名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2015年02月

IMG_4753  いやいや~。これ抜群に面白いですね~。

  米国の経済学者で、MBAの事業戦略クラスを受け持つビジネススクールの教授達3名による、米国地方都市の小さな店や企業をめぐるクルマの旅。

 その発端は、とあるシューズショップでの体験。

  たとえどんなに小さな店や企業であっても、彼らもまた大企業について議論されるのと同じくらい興味深い戦略的課題をたくさん抱えている。
自分たちが教えるMBAの戦略は、そんな彼らにとっても価値がある筈だし、そういった店や企業を巡る体験は、自分達の今後の講義にも生きるのではないか?そんな思惑から旅が始まります。
  
  登場する事例は、約40社。

  矯正歯科医院/ゴム部品製造/コーヒーショップ/カジュアル・レストラン/子ども用家具販売/消防用ホース製造/青果用ミストシステム製造/採用支援システム/フィットネスジム/地方銀行/車椅子製造/工場向け機械製造/非破壊検査機器製造/犬預かりサービス/楽器店・・・・。

    とその業種は多岐にわたります。 

  著名な企業や成功企業は一切出てきませんし、紹介される事例に、何らかの規則性や一貫性はありません。
業種ごとに比較分析されているわけでもありません。
  それでも、巧みなインタビューと「なぜこの企業は、こういう戦略をとるのか?」という的確な指摘に、どんどん引き込まれていきます。
そして旅の過程や著者達のプライバシーにも触れた軽妙な語り口には、何よりも著者たちが、この旅を楽しんでいる様子がありありと伝わり本書をより魅力のあるものとしています。

  各事例は、①事業規模 ②参入障壁 ③差別化 ④価格設定 ⑤ブランド管理 ⑥交渉 ⑦雇用 ⑧インセンティブ ⑨権限移譲 ⑩大企業との戦い方 と10章にまとめられ、章末には各戦略の法則が記されており、このあたりは専門家としての矜持も感じます。
  
  とはいえ、これらの法則がうまくいくかは「場合によりけり」と釘を刺すことも忘れていません。
  成功例をそのまま真似ることなく、なぜ成功したのかその理由を理解し、「場合によりけり」の意味が分かってこそ自社への応用が可能かどうかの見極めが出来るとしています。

  あまり知ることのない米国の中小・零細企業の経営事例は興味深く、また全般的に読み易くも内容は骨太の一冊。好著です。

IMG_4900  どうすれば、お客様に、自社の製品やサービスをもっと利用してもらえるのか?
どうすれば、お客様の隠れたニーズを引き出すことが出来るのか?

  ビジネスに携わる方、全ての人にとって、これは永遠のテーマかもしれませんね。
  世は正にビッグデータ時代。比較的安価に迅速に大量のデータ解析が可能になった昨今、本当にそこから、真のお客様のニーズを見つけることは可能になったのでしょうか?
 
   本書の著者は大手広告代理店、博報堂のコンサルティング部在籍のファシリテーター。
  過度にデータ偏重することなく、お客様の隠れたニーズを発見するアプローチ方法を紹介しているのが本書です。
 
  紹介されているアプローチ方法は以下の3つです。

   ①「相対比較法」・・・類似する商品やサービスと比較してみる方法
  ②「エピソード分析法」・・・商品の使用体験から考える方法
  ③「こだわり抽出法」・・・企業のこだわりから考える方法

    各方法について、我々がよく知るサービスや製品の実例を挙げながら、分かり易く解説されています。
登場する事例は、・俳句 ・水族館 ・紅白歌合戦 ・パナソニックの「ポケットドルツ」 ・エナジードリンク ・鍋つゆ ・ぺんてる(文具メーカー) ・旭山動物園 etc と、バラエティに富んでおり、著者の的確な解説と相まって、飽きることなく読み進めることが出来ました。

  個人的に、一番印象に残ったのは、本書の帯にもある「冷蔵庫の中身がパンパンのシニア層が多いのはなぜ?」という問いかけです。
答えは、本書をご参照いただきたいのですが、同事例を紹介した節の終わりにこんな一文がありました。

  「データ(情報)が増えれば増えるほど、脳にサボリ癖が出てきて発想は鈍る。」と

  大量のデータ(情報)を入手すればするほど、人は、なんとなく分かった気、理解した気になってしまいます。

データ(情報)から考えるのではなく、自身で「なぜだろう?」と考えた結果の検証として、データ(情報)は活用すべきものという著者の提言は大いに納得出来るものであり、その術として本書で紹介されている3つのアプローチ方法を試みることは、自身で考えるための一助になることを実感した一冊でした。 

