名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2014年10月

IMG_3961  ビジネス本としてカテゴライズしてよいのか?ちょっと迷いましたが、素敵な本なのでご紹介させていただきます。

【ウナギトラベルへようこそ!】 

   ウナギトラベルは、ぬいぐるみのお客さまのためのこだわりの旅行サービスをお届けします。

    1,お客様は「ぬいぐるみ」です。 
    2.体重制限を設けています。
    3.お送り下さい。 
    4.思い出に残るひとときを。 
    5,ありがとうございました!

    そんな書き出しで本書は始まります。

  世界初の「ぬいぐるみ」のための旅行代理店。
初めて、その存在を知った時、面白さもさることながら、果たしてこれはビジネスとして成立し得るものなのか?そんな疑問を抱いたことを思い出しました。

 なぜぬいぐるみのための旅行代理店を思いついたのか?
   どうやって集客をしているのか? 
 どうやって運営をしているのか? 
 スタッフは何名いるのか?
 採算は合っているのか?

    興味はつきませんが、経営者の方が書かれる本にありがちな、そんな記述は一切ありません。
ただ本書に登場するのは、以下の4(5)名の物語。

 小学校入学を控えつつも、人見知りが激しい男の子
 東北の震災で心を痛めてしまった女性
 不慮の事故で母親を亡くしてしまった女性
 障害を持つ子を抱える2組の家族
 
   そんな彼や彼女の代わりに旅するぬいぐるみ達。SNS(FACEBOOK)を通じ、旅行の様子が配信されます。
それを見た4(5)名に起こる、ささやかな奇跡。

余計な言葉は要らないですね。素晴らしいビジネスモデルです。是非一度HPのチェックを。
 
http://unagi-travel.com/
 

 

IMG_3946 「伝説の外資トップ」として、お馴染みの新将命氏の新作。
著者が、講演やセミナーの際に様々な経営者達から受けてきた質問に対して回答をする体裁となっています。
 
 ①業績 ②顧客 ③労務管理 ④業務効率 ⑤社員のやる気
 ⑥戦略 ⑦コミュニケーション  ⑧時間の使い方 ⑨経営者の資質
 ⑩後継者
 
  という10のテーマに沿って章立てし、全部で67のQ&Aが掲げられています。
  一つ一つのQ&Aは、読み易くまとめられ、個々に完結していますので、最初から読むのは勿論のこと、気になるところを拾い読みしてみるだけでも色々気づく点は多いのではないでしょうか?

 経営者向けの本ともいえますが、幹部社員や管理職は勿論のこと、経営者の悩みや思いを知るという点では、一般社員の方も一読の価値はあると思います。
 感じる箇所は、人それぞれかと思いますが、個人的には、「サラリーマンの4つの悲しみ」で始まる章が一番印象に残りました。下記に少し紹介をさせていただきます。

 サラリーマンの4つの悲しみ

 ①(期待不明)  上司や会社が自分に何を期待しているのかわからない
 ②(評価不明)  自分が上げた成果がどう評価されているのかわからない
 ③(関連性不明)自分に下された評価はわかったが、与えられた評価と自分に対する処遇にどのような関連性があるかがわからない
 ④(方向性不明)目先の目標はあり、それに向けてがんばっているが、我が社が将来どういう会社になろうとしているのかがわからない

 このうち最も悲しいのは④だと。

 「会社の経営とは実のところ何をやることなのか」と問われると著者はこう答えるそうです。

 「経営者の果たすべき最も重要な仕事は、社員に対し『方向性』を説得性と納得性高く示すこと」だと。

 それでは「方向性」とは何でしょうか?それは次の4つで構成されるそうです。
 ①いまどこだ ②どうなりたい ③何をどうやる ④どうなった
 
 こう書いてしまうと簡単そうに思えますが、この4つを明確にすることの難しさは、皆さん周知の通りかと思います。難しいが故に、これがはっきりと示せれば、社員は心が安心、安定し、仕事への意欲が高まるのだとか。
  
  これを経営者だけに求めるのではなく、皆がその意識を持つ。
4つの内、何か不明なところがあれば,それを解明する努力を惜しまない。そんな「方向性」の共有が出来る組織って盤石じゃないでしょうか。

 上記以外にも、様々な示唆を与えてくれた1冊でした。本文中の引用も巧みで飽きさせません。お薦めです!

