2011年03月06日

議会改革

(「下書き」のままでしたので「公開」します。3/31)

過去記事「民意」のところで、議員というか議会の仕事についてある一面から書かせていただきました。

今、「議会不信」が高まっています。
河村名古屋市長や橋下知事などが「報酬」を論点にし「議会への不信」を扇動していることも要因でしょう。二元代表制を否定するかのような首長をチェックする役割を持つ議会を批判し弱体化させようとする手法には大いに疑問を感じています。しかし「議会不信」の原因はそれだけではないと思います。

今、「議会不信」が高まる中で、議会自身、これまでの既成観念を払拭し、大きく発想を転換することが求められているのだと思います。

そこで、議会の役割とは何なのか、シンプルに考えてみたいと思います。例えるならば、議会は、会社でいえば株主総会のようなものではないかと思います。

大阪市民265万人が株主で、その代表として88人(次任期は86人)の株主代表が議員として株主総会にあたる市会に出てきていると例えることができます。

ただ、議会が単純に「株主総会」とは言えない部分があります。それは「株主」がそのまま全員が行政サービスを受ける「お客様」でもあるという点です。

その結果、「株主の代表」と「お客様の代表」としての両面の役割・仕事を我々議員は持つことになります。

「株主の代表」としては「大阪市という企業の価値を高めること」、「お客様の代表」としては「お客様満足度を高めること」が議員の役割になります。
今の議員が「企業価値を高める」「お客様満足度を高める」ことにきちんと取り組めているのでしょうか。

今の議員の役割の多くが、「お客様の代表」として、お客様総体の満足度を高めるのではなく、個のお客様の満足度を高めることに重きが置かれていたり、「株主の代表」としては「企業価値を高めること」ではなく、市民受けする「株主優待」を求める面の方が多くあるように感じます。

各論の部分では、有権者は「これらのこと」を求めておられますし、「これらのこと」が政治家に対する評価の対象になっていることも事実です。だから(特に今の時期に)、「○○○○を実現しました!」とか「○○○○を実現します!」と声高く言われる政治家が多くなるのです。

しかし同じ有権者が、総論の部分では、本来の「株主の代表」「お客様の代表」としての仕事を果たしていない面に大きな不信感を持ち批判しているのです。

どう解決するのか。この現実に我々は正面から向きあうべき時が来たのです。

「お客様の代表」としての部分のうち「個のお客様の満足度を高めること」に関しては、行政サイドで企業によくあるカスタマーサービス部門を充実させ機能させれば、議員が「お客様の代表」の仕事をする必要性は小さくなるでしょう。それでも必要な面があるなら、その内容が公平性・公正性を損なうことがないように「要望等記録制度の強化」を徹底すれば、適正化に向かうでしょう。

「お客様総体の満足度を高めること」に関しては「議会報告会公聴会の実施」によって、その役割を十分果たすことができるでしょう。

「株主の代表」としての部分のうち市民受けする「株主優待」を求める部分は、政治家が品格を持つとともに毅然としていれば、必要以上の「株主優待」が行われることもないでしょう。

なお、これらの仕事を全否定するつもりはありませんので誤解のないようにお願いします。

その上で、

◆「民意」の所で書かせていただいた「様々な価値観から、最小コストで最大効果をあげるための議論と答えの導き出し」という仕事
◆「企業価値を高める」ための経営サイドのチェックや経営サイドへの提言といった「本来の株主代表」としての仕事
◆「お客様総体の満足度を高めること」のための仕事

これらの仕事に我々がどう徹底して取り組むのかということに、大きく発想を転換させれば、市民からの信頼を取り戻せるのではないでしょうか。

「お客様の代表」のうち「個のお客様の満足度を高める」面や、「株主の代表」のうち「株主優待」を求める面を弱めるためにも、また「様々な価値観から、最小コストで最大効果をあげるための議論と答えの導き出し」という仕事で「様々な価値観」を持ち続けるためにも、議員の仕事を「兼業」を前提に考えてはどうでしょうか。

そうなると、当然「議員報酬の日当制」「議会の夜間、土日開催」などを考えるとともに、理事者が日常的に各議員に報告にあたる慣習も登庁日を決め一斉に報告を受けるなど「理事者報告の簡素化」にあたることも検討することになるでしょう。

そうやって、「本来の株主代表」としての仕事に重きを置かれれば、やはり議員それぞれが地方自治分野での専門的知識、分析力、課題解決力、政策立案力などを持つプロとしての能力を身につけなければなりません。

政党はそういう政治家を発掘・育成するとともに、そういう政治家を議会へ送るため(選挙で当選させるため)の組織作りに専念してもらうようになれば、「既存政党」への批判もなくなるでしょう。

その後、当選後は一人ひとりの議員の能力を活かしながら会派としての政策立案力などの総合力を発揮できるように、政調費を削減してでも「事務局機能の強化」など議会内の仕組みづくりに力を注ぐとともに、その成果を市民にも理解してもらうために「議員間討論の導入」「議会の情報公開の徹底」「議会報告会公聴会の実施」などにも取り組めば良いのです。

さらに、特定の地域の代表と言う区議会議員的な色を薄めるために「一市域一選挙区制」なども検討することもどうでしょうか。

多くの議員が反対するでしょうけれども、受け身になるのではなく、攻めの姿勢で思いきって発想の大転換を図り、

◆議員報酬の日当制
◆議会の夜間、土日開催
◆通年議会
◆議員間討論の導入
◆議会の情報公開の徹底
◆要望等記録制度の強化
◆理事者報告の簡素化
◆議会報告会公聴会の実施
◆政調費削減分で議会事務局強化を
◆一市域一選挙区制

などを一つの叩き台としてでも議論すべき時期に来たのだと思います。

しかし、そういう議論をする時間がなく、本来選挙の争点にすべきでない「報酬」が前面に出てきたり、また「議会改革」の論点が矮小化されていることは残念でなりません。


kawashima_hirotoshi at 19:33 
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