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あっぷりけさんの『時を紡ぐ約束』の体験版感想記事となります。2016年3月25日発売予定。

原画家はオダワラハコネさん、師走ほりおさん。
シナリオは憲yukiさん。

体験版は以下へのバナーからどうぞ。(約600MB)
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それでは、体験版感想、始めさせていただきます。
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★『時を紡ぐ約束』 体験版について


プレイ時間は大体3時間程。ストーリーは序盤から中盤にかけてはヒロイン紹介がメインですが、終盤はいよいよ旅館の問題に加え、主人公の事情が明かされるといった、イベント盛りだくさんの内容になっています。

あっぷりけさんといえば、黄昏のシンセミアコンチェルトノートといった、数々の名作を生み出してきたライター、桐月さんと共に拡大を続けてきたブランドなのですが、ここにきて憲yukiさん自らが作品を仕上げるということになりました。

序盤はあまり目立った話もなく、平凡なストーリーかなと思っていました。しかし、主人公の過去話の辺りから話は急展開を見せます。
個人的には中々興味深いなとは思いました。そして、ここからどう話を広げていくのか、非常に気になる作品となりつつあります。
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私の選択ミスかもしれませんが、どうやら体験版のフローチャートの最後の部分で選べないストーリーがあるようです。この場面でみりあがいなくなってしまうのですが、もしかすると、選択肢次第ではいなくならないルートがあるのではないか、と考えています。



★ストーリー

出会いの季節を過ぎた5月。
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時坂 颯人は娘のみりあと田舎の温泉街に辿り着く。
そこで二人は住み込みで働ける場所を求めて温泉宿『草壁庵』を訪れた。

颯人はちょっとした“魔法”が使える。
だけどそれは決して便利なものではなく──。
颯人の時間が無価値であることの証明のようなもの。

仕事は自分の時間に価値が出る唯一の方法。
だから颯人は仕事が好きだった。

やがて『草壁庵』で働きながら学園に通う生活が始まる。
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学園での新たな出会い。
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草壁庵』では美しい若女将の美咲
しかし学園では異なる印象を抱かせる少女だった。

そんな美咲との共同生活。
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季節外れの出会いから新たな絆が育まれていく──。

(以上、公式サイト『物語』より) 



★時坂颯人の『魔法』
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自分の時間を対価に、過程を省略し、等しい価値の現象を得る──。
これが颯人の『魔法』でした。

まずは、10秒間でどんな現象を得たいかという構成を練ります。
構成を練る間の10秒間は何もせず、何も得ない。
そうすることで颯人は10秒失ったこととなりますが、練った構成の内容と失った時間が等しい時、過程を省略して現象を得ることが出来るのです。

例えるならば、部屋の両端の距離が10mあり、普通に歩いて片側にたどり着くまでに、約3秒掛かるとしましょう。
その部屋を、颯人が魔法を使って左端から右端に行く場合、3秒その場にじっと何もせずに構成を練れば、『歩く』という過程を省略し、右端へ辿り着いている──謂わば『瞬間移動』が可能になるというわけです。

この魔法について、颯人は過去話も含めて自発的に友人や旅館の人を集め話をしていますが、ここの場面は不自然な気がしました。
過去話の流れで、ということかもしれません。しかし、そもそも過去話を全員に話すというところから少し疑問に思います。颯人が持つ相当重い事情を、訳ありの颯人を働かせてくれている旅館の人々はともかく、出会ってまだ僅かの友人たちにまで話す必要はあったのか。

過去話にしろ、魔法にしろ、美咲とか一部の人間だけが知っている、といったことにしても良かったと思います。
作中、魔法を使ってもバレることもありませんでしたし、それを知ったからといって第三者がその活用法を提案するわけでもありませんでした。
後のストーリー的にこうする必要があるのかもしれませんが…。



★颯人とみりあ

良い子にしてて待っててね──。
そう約束して去った母親が、迎えに来てくれることはありませんでした。

預けたままの親の失踪。幼い颯人は、養護施設で育つことになりました。
施設の環境は最悪でした。職員から指導、教育という名の暴力を浴び、年上から目を付けられたら殴られ、蹴られるの毎日。
学校でも親がいないという理由でイジメの対象となり、塞ぎこむようになった颯人は、誰も助けてくれないのだと悟り、救いを求めなくなりました。

そんなある日、颯人は一人の女の子と出会います。名前は紗枝。
紗枝は颯人がどんなに突き放しても、ずっと付きまとってきました。
ひとつ上の紗枝は、時には偉そうに、時には優しく、颯人に接してきてくれました。そんな紗枝に、颯人も次第に心を許すようになっていきます。

そして、颯人と紗枝は新しく施設に預けられた子、佐原未莉、みりあと交流を持つこととなります。かつては母親に、そして施設でも暴力を振るわれ、傷だらけになってもいつまでも母親の帰りを待つ未莉に、颯人もかつて同じように母親の帰りを待っていた自分のことを思い返します。
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健気に待ち続ける未莉の気持ちを大切にしてやりたい──。
紗枝は一つの提案をします。『偽りの家族』になろう、と。

