名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2014年05月

①写真  ベストセラーとなった「会社にお金が残らない本当の理由」から10年。

  本書は、最新の税制動向に基づいたアップデート版であると同時に、企業の「運」や「実力」についても言及をした、ちょっと変わった構成となっています。

 著書も、「ちょっと不格好な本になった」とは冒頭で述べていますが、読み終えてみれば、そんなことは気にさせない示唆に富んだ一冊でした。
 
 余談ですが、 実は私は10年程前、著者、岡本吏郎氏の新潟の事務所を訪ねて、直接お会いしたことがあります。

  1時間程の面談でしたが、普通の税理士とはちょっと(かなり?)違う、そのユニークな発想や事務所の運営方法に、非常に感心した覚えがあります。

  さて本書の内容ですが、大きく二つの構成となっています。

 一つは最新の税制改正動向を盛り込んだ、会社にお金を残すためのシミュレーション。
  法人課税軽減、個人課税重増のトレンドを受け、いかに会社にお金を残すか緻密なシミュレーションを繰り返しています。
随分と平易には書かれていますが、ちょっとここは知識がないと理解は難しいところがあるかもしれません。  

  そしてもう一つは「運」「実力」「可能性」についての考察。

  数字というリアルな世界について触れながらも、何故にその一方で、非科学的も言える「運」に言及しているのでしょうか。

  企業の成功には「運」と「実力」が不可欠です。どんなに「実力」のある企業であっても、運には抗えない。
優れた製品や商品、サービスを世に出したところで、受け入れられず消えていってしまう例には暇がありません。
 うまくいかなかった理由付けはいくらでも出来ますが、端的に言えば「運がなかった」と。  

  しかし「運」のもつ影響度を下げることは、可能であると氏は説きます。ただそのために最も大切なことは何か。
  種明かしはしませんが、それが一見内容の異なる二部構成となっている本書を繋ぐ要諦と言えるのかもしれません。

 他にも「可能性」についての考え方や、企業が取るべき行動につき、ノウハウ、セオリー、メソッドと違いをうまく整理しつつ言及していたりと、独自の目線に気づかされる点が多々ありました。
 
  ただ全般に引用が非常に多く、硬軟混ざって面白い反面、ややもすると本文を見失いがちになりますので、その点はちょっと注意が必要かもしれません。

写真  悲惨な状態にある欧米諸国の経済。多くの識者の見解は一つ。
現在よりも多くのイノベーションが必要であると。
ならばイノベーターを育てる方法はあるのか。そんな問いに挑戦したのが本書です。
  ビジネス書というよりもジャンル的には教育書になるのかもしれませんが、欧米に限らず我が国においても不可欠な課題と思いますので、ご紹介させていただきます。

  本書は、いわゆるイノベーターと呼ばれる人たちやその親、メンター、企業経営者、総勢150名以上へのインタビューを下敷きにしています。

    まず驚くのは、シリコンバレーに代表されるように多くのイノベーターを輩出しているように見えるアメリカでさえ、今の教育方法には多くの課題を抱えていること。

  ハーバードやスタンフォードといった著名校ですら、その教育方法は陳腐化、硬直化し始めており、新たな教育方法の必要性が叫ばれながらも、なかなかままならない現状。

  イノベーター輩出のためにSTEM(科学、技術、工学、数学)教育の必要性を説くオバマ政権。
しかし生徒のテストの点数が教師の評価を決めることとなり、結果、創造性を発揮させるような授業を行いにくい皮肉さ。
 その中でも、一部の大学や一部の教官が始めているユニークな授業・・・・・

 果たしてイノベーターは育てることが出来るものなのか。

 著者はそれは可能であると答えています。そしてイノベーターを育てる鍵は3つあると。

 ①専門性(知識)
 ②クリエーティブな思考力
 ③モチベーション

 その中でも最も大切なものは③のモチベーションだとしています。

 モチベーションには外因性と内因性の2種類がありますが、より大切なのは内部モチベーション。
 そして内部モチベーションがもつ3要素 ①遊び ②情熱 ③目的意識 を高めることが、重要である点を指摘しています。

  この3つを、親や教師、メンター、企業経営者がいかに奨励していくのかが、イノベーターの輩出に大いに影響を及ぼすことになるとしています。

    では親や教師、メンター、企業経営者はどうすればよいのか。
本書内では、ずばり一言では書いてありませんが、個人的には「異端を受け入れる度量」ではないかと考えました。
  自らの価値観を押し付けることなく、子供や若者の個性を受け入れ、身守る忍耐強さ。そこに尽きる気がします。
  本書に掲載されたイノベーターの親達のインタビューを読んでも、そんな印象を強く持ちました。

