
【概要】
「人はなぜ税を払うのか」「そもそも税とは何なのか」そんなストレートなテーマに迫った本書。
財務省のHPには https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei0110/01.htm#a01
「税とは、公的サービスの費用を広く公平に分かち合う『社会の会費』である」との一文が記されているそうです。
「税とは『社会の会費』?」 税が会費であるなら、会費を払えない(払わない)者は、会の参加資格がないのか。会費であるなら(税)負担の大きさに見合って受けるサービスに差があってしかるべきではないか(現実は違いますが)。そんな疑問を呈することから本書は始まります。
そもそも租税はいつ誕生し、どう変遷してきたのか、過去の歴史を紐解きつつ、その本質に迫ります。また併せて「ふるさと納税」「消費税」といった日本の税制のあり方にも疑問を呈した内容となっています。
【構成】
全5章で構成された本書。第1章から第2章で、世界や日本の租税史を追ったあと、3章から4章では日本の「消費税」の仕組みと「日本版消費税」の異質さを論じます。終章の第5章では、日本の租税と財政に言及。最近話題となったMMT理論にもふれ締めくくっています。
【所感】
端的に言えば、本書は日本人に対する「税のリテラシー」を啓蒙する1冊。
税の本質とは「無償の愛」であり、決して「社会の会費」ではないとの結論が出ているのですが、ただそこに日本の税制、特に消費税にのみに主軸を置いて話が展開されており「税のリテラシー」を標榜しつつも、何か偏った感は否めませんでした。
主要税目3税と言われる法人税、所得税、消費税の中で、今や最大の税収となっているのが消費税であり、昨年の税率改定、恐らくページ数の制限もあり日本の租税全般に論じるのではなく、消費税のみを取り上げる結果となったのかもしれません。
あるいは、こんな歪な税制がまかり通っていることこそ、日本人ましてや有権者の「税のリテラシー」が足りないからだという点を指摘したいのかもしれませんが。
日本の財政にも言及されていますが、基本的に健全性を維持し、今回のコロナショックなどの緊急時に、機敏に経済政策が打てるように努めるべきと論じるにとどまっており、本書帯にあるような内容にも深く踏み込んでおらず、全般的に中途半端な印象を受けた1冊でした。冒頭の掴みは面白かっただけに残念です。
東洋経済新報社 2020年5月28日発行




