名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2013年11月

写真     「毎月1冊 10万字書く 私の方法」という帯に引かれて、読んでみました。
  著者は、リクルートグループ出身。これまでに3,000人を超えるインタビューをこなし、著名人に代わって書籍の執筆をされています。主として、手掛けるジャンルは、ビジネス書やノンフィクション、実用書。

 代筆と聞くと、いわゆるゴーストライターを思い浮かべ、あまり良い印象を持たれない方も多いかと思います。
 著者も、そのあたりの印象を払拭したくて、この本を書いたと述べています。
 代筆といっても、勝手な作文ではなく、十数時間の取材で、その方の持つノウハウや経験、知見を引き出し、本の形にまとめていく作業であり、筆者はその意義を次の様に述べています。

 「すばらしいノウハウや経験、知見を持つ方が、自身で著書を記すことが本当に有意義なことなのか?
自身で書くことにこだわるあまり、結果、世に出るタイミングを逸してしまったり、伝えたいことが十分に伝わらない結果となりかねない。それは大いなる損失。
  ならば、そこにプロが介在することで、そんな機会損失を無くすことが出来るならば、それは皆にとって、極めて有意義なこと。」と。

 具体的に書くノウハウにも十分、ページが割かれていますが、やはり職業としての魅力を伝え、多くのブックライターを生み出したいという思いがより強いように感じました。
 
  さて肝心のノウハウ部分ですが、著者は、まずは「素材が7割、書くのは3割」と述べています。
素材を集める上で、必ず意識をしないといけないことは、「テーマ」、「相場」、「読者層」としています。
  代筆というスタンスなので、テーマ設定そのものには関われないことも多いようですが、相場観(どんな本が世の中に足りないのか、どんな本がこれから求めれていくのか)と読者層(どんな人が著者となりうるのか、どんな人に読んでほしいのか)をしっかり見極めること。
その上で、取材等を通じ、これから代筆を請け負う方に関する材料を集めていくことが肝要としています。

  具体的な取材ノウハウや取材時の心構え、実際の執筆に際しては、目次作りの重要性や、250枚~300枚(平均的な本の、ベースとなる400字詰め原稿用紙の枚数)を一本と考えるのではなく、5枚程度の原稿を50本書くように意識する等、たくさんのノウハウが盛り込まれています。

  多くのビジネスマンの仕事の中でも、見聞したことを記すという行為は、ことのほか多いように思います。
いつかは自身の本を出したいと考える方には、もちろんのこと、そうでない方にも、普段の業務で活かせるノウハウが多いように感じました。

  たかだが毎週一本のブログを書くのに、四苦八苦している私も、是非活かしたいと考えています(苦笑)。


写真  日本政策金融公庫出身の著者による「会社をつぶさないための7つの原則」

  金融機関出身らしく、財務数値把握の必要性、資金管理の重要性についてウェイトを置きながら、下記の7つの原則をまとめています。本書では各原則ごとに1章ずつの割り当てがされています。
  
  原則1.資金循環の原則を理解する

  原則2.  本当に重要な経営数字の本質を理解する

  原則3.機会費用の把握とその解消の手法を知る

  原則4.ビジネスモデルのあり方を理解する

  原則5.先行管理を導入する

  原則6.組織を滅亡に導く「奢り」を排除する

  原則7.世界の宗教、文化を学び、マネジメントを行う

  なかでも、要諦は会社を倒産させないための、「資金循環のための4ケ条」

  第1条.決済しなければならない負債は2種類ある。そのうちの営業的負債の決済のためには、損益計算書   
       における償却前経常利益を最低限どんなことがあってもマイナスにしない

  第2条.与信管理、在庫管理はわかりやすいルールをつくり、社員全体からの見える化を進める

  第3条.メイン行との関係を大事にし、少なくとも既往借入金の借り換えくらいはいつでも可能にしておく

  第4条.意味のない保証や情にほだされた貸付などは絶対に行わない。通常の支払手形も段階的に廃止し
       現金払いとし、支手レスにする

  これを死守すべきことが、会社経営の最低限のルールであり、その上で先行管理を導入し、先へ先へと手を
  打つことが肝要と述べています。

  ここから経営者論、組織論と話が展開されていくのですが、残念ながら個人的には、そういった記述を加えることで、なんとなく全般にまとまりを欠く印象を受けてしまいました。
  本書は、数値管理に重きをおいた、原則1~3と5について参考にされる方がバランスも取れていて良いように思います。
 
