名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2013年08月

DVC00104   人は1日に2,000回も、意識を伴った意思決定を行っているという説があるのだとか?

  ビジネスマンにとって、そのうちの何割かは、「儲ける」ための意思決定であるはず。そんな意思決定を上手に行うための実用学が、本書のテーマである「損得学」です。

  日本では、「損得学」は1960年頃にその体系が確立された比較的新しい学問分野だそうです。そしてその最初の教科書は「経済性工学」。
ややもすると金銭感覚が疎くなりがちな、エンジニア達に最低限の損得常識を身につけさせたいとの狙いで生まれたのが「経済性工学」だそうです。

  さて本書は、「損得学」の入門書ということになりますが、実は「損得学」の大原則は2つしかないそうです。

  第一原則 「比較の対象(目的)を明確にする。」

  第二原則 「その比較の対象の間で収益と費用の違いをお金の流れに着目してとらえる。」

  そして第一原則、第二原則の補足として、「開始時点と終了時点を明確にする。」 

    とはいえ、これだけでは、なかなか理解し難いため、下記の様な身近な事例を用いながら、比較範囲の決定や計算の手順について解説がされています。

  ・閑散期に定価より安いが、まとまった注文が入った場合、受注をするべきか否か。
  ・中国進出するなら、北京がいいのか上海がいいのか。
  ・製造部門と販売部門、社内の仕切り価格は、幾らが最適なのか。
  ・IT導入をしても、解雇できなければ人件費の節約にならないのか。 etc

  他にも、設問としては、ちょっとどうかな?というものも含まれますが(笑)、「損得学」の基礎理解には充分な内容かと思います。

  ところで、 第二原則に「収益と費用の違いをお金の流れに着目してとらえる。」とありますので、これらの設問を見ていても、ついつい「会計的」な考え方をしてしまいがちですが、解答を見ていくと、「会計的」には正しいが、「損得的」には誤っているということが、ままありました。

 「会計」は現時点から過去を見渡すものであるのに対し、「損得」は、将来を見渡すものであるため、しばしばこういったことが起こるようです。本文中には「将来を見渡せない人には、不向きな学問」と、取り付く島も無いような記述が出てきます(笑)。
ただ二つの原則の補足にあったように、「終了時点」を明確にすることも、「損得学」には不可欠な要素ですので、当たりまえのことなのかもしれません。

 不確かな時代だからこそ、「終了時点」における、あるべき姿を想像し、まとめあげる力が必要。

でもこれは「損得学」に限ったことではありませんよね・・・・・・・・・・。難しいものです。 

DVC00050    中国地方でのみ放映され、大反響を呼んだNHKのシリーズ番組「里山資本主義」。 ※現在はWebで観ることが出来ます。
http://www.nhk.or.jp/eco-channel/jp/satoyama/interview/motani01.html

本書は、同番組の取材班とナビゲーターを務めた藻谷浩介氏(ベストセラー「デフレの正体」の著者)による書き下ろしとなっています。

  さて「里山資本主義」とは、どういうことなのでしょうか。

 本書では 「地域に眠る休眠資産を利用することで、原価0円からの経済再生、コミュニティ復活を果たす現象」としています。

   例えば木材。古くから建材としても燃料としても、長らく使われてきた再生可能な資源ですが、近年は顧みられることが少なく、手付かずで放置された山林も少なくありません。そして製材業等、それに付随する産業も典型的な斜陽作業と認識されています。

  ところが岡山県真庭市にある「銘建工業」では、製材の際に生じる樹皮や木片、木くずから、木質ペレットを製造。同ペレットを燃料にしたストーブを利用する家庭では、調理や暖房での光熱費を減少させています。さらに同社ではペレットボイラーの開発により、発電から売電にまで成功。
これは環境に易しいだけでなく、過疎地に新たな雇用を生み出しており、各地の行政機関からの視察や誘致が絶えないそうです。

  また海外に目を向けると、憲法で原発利用を禁止しているオーストリアでは、エネルギー政策を木材利用にシフトしつつあったり、イギリスやイタリアでは、CLTというコンクリートに匹敵する集成材の開発で、木造による高層建築が始まっているそうです。
 
