2011年度の1年間につき、宅急便の取り扱い1個あたり10円を東日本大震災の復興に当てる。その寄付総額は142億8448万751円。単に寄付金を集めるだけでなく、第三者委員会を設置。自薦他薦の寄付の申出の内、内容を検討し、緊急度や、地域再生に不可欠な先へ直接寄付を行う・・・・・・。
本書は、ヤマト運輸が一連の寄付行為にいたった経緯。そしてその寄付を受け、再生の途についた団体からの報告をまとめた内容となっています。ただ出版の経緯は特に明らかになっていません。
当初、ヤマト運輸のこの寄付行為について、パフォーマンスとする見方もなかったわけでは、ないそうですが、とてもそんなレベルの話ではないことが、本書を読むと良く分かります。
・上場企業が、(株主訴訟のリスクを恐れず)毎期の純利益の4割に匹敵する巨額な寄付金支出を決めれる決断力
・効果的な寄付とするため、民間企業ながら、指定寄付金の認定を受け全額無税となるよう財務省を動かす行動力
・スピードを生かすために直接、各種団体に寄付を行うが、公平性を保つ ために有識者による第三者委員会を設立させる発想力

・震災後、わずか数日で被災地各営業所が独自判断で、地域の役場に直談判し、救援物資の配送を始めてしまう対応力
「なぜこんなことが出来るのか」とのインタビューに「我が社のDNAだから」と、さらっと言いきれてしまう経営陣。
同社の経営理念は、「サービスは先、利益は後」「ヤマトは我なり」だそうですが、未曾有の状況下において、これらの理念が生かされたことは、(当然普段の教育や啓蒙あってのこそでしょうが)まさにDNAとしか言いようがないのかもしれません。
本書は、ジャンルで言ったらビジネス書になるのでしょうが、ヤマト運輸の経営に学ぶ云々という内容ではなく、その大半は冒頭で述べたように、東北で復興を目指す団体からの支援報告にページが割かれています。
それだからいいのでしょうね。巻頭で糸井重里さんが寄稿してます。
「(自分達が)責任を持って実行した復興支援につき、綿密で丁寧な報告をきっちり行う。」そんな姿勢が、ヤマト運輸という企業の在り方を一番端的に表しているのでしょう。
「企業が信じられていない時代」にこんな企業があること。素敵ですね。


久しぶりに、ずっと手元に置いて、読み返したい本に出会いました。