名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2014年08月

写真  
 2000年4月    東証マザーズに上場

 2004年6月    プロ野球近鉄バファローズの買収意向表明
  2005
年2月    ニッポン放送株を大量取得。

  2006年1月  東京地検特捜部が本社などを家宅捜索

  2006年1月  堀江被告ら逮捕。堀江被告は翌日、社長辞任

 2006年4月  上場廃止

  2007年4月    ㈱ライブドアホールディングスに社名変更し事業会社として新たに㈱ライブドア設立
 2008年8月  ㈱LDHに社名変更
 2010年5月  HNH Japan社に、保有する新ライブドア社の全株式を譲渡
 2011年8月  ㈱LDHの解散決議
 2012年1月  ポータルサイト事業の移管等へ経て、事実上消滅。

 
 ライブドア事件の報道が連日、メディアを賑わせてから早8年。
ライブドア社はもはや存在せず、実刑となった元同社代表の堀江貴文氏も2013年11月に刑期満了を迎えています。

 もはや皆の記憶からも徐々に忘れられつつあるライブドア事件、ライブドア社。

 本書は、同社に2003年5月~2006年3月 2006年7月~2008年12月の間、在籍していた元社員の方によるものです。
 日の出の勢いの時期から、社長逮捕まで。そして平松新社長による新体制下での奮闘記。
著者は同社の経営幹部ではなく一般社員。それだけに現場目線で描かれた同社の様子は、非常にリアルであり、かつその内容は、我々が報道で見聞きし感じた印象とは、随分と違うものでした。

「虚業」「錬金術」・・・・・ 堀江氏の言動もあり、識者には、あまり好意的な印象を持たれることのなかったことが多いように思われる同社ですが、実は技術的にはかなり高いものを持っており、アプリ開発のみならず、サーバー等のインフラ管理にも長けていたこと。

 矢継ぎ早にサービス開発を行い、失敗も多いものの、それでも100万人ユーザーを集めたブログや、モバゲータウンよりも早くコミュニティサイトの開発を行う等、インパクトのあるサービスを幾つも世に出してきたこと。
 
 上場していながらも、なかなか会社の体裁は整っておらず、PCは自前で用意し自身で社内ネットに接続をさせる等、一般企業では、まずはあり得ない状況がある一方で、社員には住宅手当を70,000円まで支給したり、育児手当を50,000円支給する等、臨機応変に福利厚生制度を変更する等、いかにもベンチャー企業らしい運営ぶり。

 無茶苦茶だけど、遮二無二に突き進むような非常に熱い企業であったことが伺いしれます。

 最終的には会社は消滅し、同社の社員の大半も様々な企業へと転身をしていきます。
中でも、本年上場が予定されているLINEには多くの社員が在籍しており、著者はライブドアという会社は無くなってしまったが、そのDNAは承継されているとしています。

 ではライブドアのDNAとは、一体何だったのでしょうか。破綻をしなければ、今日のLINEの様なサービスを世に出すことが出来たのでしょうか。

 個人的には、それは無かったのではないかと思います。社歴の浅い企業であり、DNAと呼べるようなものが醸成されるほどの時間も仕組みもなかったように思います。

 ただそこには、時代の趨勢と、組織の勢いが噛み合い、思いを一つとする仲間が集った、そんな奇跡の様な一時があったのだと。 
   
 そしてそこに居合わせた者だけが、そっと心に抱き、今だ持ち続けるもの。強いて言うなら、それがDNAなのかもしれませんね。


 とかくネガティブな印象を抱きがちなライブドア社に対し、ちょっと見方を変えてくれた一冊でした。

写真 日本国内における業歴100年以上の企業数は26,144社(帝国データバンク調べ 2013年)。
会社組織化されていない個人事業も含めると、その数10万軒以上という推計もあるのだとか。

 世界中を見渡しても、これだけの老舗企業が存在する国は類を見ないそうです。

 社会情勢や市場環境の変化、技術革新・・・・・

 業歴が長ければ、存亡の危機に立たされたということは一度や二度ではない筈です。

 本書では、そんな経営破綻の危機から見事な転身を遂げた5社の事例を紹介しながら、何故、日本にこれだけの老舗企業が存在し得るのか。何が企業の永続には必要なのか、そんな理由に迫っています。
 
