名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2014年03月

写真  3月11日の「ガイアの夜明け」に岩佐社長が出演されたので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

  東日本大震災の被災地、宮城県山元町。一大イチゴ産地ながら、震災でイチゴ農家129軒中122件が壊滅。

 そんな中、生まれ故郷を救うため、未経験ながら、IT技術を駆使した巨大イチゴ農園を建設した岩佐社長。

 それからわずか3年。伊勢丹で1粒1,000円で売られるイチゴ。 item002

「ミガキイチゴ」のブランディングに成功するまでの物語。

  さらっと軽妙に書かれた手頃なページ数の本ですが、ビジネス本として極めて秀逸な本だと思います。何故か。

  震災復興、農業振興の実例という面も当然ありますが、何より働くということ、ビジネスに取り組むための姿勢の要諦が、極めてコンパクトに分かりやすい言葉で語られているからです。

 ちょっと挙げてみるだけでも

 □仕事は「社会にどれだけインパクトを与えられるか」。やがてそれがお金に変わる。
 □「何もない」ことを悲観せず、むしろ「ゼロから創りあげる」ことを楽しもう。
 □弱者が勝ち残るためには、得意な部分を磨きに磨いて「一点突破」しよう。
 □わからないときは調べまくる。最後は。専門家に聞きまくる。
 □リーダーはコミュニケーションを最後まであきらめてはいけない。
 □ギャップや小競り合いはイノベーション(革新)の源泉だから大切にしよう。
 □ルールに従って勝てないなら、新しいルールをつくろう。
 □命さえあれば取れない「リスク」なんてない。
 □ロジカル、情熱、ストーリーで人を巻き込もう。
 □チャンスは人が連れてくることに気づこう。

  ちょっと読んだだけでも、何か勇気が湧いてきますよね。
 
 現在、岩佐社長は、このイチゴ栽培の技術を引っ提げて、インドそしてサウジアラビアでの農園開発支援に取り組んでいます。

 「宮城のイチゴ栽培も、まだまだ道半ば。なぜ海外に行くのか」と、仲間からの猛反対を受けても、彼は挑戦をします。

 彼の答えは明確です。

 チャンスに二度目はないから。
 完璧にしてから行くのでは遅い。8割まで行ったら次に進むべきと語っています。
 そして「電光石火」で行こう。スピードを高めるとむしろ質は上がるからと結んでいます。

 何故これほどのスピード感、危機感を持って動けるのか。
勿論、岩佐社長の資質の高さがあってのことですが、やはり東日本大震災が彼に与えた影響は、計り知れないように思います。

 まだまだ復興道半ばの東北ですが、一人でも多く、彼のような人材が出てくること。
再生の鍵は、そこにあるように思います。

写真  マーケティング誌が、デジタルマーケティングのロックスター(笑)と呼ぶミッチ・ジョエル氏。 http://www.twistimage.com/about-mitch/

  そんな彼が、現在、そしてこれから起こるであろう企業を取り巻く環境変化と、その環境変化にいかに対応し、5年後も企業から必要とされる人材であるためにはどうすればいいのかを説いた指南書です。

  本書の構成は大きく2編に分けられています。
  「ビジネス再起動」編は、今やビジネスの常識を大きく変えつつある5つの大変動について、「個人再起動」編では、この5つの大変動に対し、個人はどう対処すべきか7つのヒントについて語っています。
 
  キーワードはデジタルとネットワーク。

 ビジネスの常識を大きく変える5つの大変動とは

  ①直結型の関係
   企業は顧客と、いかに長期的に持続可能な良好な関係を築くかが、重要になっている。

 ②顧客は有用性を求めている
  売りつける商品には満足しないが、顧客の生活にとって真に価値あるものであれば、顧客は自ら企業と関係を持ちたがるようになる。

 ③受動メディアと能動メディア
  SNS等の台頭で消費者は能動的にメディアと関わり始めている。企業は両メディアのバランスをいかにとるかかが重要になっている。

 ④データが教えてくれることは、まずます増えていく
  プライバシーを尊重しつつ、いかに消費者の個人情報を共有し有効利用するかが重要となる。

 ⑤1画面世界
  メディアはスマホに代表されるように、一つのデバイスや画面に集約されていく。

 そして7つのヒントとは

 ①デジタル第一主義
  消費者が企業を選ぶ際に真っ先に頼るのは、PC、スマホ、タブレット。まずこの事実を認識する。
その上で消費者と対峙する上で必要となるのは人間性と謙虚な姿勢である。

