2018-2-25 VOL.244
【概要】
かつて4大証券の一角を占めた山一證券。
破綻からすでに20年超。皆さまの記憶の中でももはや遠い存在になっているのかもしれませんね。
同社破綻を巡っては、多くの書籍が出版されており、4年ほど前、同社の破綻処理に奔走した社員達を追った「しんがり」という書籍を本ブログで紹介させていただいたことがありました。
http://blog.livedoor.jp/kawazuisamu/archives/34736564.html
山一證券の復活を目論む男?
そんなタイトルに惹かれて手に取った本書を今週はご紹介させていただきます。
著者は、山一證券破綻当時、千葉支店副支店長を務めていた水野修身氏。
同社破綻後、証券会社勤務、人材派遣会社勤務を経て、金融業界専門の人材サービス会社 マーキュリースタッフィング https://www.msso.co.jp/index.php を起業。
同社の代表取締役を務めます。ちなみに社名のマーキュリーは、ロックミュージシャンのフレディ・マーキュリーの名前から拝借をしたそうです。
かつて「日経ベンチャー」で「日本一の営業マン」とも称された著者。山一証券破綻時の年齢は39歳だったそうです。
そんな著者の語る半生と、自身の仕事論。そして山一証券復活をどう目論んでいるのか?について記した1冊となっています。
【所感】
1982年に入社。間もなく時代はバブルへ突入。さしたる強い動機もなく入社した著者が、徐々に頭角を現せたのは、時代背景をはあるものの、とにかく「人の縁」を大切にしたこと。
そしてバブル崩壊、会社の破綻、紆余曲折を経て自らが「人の縁」をつなぐという人材サービス業を起業するに至ったのも当然の流れかもしれませんね。
入社から破綻、起業までを前半に、後半では自身の経験則をまとめつつ、展開される本書。古き良き時代の証券会社営業マンのお話・・・・・・。
と言えないこともありませんが、そこには時代を超えても生き続ける、経験則も少なくありません。その一つは本書で繰り返し語られる「縁」を大切にするということ。 結局どんなビジネスも人との繋がりから発展していくものだからでしょうか。
何か目的をもって出会いを求めるのが「人脈」。「縁」とは、そんな目的意識に関係なく、まずその人の役に立てるかを考えること。そういう関係が構築できて初めて「縁」とはつながるものだと語ります。
そして「縁」をつなぐのに一番大切なことは「噓をつかないこと」「気を使うこと」「相手の喜ぶ様子を想像すること」。これ当たり前のことばかりですが、ついおざなりになりがちですよね。
この「縁」に加えて「手に職をつけること」。それが本書タイトルでもある「人財力」
になるのだと著者はまとめています。
センセーショナルなタイトルながら、実はその教えはオーソドックスなもの。結局、時代や業界は移れど、その本質は変わらない。そんなことかもしれません。
さて肝心の山一證券復活はどうなっているのでしょうか?
実は既に「山一證券」の名称自体は復活をしており、M&Aアドバイザリー業務を行う企業 http://www.yamaichi-sec.com/ として元社員を主メンバーに活動がされています。
これとは直接関係はなく、著者が目論むのは新しい「証券サービス」。ファイナンシャルプランニングが出来る証券会社。顧客の資産を増やすのではなく、守ること。現行の法制化では出来ない遺言信託や、成年後見人の申請なども行える証券会社として、生涯にわたり顧客とつきあえるサービス体制を構築すること。残念ながら現時点で具体化はしていないようですが。
また現在、同社はマイナビのグループ会社となっていますが、そのあたりの経緯については、まったく触れられておらず、本書の趣旨とはかけ離れているかもしれませんが、少々肩透かし感が残ったのが残念な1冊でした。
河出書房新社 2018年1月5日初版発行
【概要】
かつて4大証券の一角を占めた山一證券。
破綻からすでに20年超。皆さまの記憶の中でももはや遠い存在になっているのかもしれませんね。
同社破綻を巡っては、多くの書籍が出版されており、4年ほど前、同社の破綻処理に奔走した社員達を追った「しんがり」という書籍を本ブログで紹介させていただいたことがありました。
http://blog.livedoor.jp/kawazuisamu/archives/34736564.html
山一證券の復活を目論む男?
そんなタイトルに惹かれて手に取った本書を今週はご紹介させていただきます。
著者は、山一證券破綻当時、千葉支店副支店長を務めていた水野修身氏。
同社破綻後、証券会社勤務、人材派遣会社勤務を経て、金融業界専門の人材サービス会社 マーキュリースタッフィング https://www.msso.co.jp/index.php を起業。
同社の代表取締役を務めます。ちなみに社名のマーキュリーは、ロックミュージシャンのフレディ・マーキュリーの名前から拝借をしたそうです。
かつて「日経ベンチャー」で「日本一の営業マン」とも称された著者。山一証券破綻時の年齢は39歳だったそうです。
そんな著者の語る半生と、自身の仕事論。そして山一証券復活をどう目論んでいるのか?について記した1冊となっています。
【所感】
1982年に入社。間もなく時代はバブルへ突入。さしたる強い動機もなく入社した著者が、徐々に頭角を現せたのは、時代背景をはあるものの、とにかく「人の縁」を大切にしたこと。
そしてバブル崩壊、会社の破綻、紆余曲折を経て自らが「人の縁」をつなぐという人材サービス業を起業するに至ったのも当然の流れかもしれませんね。
入社から破綻、起業までを前半に、後半では自身の経験則をまとめつつ、展開される本書。古き良き時代の証券会社営業マンのお話・・・・・・。
と言えないこともありませんが、そこには時代を超えても生き続ける、経験則も少なくありません。その一つは本書で繰り返し語られる「縁」を大切にするということ。 結局どんなビジネスも人との繋がりから発展していくものだからでしょうか。
何か目的をもって出会いを求めるのが「人脈」。「縁」とは、そんな目的意識に関係なく、まずその人の役に立てるかを考えること。そういう関係が構築できて初めて「縁」とはつながるものだと語ります。
そして「縁」をつなぐのに一番大切なことは「噓をつかないこと」「気を使うこと」「相手の喜ぶ様子を想像すること」。これ当たり前のことばかりですが、ついおざなりになりがちですよね。
この「縁」に加えて「手に職をつけること」。それが本書タイトルでもある「人財力」
になるのだと著者はまとめています。
センセーショナルなタイトルながら、実はその教えはオーソドックスなもの。結局、時代や業界は移れど、その本質は変わらない。そんなことかもしれません。
さて肝心の山一證券復活はどうなっているのでしょうか?
実は既に「山一證券」の名称自体は復活をしており、M&Aアドバイザリー業務を行う企業 http://www.yamaichi-sec.com/ として元社員を主メンバーに活動がされています。
これとは直接関係はなく、著者が目論むのは新しい「証券サービス」。ファイナンシャルプランニングが出来る証券会社。顧客の資産を増やすのではなく、守ること。現行の法制化では出来ない遺言信託や、成年後見人の申請なども行える証券会社として、生涯にわたり顧客とつきあえるサービス体制を構築すること。残念ながら現時点で具体化はしていないようですが。
また現在、同社はマイナビのグループ会社となっていますが、そのあたりの経緯については、まったく触れられておらず、本書の趣旨とはかけ離れているかもしれませんが、少々肩透かし感が残ったのが残念な1冊でした。
河出書房新社 2018年1月5日初版発行