
  
Posted by kawase_oh at 15:57TrackBack(4)
2004年10月01日

神々の集団、LTCMの後始末

今日は好評連載中のヘッジファンド特集の第13回です。一昨日(9/29)の第11回「神々の集団、LTCMの破綻前夜」と昨日(9/30)の第12回「神々の集団、LTCMの崩壊」に続く第3章です。まだ読んでいない方は、是非そちらを先にご覧下さい。


そうそうたるメンバーが運営していたヘッジファンド会社LTCMは破綻に追い込まれましたが、なぜでしょうか? 彼らの犯した間違いとは?
ひとつは、常にエリート街道を歩んできた彼らにとって、自分の間違いを認めることができなかったということ。もうひとつは、自分が絶対正しいと信じて、実際の資金の何十倍も取引を行っていたこと。

結局、LTCMの破綻が明らかになったのは1998年9月。その時点でLTCMは、純資産が当時の日本円換算で6,500億円程度だったのに対し、その20倍以上の資金を金融機関から借り入れて、その資金も相場に突っ込んでいました。さらにデリバティブ取引でレバレッジを効かせることで、さらにその10倍程度(=最終的に日本円換算で約140兆円)の取引残高がありました。
LTCMの破綻は、即、LTCMに資金提供していた金融機関の破綻、ひいては世界的な金融システムの破綻につながる恐れがありました。アメリカ政府は、金融機関に巨額の資金を捻出させて、LTCMを救済する手段を講じました。

本当にそれが正解だったのでしょうか?
私たち個人投資家が投資をする前に最初に学ぶことは「自己責任の原則」です。LTCMの“超優秀なエリート集団”は、損失に対して自己責任ではなく、他人に尻拭いをしてもらうという、投資家として恥ずべき結末を当然のように受け入れたのです。
私たち個人投資家は、「自己責任の原則」を当局からも金融機関からも啓蒙されています。私たちが、いろんなところから巨額の資金を借りて、巨額の取引を行い、金融システム破綻の恐れを及ぼすくらいの損失を出したとしたら・・・。LTCMと同様に尻拭いしてもらえるのかしら?

(明日はLTCMシリーズのいよいよ最終章です。)  
Posted by kawase_oh at 17:51TrackBack(4)
2004年09月30日

神々の集団、LTCMの崩壊

今日は好評連載中のヘッジファンド特集の第12回です。昨日(9/29)の「神々の集団、LTCMの破綻前夜」の続編です。見逃した人は、是非、先に読んでください。

1997年、タイの通貨バーツが変動相場制に移行したことに端を発するアジア通貨危機が、翌年の1998年にはロシアに伝染し、いわゆるロシア危機を招きました。それは、世界的に、より安全なものに資金を逃避させるという流れを生みました。
その当時、LTCMは割安なロシアなどの新興国の債券を買って、割高な米国債を売っていました。彼らの複雑怪奇な理論によれば、割安な債券価格は絶対に上昇し、割高な債券価格は絶対に下落する。そして絶対に儲かるはずだったのです。

ところが、アジア危機・ロシア危機を受けて、世界的な金融危機の恐れが生じたとき、割安なはずの債券価格はさらに下落しつづけ、ロシアはついに債務不履行(債券価値がゼロになること)を宣言しました。一方、割高なはずの米国債は世界的に投資家の資金逃避先となり、価格上昇がますます止まらなくなりました。LTCMが買っていたものが暴落し、売っていたものが暴騰したのです。そんな相場の動きを見ても、彼らは自分たちの戦略を変えようとしませんでした。おそらくLTCMの社内ではこんな会話が飛び交っていたことでしょう。