  登場するのは以下の5社です。

  ①(林業の)ロープ卸売から、害獣対策のネット製造販売へ転身した、近江屋ロープ株式会社
   
  ②防虫、防水素材である柿渋の製造販売から、マンションの大規模修繕事業に転身した ヤシマ工業株式会社

  ③皮ベルト製造からゼラチン製造へ、更にその用途を拡大した新田ゼラチン株式会社

  ④フェルト帽の製造から、ベン先製造へと転身したテイボー株式会社

  ⑤呑口の製造から、ボトルキャップのトップメーカーとなった三笠産業株式会社

 これらの企業は、老舗旅館や老舗飲食店の様に、同じビジネス形態を不変のまま長らく維持してきた企業ではなく、本業のコアとなるものは変えず、時代に適応しながら本業を柔軟に変化させてきた企業です。

 ①の近江屋ロープは「林業」 ②のヤシマ工業は「守る」 ③の新田ゼラチンは「素材」 ④のテイボーも「素材」⑤の三笠産業は「用途」 転身をしながらも、その核となるものは変えてはいません。
  
 各社の事例を読む中で、何が転身を可能にしたのか、そこに何か共通項はあるのか、思いを馳せてみましたが、正直なところ明確な理由というのは分かりませんでした。

  この5社は当然非上場ですし、恐らくは同族経営でしょう。

  経営判断と事業着手の早さ、果敢な実行力、長期的な経営戦略、同族経営には、そんなメリットがあると言われます。しかし、それだけでこの様な転身や存続が出来たとも思えません。
 
  こういってしまうと身も蓋もありませんが、強いていうなら運が良かったということに尽きる気がします。

  しかしその運を呼び込むのは何かというと、結局は企業存続への経営者の思いの強さではないかと個人的には考えました。 
 
    ただ思いの強さは、固執にも繋がってしまいます。固執すべきは事業ではなく、企業の存続です。
 
   事業については、より柔軟に考えていく。しかし守るべき事業の核となるものだけは、決して見失わない。
核があるから、その企業の存在理由がある。
しかしその核を見失ってしまえば、例え存続出来たとしても、そんな企業はもはや死に体に過ぎない。
 
 柔らかさと固さ、一見矛盾する両者を併せ持つこと。そして経営者の強い思い。それが企業永続の鍵なのかもしれませんね。
 
 

写真②  FacebookやTwitterに代表されるソーシャルネットワーキングサービス。
社会企業家のことを指すソーシャルアントレプレナー 等
ソーシャルという言葉を当たりまえの様に聞くようになって久しいですね。
 
 ソーシャルとは一般的には「社会の」「社会的な」と訳されますが、「つながり」「世間」といった意味もあるようです。

 それでは「ソーシャルインパクト」とは、何でしょうか。
直訳すれば「社会や環境への影響」ということになるのでしょうが、本書ではそれを 

 「「自分ごと」「みんなごと」「世の中ごと」の連鎖関係をよい方向に機能させることで、人と人との「つながり(=ソーシャル)」を活性化させ、つながりという資源を有効活用し、価値を創出するひとつの戦略」と定義をしています。

  市場や企業、地域等は、ネットワークであり、多数の人々がつながりを形成する仕組みです。その参加者がそれぞれの力を発揮して、その効用を最大化させようと行動をすること。それが社会本来のあり方です。
 今や、社会課題の多くは、このつながりの機能不全から起きていると言われています。この機能不全をいかに解消し、つながりの好循環をつくり出すことが、社会を変える原動力となります。

    安定した社会基盤無くしては、企業の成長発展、そこで働く人々の安定や安心も損なわれてしまいます。

  社会基盤整備は、行政の仕事。社会事業は儲からない。
  しかし、そんな通説を覆し、この「つながり」を活かし、新しい市場を創造しつつある企業も存在します。
本書では、そんな実例を紹介しながら、ソーシャルインパクトの概要、ソーシャルインパクトを活用したマーケティング、ソーシャルインパクト時代の働き方、組織づくり、そしてソーシャルインパクトを起こすチームの作り方等、多岐に渡り、解説をしています。

