2017年03月05日

水道事業運営権譲渡による民間活用について

水道事業の運営権譲渡(コンセッション方式)による民間活用について。
 
(超長文ですが、ご容赦の程を…)
  
水道事業における改正PFI法(コンセッション方式)による民間活用に関して、私の個人的な考えを書かせていただきます。
 
<改正PFI法の議論の背景>
 
改正PFI法に基づく運営権譲渡の手法は、水道事業を営む資産は大阪市に残したまま、運営権を譲渡するものであり、一般的に言われている民営化とは異なるものです。ようは、地下鉄のような民営化(100%株式会社化や完全民営化)とは異なります。
 
民間活用の手法としては、「個別委託」「第三者委託」「DBO」「PFI(包括委託に近いもの)」「コンセッション(改正PFI法に基づくもの)」方式があります。
 
「個別委託」では「維持管理」「設計・建設」「営業」などのうち部分的に委託を行うものであり、「第三者委託」は水道の管理に関して技術上の業務として「維持管理」を担うものです。
 
「コンセッション」は「維持管理」「設計・建設」「営業」「管理」「経営・計画」にまで行うもので、「PFI(包括委託に近いもの)」とは、「経営・計画」のうちの胆の部分を「担うか」「担わないか」の違いと、料金徴収をどちらが行うのかということが大きく異なるものです。
 
そのあたりの制度的なものを、まず理解した上で、一般に言われている「民営化」とは異なるということを理解していただきたいと思います。
 
また、今回の議論は、平松市長時代の府市の水道統合の話(「コンセッション方式」)から始まり、橋下市長時代の「企業団への統合」と統合案が展開する中で、これらの案を反対したことから、新たな手法として橋下市長から提案されたものです。
 
その提案の前に、「企業団への統合」を反対するにあたって、現行の水道事業の効率化・合理化を進めながら、将来の府域一水道への新たな道・手法のひとつとして「改正PFI」というものを「研究」「検討」すべきとの自民(私)から提案型反対討論をしたことから始まっています。
 
また、水道事業に関しては、将来的に成長していく分野でもなく、人口減少、少子高齢化、また節水技術の進展により着実に給水需要が低下する中で、持続可能な水道事業のあり方を「今から」考えておかなければなりません。そのためには、すべてを「公」の組織で行うことの限界もあるのではないかとの考えもあります(人事給与体系、契約形態など)。
 
しかし、我々は維新の新自由主義的な発想からの「株式会社化」「完全民営化」(完全民営化、株の売却などによるキャピタルゲインを活用した資産の組み替えなどの考えも含め)を行うのではなく、これまでの議論の中で危惧されてきた諸課題に対して、また市民の不安を払しょくするために、特に「水道」は「命の水」といわれるように、「社会的資本」「公共財」としての観点から、真摯にこの問題に向き合いたいと考えています。

<民営化の目的・メリット>

水道局によると、「現状分析から見た課題と解決策」として以下のことを言っている。

水需要の減少が今後とも続くと見込まれる一方、管路耐震化のペースアップを実現するためには多額の事業費が必要。
 
本市水道事業の経営環境が極めて厳しい中、お客さまに新たな負担を求めることなく、将来にわたり、事業の持続性を確保していくためには、水道事業の公 共性、安心・安全の担保を前提としつつ(「公共性の確保」)、これまで以上 に事業運営全般にわたって効率性を高めていくことが不可欠(「効率性の追求」)。
 
その上で、市の持つ技術力を活かし、国内外での新たな事業展開を積極 に推進(「発展性の追求」)するとともに、事業運営の広域化(「規模の拡大」)をめざしていく
 
その解決のために「今後の事業運営においてめざす視点」として、
 
「経営の自由度を発揮し、事業の効率性、持続性及び発展性の確保をめざすこと」
 
◆嵜綟算業の公共性を確保すること」
 
ということで、この2つの視点の両立が可能となる経営手法の追求が必要という中で改正PFI法に基づく「運営権譲渡」を進めたいと提案してきています。
 
我々自身もその解決方法を真摯に議論すべきではないかと考えています。公営企業などに関してはマネジメント体質を大きく変革させることで、スピード感ある経営、議会にばかり目を向けるのではなく、市民サービス向上に向けてもしっかりと取り組んで行くという視点に重きを置かれるのではないかと考えます。このことは社会の変化が激しい現代では「必要な改革」だと思っています。