  本書では、木材に限らず、山口県周防大島のジャム園や、島根県の耕作放棄地を活用した放牧等、地域資源を活用し、新たな循環型経済を生み出している動きを紹介しながら、これからの日本が進むべき道のヒントがそこにあるとしています。 
 
  非常に興味深い本なのですが、事例をNHK広島取材班、総括を藻谷氏と分担し執筆しているせいか、正直ややまとまりを欠いている感が否めないこと。成功事例からの考察のみで、これをもって「マネー資本主義」へ
のアンチテーゼと結論づけてしまうのは、どうなのかとの疑問も残りました。

    とはいえ、「里山資本主義」という提言のもつ可能性は、大いに期待出来るものであり、閉塞感漂う今の日本
にとって、有力な処方箋の一つであることは間違いないと思います。 
ご関心のある方は、本書を手に取るまえに、まずは是非一度、冒頭記載のURLにアクセスをしてみて下さい。

DVC00036 医療用ロボット開発、最近では「バカゼミ」で著名な、東京大学先端研http://www.micro.rcast.u-tokyo.ac.jp/index.html の生田教授が語る「競争しないで勝ち続けるたったひとつの方法」

 それは誰とも競争をしない新しい「ジャンル」を作ること。ブルーオーシャン戦略でいう「競争相手のいない市場を探すこと」ではなく「自らの手で作り出すことである」と彼は説きます。
 
    今の日本ではあらゆる業界が飽和状態を迎えていて、従来の改善、改良型のアイデアでは見向きもされない時代になっており、「新しいジャンルを作る意識」が不可欠となっています。

   「新しいジャンル」を作るためには、①コンセプト ②アイデア ③開発の順で、逆から発想をしていく必要があり、その中で最も大切なのはコンセプト。そしてコンセプトの大本にあるのは「夢」。大きな夢を持つためには、「バカ」になり「バカ」を貫く勇気をもつことが必要。「バカ」を貫くとは、世間の常識を疑い、常識と戦うこと。そして世間の常識を徹底的に疑い、そこから「新しい常識のあり方」まで考えられる人を人は「天才」と呼ぶとしています。

  そんな彼を著名にしたのは、名古屋大学、東京大学等で主宰してきた「バカゼミ」。
これは、学生たちに、とてつもなく「おバカ」な研究テーマを考えさせ、それをどこまでもアカデミックに、真剣にアプローチさせ、最後には皆の前でプレゼンをさせる。この一連の流れが「バカゼミ」だそうです。

    学生達は「バカなこと」を考えろ(学生に限らないとは思いますが)と言われても、なかなか思いつけないそうです。そこで生田教授は ①頭を使うこと ②手を使うこと ③人を使うこと を勧めています。
具体的には、①一晩で100のアイデアを捻りだすくらい頭を絞る。②手を動かしながら考える。7割くらいでも、まずは形にしてしまう。③誰かに気軽にアイデアを語ってみる。相談してみる。といったことを挙げています。

    これって学生の研究に限らず、通常のビジネスにおいても大切なことですよね。

  ところで「おバカ」なことって、なんでもいいんでしょうか?生田氏は、本田宗一郎氏が生前に語っていた言葉を紹介しています。 「不常識を、非まじめにやれ」と。非常識=めちゃくちゃなことをするのではなく、常識の枠を越えた「不常識=新しい常識」をつくるのだ。新しい常識をつくるためには、頭でっかちにならずに「非まじめ」な自分でいることが重要なのだ。 いい言葉ですね。そしてこの言葉がこの本の内容を一番適切に伝えている気がします。

  「不常識を、非まじめにやれ」 

   全編を通じ、異端を貫くことの大切さを説いた一冊でした。 勇気が出ます。

DVC00015 「10年以内に、人類を月に送り込む。」 ジョン・F・ケネディ
 「女の体を自由にする。」 ココ・シャネル
 「すべてのデスクと、すべての家庭にコンピューターを」 ビル・ゲイツ
 「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする。」 グーグル

 「自由闊達にして愉快なる理想工場。」 井深大
 「一台少なくつくれ。」 エンツォ・フェラーリ
 「地上でいちばん幸せな場所。」 ウォルト・ディズニー

 「ポケットにはいるラジオをつくれ。」 トランジスタ・ラジオ
 「1000曲をポケットに。」 iPod

  新しい時代、新しい組織、新しい商品。熱狂的な物語の始まりには、いつでも魅力的な一行にありました。優れた言葉には、たった一行だけで、聞いた者全てに、新しい未来を想像させてしまう力があります。