「買っているロシア債の価格が下がってる?博士の俺が上がると思ってんだぞ!いずれ上がるに違いない!」
「えっ!まだ下がってるの?ノーベル賞学者の作ったプログラムでは上がることになってんのよ!市場が間違ってるのよ!」
「売っている米国債の方は逆に上がり続けているのか?そんなバカな!大学教授は偉いんだぞ!教授が下がるといったら下がるんだ!市場参加者はマヌケだ!」
「学者の考え出した理論と逆の方に相場が動いている!やっぱり市場参加者はバカだ!偉い俺達の考えは理解できないんだ!」
「それにしても損失が巨額になっている・・・・・。レバレッジをかけ過ぎたか・・・?」
「いや、上手くいくはずだ!おれは博士だぞー。ふぎゃー。」
「私も有名大学でMBAを取ってるのよー。キャー。」
「お前のせいだ!」
「あなたのせいよ!」
「元副議長!何とかしてくれー!」
「もうだめだぁー。」


すべて私の推測ですが、おそらくこんな感じだったのでしょう。間違っていたのは市場でも他の市場参加者でもなく、彼らの方でした。彼らの犯した誤りは2つ考えられます・・・。


(明日に続く)
  
Posted by kawase_oh at 18:20TrackBack(15)
2004年09月29日

神々の集団、LTCMの破綻前夜

今日は、好評連載中のヘッジファンド特集の第11回です。これまでの連載の中で度々、LTCMに言及した(ご参照:第3回第10回)ところ、読者の方から、「LTCMって何でしたっけ?」というご質問を複数頂戴しました。今日は読者の皆様とともにLTCMの事件を振り返ってみたいと思います。

LTCM(Long Term Capital Management)とは、1993年末に米国で設立されたヘッジファンド会社です。創設者は有名な債券トレーダーのジョン・メリウェザーで、彼自身は過去にすごく稼いだ辣腕トレーダーでしたが、もっとすごいのはその周りを固めるメンバーでした。
マイロン・ショールズとロバート・マートン。2人とも大学教授であり、且つ、なんとあのノーベル経済学賞を受賞したことのある人たちです。さらに米連邦準備制度理事会の元副議長のデビット・マリンズや、有名大学で博士号を取っている人間も多数参加しました。まさに、高学歴・高職歴のオンパレードです。

当初はそんな「神様のような存在の人達」が考え出した複雑な理論をもとにした投資手法で大きな利益を上げました。95年、96年は、ともに40%以上という素晴らしい運用成績を残しました。この成績は素直に賞賛に値します。彼らの投資手法は主に、割安な債券を買うと同時に割高な債券を売る、という戦略です。2種類の債券の価格差が拡大しても、理論的にはいずれ、拡大した価格差は収斂する。つまり、市場変動により、一時的に価格差が拡大している債券を見つけ出せれば、絶対に儲けることができる!絶対に!彼らはそう信じていました。

当初の好成績に気を良くした彼らは、レバレッジをかけて実際の資金の何倍もの取引量を、同じような戦略のもとで行いました。40%の利益が出る取引を10倍のレバレッジをかけて行えば、利益も10倍で、400%の利益になります。おそらくLTCMの社内では、こんな会話が飛び交ってたことでしょう。

「おー、また儲かっちゃったなあ。何しろ私は博士だから!」
「へっへー、楽勝だね。なんてったって、ノーベル賞取った学者の戦略なんだから!」
「損する気がしないねー。だって僕は大学教授なんだもん!」
「よしっ、絶対儲かるプログラムなんだから、実際の資金の何十倍もの取引をやっちゃおうよ!何かあっても、こっちには米連邦準備制度理事会の元副議長がいるんだぜー!」
「絶対儲かるぞ!へっへっへーーー!」
「儲かりすぎちゃう!うっひゃっひゃー!」


すべて私の推測ですが、おそらくこんな感じだったでしょう。
しかし、このとき彼らは大きな落とし穴に気づいていませんでした。そして、とんだ勘違いをしていた「神様のような集団」のLTCMを、本当の神様は許しませんでした。


(明日に続く)
  
Posted by kawase_oh at 17:07TrackBack(14)
2004年09月28日

えっ、1000万円がたった30万円に!