<民間活用にあたっての基本的認識>

水道事業における改正PFI法を活用した民間活用に関しては、内閣が進めようとしている「成長戦略」の一環として進めるものではないと考えます。
 
あくまでも水道事業は「社会資本」であり「公共財」との基本概念を持つ中で検討すべきであって、新自由主義的、市場原理主義的な発想による民間活用あってはなりません。
 
よって、「社会資本」「公共財」に対して「公的な関与」を維持しながら、子高齢化・人口減少化など成熟化社会を迎える中で、安価でかつ安定し、持続可能な事業運営を進めるために、その経営形態、事業主体に関して幅広い選択肢の中の一つのものとして検討を進めるものである。
 
もし、民間活用が失敗した場合(自由競争にさらしてしまった場合)には、料金値上げ(高騰)など、「効率化」を目指したのにもかかわらず、結果的に「非効率」という結果を招きかねない。そうならないために、市場経済での課題解決を進めることによる政治・行政による責任を放棄するのではなく、市民が必要と感じていることを的確に把握することが政治・行政の役割である。
 
<社会資本・公共財としての水道事業>
 
水道事業は「社会資本」「公共財」であるため、本来、居住地域や所得によって水道料金や水道の質が異なることがあってはなりません。誰でも、安価で安全な水を安定的に受け取ることができなければならない。この大前提のもと事業運営を行わなければなりません。
 
また、水道料金が高騰されることがあれば、料金の地域間格差によって社会的連帯が分断されることにもなります。大阪市において確固たる水道事業の基盤を構築するとともに、そのノウハウを将来的に大阪府下とも自治体間の水平連携へと拡大していくことで、将来的に大阪府下の料金との格差がこれ以上広がることが無いように、大阪府域において社会的連帯を分断させることが無いように努めていかなければなりません。
 
<公的関与>
 
現在のプランでは、大阪市と運営会社との間では、契約という「私法」の範囲でしか関与できず、双方が納得できないような場合には、その解決のために「司法の場」を活用しなければならなくなります。
 
「社会資本」「公共財」である水道事業において「司法の場」でしか問題の解決ができず、「公的関与」が行えないということは、結果として一層の「非効率」が発生します。
 
水道事業における改正PFI法を活用した民間活用に関しては、「公的関与」を的確に行うための法整備がなければ進めることは困難です。

<公的関与の手法>
少なくとも、まずは、以下のような「公的関与」が可能な法整備などを国において行うよう要望しなければなりません。
 
運営権制度の会社については、事業認可を取得しなければならず、「水道法」の適用の対象となる。給水義務、水質基準や施設基準などの順守等を課されており、また民間事業者の場合は、水道料金を含む供給規定を変更する際に国の認可が必要となる。以上のような「公的関与」が行えるが、これだけで市民の不安の解消、将来の事業リスクを回避できるのかどうか詳細に検証した上で、必要な法改正を国に求めるべきである。
 
下記のような法律を踏まえて、事業者を規制するための法整備などを国に求めるべきである。
 
○「日本電信電話株式会社に関する法律」
・総務大臣の認可事項=新株募集、定款変更、会社の解散、取締役及び監査役の選任・解任
・外国人が取締役や監査役になることを禁止
・政府が1/3以上の株式を保有
・外国人、外国法人、外国人や外国法人が1/10以上の議決権を有する法人による1/3以上の株式の保有を禁止
○「東京地下鉄株式会社法」
・国交大臣の認可事項=新株募集、定款の変更、会社の解散、代表取締役又は代表執行役の選定及び解職、監査役又は監査委員等の選任及び解任
○「電気事業法」
・経済産業大臣の認可事項=会社の解散
・電力取引監視委員会の設置(電力の適正取引の監視やネットワーク部門の中立性確保のための行為規制等)
○「ガス事業法」
・経済産業大臣の認可事項=会社の解散
 