IMG_3883   26年ぶりに復活した経営戦略の名著。
流石に事例は、ちょっと時代を感じさせるものの、この「バカな」と「なるほど」って、けだし名言ですよね~。

 序文はこんな書き出しで始まります。

 「成功している企業について研究してみると、戦略、組織、人事、マネジメント、マーケティングなど経営の仕方が、一見したところ非常識と思えることが少なくない。『そんなバカな』と思わずいいたくなる。
ところが、経営者や実務担当者から説明を受けると、理屈が通っており、『なるほど』と納得せざるを得ない。このようにして、私は『バカな』と『なるほど』の二つの特徴をもつことが、経営で成功するための秘訣ではないかと考えるようになっている。」と。

   この本は「ストーリーとしての競争戦略」で著名な楠木建氏に多大な影響を与えた本なのだとか。
 IMG_3913
    たしかに面白いストーリーであるためには、そんなバカな!という意外性と、単なる「バカな」では終わらせない、「なるほど」という理屈が必要な訳で、楠木氏に多大な影響を与えたのも納得出来ますね。

 戦略の差別性は、二通りあるそうです。
一つは「たいしたものだ」「さすがだ」「あれはいい」などと言われる差別性。
他者から尊敬され、高く評価される差別性。
もう一つは、バカよばわりされる差別性。他者から軽蔑される差別性。
 どちらがより大切なのか?
著者は、それは後者だと説きます。皆が尊敬し、あこがれる差別性の場合、競争企業にすぐその戦略は模倣されてしまいます。
これに対して「バカな」戦略の場合、模倣が遅れやすいそうです。競争会社は「バカな」「あんなことをしたらおしまいだ」と思って、様子眺めしているうちに、「バカな」戦略の企業は足元を固め、先行者利益を享受出来るからだそうです。
  時代を経ても、これって真実を突いていますよね~。
横並び思考の蔓延る今の日本。「バカな」戦略をとれる企業が、どれだけ現れるのか?これからの日本の浮沈はそれにかかっているのかもしれません。

 名著!お薦めです。

 IMG_3794 イノベーションの重要性。
 
     ビジネスの場では、本当によく聞く言葉ですね。
 そもそもイノベーションって何でしょうか。
本書ではそれを 「昨日までとは違う行動jによって成果を生むこと」としています。

    技術革新にグローバリゼーション。
企業を取り巻く経営環境は著しく変化しており、昨日と同じやり方を踏襲していては、あっという間に淘汰されてしまいます。     
    イノベーションの実現無くして、もはや企業存続は望めせん。
いかにイノベーションを実現するのか。企業においてその中心となるのは当然、人です。 

  かつて、ポーランド出身のクルト・レヴィンという心理学者は、人の行動科学について、有名な方程式を掲げました。

 人の行動=個人の特性×環境

  それでは効果的なイノベーションの実現には、この個人の特性を変えることが大切なのでしょうか。
  著者達は、その有効性を否定はしませんが、それでは不十分だとしています。ならば何を変えるのか?それは環境に他なりません。イノベーションを体系的かつ持続的に生み出せるような環境(システム)を創ること。

  本書は、自らがイノベーションを起こすべく行動することを促すのではなく、このシステムを構築し、部下達のイノベーションの実現をサポートするリーダーやマネジャーに向けた1冊となっています。

    そのために必要なこととして 「5つの行動+1」を提言しており、いかにこれらの行動パターンを部下に促していくのかが、本書の主内容となっています。

  ① ビジネスに直結するアイデアにフォーカス
  ② 独自のアイデアを探すために、外の世界とつながる
  ③ 当初のアイデアを見直し、必要に応じてひねる
  ④ 最も優れたアイデアを選ぶ
  ⑤ 社内政治をかいくぐり、ひそかに進める
 +1 あきらめない
   
  個々の詳しい内容については、是非本書をお読みいただきたいところですが、イノベーションというと、とかく制限なく自由な発想や行動をとらせなければ、実現出来ないように思われがちなところ、むしろ効果的かつ持続的に生みだすためには、これらの一定の仕組みに落とし込み行動を促すことが有効であることを詳しく解説をしています。

  ちょっと抽象的な表現もありますが、個々の行動ごとに1章を割き、章末には「まとめ」を設けていますので、まずはこの「まとめ」だけを読んでみても示唆を受けるところは多いのではないでしょうか。
  また参考文献を含めた、付録も丁寧にまとめられており、好感の持てる1冊となっています。

  最後に、エピローグに書かれた「月曜の朝 問題」がふるってます。

  週末に、こういった書籍を読んだり、セミナーに参加し決意に燃え意気揚々と月曜日に出社したとしても、実際に行動を起こすことはほぼないと。なぜなら人はそんなに簡単には変われないものだから。
ましてや「意思の力」は論外だと。 そのために必要なことは下記の3つ

 ①シンプルなプランをすぐ立てる
 ②パートナーを決める
 ③本書を読み終える前に最初のミーティングを設定する 

 何よりも②が一番大切なことだそうです。共に行動を起こす仲間を1人引き入れること。
 
 がんばりましょう。

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