  自身も親として部下を預る管理職として、野放図にさせることなく、しかし自主性を伸ばす、そんな対応の必要性を強く思わせました。とても難しいことですが。

  色々と示唆に富んだ一冊。好著です。

写真  思考法に関する本は、世に数多とありますが、本書はかなり秀逸な一冊ではないでしょうか。

  内容は勿論のこと、分かりやすい編集と豊富な事例で、すぐにでもここで紹介されているテクニックを試してみたくなってしまいます。

    さてインサイドボックスとは、何でしょうか。

  これまでの常識では、独創的で革新的なものを生み出すためには、枠の外(アウトサイドボックス)でものを考えなくてはならない。
  要するに固定観念を捨てなければ、新しい発想は生まれないというものでした。

  著者達は、これとまったく正反対の考えを唱えています。
  つまり優れたイノベーションを数多く生み出すためには、一定のヒナ型に沿って、勝手知ったる世界の内側、枠の中(インサイドボックス)で考えるべきだと。
 
  何の制約も無い中で、考えてみなさいと言われても、案外それは難しいものです。
 それよりも一定の制約条件を設けた方が、考え始め易いし、優れたアイデアに結びつく可能性が高いとのこと。

  本書では、過去、世の中に生まれた様々なイノベーティブな製品やサービスを分類、整理し、そのエッセンスをまとめ、創造的な発想をするための5つのテクニックとして紹介しています。

 ①引き算・・・・・製品やサービスに欠かせないとみなされていた要素を取り除いてみる
 
 ②分割 ・・・・・・既存の構成要素を分割し、一部を分離して用いてみる
 
 ③掛け算・・・・・製品やサービスの一部の要素をコピーして増量し、そこにこれまで無意味、もしくは奇妙と考えられていたような変更を加える

 ④一石二鳥・・・製品やサービスの一部の要素を複数の機能(多くの場合は、それまで互いに無関係と思われていた機能)をもたせてみる

 ⑤関数・・・・・・・それまで無関係と思われていた複数の要素を連動させてみる

  これだけを読んでもなかなかピンと来ませんが、全てのテクニックについて、実際の事例と進め方が丁寧に解説されており、かつ各テクニックに1章ずつを割き、章末にはまとめを設けています。
このまとめを読むだけでも、かなり参考になる点は多いのではないでしょうか。

  イノベーションは限られた人が起こすのではなく、一定の手順を踏んで考えることで、誰にでもその機会はあるのだという本書の主張には大変勇気づけられます。

 ただそのためには、当然練習は必要となります。そこで著者達はこんな提案をしています。

 ①目新しいアイデアに注意を払う・・・・・目新しく興味深いものごとに注目し、それがどのように発明されたのか想像してみる

 ②ランダムに対象を選ぶ・・・・・身のまわりのありきたりのものを選んで、5つのテクニックを用いたらどうなるかを想像してみる 

 ③ランダムにテクニックを選ぶ・・・・・5つのテクニックを選び、いま自分のまわりで進行中のものごとに当てはめてみる
 
 一人で実践しても効果はありますが、チームで取り組むことで、さらなる成果が期待出来るとしています。
 肩肘張らず、普段の生活や仕事の中でちょっと考えを巡らせてみる。そんな姿勢が大切なのかもしれませんね。

写真  かつて技術や経営ノウハウや資本は西から東へ、つまりアメリカや西ヨーロッパから日本、韓国、アジアへ伝わっていくというのが標準的な見方でした。

     しかし今やその流れは北から南へと急速にシフトをしています。
地球の南側が存在感を増し、ビジネスや経済の規模を急速に膨らませており、そこで急成長を遂げる新興企業も少なくありません。

  これは、ビジネス史上最大の転換期であり、単に一部のグローバル企業のみが直面する課題ではなく、ビジネスに携わる者全てに、最大の試練を突きつけるものであると著者は説きます。
 
    世界は今どうなろうとしているのか、そして大きく競争ルールが変わろうとしている中で、これからの企業は、リーダーは、どうあるべきかを示唆しているのが本書です。

    本書は2部構成となっており、1部では何故、北から南へのシフトが起こっているのか、国際金融システム、新しい多様な資本主義のあり方、人口動態、デジタル化等の観点からの解説を。

  そして2部では、そんな変わりゆく世界の中で、北側企業、いわゆる先進国がとるべき戦略、求められるリーダー像、組織につき解説をしています。 

  この厳しい環境下で勝ちぬくために必要なことは、まずはこれまでの常識を捨て去ること。

  例えば、戦略論では、自社の強みに特化すべきとしたコア・コンピテンシー、コア・コンピタンスといった王道的な考え方を非常に危ういものとしています。

  何故か。これらはあくまでも会社内から外を見た「インサイド・アウト」目線であり、既存のリソースをいかに有効に活用するかにウェイトが置かれています。それではこの変化の早い世界では、方向を見誤る可能性が高いから。そのため自社を外側の色々な立場から客観視する「アウトサイド・イン」の目線が必要としています。