  いや~これはホントいい本でした。

  これからの企業像、これからの働き方を説く本は巷に数多くあれど、「つながり」が、企業を人を働き方を変えていくという考えは非常に納得出来るものであり、そこに丹念な取材と的確なまとめが加わることで、より説得力のあるものになっています。

  紹介する内容には事欠かない本書ですが、個人的には、ソーシャルインパクトが働き方に及ぼす影響については、特に考えさせられました。
写真  かつてダニエル・ピンク氏が書いた「モチベーション3.0」という本があります。
同書では「内発的な動機によってこそ、人はそのモチベーションを最大に高める」とあります。
  ソーシャルインパクトの要諦は、「自分ごと」を「みんなごと」「世の中ごと」に結ぶことにあります。そしてこの内発的な動機こそがまさに「自分ごと」です。

  自身の持つ内発的な動機を、うまく展開していくことが勿論理想なのですが、企業の中では必ずしも、それが可能なわけではありません。

  しかし逆に企業が社会に好影響をもたらすような事業「世の中ごと」を推進し、その中で従業員が「自分ごと」や「みんなごと」として理解、参画出来るような仕組み作りも、従業員のモチベーションを高める上で不可欠なのではないのかと。
    その過程の中で、従業員が企業に愛着や誇りをもち、やる気や一体感、団結心を高めることへも繋がっていくのかもしれません。

  ならばどうしたらそれは可能になるのでしょうか。
  結局のところ、組織内のコミュニケーションの円滑化、活性化なのでしょう。

 経営陣は丹念に自社の存在や事業の社会的意義を繰り返し説く。従業員の位置づけを明確に伝え尊重する。従業員は素直に心開き、理解に努める。他の従業員への思いを馳せる。必要とあらば議論も辞さない・・・・・
まずは身近な「つながり」を大切にすることから、全ては始まるのかもしれませんね。
  

写真    お盆休みなので、軽目の本をと思いつつ手にしましたが、内容はなかなかどうして。
  楽天大学学長による(コラムからの書き起こしですが)「ネット時代の老舗に学ぶマーケティング戦略」

  2015年には、20兆円を超えると言われる日本のeコマース市場。(日経ビジネス 2014/8/11・18号)
写真今や、その販売スタイルは大きく2つに分かれつつあると言われています。
一つは「究極の自動販売機」、もう一つは「究極の対面販売」。

 「究極の自動販売機」とは、低価格・送料無料・スピード配送・品揃え・・・・・便利さの価値を追求するスタイル。
 対する「究極の対面販売」とは、接客コミュニケーション・店長の商品愛・専門性を活かした魅力的なコンテンツ・・・・・楽しさの価値を追求するスタイル。

 規模や資本力で劣る中小企業が、とるべきスタイルは当然、後者。
しかしながら気づけば「究極の自動販売機」の道を進んでしまい、終わることのない消耗戦に巻き込まれてしまっている企業は少なくありません。 
    そんな中、この消耗戦に巻き込まれず、独自のスタイルで顧客を魅了し続ける企業(お店)があります。
そんな企業(お店)を老舗と呼び、実際の事例から、規模や資本力で劣る中小企業が取るべきマーケティング戦略について考えていこうというのが本書の狙いです。
 
    ドッグイヤーと呼ばれる程に、スピードの早いネットの世界。そこで10年続くことは、リアルな世界では70年続くことに匹敵をします。そこで本書では、そんな企業(お店)を老舗と呼び、12店の事例を紹介しています。
 
 それらの店舗で扱われている商品は
 
  ・ハンコ ・トコロテン ・タマゴ ・缶ビール ・ソフトドリンク ・風呂敷 ・壁紙 etc

 決して特別な商品ばかりでは、ありませんが、商品へのこだわりと、各店工夫をこらした販売スタイルは、ホント目から鱗でした。
 特に、エピローグで紹介されている三重県の苗木屋さんの「レモン部」という発想には大変驚かされました。http://remonbu04123.tumblr.com/ 

