名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2015年05月

IMG_5495   随分と野心的なタイトルが付いていますね~。
   新事業を創造するための「ビジネスプロデュース」という方法論を解説した本書は、元BCGの堀紘一氏が主宰するコンサルティング会社、ドリームインキュベータ社の執行役員の手によるものです。

  一般的な戦略コンサルティング会社では、あまりやりたがらない「新規事業創出」コンサルティングに同社が従事する中で育まれたノウハウがそのベースとなっています。

 ところでビジネスプロデュースとは一体どんな意味なのでしょうか。
プロデュースとは、本来は「生産する」、「制作する」という意味があるそうですが、日本では和製英語化しており「様々な方法を用いて目的物の価値をあげること」を指す意味となっているようですね。

  本書では、「ビジネスプロデュース」とは「社会的課題を取り込み、それを解決する形での業界を超えた構想を描き、その仲間づくりをして連携をしていくこと」としています。

  さてそんな本書は、①日本から世界を制するような大きな事業が生まれなくなってしまった理由 ②ビジネスプロデュースの解説 ③ビジネスプロデュースの進め方 ④架空のストーリーによるビジネスプロデュース疑似体験 ⑤ビジネスプロデュース型人材の育成方法 の5部で構成されています。

  特に③の進め方のパートでは、構想、戦略、連携、ルール化、実施と仔細に渡りポイントが記されており、本書の中核を成す部分ですが、個人的には①の米国企業との比較の中で、日本企業が大きなビジネスを生み出せなくなった背景を興味深く読みました。
 
  優れた技術や人材を擁しながらも、「構想」と「連携」する力の弱さから、成長の機会を逸している日本企業の現状を端的に捉えており、考えさせられる章となっています。

  全般的に丁寧に分かり易く、まとめられおり、自社の過剰なアピールもなく概ね好感の持てる内容でしたが、惜しむらくは、ビジネスプロデュースの事例が一般的に知られたものに終始し、具体性に欠けたところでしょうか。ただ守秘義務もあり、これは望んでも仕方がない部分なのかもしれませんが。

  タイトルに、3000億円の事業~とあるように、ビジネスプロデュースは実は中小企業より大手企業こそ、取組易いものであると本書にはあります。
とはいえ「構想」や「連携」の重要性やビジネスプロデューサー人材の存在は企業規模に関係なく不可欠な要素であり、本書で明かされている手法は、多くの中小企業にとっても参考になる部分は多いように思います。
  

                                                                                                                                 2015-05-30 VOL.101

IMG_5228   当ブログも今回で100回目! 節目の回となりました(^^)

 さて100冊目として紹介させていただく本書は、経営学者、伊丹敬之氏によるイノベーション論ですが、少々体裁が変わっています。

  氏を講師に若い女性5名を生徒に行われたイノベーション勉強会。
本書は同対談を下敷きに編集されたものです。毎回イノベーションに関し宿題として挙げられたテーマについて行われた意見交換の様子と氏による解説で構成されています。

  イノベーションの定義に始まり、宅急便や回転寿司、スマホといった具体的な事例からイノベーションが生じる歴史や文化的な背景について。
更にはイノベーションを起こす人材の資質や、イノベーションは本当に人を幸せに出来るのか?日本のイノベーションは大丈夫なのか?といった深いテーマまで、実に様々な側面からアプローチをしています。

   いやいや~、これ素晴らしい1冊でした。

   実は、表題や装丁を見た限りでは、さほど期待をしてなかった本書ですが、対話形式にしてあることや宿題としたテーマ設定の秀逸さもあり、とても上手くまとめられています。

  正直、「イノベーション?」と問われれば、「う~ん技術革新?」といった曖昧な理解しか持ち合わせていませんでしたが、本書を読み終え随分スッキリした感覚を覚えました。

 「イノベーションとは、素晴らしい技術をベースに、多くの人の生活を大きく変えるもの」であり、筋のいい技術、(技術の)市場の出口、社会が動く その3つがワンセットになったものであること。