  特に原則3で、機会費用について触れているのですが、そこで民事再生シミュレーションの提案をしているのが、なかなかユニークです。
企業存続の極限状況を想定することで見えてくるもの、打つべき手立てが見えてくるということなのでしょう。

  企業や経営のスタイルは色々あれど、財務管理、資金管理についてのセオリーは共通。改めてそのセオリーを理解する意味では 本書は好著と言えるかもしれません。
 




写真  7月から始まった弊社の公式ブログ。
毎週1本を自分のノルマにしていますが、今回でやっと20本目。なんとか続いていますが、なかなか納得出来るものって書けないですね~。
もっと頑張らないと。さて記念すべき(笑)20本目はこれです。

  ベストセラーとなった「僕は君たちに武器を配りたい」の著者、瀧本哲史氏の最新作です。

  これは面白いですね~。

「君に友だちはいらない」と、なかなか挑発的なタイトルがついていますが、実は「仲間づくり」「チームづくり」の勧め。

  製品もサービスも人材も、どんどんコモディティ化していくグローバル資本主義。この過酷な世の中で、我々が生き残るための一つの方策が「武器としてのチーム」づくり。 なぜチーム作りが必要なのか。

  それは、我々がコモディティ化しないためには、自ら新しい世界を切り開き、新しい価値観を生み出す他に、手立てないからです。

  とはいえ、たった一人では、それは難しい。そこで、自分とビジョンを共有し、その実現に向けて行動する仲間を見つけ出していくこと。それがスタートだからだそうです。
 
  ところで、映画好きの方なら、お気づきになったかもしれませんが、この表紙絵は 黒澤明監督の「七人の侍」。
本書では、まず冒頭に「チーム」作りの象徴的な例として、映画「七人の侍」を引き合いにしています。
写真
 実は著者の考える「武器としてのチーム」を、非常に分かりやすく表わしているのが、この映画だからだそうです。

 50年程前の映画なので、内容を知らない方も多いかもしれませんね。
戦国時代、野武士の襲撃に恐れおののく、とある村。その村を守るために、集まってきた個性豊かな侍が七人。 そして過酷な戦闘の果てに・・・・
  
   DVD化されていますので、機会があれば一度観てみてはいかがでしょうか。

さて良いチームとは、概ね下記の要素を備えているそうです。

 ①少人数である
 ②メンバーが互いに補完的なスキルを有する
 ③共通の目的とその達成に責任を持つ
 ④問題解決のためのアプローチの方法を共有している
 ⑤メンバーの相互責任がある

  何かを成し遂げるには、一人では出来ない。かといって人数が多ければ、組織に依存するだけのメンバーも出てくる。目的共有が曖昧では、成果を得ることは出来ない・・・・・・。

    この「七人の侍」の他にも、豊富な事例を挙げつつ、どうすれば、理想のチーム作りが出来るのか。
そのために、我々は何をすべきか。 様々な示唆を与えてくれます。

  是非、20代、30代の若手ビジネスマンに読んでほしい1冊です。40代の自分が読んでも、心揺さぶらるものがありましたから(笑)。







写真 1991年にバブルが弾けてから「失われた10年」が過ぎ、ついには「失われた20年」が過ぎたと言われる日本経済。
しかし、この間にも成長企業が無かったわけではありません。

  本書は、1990年から2010年の20年間に、「売上高」「営業利益」「時価総額」がどれだけ成長したか、3つの指標を伸び率をもとに「勝ち組100社」をリストアップし、そこから共通の成功パターンを見出し、エッセンスをまとめた内容となっています。

  対象は、1990年時点で上場しており、2010年時点で、売上高1,000億円以上の企業。内訳は製造業が78社。非製造業が22社。また製造業の大半は、完成品メーカーではなく、部品メーカーとなっています。

    さてこれらの「勝ち組100社」から、どんな成功パターンが見いだせるのでしょうか。
著者は、ここから企業が成長するための要因を、4つの力に分類しています。そして、その4つの力の関係性を整理したものを「次世代経営モデルの基本構造」と定義をしています。

  その構造は、写真帯にあるように、三角形の一番上に「経営革新力」、真ん中には「事業モデル構築力」「市場開拓力」の二つがあり、下層には事業の基礎となる「オペレーション力」が配置されています。

  そしてその組み合わせから4つのパターンを導き出しています。

  タイプJ. オペレーション力に磨きをかけ続けるモデル
  タイプW.オペレーション力+トップの経営革新力で非連続な成長を牽引するモデル
  タイプX. オペレーション力+事業モデル構築力と市場開拓力を成長のエンジンとして回し続けるモデル
  タイプZ. オペレーション力、事業モデル構築力、市場開拓力、経営革新力の4つすべてを兼ね備えたモデル

