2006年04月

2006年04月10日

サムイ島日記5 5

ようやくサムイについたとき、そこはすでに夜であった。
初めての場所ではないとはいえ、暗くなってから到着するというのは、あまり気分の良いものではない。というより、パックツアー以外で、夜到着というのは御法度なのである。たとえ日本国内であっても、夜は圧倒的に情報量が少ない。

とはいえ、ついてしまったものはしかたなく、とぼとぼと階段を下りていった。
サムイ空港は、前に来たときよりもかなり拡張され、エプロンもずいぶん大きくなっていた。でも、飛行機までトロリーがやってきて、乗客を運んでいるのは、前と同じだった。
これはバンコクエアウェイズの演出なのかしらないが、ねっとりと暖かみのある空気にふかれ、このトロリーに乗ると、やっぱりサムイに着たという気分になってくるのは、以前の幸福な記憶のせいであろうか。

ターミナルに着いてみると、空港はされに進歩していた。
おどろいたことに、荷物の受け渡し所に、ターンテーブルが設置されているではないか。もっとも、普通の空港にあるようなちゃんとしたものではなくて、ベルトコンベアーを4つつないであるだけなのだが、この空港からしたら、ものすごい近代化である。以前は、飛行機から降ろされた荷物は、そのままターミナルに山積みされて、乗客が自ら荷物を探していたのである。ついでにいえば、その荷物も出てこなくて、ちょっと焦ったのである。

荷物が降ろされているあいだ、そこらへんにぞろぞろと立っている、各ホテルのドライバーが持っている看板を探した。よく、海外の空港に行くと、出口にならんでいるあれである。もし、この看板の中に河童の名前が見つからなければ、他のドライバーに交渉してホテルまで行くしかないのだ。なにしろ、予定が2時間半も遅れている。便が変更になって、さらに遅延しているのであるから、迎えが来ているかどうかわからない。

しかーし、さすがに河童である。群がる看板の中に、ちゃんと河童の名前があった。持っていたのは隻眼のドライバーであった。さすがタイ、隻眼でも2種免許取れるんだ、とか感心したが、今考えれば、そもそも2種免許とかあるのか? 

ともかく、この隻眼のドライバーのおかげで、ようやく河童のサムイ島日記は始まるのである。もちろん、このドライバーに、河童がたっぷりチップを渡したのは言うまでもなく、日本以外の国では、感謝は金で表すものだ、ということをここに明記しておく。

(写真は近代化されたサムイ「国際」空港)

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2006年04月02日

サムイ島日記(その4)1

b287bc71.jpg再びバスに揺られ、ターミナルに戻ってみると、形だけはちゃんとしている案内板に、Flight Delayedなどでていて、それによれば、PG183便は、わずか20分遅れの17時20分に出発することになっていた。

そんなことができるわけがない。さっきの機体のエンジンを直すにしても、違う機材を用意するにしても、そんな時間でできるわけがないじゃないか。
はたせるかな、20分後には、この表示は2時間後に訂正された。

ドンムアイ空港は、国内線ターミナルもけっこうでかくて、売店やら食堂やらがたくさんある。2時間もあるなら、さっさと飯でも食いに出かけたいところだが、チェックインしてしまって、バンコクエアウェイズのターミナルから出ることができない。ドーナツとコーヒー、ジュースは、セルフサービスであるんだが、まあ、いっちゃなんだが、繊細な日本の食べ物に慣れた口には、一口で十分、といったところだ。

また、こういうときに限って、手荷物の中に入れてあった本が池上正太郎のものだったりするわけで、河童格言のナンバー548、

「幸福は一つずつしかやってこないが、不幸はまとめてやってくる」

を実証してしまった。

さて、腹が立ったのと減ったのは、河童があきらめればいいだけの話であるが、現実的に困る話が一つあった。

まず、ホテルの問題である。6年前にも泊まったバンガローに予約を入れておいたのだが、連絡しておいたチェックインタイムには間に合いそうにない。さらに困るのが、ホテルに空港からのピックアップサービスを頼んでおいたのだ。当然、フライトの予定は伝えてある。しかしはたして、2時間半も遅れて、ドライバーは待っているであろうか? かといって、ホテルの電話番号も荷物の中だし、仮に電話したところで、日本人の英語とタイ人の英語という、これまた相当にややこしい話になってくるわけで、腹が減っているときに、そんなめんどうはしたくない。そもそも、英語の電話なんぞ、腹もふくれていて気分も良く、天気も上々、心も軽やかな時にかけてさえ、半分ぐらいしかわからないものなのである。

とまあ、多少の不安を抱えつつも、表面上は平静を保ちつつ、再び乗り込んだ隣の席のでかいドイツ人に、
「ハイ! アゲイン」
などとジョークを飛ばし、ついでにPG183便も飛んだのである。

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