そして、イノベーションとは、たった一人が起こすものではなく、多くの人の連鎖を経て実現できるものであり、つまり我々一人一人が、その担い手となっていること。 

 平易な言葉で綴られながらも、イノベーションの本質を分かり易く解き明かした本書は、個人的にはイノベーション論の決定版と呼んでも差支えないように感じました。

 さて本書の最終章のテーマは「日本企業のイノベーションは大丈夫ですか?」というもの。

皆さんも、非常に関心のあるテーマかと思います。その問いに対し、伊丹氏は「かなり希望をもっている」と語っています。その理由は何でしょうか?種明かしはしませんので、機会があれば是非、本書をお開き下さい。

 気楽に読めながらも、多くの示唆を与えてくれた本書。100冊目に相応しいお薦め本です。


                                                                                                                                2015-05-23 VOL.100 

IMG_5448   大幅減資のシャープ、不正会計の東芝、もがくソニー・・・・・
明日が見えない、多くの日本の家電メーカー達。
しかしそんな家電メーカーも、かつては皆ベンチャー。世にない価値を問うことで成長した輝かしい過去がありました。

  歴史は繰り返すといいますが、現在、いくつもの家電ベンチャーが勃興しています。ファブレス化の進展で、今や生産設備を持たずともメーカーになれる時代が到来したことも、その背景にはあるのかもしれません。 
  そんな勃興する家電ベンチャーの中でも、抜きんでた存在感を示すバルミューダ社。 http://www.balmuda.com/jp/ 
 
   そんなバルミューダ社の設立から現在、そして代表を務める寺尾玄氏の生い立ちを含め、同社の経営にアプローチをしたのが本書です。

   2003年に設立。リーマンショックを機に、破綻の淵まで追い詰められながらも、画期的な扇風機 GreenFanを産み出し、躍進のきっかけを掴みます。

  同社の経営理念は「最小で最大を」。


  これは、最小の部品点数で製品を作り上げ、最小のデザインで美しさを追求し、最小のエネルギーで最大の効果を発揮する製品を提供する事だそうです。
そんな理念に基づいた製品を世に問い、更なる成長を目し株式公開を視野に入れつつあります。

  ミュージシャンを志しデビューが約束されつつも頓挫。音楽の世界が無理ならば、モノづくりの世界でスターになろうと、独学でモノづくりを始めてしまう寺尾氏。

  自身の感性を頼りに、細部に至るまで配慮しつくした製品を産み出すことで、一定の評価を得るも、それでは更なる成長は無理だと判断するや、外部の有識者をアドバイザーに迎えます。
また広告宣伝にコストをかけずとも、ユニークな製品を作っていれば、多くのメディアが取り上げ、認知度が高まることを実感しつつも、それでは自社の思いが必ずしも正しく伝わらないことを察し、広告の重要性に気づきます。
 
  成長に伴い生じる様々な課題に直面しつつも、謙虚に柔軟に対処していく様子は多くの示唆を含み、同社の様なメーカーでなくとも、多くの起業家に参考になる点も多いのではないでしょうか。

  今後、公開を目指す同社ですが、その目的の一つは組織力の強化とあります。
規模が拡大すれば、当然管理すべき事項や管理コストも嵩みます。それらを乗り越え、引き続き、現在の様にユニークな製品を産み出し続けることが出来るのか。その行方は分かりません。
ただ同社社長は、「管理すべきものは組織でなくイノベーション」と語っており、見ている目線はもっと高いようですので、杞憂に過ぎないのかもしれませんが。

  今後の同社の更なる成長発展。着目し続けたいですね。 


                                                                                                                2015-05-16  VOL.99  

IMG_5228   64万部を超える大ベストセラーとなった「伝え方が9割」。
本書は、同作の第二弾です。前作で紹介された「強いコトバ」をつくる5つの技術に加え、新たに3つの技術が紹介されています。
また我々の身近な事例を多く紹介し、より実践し易い内容となっています。
  なぜ前作は64万部を超える大ヒットとなったのでしょうか?

  コミュニケーション能力について、近年特にその重要性が叫ばれることが多い中、伝えることの難しさに悩む人が少なくないからでしょうか?