今日は、大好評ヘッジファンド特集の第10回です。これまでの連載の中で、運用成績上位のヘッジファンド(ご参照:第1回第4回)や、運用資産規模の大きいヘッジファンド(第5回第9回)を紹介してきました。しかし、私はヘッジファンド業界の回し者でも、セールスマンでもありません。皆さんと同じ一人の投資家です。今日は、良いものばかりでなく悪いものも、怖いもの見たさで、ちょっと覗いてみようという趣旨で、運用成績の悪いファンドの例を上げてお話したいと思います。

過去(1998年)にLTCMという米国のヘッジファンド会社が破綻したときは、結構大きなニュースになりましたが、最近でも、破綻したり、行き詰まった後清算するヘッジファンドはよくあります。ちゃんと成績を公表しているファンドの中で、直近の運用成績が最悪なのは・・・・・、さずがに名前を出すのは可哀想なので、ここでは仮にAファンドと呼びましょう。

Aファンドはイギリス人の運用するヘッジファンドで、投資対象は為替市場です。通常の為替売買だけでなく、為替オプションなどのデリバティブ取引も運用に取り入れているようです。Aファンドは2002年に運用を開始して以来、ずっとマイナスの運用成績です。成績の推移をグラフにすると見事なまでに右肩下がりです。
もし仮に、2002年の設定と同時にこのファンドを1,000万円で購入していたらどうなっていたでしょうか? このAファンドは、購入手数料をなんと5%もとっているので、運用を開始してもらう時点で、50万円を徴収されて950万円になっています。そして、2年以上にわたり、一生懸命運用してもらった結果・・・・、今残っているお金はわずか30万円弱です。

1,000万円が30万円に! これもヘッジファンドの現実です。


大好評ヘッジファンド特集! まだまだ続きます。乞うご期待!
  
Posted by kawase_oh at 19:36TrackBack(6)
2004年09月26日

ファンド・オブ・ファンズは低リスク低リターン、それでいいのか!

今日は、大好評ヘッジファンド特集の第9回です。

運用資産規模が世界No.1のファンドは特集の第5回でも紹介した通り、ソロスのクオンタム・ファンドで、資産規模は日本円換算で約9千億円にも上ります。

では、世界第2位の巨大ヘッジファンドは何でしょうか?
答えは、アブソリュート・アルファ・ダイバーシファイド(Absolute Alpha Diversified)という名前のファンドで、ロンドンにあるフィナンシャル・リスク・マネジメント(Financial Risk Management)という会社が運用を行っています。運用資産額は日本円換算で6千億円超です。

いったいどんなヘッジファンドなんでしょうか? 実はこれ、ヘッジファンドの中でも“ファンド・オブ・ファンズ”と呼ばれるものに分類されます。ファンド・オブ・ファンズとは、ヘッジファンド業界だけでなく、通常の投資信託なんかでも使われる言葉です。意味は、「複数のファンドを組み合わせてひとつにしたもの」です。普通の人がたくさんのファンドを調べて、良いもの(目的に合ったもの)だけをいくつか選んで購入することは時間がかかるし面倒ですね。株式投資家ならたくさんの株を買ってリスク分散している人が、読者の方の中にもいらっしゃると思いますが、これのヘッジファンド版だと考えてもらえれば話が早いと思います。

話を戻すと、世界第2位の巨大ファンドを運用しているのは、フィナンシャル・リスク・マネジメントという会社だと言いましたが、実際には運用しているのではなく、ファンドの選定をしていると言った方が正確かも知れません。で、アブソリュート・アルファ・ダイバーシファイドについて話を進めると、何度見ても長ったらしくて覚えにくい名前ですが、日本語に訳すと、“絶対収益追求分散投資ファンド”といった感じになります。運用成績に目を移すと、リスク分散しているだけに、大損することはあまりなく、逆に大儲けすることもありません。過去1年では4%、過去5年では8%という安定した成績を残しています。過去3ヶ月では−0.3%とマイナスですが、いずれにしても低リスク、低リターンと言って良いでしょう。