モニタリングに関する基準づくりと規制に関して国・地方自治体の法的権限の整備によって公共性担保のためのガバナンス強化を図るべき。
 
モニタリングの対象となる「要求水準」は自治体によって異なるために(耐震化率、水質、サービス水準等)、具体的なモニタリング基準を「法律」で一律に定めることは難しいと思われるが、「日本再興戦略2016」においても「運営権者の経営状況や水質等を国が重点的に点検する仕組み」等について「水道法で定めることを検討する」とされていることから、大阪市としても運営権設定を検討する前提としての法整備を求めるべき。
 
当該地方自治体の組織を株式会社化し運営権制度の会社を設立する際には、当面は100%株主となること(将来的にも51%以上の株を持つことの義務化)を国の法制度の中で整備すべき。
 
当該自治体が株主の間は、株主としての関与は可能であるし、株主でなくなった場合でも「管理者」として株式の保有割合や役員人事に一定の制限を行うことは可能と言われているが、それだけでは十分に関与できないと思われる。
 
い鉾爾ぁ会社組織、事業運営に関する法整備(ex JR、郵政、東京メトロなどの特別法にある規制 :株の増資分割など、社長人事、事業計画・決算などの承認など)を国に求めるべき。
 
なお、国において特殊法人の民営化が行われた際の法整備は、国策であるとともに、そもそも国が保有し、民営化後も国が株主であることや、単独の法人であることで、法律での規制も全国への波及は無いものである。
 
全国の水道事業を対象にするのは難しいと言われるが、これができなければ、議会のみならず市民の理解は得られない。
 
<税制改正>
 
水道事業における改正PFI法を活用した民間活用に関しては、大阪市では民間活用により持続的な事業経営ができることを謳っていますが、そのコスト面での効果は、税引き後で比較した場合には、多くの差はありません。これでは、公営企業と民間活用を行うことを比較した場合、メリットよりもリスクの方が大きいと言わざるを得ません。
 
少なくとも、運営会社が支払うことになる、国税、府税に関しては、免除されるべきです。この免除が無ければ、水道事業における改正PFI法を活用した民間活用に関してメリットはありません。
 
「日本再興戦略2016」において、「交付金や補助金による措置等」として具体的な手法を記載し、「新たな負担感を最大限失くす仕組みの導入を検討する」とされていることではありますが、「交付金や補助金による措置等」だけではなく、税制改正なども含めて国に要望しなければなりません。
 
<結論>
 
「公的関与」「税制改正」が実現され、「社会資本」「公共財」として水道事業が担保される「大前提」があったうえで、次のような「現計画における大阪市として解決すべき点」を解決することが、水道事業における改正PFI法を活用した民間活用を進める議論を前に進めることができると考えます。
 
<現計画において「大阪市」として解決すべき点>
 
料金は大阪市条例で決めることとなっているが、運営会社と協議が整わなかった際のリスクの最小化策。
 
運営会社との契約解除を行った際の、その後の事業継承を誰がどのように進めるかの対策案。
 
モニタリング部署の専門家の採用と人材育成の問題、専門性の担保の問題への対応。
 
事業計画が、公営企業であっても、コンセッション型でもトレンドに大きな変わりが見られない。明らかなトレンドの違いを出すべき。
 
株式の持ち方として、当面は100%持つことをどう担保するのか。最終的には51%を維持する担保。あわせ、株式の売却、増資などの制約をどのように担保するのか。
 
社長など経営陣の人選についての大阪市の関与(株主、管理者として)。
 
運営会社の事業計画、決算への関与の方法。
 
運営権設定時の契約書や仕様書の中身でどこまで詳細の取決めがされ、万が一の場合の対処が取り決められているか。
 
危機管理発生時の対応、他都市への技術支援の体制などのあり方。
 
老朽水道管の更新計画、浄水場のダウンサイジングなどの中・長期計画の提示。
 
30年で契約が切れる運営会社の安定的な人材採用への対応。
 
 銑に対しては、水道局からは回答を得ていますが改めて、その内容に問題がないかどうかを検討していくことが必要です。
 
そのうえで、厚生労働省の「水道法」の改正などを見定めたうえで、冷静に判断すべきと私は考えています。


(facebookより転記 2017.03.05)
 大阪市会議員_川嶋広稔_Facebook


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