 ②ロング&ワインディング・キャリア
  永年勤続などあり得ない。難しいプロジェクトに尻込みしない。紆余曲折で行こう、他者との微かなズレが大切である。

 ③新しい働き方
  起業家マインドを持つ。ワークライフバランスを忘れる。キーワードはブレンド。
 
 ④自分をマーケティング
  コミュニケーションが広告となる。人生は売り込みである。語る力を高め、影響力と信頼を勝ち取る。
 
 ⑤仕事の場
  どこでも仕事場になる。新しい時代を理解するには、新しい空間で仕事をしなくてはならない。

 ⑥起動モードの人生
  スタートアップ精神が大切。新規立ち上げは一人でも出来る。怖くて行動出来ないなら、このサイトを観よう。  
http://mashable.com/2012/06/04/buddy-media-ceo-makes-video/

 ⑦次を受け入れる
  ハッカーたれ。ハッカーとは「肯定的な意味で何かを乱暴に扱っているもの。あるいは、巧妙に冗談混じりで目的を達成するもの」
 
  
  原著がそうなのか、翻訳のせいなのか、読み手の能力不足のせいなのか、実は本書は個人的には非常に読みづらい1冊でした。

  盛り込まれているエピソードは面白いし、参考になる点も多々ありますが、内容のとりまとめをした終章がないことや、翻訳者の解説も載っていないため、正直今一つ全体の把握がうまく出来ませんでした。
 
 例えば「個人を再起動」編の方は7つのヒントといいつつ、実は7つのヒントがまとめて列挙された記載はなかったように思います。
 構成が7章になっていましたので、先にその表題を列記し内容を拾ってみましたが、ちょっと意味が分からないところもありますね。

 ただ決して駄本ではありません。

 無理にまとめ、全容を理解しようとするよりも、関心のあるトピックを拾い読みするのが、本書の有効な活用方法なのもしれませんね。
  

写真  ハーバードやイエ-ル等の一流大学を卒業し、安定した職業を得ながらも、それをあっさりと捨てて、専業主婦を目指す米国の若い女性たち。

  彼女たちは、郊外に住み、野菜を育て、料理や手芸に勤しみ、子育てにたっぷりと時間をかけます。

  そしてインターネットを使い、手作りの品を販売したり、ブログでそのライフスタイルを積極的に発信しています。
 
  そんな新しいタイプの専業主婦をハウスワイフ2.0と呼び、その実態に迫ったのが本書です。
 
  本書が発表されるやいなや、米国では様々な議論を巻き起こしたようですが、日本でも関心が高いテーマなのでしょうね。
  様々な経済誌でも、著者のインタビュー記事が掲載されましたので、ご存じの方も多いかもしれません。

  さて、このハウスワイフ2.0というのは、本当に新しいムーブメントなのでしょうか。それとも単なる一時の流行なのでしょうか。

  顕著にこの傾向が見られ始めたのは、やはりリーマンショック以降のようです。

 優秀な成績で著名大学を卒業し、社会に出てバリバリと稼ぎ、キャリアを築いていく。
 しかし現実に待ち受けていたのは、長時間労働と上がらない報酬、産休も取れない職場環境、そして不安定な企業の将来。
 彼女達が夢見、目指してきたものはもはや幻想と化してしまいました。