おっと、忘れていましたが、高手数料であることは、他のヘッジファンドと変わりありません。例えば、1年前にこのヘッジファンドを1,000万円で購入した人は、購入時点で3%の手数料を徴収されて元本は970万円に減らされてしまっています。ようやく1年経って、徴収された手数料分が回復して、元本の1,000万円に戻ったところです。送金手数料なども考慮すれば、まだマイナスかも知れません。いくら安定してる方がいいと言っても、安定した高リターンではなく、安定した低リターンであるならば・・・、高い手数料のヘッジファンドに投資する意味があるかのかどうか? 考えもんです。
  
Posted by kawase_oh at 15:35TrackBack(12)
2004年09月24日

ジョージ・ソロス、ヘッジファンド界の帝王への道

今日は大好評ヘッジファンド特集の第8回です。これまでのヘッジファンド特集の中で、読者の方からのソロスに関するご質問が後を絶ちません。なので、今回はソロスの生い立ちと、彼が有名になるきっかけとなった欧州通貨危機についてお話ししたいと思います。

ジョージ・ソロス(George Soros)は1930年ハンガリー生まれのユダヤ人です。ハンガリーがナチスドイツに占領されたとき、ユダヤ人のソロスは他人に成りすまして生き延びたと言われています。戦後は共産党支配の祖国ハンガリーに嫌気がさし、ロンドン、さらにはニューヨークへと移住しました。
アメリカでは金融機関でトレーダーやアナリストとして働いた後、1969年頃からヘッジファンドの運用を開始します。そして、1973年に現在クオンタム・エンドウメント・ファンドと呼ばれるソロス・ファンドを設立したのです。
それより以前からヘッジファンドと呼ばれるファンドは存在しましたが、ヘッジファンドという言葉を一躍有名にしたのはソロスであり、それは1992年のことでした。

1992年9月、当時、イギリスはERM(欧州為替相場メカニズム)という現在の欧州統一通貨EURの前段階システムに参加していました。その時のイギリスは今と違って不況に苦しんでおり、低金利を維持せざるを得ない状態にありました。一方、同じくERMに参加するドイツは、当時は東ドイツとの統合により、インフレ&高金利の状態でした。
正反対の経済環境でありながら、統一通貨を目指して同じ通貨メカニズムを採るのはどうしても無理があります。これが1992年の欧州通貨危機であり、そこに目をつけたのがソロスです。彼は巨額の資金を投じて英ポンドの空売りを開始しました。それに対してイギリス政府も黙っていませんでした。自分たちこそ世界の中心であると信じて疑わないイギリス人たちは、大英帝国の威信にかけてもヘッジファンドごときに負けるわけにはいかなかったのです。当時のイギリスのラモント蔵相はヘッジファンドを潰してやると意気込み、不況下であるにもかかわらず政策金利引上げの手段に打って出ました。さらに、イギリス中央銀行は英ポンドを買い支えるために巨額の資金を投入しました。しかし・・・・・、ソロス側はひるむことなく英ポンドを空売りし続けました。当時の日本円換算で1兆円以上の英ポンドを空売りしたと言われています。
結局、下落しつづける英ポンドに対して、イギリス政府は打つ手がなくなり、負けを認めざるを得ませんでした。間もなく政策金利を元に戻し、その後、更なる金利引下げとERMからの脱退を余儀なくされたのでした。一方、イギリス政府との戦いに勝ったソロスは、日本円換算で1,000億円以上を荒稼ぎしました。

現在、私たちはGBP(英ポンド)という通貨に投資することができますが、もし仮にソロスがいなければ、GBPはとっくにEURに統合されていたことでしょう。彼は世界経済の歴史を変えてしまったのです。

*ERM(欧州為替相場メカニズム):欧州通貨統合(EUR)を目指して、各国は金利水準を収斂させ、為替相場変動幅を一定以内に保つことが求められていた。当時のイギリスはソロスのGBP(英ポンド)売り浴びせに遭い、ERMの条件を満たせなくなった。


大好評ヘッジファンド特集!まだまだ続きます。次回をお楽しみに!
  
