2016-10-29 VOL.175
【概要】
〇好景気を知らない最近の若者は「かわいそう」
〇「ゆとり世代」「さとり世代」「草食男子」 - 若者には「欲がない」
〇若者世代は「消費離れ」している
まことしやかに語られる若者論、若者消費論。
はたしてそれは本当なのでしょうか?
マーケティングリサーチ会社で、生活者インサイトマーケティングリサーチに従事する著者が、U26平成男子コミュニティ(首都圏に住む20歳~26歳の独身男性を対象としたコミュニティ)を通じて見えてきたものは、ネット普及により誕生した「シミュレーション消費」という新しい消費形態でした。
何事も「検索」からはじまる彼らは、モノでも場所でも体験でも、まずは検索をして情報を集めます。
たくさんのリアリティある情報に触れて、「自身に本当に必要なものか」と自問自答しているうちに「(買わなくても、行かなくても、しなくても) まぁいっか」となり最終的には欲しくなってしまう。そんな傾向が強くなっているのではないかと、著者は推測しています。
本書はそんな「シミュレーション消費」を含めた若者の消費行動の実態と、「シミュレーション消費」を超えて成果を上げている企業の事例を紹介した一冊となっています。
【所感】
物心ついた時から、携帯電話やパソコンが普及していたデジタルネイティブであり、ゆとり教育の名の元に個性の尊重が叫ばれた世代。
失われた20年と揶揄されデフレの続く日本ですが、逆にこれが企業努力を生んだ結果、衣料品を含めデザインや機能性に優れたコスパの高い製品が生まれたり、ネット通販を含め購買方法も多様化するなど、実は旧世代よりも恵まれた部分も多いのだとの指摘は大いに納得できるものでした。
そんな「シミュレーション消費」を超えて、彼らの購買意欲を刺激するものは何なのでしょうか。
シミュレーションとは、失敗をしないために行う疑似体験であることは、みなさんご存じの通りかと思います。
「無駄なことをしたくない」「失敗したくない」 そんな傾向の強い彼らが選ぶのは「本物」であること。
そして店員やスタッフが愛情や思い入れをもって、自身の製品やサービスを扱っていること。
実は若者が求めているのは意外にも単純なことだと著者は説きます。
製品やサービスの付加的な価値や機能を訴求するのではなく、その製品やサービスには、どんなストーリーがあり、それが自身の生活をどうよくしてくれるのか。それがイメージできるなら、彼らの財布の紐は決して固くはないのだそうです。
興味深い一冊でした。
惜しむらくは調査対象が首都圏に限られることでしょうか。所得水準が劣る一方、車などの購買意欲は高いと言われる地方の若者、いわゆるマイルドヤンキーと言われる層は、また異なる消費傾向を持つと思いますので、是非そのあたりの考察も読んでみたいところです。
案外賢く、スマートな若者世代。彼らの消費行動に学ぶべきは、実は我々オジサン世代かもしれませんね。

【概要】
〇好景気を知らない最近の若者は「かわいそう」
〇「ゆとり世代」「さとり世代」「草食男子」 - 若者には「欲がない」
〇若者世代は「消費離れ」している
まことしやかに語られる若者論、若者消費論。
はたしてそれは本当なのでしょうか?
マーケティングリサーチ会社で、生活者インサイトマーケティングリサーチに従事する著者が、U26平成男子コミュニティ(首都圏に住む20歳~26歳の独身男性を対象としたコミュニティ)を通じて見えてきたものは、ネット普及により誕生した「シミュレーション消費」という新しい消費形態でした。
何事も「検索」からはじまる彼らは、モノでも場所でも体験でも、まずは検索をして情報を集めます。
たくさんのリアリティある情報に触れて、「自身に本当に必要なものか」と自問自答しているうちに「(買わなくても、行かなくても、しなくても) まぁいっか」となり最終的には欲しくなってしまう。そんな傾向が強くなっているのではないかと、著者は推測しています。
本書はそんな「シミュレーション消費」を含めた若者の消費行動の実態と、「シミュレーション消費」を超えて成果を上げている企業の事例を紹介した一冊となっています。
【所感】
物心ついた時から、携帯電話やパソコンが普及していたデジタルネイティブであり、ゆとり教育の名の元に個性の尊重が叫ばれた世代。
失われた20年と揶揄されデフレの続く日本ですが、逆にこれが企業努力を生んだ結果、衣料品を含めデザインや機能性に優れたコスパの高い製品が生まれたり、ネット通販を含め購買方法も多様化するなど、実は旧世代よりも恵まれた部分も多いのだとの指摘は大いに納得できるものでした。
そんな「シミュレーション消費」を超えて、彼らの購買意欲を刺激するものは何なのでしょうか。
シミュレーションとは、失敗をしないために行う疑似体験であることは、みなさんご存じの通りかと思います。
「無駄なことをしたくない」「失敗したくない」 そんな傾向の強い彼らが選ぶのは「本物」であること。
そして店員やスタッフが愛情や思い入れをもって、自身の製品やサービスを扱っていること。
実は若者が求めているのは意外にも単純なことだと著者は説きます。
製品やサービスの付加的な価値や機能を訴求するのではなく、その製品やサービスには、どんなストーリーがあり、それが自身の生活をどうよくしてくれるのか。それがイメージできるなら、彼らの財布の紐は決して固くはないのだそうです。
興味深い一冊でした。
惜しむらくは調査対象が首都圏に限られることでしょうか。所得水準が劣る一方、車などの購買意欲は高いと言われる地方の若者、いわゆるマイルドヤンキーと言われる層は、また異なる消費傾向を持つと思いますので、是非そのあたりの考察も読んでみたいところです。
案外賢く、スマートな若者世代。彼らの消費行動に学ぶべきは、実は我々オジサン世代かもしれませんね。