  あるようでなかった「未来を語るための作法」「言葉で未来を創る方法」を解き明かそうというのが、この本のテーマです。

  著者は、未来を語る言葉をビジョナリーワードと定義し、よく出来たビジョナリーワードは「未来からの絵葉書」のようだとしています。語っているその人だけが、あたかも数十年後へタイムスリップし、そこから現在へ1枚の写真を送ったように、鮮明で魅力的な景色を見せるからだそうです。

  裏返せば、それだけの景色を見せるような言葉でなければ、ビジョナリーワードとはなりえないということなのかもしれません。

  本書の前半では冒頭に掲げたような、未来を開いた30の言葉の誕生の背景を。そして後半では実際に「未来を語る言葉」をつくる方法について、4つのステップと5つの技法が紹介されています。

言葉を生み出すための4つのステップ

   ①「本当にそう?」 と現状を疑う 
 ②「もしも?」          と未来を探る 
 ③「つまり?」         と言葉をつくる 
 ④「そのために?」  と計画を作る

具体的な言葉を生み出す5つの技法

 ①「呼び名を変える」
 ②「ひっくり返す」
 ③「喩える」
 ④「ずらす」
 ⑤「反対と組み合わせる」

    これらの手法については、よく整理されているし、なるほどと思うのですが、読んでていて何となく違和感を感じ
てしまうのは、結局、理屈の後付け感が否めないからでしょうね。
恐らく冒頭で掲げたような言葉は、この様な手順で生まれたとは思えませんし、当初発せられた言葉も、もっと荒
削りであったり稚拙なものだったのではないでしょうか。
    時を経て語り継がれる中で洗練され、時代や組織や商品をより端的に表すようになったのかもしれません。

    とはいえ、「言葉で表せない未来には、誰も連れてはいけない。」という本書の主旨には大いに賛同出来ます
し、メンバーに何らかの目的を示す機会の多いリーダーの立場にある方が、本書にあるような手法を参考に、伝
える言葉を吟味し、自分達の向かう目的地を明確にイメージさせることは、極めて有益なことと思います。

DVC00371  ホンダカーズ中央神奈川と並び、顧客満足度の高いカーディーラーとして、称されることの多いネッツトヨタ南国。
    同社の相談役、横川英毅さんの書かれた本を今回はご紹介させていただきます。意外や意外、これが処女作だそうです。

 「会社の目的は利益じゃない」 では何なのか?

同社はそれを「全社員を(人生の)勝利者にすること」としています。

 自動車ディーラーだから販売台数は増やしたい。でもただ闇雲に量を増やすのではなく、回り道の様でも、まずは質を高めること。
質が高まれば結果として量はついてくる。トヨタという、そもそも質の高い製品を扱うのだから、それを扱う人の質を高めることが、成果につながっていく筈。
 そのためには、社員の満足度を高め、自社で働くことに喜びを
感じてもらうようにならなければならない。そんな思いを集約し
たのが、「全社員を(人生の)勝利者にすること」になるのでしょ
う。

 横川氏は勝利者とは、個々の可能性を自身の人生において最大
限に発揮できた者としています。

人が生涯の中で最も長い時間を費やす仕事の場で、それを実現す
ること。やりがいを持って日々取り組む事が、社員にとっても会
社とっても幸せな結果をもたらすことにつながっていく。
そんなことなのかもしれません。

 今でこそ知名度も高い同社ですが、カーディーラー、特に営業
職は非常に人気のない職種で、以前は社員の採用に相当苦労した
そうです。
でも横川氏は、それが 良かったと語ります。
「不人気職種がゆえに、それでも自社を選んでくれるのは、待遇
ではなく、やりがいを求めて入社してくれる人達だから。そして
そういう人達だからこそ思いが共有出来るのだ。」と。

「うちは中小企業で給料安いから、労働条件が悪いから、いい人
材がとれない。 」
とかく採用には苦労しがちな中小企業ですが、
時にはこんな口説き文句の一つも言ってみては、いかがでしょう
か。そしてそんな企業を目指しませんか?

「うちは待遇は劣るかもしれないが やりがいだったら、どんな
企業にも負けないよ。」

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