2017- 9-24 VOL.222
【概要】
2015年の野村総合研究所の調査によれば、日本の純金融資産1億円以上の富裕層および超富裕層(同5億円以上)は全世帯の2.3%。
ボストン・コンサルティンググループが2015年に行った調査では日本の富裕層世帯は110万世帯。これは世界で3番目の数になるそうです。
保有資産の規模でみると、富裕層と超富裕層の資産合計は272兆円。これは全体の19,4%にあたるそうです。
そんな富裕層や超富裕層を顧客とするのがプライベートバンク。その主たる業務は、これらの層に対し、包括的な資産運用や提案を行うことにあります。
本書は、かつて野村證券のプライベートバンク部門に勤め、現在は独立し金融機関に対し富裕層向けビジネスのコンサルティング等を行っている著者の手によるもの。
知られざるプライベートバンクの世界について明かしています。
【所感】
6章からなる本書。1章から5章にわたり、富裕層の実態、プライベートバンクの実態、富裕層へのアプローチ方法や、提言の内容、具体的な商品等を明かしたのち、我々のような一般人でも真似のできるプライベントバンクの手法を終章で紹介をしています。
冒頭で挙げた日本の富裕層、超富裕層について、人口比でみれば実は少ないのだと著者は語ります。
プライベントバンクを一言で表すなら、それは一族のCFO(財務責任者)。顧客の財産を保全するため、時には参謀として秘書としてメンターとして顧客とその家族に寄り添う存在であること。
しかしまだまだ日本では、その利用が少ないことから、財産の保全やさらなる積み上げがままならず人口比に対する富裕層や超富裕層が少ないのだと説きます。
その背景には、あまりにも複雑すぎる税制ゆえ、なかなか外資系金融が日本国内で事業を拡大できないこと。かといって日本国内の金融機関は人材不足、ノウハウ不足で顧客数の拡大がままならないことにあるようです。
本書の狙いは、そんなプライベントバンクの実態を知ってもらい、身近なパートナーとすることで、富裕層、超富裕層がより有効な資産保全や運用を図ることが出来ることの理解を促すこと。そして一般層に対しては、その運用の基本を知ることで、富裕層や超富裕層には及ばずとも自身の財産形成について一考を促すことにありそうです。
全編、興味深い内容ですが、やはり我々一般層が気になるのは、プライベントバンクの運用方法を我々が活用する方法。
事前準備としてはライフプラン表を作ること。自身のBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)をつくり、資産とキャッシュフローを見える化することなどを紹介し、配分編、運用編へと展開されていきます。
外貨の変わりにFXを使用する、投資先は4等分するなど具体的な手法が明かされています。
運用については、やや専門的な話も入りますが、決して奇をてらった方法でがなく、その手法はとてもオーソドックスなものでした。
実はこういった手法よりも、「give-and-giveの精神」「投資発想」「長期的な視点」といったマインドが一番大切なのだと、巻末で著者は説いています。
富裕層やプライベートバンクの実態を知りたいという興味本位で読んでも十分面白い本書ですが、金融リテラシーを身に着ける入門書として読んでも、なかなか有益ではないか?そんなことを感じた一冊でした。
2017年9月13日 第1刷発行
【概要】
2015年の野村総合研究所の調査によれば、日本の純金融資産1億円以上の富裕層および超富裕層(同5億円以上)は全世帯の2.3%。
ボストン・コンサルティンググループが2015年に行った調査では日本の富裕層世帯は110万世帯。これは世界で3番目の数になるそうです。
保有資産の規模でみると、富裕層と超富裕層の資産合計は272兆円。これは全体の19,4%にあたるそうです。
そんな富裕層や超富裕層を顧客とするのがプライベートバンク。その主たる業務は、これらの層に対し、包括的な資産運用や提案を行うことにあります。
本書は、かつて野村證券のプライベートバンク部門に勤め、現在は独立し金融機関に対し富裕層向けビジネスのコンサルティング等を行っている著者の手によるもの。
知られざるプライベートバンクの世界について明かしています。
【所感】
6章からなる本書。1章から5章にわたり、富裕層の実態、プライベートバンクの実態、富裕層へのアプローチ方法や、提言の内容、具体的な商品等を明かしたのち、我々のような一般人でも真似のできるプライベントバンクの手法を終章で紹介をしています。
冒頭で挙げた日本の富裕層、超富裕層について、人口比でみれば実は少ないのだと著者は語ります。
プライベントバンクを一言で表すなら、それは一族のCFO(財務責任者)。顧客の財産を保全するため、時には参謀として秘書としてメンターとして顧客とその家族に寄り添う存在であること。
しかしまだまだ日本では、その利用が少ないことから、財産の保全やさらなる積み上げがままならず人口比に対する富裕層や超富裕層が少ないのだと説きます。
その背景には、あまりにも複雑すぎる税制ゆえ、なかなか外資系金融が日本国内で事業を拡大できないこと。かといって日本国内の金融機関は人材不足、ノウハウ不足で顧客数の拡大がままならないことにあるようです。
本書の狙いは、そんなプライベントバンクの実態を知ってもらい、身近なパートナーとすることで、富裕層、超富裕層がより有効な資産保全や運用を図ることが出来ることの理解を促すこと。そして一般層に対しては、その運用の基本を知ることで、富裕層や超富裕層には及ばずとも自身の財産形成について一考を促すことにありそうです。
全編、興味深い内容ですが、やはり我々一般層が気になるのは、プライベントバンクの運用方法を我々が活用する方法。
事前準備としてはライフプラン表を作ること。自身のBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)をつくり、資産とキャッシュフローを見える化することなどを紹介し、配分編、運用編へと展開されていきます。
外貨の変わりにFXを使用する、投資先は4等分するなど具体的な手法が明かされています。
運用については、やや専門的な話も入りますが、決して奇をてらった方法でがなく、その手法はとてもオーソドックスなものでした。
実はこういった手法よりも、「give-and-giveの精神」「投資発想」「長期的な視点」といったマインドが一番大切なのだと、巻末で著者は説いています。
富裕層やプライベートバンクの実態を知りたいという興味本位で読んでも十分面白い本書ですが、金融リテラシーを身に着ける入門書として読んでも、なかなか有益ではないか?そんなことを感じた一冊でした。
2017年9月13日 第1刷発行