  日本企業に圧倒的に多いのは、タイプJ.(Jは、JAPANのJ)。技術力、製造力、販売力といった現場のオペレーション力で成長を実現してきたタイプです。

   しかしながら、オペレーション力は、あくまで日本国内で研ぎ澄まされた能力であり、今後もこのパターンで成長を維持することは、昨今の様なグローバル経済下では困難です。
そこで、今後日本が目指すべきモデルは、タイプX.何故、究極ともいえるタイプZ.を目指さないのか。
欧米と違い、いわゆる「プロ経営者」の少ない日本では過度のトップ依存はリスクが高いからだそうです。
  それよりも、日本で培った高いオペレーション力を、新興国等、新しい市場で再構築をしていくような事業モデルの方が日本には適しているからだそうです。

  それでは、タイプX.へと転換していくためには、何が必要で、どうすればいいのか。
前提条件は2つ。「強い危機意識」と「やり遂げる力」 を持つこと。そしてキーワードは3つ。

  X(エクス)テンション     既存の市場や技術を、少しだけずらしてみる
  X(クロス)イノベーション  協力相手と緊密な協創関係を構築する
  X(トランス)ナショナル      日本に閉じこもらず、世界規模、地球規模で考える

   この様に書いてくると、本書は上場企業等、大手の話であり、中小企業には一見関係がないように思えます。
はたしてそうでしょうか。取り上げられている事例も大手のケースばかりですが、そのエッセンスは事業規模を問わないように思います。 キーワードを格好良くまとめすぎ、やや分かりにくい部分もありますが、一読の価値はあると思います。
 
 

写真  岡山駅から2時間。岡山県真庭市勝山で、自家製天然酵母と国産小麦にこだわり、週に4日だけ営業するパン屋「タルマーリー」 http://talmary.com/

  本書は、同店店主の書いた「ちょっと変わった」 ビジネス書です。

  フリーター等を経て、30歳で社会に出て紆余曲折の末に、自らパン屋を開くことを志した著者。
修行時代の過酷な長時間労働。添加物や、培養された酵母を使用していても「無添加」や「天然酵母」と堂々と名乗るパン屋・・・・日々感じる矛盾。

 そんな著者に、彼の父親が読むことを勧めたのが、カール・マルクスの「資本論」でした。

  どうしてパン屋の店主は、従業員を長時間働かせるのか?
  なぜ、小麦粉には添加物を加えるのか?
  なぜ、純粋培養した酵母が使われるのか?

  修行時代や店主になってからも、日々生じる疑問の数々。

  著書は、「資本論」の中に、その答を見出していきます。
資本主義の宿命である、飽くなき利潤の追求が、これらの事象を招く要因であること。そしてそれは「食」と「職」
を破壊することにつながっていくのだと。

    まっとうな材料を、まっとうな生産者からまっとうな価格で購入をする。きちんとした技術で、商品を作る。そしてまっとうな値段で販売をし、お客様に購入をしていただく。もちろん赤字では駄目だが、過剰な利益蓄積はせず、関わる人々にきちんと還元をしていく。
そうすることで、材料や商品としての「食」を守り、職人やスタッフの「職」を守っていく。利益蓄積をし規模の拡大を図るのではなく、そんな身の丈にあった「小商い」をする者が増え、連鎖することが、より豊かな社会を作っていく。

 そんな著者の思いが詰まった一冊となっています。

   とはいえ、まったく堅苦しいことはなく各章表紙の裏ページには、天然酵母パンの製法がイラスト入りで書いてあったり、菌や発酵の話が出てきたりと、なかなかユニークな構成となっています。

    ところで本書タイトルの「腐る経済」って何なんでしょうか。

 著者は、菌にその着想を見たと書いています。
さすがにパン屋さんだけに、「発酵」と「腐敗」はつきもの。自然界のあらゆるものは、菌によって「発酵」か「腐敗」をし、やがては、地上に還っていきます。それが本来の姿。
なのに、この世でお金だけが「腐らない」。腐らないために、とめどなく再生産が繰り返され、社会と人の暮らしが振り回されていく・・・・・・。

    「腐る経済」とは、そのアンチテーゼなのかもしれません。
過度の利潤蓄積をせず、関係するものに還元し絶えず完結していく「経済」。やや哲学的ですが(笑)。

    

このページのトップヘ