Posted by kawase_oh at 18:47TrackBack(6)
2004年09月23日

ソロスが注目してる株は?

今日は大好評ヘッジファンド特集の第7回です。昨日(9/22)の第6回の記事でソロスの昨年(2003年)の報酬を記したところ、読者の方から「トップがひとりじめですね!」なんてご感想を頂戴しましたが、まさにおっしゃる通り。おそらく部下の多くは安月給で働かされているのでしょう。可哀想に。

さて、今日はソロスのヘッジファンドの投資先についてちょっとお話します。

今年は原油価格の高騰が世界的に注目されてきましたが、ソロス・ファンドもちゃんと石油会社の株に投資していました。その辺はさすがですね。ちょっと名前を明かすと、BPというイギリスの会社や、シェブロンテキサコというアメリカの会社の株です。ともに世界的に事業展開している大きな石油化学会社です。

しかし、残念!!! 
というのは、今年の6月あたりまでに保有株を売却してしまっていたようです。それまでに結構、株価は上昇しましたが、その後も原油価格は皆さんご承知の通り、更に高騰し続けました。そんな事情を背景に、両方の株価ともに、6月以降だけでさらに10%以上も上昇しちゃっています。残念!

他の投資先を見ると、有名なコンピューターソフト会社のマイクロソフトの株やコンピューター処理サービス会社のADPの株なども保有しています。両者ともアメリカの会社ですが、今年の株価の推移はあまりパッとしません。そして、ソロス・ファンドの最大の投資先は? となると何といってもジェットブルーエアウエイズです。なんだそりゃ?とお思いの方もいるでしょうが、ニューヨークのJ..F.ケネディ空港ではかなり幅を利かせている航空会社で、低料金のノンストップの航空サービスなどで頑張っています。ソロス・ファンドはその会社の株を、日本円換算で300億円相当以上保有しています。残念ながらこの会社の株も今年は低迷しており、それがソロス・ファンド全体の運用成績の悪さの原因のひとつとなっています。


大好評ヘッジファンド特集!まだまだ続きます。乞うご期待!
  
Posted by kawase_oh at 22:17TrackBack(6)
2004年09月22日

錬金術師ソロス、成績は低調でも報酬は絶好調!

好評連載中のヘッジファンド特集の第6回です。昨日の第5回で有名なソロスと彼のヘッジファンドについてお話しました。やはり読者の方のソロスへの関心は高いようで、彼に関するご質問をたくさん頂戴しています。以下は一部抜粋です。

********************
「昔ソロスってヘッジファンドマネージャーで有名でしたよね。彼っていまどうしてるんですか?為替王は彼のことどう思っていますか?」
「ソロスは今どうしてるんですか?」
「ソロス本人はもう一切運用に関与してないんですか?」
********************

お答えします。

昨日の記事でもご紹介したように、彼は今でも、世界最大のヘッジファンドであるクオンタム・エンドウメント・ファンド(Quantum Endowment Fund)を運用する会社、ソロス・ファンドマネジメント(Soros Fund Management)のトップの座にいます。ここの運用担当者が最近ころころ替わるという話は昨日しましたが、現在は長男のロバート・ソロス氏が運用責任者になっています。ちょっと首をかしげたくなる人事ですが、それは今後の運用成績を見て判断することにしましょう。で、ソロス本人は一切運用から手を引いたかというと、決してそんなことはなく、意見や指図は与えているものと思われます。ちなみにソロスがハンガリー生まれというのは有名ですが、趣味はスキーやテニスだそうです。日本の軟派な大学生みたいですね。

