名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2014年04月

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    トヨタ生産方式に代表されるように、製造部門の生産性の高さに比し、ホワイトカラーの生産性の低さを指摘されることの多い日本。

 ホワイトカラーの生産性は何故上がらないのか。
 どうすれば生産性を高めることが出来るのか。
 
 著者の開発したHIT法という手法を用い、その問いにアプローチしたのが本書です。
 
  モノづくりの現場では、材料がラインに乗って製品化されていく工程を目で見ることができます。目で見ることが出来るから、ムダが発見し易く、管理がし易い。

  一方ホワイトカラーの仕事は、人が情報を相手に仕事をしているため、その仕事ぶりを見ただけでは、一生懸命やっているようでも、本当に必要な仕事がなされているのか。それが効率的に行われているのか外からでは、まったく分かりません。

 そこで必要になってくるのが、ホワイトカラーの仕事の可視化。
 
 著者の開発したHIT法が、事細かに解説されている訳ではありませんが、ざっとその手順を見ていくと下記の様な流れとなります。

  まずは、個人が業務名、仕事名、作業名等で、過去1年間に行った実績を洗いだしてみることから始まります。 そしてそれを所属する組織内の業務として階層的に体系化していきます。
 次に各業務の流れをチャート化していきます。

 これだけの作業(といっても簡単ではありませんが)で、個々の社員の役割や分担が明確になり、それだけでもかなり改善ポイントが見えてくるのだとか。

 次に各業務のマニュアル化を進めていきます。ホワイトカラーの業務はルーチンなものが多く、一度作業を覚えてしまえば、マニュアルを使わないことが多く、各人の判断で勝手に業務の手順や内容を変えてしまいます。   
 そこで単なる作業手順ではなく、様々な目標値や基準値(作業時間、品質等)を記載したマニュアル作りが必要と説いています。

  ホワイトカラーの生産向上には、社員の多能職化が不可欠と著者は説きます。

  会社の業務は、全社揃って絶えず繁忙ということは少なく、季節や部署ごとに、そのピークは異なります。
多能職化した社員であれば、業務ピークに応じ、臨機応変に応援に回せます。
   
  これにより社員は他部署交流で自身の視野を広げることや、逆に他者で代替出来る業務を切り出すことで、本来自身が取組むべき専門業務へ更に注力出来る等の効果も生まれます。
  会社もピークに合わせ余剰な人員を抱える必要がなくなります。

  多能職化を目指すためには、不足するスキルを学習していく必要がありますが、上記の様に、各人の業務内容や手順を明確にすることで、その効率も非常に高いものとなりますし、管理職は部下の評価や育成に活用することも可能となります。
   それが本書のタイトルでもある「最少人数で最強組織をつくる」ということに繋がっていくのでしょうね。
    
  さらっとした紹介になってしまいましたが、実際の取組や運用に関し、他にも色々と示唆に富んだ内容を含んでいます。

   業種や規模を問わず、ホワイトカラーの生産性向上というのは、どんな企業にとっても不可欠なテーマだと思います。 一つの対処法例として本書は一読の価値はあると思います。、 
         

写真   これはちょっと形容し難い本ですね~。

 「思考」といいつつも、具体的な思考術を教える本ではありません。

  様々な経営課題にまつわるコラムが77本。
  テーマには相互の関連性はありません。
    基本構成は問題提起と著者の所見。

    読者には、著者の所見を鵜呑みにするのではなく、共感、反感を抱きながらも、これらの課題に対し、自身の頭で考え、そこから何らかの気づきを得ることを求めています。

  昨今の様に、目まぐるしく変わる経営環境下では、これまでは「常識」とされてきた手法や考え方が、もはや「常識」とは言えなくなってしまっていることも少なくありません。

  様々な事例に対し、ゼロベースで考え発想する能力を身につける一助となることが、本書の狙いと言えるのかもしれません。

 さて、相互の関連性がないコラムが77本となっていますが、大きく5つのテーマ立てとなっています。
 
 ①経営の本質に関するもの ②経営のメカニズムに関するもの ③人の心に関するもの ④マーケティングに関するもの ⑤思考が変わる効用に関するもの

 各コラムのタイトルも 「ヒトを資産と考えるか?負債と考えるか?」「経営を民主主義で考えれば、ファンクラブも“不安クラブ“になる?」「浪花節だよ、モチベーションは」 等、正直、洗練されているとは言い難い(笑)ものが多いのですが、その内容は、実例に裏付けされ、色々と示唆に富んだものでした。
 
 好意的に考えれば、あえて洗練されていないタイトルにしてあるのも、そのタイトル自体を端的な言葉で表現するということを、「思考」の訓練の一環として読者に課しているからかもしれませんね。

 個人的には、本書の最終コラムに記されている「この世の中は、わかるだけで解決策を案ずることなく自然に解決されるような問題がほとんどなのである。」という記述が一番印象に残りました。

 人はとかく、解決策を求めがちですが、「必要なのは解決策ではなく、その問題の本質を見極めること。本質が分かれば苦労せず自然と解決はされていく。中途半端にしか分からないから苦しむのだ、」というのは大いに納得出来るところでした。

 とはいえ、一朝一夕でそんな能力は身に着くわけもないわけで・・・・・
 稚拙であっても、地道に自身の頭で「思考」する習慣を持つこと。 そこにしか解はないのでしょうね。