IMG_4851   今回は軽めの本をご紹介。
  
   関東の方には、『ニキ、ニキ、ニキ、ニキ、二木の菓子!』のCMでお馴染の二木の菓子。
関東圏以外に住む方は、TVで初代林家三平師匠がギャグにしていたのを見た方も多いのかもしれません。
同社は東京上野アメ横を中心に展開する菓子・食品問屋卸小売業です。
  
  本書タイトルにもあるように、お菓子というのは単価数十円から百数十円、高くても数百円。利益率も高いものでも15%~25%しかないそうです。戦後創業し60年を超える同社も、開店当初はこんな商売は成り立たないと将来を危惧されたそうです。

  そんな同社躍進の秘密を明かしたのが、同社専務でもある著書です。
同社の関係会社で販促コンサルタントもされているだけあって、コンパクトかつ平易な文書で同社の販促取組を公開しつつ、中小小売業に向けた経営のヒントを伝えてくれます。

 個人的に印象に残ったのは下記の2点。「非効率さ」と「市場を作ること」ですね。

  資本力で劣る中小企業が大手に伍して戦っていくために必要なことは「差別化」。それは非効率さにあると著者は説きます。
今やどこの大型チェーン店に行っても、店頭にある商品は同じようなものばかり、効率を求め売れ筋を追った結果、お客様に訴求するものは価格のみとなります。

  これでは中小小売業には、とても勝ち目がありません。
ならば非効率を承知で、圧倒的な品揃えを行い、お客様を驚ろかせること。商品を探し発見する楽しさを感じていただくこと。
そして店頭では知恵を絞り、商品の紹介や売り方に工夫をすること。リピーターを増やす工夫をすることに勝機があると説きます。

  そして自ら市場を作る(新しい商品を探し、積極的に販売する)ことと説きます。
日本に菓子メーカーは数多く存在すれど、その大半は小規模。ユニークな商品があっても、なかなか認知されません。同社では、そんな商品に目を向け、メーカーと一緒になって販促した商品も少なくないそうです。
  松尾製菓の「チロルチョコ」、ギンビスの「たべっこ動物」、春日井製菓の「黒飴・白飴」、やおきんの「うまい棒」等で、今や我々もよく知っている商品ばかりですね。

  お客様に新しい発見を楽しんでもらいつつ、メーカーも育て、自社の品揃えも充実する。まさに三方よしの発想ですね。 
    
   東京上野アメ横という人が集まる場所だから。知名度のある同社だから。可能なお話・・・・・
確かにその点は否めないかもしれませんが、上記以外の取組紹介も面白く、中小小売業の経営ヒント集としては、なかなか秀逸な一冊ではないでしょうか。
  

IMG_4842   ビジネス本というジャンルに分類されるのか、ちょっと微妙なところはありますが、今回はこれをご紹介します。

   GDP 4兆8,980億円。一人当たりのGDP 3万8,467ドル。家計の金融資産は1,600兆円超。国民の大多数が、世界人口のトップ5%という富裕層に入るこの国、日本。(2013年時点)
  
   そんな国に在りながら、その豊かさを実感出来ない日本人。
その原因は、我々日本人が、お金に対しあまりに無知だからではないのか?お金の仕組みを知り、ほんのちょっとその扱い方を変えるだけで、我々はもっと豊かさを実感出来るのではないか?
そんな問いかけから本書は始まります。

  いわゆる「お金」本というのは、既に数多く出版されており、その内容も玉石混交。金融業界出身の著者が記したものも少なくありません。
本書の著者も、元三菱東京モルガン・スタンレー証券の証券マン。正直、本書のタイトルも、どこかで聞いたことのあるような、ありがちなものです。

 ただ他書と一線を画すのは、氏が同社退職後に、2年間をかけ世界40ケ国を旅し、見聞きした「お金」の現実が下敷きとなっていること。
 
  ある時は、エジプトやトルコといったお金の起源(歴史)にまつわる国々を旅しながら、その発達に思いを馳せます。
  またある時は、バングラデシュやウガンダという世界最貧国から、数々の金融技術を生んだアメリカ、国民一人当たりのGDPが高いのに労働時間は短いデンマークといった先進国を回りながら、お金の持つ意味を考えます。
  そしてコロンビアでのピストル強盗という強烈な体験で、本書は締めくくられます。
    
  その結論やいかに・・・・・・  種明かしはしませんが、一つのキーワードは「信頼」

 「他者から自分への信頼がなければ、人はお金を使えない時代が到来した」

 「信頼を築かずに得たお金は、人を遠ざけていく」

 「信頼が集まる人のところに、お金は集まる」 
 
  そんなフレーズを多く目にしたように思います。

  果たしてこれが本書タイトルの解と成り得るのか、受け止め方は人により色々かと思いますが、 「お金」という一つのテーマに絞った紀行文という体裁とユニークな視点は、なかなか示唆に富み、個人的には面白く読めた一冊でした。

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