 もちろん他店の事例も大変興味深く、サイトまで行かずとも、本書を読んでいるだけで、なんとなく欲しくなってしまうから不思議です。


  さて著者は、老舗を目指すために、やってはいけないこととして5つのルールを挙げています。

  ①売れているモノを売ってはいけない
  ②ターゲット客を攻略してはいけない
  ③競合対策をしてはいけない
  ④スケールメリットを強みにしてはいけない
  ⑤勝つためのスキルを磨いてはならない

 その詳しい理由は割愛させていただきますが、結局、誰でも思いついたり、これまでのセオリーと言われていたことを追いかけていては、消耗戦から抜け出すことは出来ない。

 何よりも戦わないこと。手間(コミュニケーション)を惜しまないこと。お客様を仲間にすること。

 そんなところにヒントがあるように、個人的には感じました。そしてこれはネット店舗に限らず、リアルな店舗にも十分応用の出来ることではないのかとも。

   表紙のイラストも、本書に登場する、ある商品を扱っているデザイナーさんが描かれたもの。
さて何の商品でしょう? このお店の商品も大変インパクトがありました~(^^♪

写真  「子どもたちに日本のホンモノを届ける」をビジョンに、0~6歳児向けに、伝統産業の職人の手による商品を提供する 株式会社 和える  
 http://a-eru.co.jp/

    若干22歳、大学4年生の時に同社を立ち上げた、矢島里佳さんが、その半生と、創業から現在に至るまでの思いを綴ったのが本書です。

  女子学生ベンチャー奮闘記?と言ってしまえばそれまでですが、 学生起業、ベンチャー、伝統産業、地域活性化、育児・・・・ 様々な要素を含んでおり、そんな陳腐な言葉では一括りに出来ないほど、示唆に富んだ1冊となっています。

 ・なぜ22歳という若さで起業を決意出来たのか
 ・なぜ斜陽著しい伝統産業品を扱おうと思ったのか
 ・なぜ0~6歳児向けの商品にしようと思ったのか
   ・どのように商品開発をしているのか
 ・本当に事業として成り立っているのか
 ・資金調達は 
 ・運営方法は  

  そんな疑問を持ちながら、読み始めた本書でした。 

  やりたいこと(習い事)を全てやらせてくれる両親の下、中高一貫校からAO入試で慶応に進学。その入試経験が書籍になる。学生時代にはTVチャンピオンという番組で「なでしこ礼儀作法王選手権」で優勝・・・・・
最初に語られる起業に至るまので半生は、煌びやかなもので、正直、時に鼻持ちならない印象すら覚えました。
 
   しかし 実は彼女は決して経済的には恵まれていた訳ではありませんでした。
学生時代からメディア露出もあり、一般の学生より収入を得る機会もあったのかもしれませんが、それでも大学2年からは奨学金を借りて学費を払っており、更には起業を控えながらも大学院へ進学を決めてしまいます。
また起業資金にはビジネスコンテストでの賞金を充てています。

  そんな脆弱なスタートであっても、 伝統産業を絶やさず次世代に繋ぎたいという高い理念と、何かをするなら、自分も幸せ、相手も幸せ、周りも幸せの「三方良し」でなければならないという熱い思い。
    そして何よりも、その積極的な行動力が協力者を呼び寄せ、可能性の扉を開き、一つのビジネスとして動き出していく様は、感動的であり、大いに勇気付けられるものでした。

    当初、鼻持ちならないように感じたその半生も、豊かな感性と行動力で自らが掴み取ってきたものであり、そういった自身の経験から、幼少期から様々な体験や経験をさせること、本物に触れることの大切さを知っている。それ故に、この様なビジネスを手掛けるようになったのは、しごく当然のことかもしれませんね。
 
    残念ながら個人的には、同社の商品に直接触れたことはありませんが、サイト等で紹介されている商品を見ても、どれも意図や製法にストーリー性がある魅力的なものばかりで、興味を引きますね。
多少高くても、自身の子や孫に与えたくなる気持ち、よくわかる気がします。

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