世間ではソロスの話題が減っているかも知れませんが、彼は決して落ちぶれたわけではありません。ファンドの運用成績はかつてほど良くありませんが、ファンドの資産規模が莫大(約9千億円)であるため、大した成績でなくても毎年たくさんの運用報酬が入ってきます。ソロスの報酬はあくまで推定ですが、2003年は800億円以上が彼の懐に入りました。ヘッジファンド業界では間違いなく最高額です。

あなたはソロスのヘッジファンドを買って、彼の更なる収入増に貢献したいと思いますか?かつての好成績ならともかく、昨日ご紹介したような直近の運用成績は、リスクを取って尚且つ高い手数料を払うに値するものとは思えません。ましてや運用担当者もころころ替わっていて、どのようなビジョンなのかも見えてきません。
「ソロスのクオンタム・ファンドを買いたいんだけどどうかなあ?」というご質問があれば、私は即座に「ノー」とお答えします。

好評連載中のヘッジファンド特集!まだまだ続きます。乞うご期待!
  
Posted by kawase_oh at 18:02TrackBack(10)
2004年09月21日

ソロスの世界一巨大なヘッジファンド

好評連載中のヘッジファンド特集、これまでは主にヘッジファンドの過去の運用成績や手数料に焦点を当ててきました。(ご参照:ヘッジファンド特集第1回第2回第3回第4回第4回の質疑応答
今日はその第5回、運用資産規模No.1のヘッジファンドについてお話したいと思います。


全世界でヘッジファンドと呼ばれているファンドの数は、正式にカウントされているだけで数千から1万近くあります。それほどたくさん存在するヘッジファンドの中で、運用資産規模で頂点に立つファンド、すなわち世界で最も巨大なヘッジファンドは何でしょうか? 答えは、クオンタム・エンドウメント・ファンド(Quantum Endowment Fund)です。このファンドこそ、あのジョージ・ソロス率いるソロス・ファンド・マネジメント(Soros Fund Management)という会社が運用する世界一巨大なヘッジファンドなのです。その運用資産規模は日本円に換算すると、およそ9千億円にもなります。

その巨大ファンドの日々の運用・売買はソロス本人ではなくその部下たちが行っています。部下たちを取り仕切るのに運用責任者がいる訳ですが、最近は運用責任者がころころ替わっているため、私も誰がどうなっているのだかよくわかりません。2000年以降だけでも運用責任者が5人くらいは辞めています。クビになったのか、けんかして辞めたのか、むかついて辞めたのか理由はわかりませんが、少なくとも運用成績にはその混乱ぶりが表れています。

かつては1年で30%とか40%とかすごい運用成績を上げたことがあるクオンタム・ファンドですが、2000年にマイナス15%という運用成績で落ち込んで以来、過去5年は9%、過去3年では7%、今年にいたっては、たった0.23%という銀行預金並みの成績に甘んじています。今年のヘッジファンド業界全体の運用成績の平均値さえも下回っています。

これは、運用資産規模やネームバリューは、必ずしも運用成績と比例しないことを示す良い例です。むしろヘッジファンド業界では、資産規模が大きくなると逆に運用成績が悪くなる傾向も見られます。みんなが買っているから、人気があるから、という理由で取引してはいけません。話は少し逸れますが、かつて日本一安全で高利回りと呼ばれた日興の「チャンス」は元本割れし、日本一大きな投信であった野村の「ノムラ日本株戦略ファンド」は大損して塩漬けするしかない状態です。皆がお金を増やしてくれると信じたシティのプライベートバンクは悪いことをした上に、部門ごと消滅することになっちゃいました。

大きいものや人気があるものが良い、という考えはどうやらこの業界には当てはまらないようです。

好評連載中のヘッジファンド特集! まだまだ続きます。次回をお楽しみに!
  
Posted by kawase_oh at 18:03TrackBack(6)