 またベビーブーマーにあたる自身の母親世代の働き方、生き方への強い反発も背景にはあるようです。

 本書の仔細の説明は割愛させていただきますが、個人的に一番疑問を持ったのは、お金の問題です。
このようなライフスタイルを志向し、例え倹約に勤めたとしても、一定の経済力は必要であり、配偶者に相応の収入がなければ、実現は難しいのではないかと。

  医療費や教育費をどう賄うのか。万が一の離婚の時にはどうすうるのか。
  残念ながら、そのあたりについての明確な解はないようですね。

  本書巻末に、ハウスワイフ2.0の四条件というのが記されているのですが、その一つは「経済的自立を大切にする」となっています。著者もこのあたりは危惧するところのようですね。
  手作りの品を売る、著名ブロガーになる、フリーライターになる 専業主婦となっても一定の収入を得ている人々もいますが、やはり一握りの層に限られるようです。

  ハウスワイフ2.0が、新しいムーブメントになるのかどうかは、この経済的な裏付けをいかに得るのかにかかっているように思います。
 
  そしてこのムーブメントは日本でも、起こっていくのでしょうか。
以前から、日本では高学歴な女性が、結婚を機にあっさりと専業主婦になるケースは一般的でした。
これは高学歴な女性は、高学歴で高収入な男性と結婚するケースが多かったため、成り立ってきた背景があるように思います。
 そういう意味では、日本はハウスワイフ2.0を先取りしてきたと言えるのかもしれません。
 ただその前提も崩れつつある今、ひょっとしたら、ハウスワイフ3.0という新しいモデルが日本から生まれるのかもしれませんね。

写真 一説によれば、今の日本は第4次ベンチャーブームの最中にあるそうです。
 その背景には、IT技術の進化や起業コストの低下等、様々な理由があるのでしょうが、一番変わってきているのは、起業家とそこに集う社員の質。
 
  高学歴で、大手企業への就職も決して難しくない学生や、あるいは既にそういった企業に勤めている社会人が、起業やあるいはベンチャー企業への就職や転職を躊躇わなくなりつつある。

  また、そういった企業は単に金儲けがしたいとか、自社の技術やサービスを世に問いたいというレベルではなく、「自分達(自社)が、いかに社会に新しい価値をもたらすのか」という崇高な目的を掲げているところが少なくないようです。

  優良な学生と優良なベンチャー企業のマッチングビジネスを展開しているスローガン社。
知る人ぞ知る求人サイト Goodfind https://www.goodfind.jp/ を主宰しています。
  同社の伊藤社長が紹介する5社の経営者や、そこで働く社員へのインタビューを通し、果たして現在のベンチャーブームは本物なのか、本当に優秀な若者達がベンチャーを目指し始めているのかに迫ったのが本書です。
 
   本書で紹介さている5社とは

  テラモーターズ株式会社 (電動バイクメーカー)      http://www.terra-motors.com/jp/
  Sansan株式会社  (クラウド名刺管理サービス)      http://www.sansan.com/ 
    株式会社ネットプロテクションズ(後払い決済サービス)   http://www.netprotections.com/
    フォルシア株式会社 (商品検索エンジン開発)       http://www.forcia.com/
    株式会社クラウドワークス(クラウドソーシングサービス) http://crowdworks.co.jp/
 
  テラモーターズ社を除けば、他は全てIT系となります。
   
  共通するのは、どの会社も明確な理念やビジョンを掲げていること。またベンチャーとはいえ採用には一切の妥協なく、共に働く仲間は慎重に選んでいること。
  またどの社のトップも非常に魅力的であり、インタビューが巧みなせいもあるのか、あまりガツガツした印象を受けません。
  相当な熱意が無ければ起業し人を集めることは難しいと思うのですが、いい意味で肩の力が抜け、飄々した感すら漂っているように思いました。 
  そこで働く社員達も決して楽な環境下ではないと思いますが、どこか楽しげに見えてしまうのは、会社の理念やビジョンを共有し易く、やりがいを持ちやすい状況にあるからかもしれません。
  就職活動をする学生には、随分魅力的に映ることでしょう。
 