写真 これはいい本ですね~。「教科書」の名に恥じない素晴らしい内容だと思います。

 サブタイトルにもあるように、「経営戦略を見る目と考える力を養う」というのが本書の目的ですが、単に戦略の善し悪しを見るのではなく、その戦略を支える業務活動や経営資源等のしくみを組み合わせた、いわゆるビジネスモデルに着目をして記されています。

  編集の方法も独特です。

  約100社(大手企業が中心ですが)の事例を、31のビジネスモデルに整理してしていますが、全てのモデルについて、①図解 ②概要と例 ③価値創造過程 ④有効に機能する条件 ⑤落とし穴 ⑥類似のビジネスモデル ⑦このビジネスモデルから学ぶ戦略思考 ⑧まとめ という同一の構成をとっています。
 
  著者もあえてカタログの様に編集をしたと記していますが、その狙いはどこにあるのでしょうか。

  著者はそれを「型の習得」にあるとしています。
武術や芸術といった世界では、生徒は理論の学習と共に、優れたパフォーマンスや作品の鑑賞をしたり、模倣をすることによって、徐々にレベルをを高めていきます。

 いくつかの押さえるべきパターンを繰り返し練習し習得することで、より高次のレベルに上がっていくことが可能となるわけです。

 それはビジネスにおいても同じことであり、いくつもの優れたビジネスモデルのパターンを理解し、見つけておくことは多くのビジネスパーソンにとって有益であることは言うまでもないと思います。
 
  また理解の促進という点からも、パターンの整理方法は統一されていた方が、当然学習効率は高いので、そのあたりを考慮しての編集ということになっているようのでしょうね。

     こう書いてしまうと、何か難しそうで手に取るのに躊躇しそうですが、31のビジネスモデルは、「ソリューション」「デファクトスタンダード」「ブルーオーシャン」「フリー」といった比較的、ポピュラーなものから「マクドナルド化」なるユニークなものまでバラエティに富んでいます。
 
  また登場するほとんどの企業や製品、サービスは、普段我々が馴染んでいるものが大半であり、とても読みやすくなっています。

  大手企業の事例が中心で、中小企業向には参考にならないのではとの印象を持たれるかもしれませんが、自社をこのパターンで分類してみる。 自社の業界のリーディングカンパニーのモデルを見てみる等、十分有効に活用出来るように思います。

 一度読んで終わるのではなく、手元に置いて繰り返し読んでみる。そんな一冊です。お薦め。

写真   タイトルだけ見てしまうと、単なるコンサル業界の暴露本、自虐本かと思ってしまいますが、なかなかどうして。

   経営コンサルティング史、各種コンサルティング手法の検証という点からも、結構秀逸な内容ではないかと思います。
 
  これ、邦題で損してるな~と思いましたが、原題も同じようなタイトルでしたので、営業面を考慮して、わざとこんなタイトルにしているのかもしれませんね。

 さて本題です。次から次へと、世に登場する経営理論や手法。

  はたして、その理論や手法の大半は、本当に効果があるのか、あったのか、ほとんど検証されることはありません。

  筆者のカレン・フェランさんは大手コンサルティング会社、事業会社勤務を経て、現在は自らのコンサルティング会社を経営する業界歴30年の女性。

  自身が、コンサルティングを施す側、受ける側と立場を変えながら、数々の経営理論の実践に携わった経歴から、著名な経営理論やビジネス本の抱える欠陥について言及しています。
 
  構成も、戦略開発、業務プロセス改善、業績管理システム、マネジメントモデル、人材開発プログラム、リーダーシップ と理論や手法ごとの章立てとなっており非常にわかり易くなっています。
  また巻末には、各経営理論の真偽表なるものも、まとめられています(原文はこちら http://www.imsorryibrokeyourcompany.com/truthometer.html
 
  それにしても、戦略開発の章一つをとってみただけでも、競争戦略に始まりコア・コンピタンス戦略~ブルーオーシャン戦略~適応戦略と、その変遷を見てるだけでも、色々と考えさせられますね。

  当然、優れた企業研究の成果として、生まれた理論や手法もあるのでしょうが、やはり次から次へと、理論や手法が生み出される背景には、コンサルティング会社と企業側の思惑が合致していることもあるように思います。
  
  業界のオピニオンリーダーとして新しい理論や手法を創造し、収益機会を得たいコンサルティング会社やコンサルタント。
  分かり易いキーワードで、問題解決策を提示してほしい企業側。端的に語れるということは、社内稟議やコンセンサスを得る上でも不可欠なのでしょうね。

  そもそも企業の抱える課題は千差万別。
  一つや二つのキーワードで、解決出来るほど単純なものではありません。

    事実著者も、結局のところ、新たな手法をあれこれ投じるよりも、実は従業員間のコミュニケーションを活発化させ、他部門の課題を互いに理解し合い、目的の共有を図ることだけでも、課題解決には、かなりの成果が上がるものだと語っています。  でも実はこれが一番難しいことなのかもしれませんね。

  辛辣な記載もある本書ですが、著者は必ずしも経営コンサルティングや、経営コンサルタントの存在を全面否定している訳ではありません。 
  使うべき状況の判断と使い方、そしてコンサルタントの見極めが重要であり、終章では、それらのポイントもまとめられています。 

 「危険なコンサルタントの見抜き方」なる表もありましたので、ここは謙虚に読ませていただきました(笑)
 

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