  それに加えて、20年ほど先の未来を想像し、そこから現在まで遡って検討する「フューチャー・バック」の目線も欠かせないとしています。
  
  またこれから、南側で戦うリーダーには、一般的なリーダーの資質に加え、以下の様なスキルが必要としています。
 ①ローカルコンテキスト(現地の習慣・事情)をすみやかに習得する ②具体的なビジョンを作る
 ③経験則を疑う ④チームを構築する ⑤組織を「一つの社会」として動かす
 
 やはりここでも、過去の経験則に囚われないことの重要性が説かれています。

  いずれにしても競争ルールが大きく変わる中、突き詰めれば柔軟に考え、臨機応変な対応が出来ることが重要であり、それを後押しするのは、変わりゆく世界をしっかりと見つめる目と言えるのかもしれませんね。

 これは、南側で実際にビジネスを行う企業や携わる人に限らず不可欠な要素だと思います。
ただ一定の繁栄を享受してきた北側(先進国)の人々にとっては、なまじ成功体験がある分、ハードルが高いことかもしれませんが。

  なかなかうまくまとめられないのですが、非常に刺激的な一冊でした。
特に1部の、世界はどう変わろうとしているのかというパートは、一読の価値があると思います。
    

写真    邦題だけ見てしまうと、ちょっと凡庸な感を受ける本書ですが、単に優良企業の経営事例を紹介しているものではなく、そのテーマはもっと大きく、ずばりコンシャス・キャピタリズム(意識の高い資本主義)。
 
 資本主義のもたらしたイノベーションのおかげで、我々は単調な作業の繰り返しから開放され、時間や距離の制約を縮め、生活の質を著しく向上させることが出来ました。

 その一方、いつからか企業はその利益を最大化することのみが目されるようになり、労使関係は破壊され、人々の経済的格差は拡大し、尊厳を持って働くこともなかなか難しい時代となってしまいました。

 今や我々は新しい資本主義、コンシャス・キャピタリズム(意識の高い資本主義)を目指さなければなりません。
 そのためには、その中心プレーヤーである企業自身が変革をしていく必要があります。
 これからの企業が目指すべき姿は、コンシャス・カンパニー(意識の高い企業)。
 
 本書では、コンシャス・カンパニー(意識の高い企業)を次の様に定義しています。

 ①主要ステークホルダー全員と同じ立場に立ち、全員の利益のために奉仕するという高い意思に駆り立てられ、②自社の目的、関わる人々、そして地球に貢献するために存在する意識の高いリーダーを頂き、③そこで働くことが大きな喜びや達成感の源となるような活発で思いやりのある文化の根ざしている企業と。

   そしてそのために必要なのは4つの柱とし、実例を踏まえながら解説をしています。

 ①存在目的とコアバリュー 
 ②ステークホルダーの統合 
 ③コンシャス・リーダーシップ 
 ④コンシャス・カルチャー/マネジメント

 個人的に、この4つの柱の要諦は②にあると思います。

 意識が高い、志が高いというだけでは、企業の存続はままなりません。当然利益が必要です。
しかし利益の獲得は企業の目的ではなく、あくまで手段にすぎません。

 自社が提供したい社会価値とは何なのか。何のために自社は存在するのか。明確な目的が必要です。
しかし明確な目的があるからと言って、それは自社単独で実現出来るものではありません。
 自社を支えるステークホルダーの存在あってこそです。

 社員、コミュニティ、投資家、顧客、サプライヤー、自社 その全てがWin-Winになれる状態の創造が必要としています。
 
 実はこれって、三方よしの精神ですよね。
「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」 売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのが、よい商売であるとした近江商人の心得そのものを指しているように思います。

  失われた20年と揶揄され、自らの経営スタイルに自信を無くし続けてきた日本企業。
欧米の経営手法に振り回され、利益確保と過度のキャッシュフロー信仰から、無駄を排し、極端にリスク回避を志向するようになってしまいました。

  しかしながら、日本は創業100年以上の企業が世界一存在する国でもあります。それは何を意味するのでしょうか。長期的な視野を持ち、持続可能な経営を志向する企業が少なくないからではないでしょうか。
  単に持続をすれば良いというものではないのかもしれませんが、長らえるには、長らえるだけの理由があると思います。
 
  本書では、特に日本的経営につき言及している箇所はありませんが、コンシャス・カンパニー(意識の高い企業)にとって必要な要素を一番多く抱えているのは、実は日本企業ではないのか。
そんな印象を持った一冊でした。ボリュームがあるので、随分飛ばし読みとなってしまいましたが。

 さて本書とは関係ありませんが、三方よしを世界に広める会 http://www.sanpoyoshi.net/index.html なるものがあるんですね。ご参考まで。
 

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