颯人は『おとうちゃん』、紗枝は『おかあちゃん』。
そして、末莉は『みりあ』。
誰もが子供の頃に遊んだ、偽りの遊び。
家族ごっこは、こうして始まりを迎えたのです。

そんな生活も、やがて破綻の時を迎えます。紗枝が施設内で死んでしまったのです。自殺、ということでした。
しかし、颯人は職員の話を聞いてしまいます。職員の仕業で紗枝は死んでしまったようでした。
颯人は許せませんでした。初めて魔法を使い、人を殴りました。そして、颯人はみりあを連れ、施設を飛び出したのです。

施設を飛び出して二年。藁にもすがる思いで辿り着いた『草壁庵』で、颯人とみりあはようやく平穏な生活を手に入れていました。
颯人は十分な仕事と、長らく通えなかった学園に行くことが出来、みりあも心温まる人々に囲まれ、その表情は常に笑顔でした。

しかし、そんな時、施設長である玄武が草壁庵にやって来ます。みりあを連れ戻すためでした。颯人を学園に通わせる際、女将の美里が施設に許可を貰っていたがために、二人の居場所が判明してしまったのです。
玄武は言います。颯人が偽りの関係を続ける限り、佐原未莉に本当の家族は出来ない、と。颯人は末莉の里親にはなれない──そう断言しました。
玄武は一日の猶予を与え、草壁庵を去っていきました。

颯人は玄武に言い返せませんでした。玄武の言うとおり、施設に戻り里親が見つかれば、みりあはずっと幸せな時を過ごせるかもしれない。
その可能性を閉ざしてしまっているのは、他ならない颯人なのだと。
颯人は悩み、そして本当に幸せを得るため、みりあを施設に帰すことを決意します。

その夜、颯人は気持ちの整理をつけるため、みりあに家族ごっこは終わりだと告げます。
わかった、たのしかったからまたやろう!
感情が溢れ出しそうになる颯人とは対照的に、みりあにとって、それはただのおままごとにしか過ぎず、彼女はあっさりと承諾します。
はやと?
思い詰まる颯人を『おとうちゃん』ではなく、『はやと』と言うみりあ。
こうして、長いようで短かった、偽りの生活は終焉を迎えたのでした。
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みりあの将来を考えて、施設に戻す決意をした颯人。
翌日、迎えに来た玄武に手を引かれるみりあは、過酷な施設に戻らされることを知ると、颯人に助けを求めるのでした。
その言葉は、偽りだらけの生活に、真実を見出すものでした。

おねがい!おとうちゃん!

みりあは、『はやと』ではなく、『おとうちゃん』と呼んだのです。その言葉に、颯人は気付かされます。颯人こそが、みりあの父親なのだと。
しかし、今の自分では、みりあの本当の『おとうちゃん』にはなれない。
何も成し遂げていない現状では、みりあの里親にはなれない。

本当の里親だと施設に、みりあに、認められるように。
みりあが帰ってこれるような草壁庵にしてみせるから、その時まで──。

『いい子にして、待ってろよ!』
抱きしめたい気持ちを抑え、母親が最後に言った言葉を放つ颯人に、

まかせろ!
と遠くなった姿から叫ぶみりあ。

颯人は思うのでした。
みりあは颯人が思う以上に、ずっと強い子だったのだ、と。



★ヒロイン紹介
 ※美咲のみ紹介


神宮 美咲
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美咲は出会った当初はかなり冷淡な態度をとっていましたが、颯人と共同生活を送る度に次第に心を開いていくようになります。
コンビニに行くために着物を着た状態で出歩いた際に不良に絡まれたところを颯人に助けられたところから、徐々に彼を意識するような行動が増えたように感じます。

学園ではメガネをかけ、クラスメイトとも距離を置いていましたが、颯人と交流を深めるにつれてメガネをやめた上、彼の尽力もあったことで友人を持つことにも繋がっていくのです。

草壁庵で美咲を贔屓にしていた客が覗きを図ったことでその客は出禁処分となったのですが、そのことを逆恨み、インターネットで出鱈目ばかりの悪いレビューを書き込んだことで草壁庵の評判は急降下、客数は激減してしまいます。
草壁庵は危機を迎えますが、颯人の提案で美咲を新女将として取り立て、再スタートを図ることに。

いなくなってしまったみりあを取り戻すことを決意した颯人に、草壁庵を背負う覚悟を持った美咲。
二人の旅館再建の道は、ここにその一歩を踏み出したのです。



★雑記

以上が、時を紡ぐ約束 体験版感想でした。
あっぷりけさんの伝統なのか、メインヒロイン一色の傾向にありますね。
今作も美咲ゲーとなりそうです。