  さて優秀な若者たちがベンチャーを目指す流れは本物なのでしょうか。

  先ほど掲げたスローガン社の伊藤社長は、ベンチャー企業への就職を目指す学生は増加傾向にあるそうですが、圧倒的に受け入れ出来る企業数が少ないと語っています。

  同社のサイトは掲載企業を吟味していることもあり、100社程度しか登録はないようです。

    やはりIT系が多いようですが、伊藤社長は雇用という意味では、やはり製造業、いわゆるメーカーの起業がもっと必要と考えているようです。
 
  また学生はベンチャー企業への就職を望んでも、親が拒むケースも、まだまだ多かったり、自身のキャリア形成で、最初に大手に行くのがいいのか、ベンチャーに行くのがいいのかという損得論だけで、ベンチャー企業への就職が語られつつある現況に対し危惧するところもあり、まだまだブームという領域を超えてはいないと、冷静な分析をしています。

  優秀な若者が大手を蹴ってベンチャーを目指す。
この流れは,まだまだ細いものかもしれなませんし、本書で紹介されている企業や経営者は、ごくごく稀なケースなのかもしれません。でも何か希望を感じずにはいられませんでした。そんな読後感を覚えた1冊でした。  

写真   国家権力を統治するのは、立法・司法・行政のいわゆる三権。
かつて政府を監視する役割を担う報道機関は「第四の権力」と呼ばれました。
  そして2025年には、地球上の80億人全員がオンラインでつながる時代がやってくるのだそうです。
  誰もが世界中とつながり、自由に発言が出来る時、人々は新しい権力「第五の権力」を握ることになります。

  そしてその時、世界は国家は個人はどうなっていくのか。
そんな近未来予想を、Google会長のエリック・シュミットが、語っているのが本書です。

 「Googleには見えている」と副題には、ありますが、単なる技術予測やGoogleの企業戦略といったレベルの話ではなく、もっと大局的に、個人の生活、報道とプライバシー、国家、革命、テロ、紛争と戦争、復興の未来について論じています。
  
  共著者のジャレッド・コーエンと1年間で30ケ国を旅した知見が下敷きになっており、机上で語る未来予想ではなく、非常に説得力のある内容となっています。

  では、これから我々が迎える未来はどうなっていくのでしょうか。

 本書では以下の様にまとめています。

  ①コンピューターと人間は、一層の役割分担が進んでいく
   無限の記憶力や、無限に近い処理速度を要する作業等はコンピューターが担うが、判断や直感、ニュアンスの理解といった人間にしか出来ないやりとりは残っていく。

  ②仮想世界が現実世界にとって代わることはないが、その存在が現実世界のあらゆる動きを複雑にしていく
    個人は仮想世界、国家は現実世界と、それぞれにとって自由度の高い世界での活動を好むので、両者の緊張関係がなくなることはない。

 ③国家は仮想世界、現実世界のそれぞれで外交政策、国内政策を実行する必要に迫られる
  例えば、ネット上では、自由な発言を許容し不満の発散をさせつつも、いざ現実のデモ活動になれば、弾圧に走るといった政策が行われ、矛盾をはらむことも多々起こり得る。

 そして最後にこんな警告も発しています。
 今後我々は「第五の権力」という大きな力を手に入れるが、大きな代償も伴うと。
 その代償とは 仮想世界へのアクセスによる恩恵を受けるために、現実世界で大切にしているプライバシーや個人情報を自ら差し出すことであり、我々はそれが脅かされる行為に対しては断固闘う必要があるのだと。

  とはいえ一度仮想世界の恩恵を受けてしまえば、もはやそこから逃れる術は、我々にはありません。
いかにリスクを抑え、メリットの恩恵を受けるのか、そのあたりをカバーする技術の存在を仄めかし、楽観的に結んではいますが。

  ややボリュームがある1冊ですが、もはやネットとは無縁ではいられない我々にとっては、必読の書ではないでしょうか。示唆を受ける点、多いと思います。

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