  前作は伝え方の中でも、特に「言葉」に着目し、相手に響く言葉を「強いコトバ」と定義づけ、それをつくる手法を簡潔に提示してくれたことに特徴があったように思います。
   
   ひらめきや特段のセンスがなくても、一定のルールに沿って考えれば、誰でも「強いコトバ」は作れるという著者の説明は非常に説得力のあるものであり、そこが多くの読者を惹きつけたのかもしれません。

  さて前作では、伝える際に、相手の「ノー」を「イエス」に変える3つの方法と7つの切り口が紹介されていました。
また「強いコトバ」を作る技術として①サプライズ法 ②ギャップ法 ③赤裸裸法 ④リピート法 ⑤クライマックス法 の5つが紹介されていました。

  本作では、さらに ①ナンバー法 (数字を「コトバ」に入れると説得力が高まる) ②合体法(2つの言葉の組み合わせ) ③頂上法(一番のものに人は関心を持つ) という3つの技術が紹介されています。

  いやいや前作以上に分かり易く読み易いですね。

   前作で紹介された内容は、全て網羅された上で事例を変えているため、前作を読まずとも本書だけでも十分な内容になっています。
また各手法について、前作同様全て図示されていますが、より丁寧にポイント解説が加えられており。図示を見るだけでも、かなり参考になる点は多いと思います。
より実践し易さを目指したという著者の説明を裏付けるように、編集にも工夫を凝らしてあるところは、非常に好感の持てるものでした。

  「強いコトバ」をつくる技術面が、やはり面白く興味をひきますが、個人的には、相手の「ノー」を「イエス」に変える3つの方法の最初で紹介されている「自分の頭の中をそのままコトバにしない」という部分が一番の要諦であるように思います。無意識にコトバを発するのでなく、一呼吸置いて考えてみる。
その意識を持つこと。配慮をすること。それだけでも、随分伝える印象は変わるのかもいれません。

  実践あるのみですね。 
  

                                                            2015-05-09  VOL.98  

IMG_5280    昨年、第二次安倍内閣の目玉として設立された「まち・ひと・しごと創生本部」。 その目的は、地方で若い世代が安心して働き、結婚し、子育てができる環境を整えることにより、地方の活力を高めることにあります。
 
  国がどんな旗振りをしようと、その中心になるのは人。
本書の著者もそんな一人なのかもしれません。

 ユニークな経歴をお持ちです。大学進学を機に移り住んだ愛媛県。
しかし大学にはほとんど行かず、パチスロで生計を立て、貯金までしてしまった学生時代。就職はせず、税理士資格取得を志す傍らで、株式投資で作った資金が15億円。
その資金を元手に、道後温泉で宿泊施設の経営を始めます。
20代という若さで経営者となるも、未熟さゆえに全従業員が退職。

  そこから、現場に任せることが従業員のモチベーションを高めることや、その土地に根ざしたサービスこそが、顧客の心を捉えることに気づきます。

   そして、地産の食材を使うことや、愛媛の焼き物である砥部焼を使うことに始まり、宿泊施設の経営から、ミカン加工品の製造や今治タオルの販売へと事業展開していきます。

   そのスピード感に圧倒されつつも、どこかクールな印象を受けるのは、本書の帯にもある「すべて自己責任」と考える著書のスタンスでしょうか。

   著者自身も「うまくいくときも、そうでないときもすべて自分の責任。結果が出なければ、何も残らないのだから、すべてを自分の責任としていかないとやり切れない。」と語っています。それ故に、うまくいかないことがあっても、怒ることはないと。それが本書タイトルの怒らない経営へと繋がっているのでしょうね。
とはいえクールさだけで、地域振興に取り組める訳はなく、熱い思いも秘めていることに間違いはなさそうですが。

    どうしても経歴のユニークさや、矢継ぎ早の事業展開に目が行きがちな本書ですが、紹介されている事業それぞれの独自のこだわりも光ります。

  地域振興には、新たに何かを生み出すことよりも、地域に根付いて培われたものをブラッシュアップしていくのが近道であり、商品や製品よりも、その場所に行かなければ体験出来ない価値が大切になるとの著者の主張は、同様な取組をされている方には、ヒントになる点も多いのではないでしょうか。

                                                                                                                                    2015-05-02  VOL.97  

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