そういえば、いわゆる「ヤンキー」って今やほとんど見ることがありませんし、そもそも「ヤンキー」という言葉自体を、ほとんど聞かなくなっています。ところが、かつてのヤンキーは、服装も精神もいたってマイルドな新ヤンキーに進化?をしていました。
著者はそれを「マイルドヤンキー(新保守層)」と名付け、多少昔のヤンキーを彷彿とさせる「悪羅悪羅(おらおら)系残存ヤンキー」と「ダラダラ系地元族」に分類し、その実態に迫っています。
何故、そんなアプローチを試みるのか。
それは「若者がモノを買わない。お金を使わない」と言われる昨今、比較的旺盛な消費意欲を示す層だからであり、その消費動向を掴むことはマーケティング上、無視出来ないものになっているからだそうです。
本書では、135名のマイルドヤンキーの若者への調査を通じ、その消費動向を丹念に解き明かしていきます。
例えば、マイルドヤンキーの消費動向には、こんな特徴があるそうです。
①地元大好き
②ダラダラと仲間で集まり一緒に過ごすのが好き
③弱い上(京)昇志向 「なぜ都会に行く必要があるの?」
④イオンモールは、なんでも揃う夢の国
⑤旅行は別に好きではないが、TDLだけは大好き
⑥みんなが乗れるミニバンが欲しい
⑦一軒家を構えてこそ一人前
⑧EXILE好き
⑨今だ喫煙率高く、ギャンブルやアルコール好き
⑩スマホは苦手、閉じたSNS利用 etc
いや~面白い。
でも40代以上の人には、ほとんど理解し難い世界なのかもしれません。
本書の取材対象となっている世代(20代前半~30代前半)は、その生涯の大半を、「失われた20年」と言われる不安定な経済環境下で過ごしています。
彼らには、もはや親や先輩達の価値観は到底理解が出来ません。そんな中、彼らが辿りついた考えは、とにかく安定をしていたい。
住み慣れた場所で、いつまでも地元の仲間達(小・中学校までの同級生)と一緒にいたい。夢や大志を抱くより日々の何気ない生活を大切に過ごしていきたい。 そんなところなのではないのでしょうか。
そんな彼らは、これからどんなものに消費をしてくれるのか。
彼らに対し、どんなビジネスを展開したら良いのか。いくつかのヒントやアイデアが挙げらています。、
確かに一時の消費層としては、彼らはとても有力な層かもしれません。でも個人的には、彼らの存在には非常に危惧を覚えました。
この極端な地元志向と上昇志向の無さが、これからの若者達の大半の傾向だとしたら、とても経済の活性化どころか、国際競争なんて望むべくもない。もはやこの国に未来はないのではないか。
それは、言いすぎでしょうか。



