2021- 2-28 Vol.401
【概要】
カップ焼きそばのペヤング。どなたでも一度くらいは口にしたことがあるのではないでしょうか。
【構成】
全6章16話で構成された本書。同社の代名詞ともいえる「焼きペヤングメーカー」のほか、様々な同社製品開発の経緯を中心に、山俊介さん自身の経歴なども盛り込まれています。
【所感】
同社の祖業は金型製造の鉄工所。時代の変遷ともに業態を変え、山さん入社時は輸入販売を主業務とし、ゲームセンターなどへ景品を卸す事業を展開していました。
一営業担当として同社に入社した山さん。決して優秀な営業マンではなかったそうで、詐欺まがいの商品を掴まされ、会社に大きな損害を与えたこともあるそうです。
それでも徐々にコツをつかみ、営業成績を上げ始めた山さん。そこで気づいたのは、やはり商品力の重要性。営業力で売るのでなく、商品自身の魅力で売ること。そこで自ら商品開発を手掛けるようになり、後に「焼きペヤングメーカー」といったヒット商品を生み出すようになります。
開発の様子などは、是非本書をご参照いただきたいと思いますが、特に多くの中小企業にとって参考になるのは、クラウドファンディングの活用と、徹底したニッチ市場の発掘ではないでしょうか。
下請けから脱し、自前の商品や製品で差別化を図りたい。しかしそれをエンドユーザーにまで認知させるには、莫大な広告宣伝費や販路の確保が必要となります。
そこで同社が徹底活用しているのが、クラウドファンディング。大勢の人には受けないかもしれないけれど、ごく少数の人には圧倒的な支持を得るに違いない。
そんな思いで企画した製品を、クラウドファンディングを通じ公開。同社にとってそこは資金調達の場というより、マーケティングの場。
直に消費者の反応を見ることができること、メディアの注目を浴びやすいことも魅力の様です。
そして「枯れた技術」を使うことも重要なポイントかもしれません。コストを抑えるためには、すでに流通し、性能や価格がこなれた部品や部材を使うこと。余計な機能を付加するのでなく、徹底的に絞り込み製品のコンセプトを歪めないこと。「これしか出来ません。使えません。」そんな思い切りの良さが極めて大切だということが伺えます。
小さな企業でも、世間の注目を集める商品開発は可能であり、むしろ様々な面で従前よりもそのハードルは低くなっていること。要はアイデアの勝負であり、自分たちが自信をもって欲しいと思うものを楽しんで作ること。そんなことの大切さを教えてくれる1冊でした。
清流出版 2021年2月18日 初版第1刷発行
【概要】
カップ焼きそばのペヤング。どなたでも一度くらいは口にしたことがあるのではないでしょうか。
焼きそばといいつつ、実はお湯を入れているだけで、焼いていないことはご存じの通りです。じゃあこれ本当に焼いてみたら美味しいんじゃない?
そんなきっかけで生まれたのが、ペヤングのソース焼きそばしか作れないホットプレート「焼きペヤングメーカー」。
2019年に発売された同製品は、そのユニークさからメディアで大きく取り上げられ、昨年10月には、累計販売台数40,000台を突破しています。
同製品を開発したのは東大阪市に本社を置く、株式会社ライソン。従業員20名ほどの中小企業です。「焼きペヤングメーカー」以外にもユニークな製品を次々と開発している同社。本書は同社代表を務める山俊介さんが、自社の製品開発について語った一冊。小さな家電メーカーの奮闘記でもあります。
そんなきっかけで生まれたのが、ペヤングのソース焼きそばしか作れないホットプレート「焼きペヤングメーカー」。
2019年に発売された同製品は、そのユニークさからメディアで大きく取り上げられ、昨年10月には、累計販売台数40,000台を突破しています。
同製品を開発したのは東大阪市に本社を置く、株式会社ライソン。従業員20名ほどの中小企業です。「焼きペヤングメーカー」以外にもユニークな製品を次々と開発している同社。本書は同社代表を務める山俊介さんが、自社の製品開発について語った一冊。小さな家電メーカーの奮闘記でもあります。
【構成】
全6章16話で構成された本書。同社の代名詞ともいえる「焼きペヤングメーカー」のほか、様々な同社製品開発の経緯を中心に、山俊介さん自身の経歴なども盛り込まれています。
【所感】
同社の祖業は金型製造の鉄工所。時代の変遷ともに業態を変え、山さん入社時は輸入販売を主業務とし、ゲームセンターなどへ景品を卸す事業を展開していました。
一営業担当として同社に入社した山さん。決して優秀な営業マンではなかったそうで、詐欺まがいの商品を掴まされ、会社に大きな損害を与えたこともあるそうです。
それでも徐々にコツをつかみ、営業成績を上げ始めた山さん。そこで気づいたのは、やはり商品力の重要性。営業力で売るのでなく、商品自身の魅力で売ること。そこで自ら商品開発を手掛けるようになり、後に「焼きペヤングメーカー」といったヒット商品を生み出すようになります。
開発の様子などは、是非本書をご参照いただきたいと思いますが、特に多くの中小企業にとって参考になるのは、クラウドファンディングの活用と、徹底したニッチ市場の発掘ではないでしょうか。
下請けから脱し、自前の商品や製品で差別化を図りたい。しかしそれをエンドユーザーにまで認知させるには、莫大な広告宣伝費や販路の確保が必要となります。
そこで同社が徹底活用しているのが、クラウドファンディング。大勢の人には受けないかもしれないけれど、ごく少数の人には圧倒的な支持を得るに違いない。
そんな思いで企画した製品を、クラウドファンディングを通じ公開。同社にとってそこは資金調達の場というより、マーケティングの場。
直に消費者の反応を見ることができること、メディアの注目を浴びやすいことも魅力の様です。
そして「枯れた技術」を使うことも重要なポイントかもしれません。コストを抑えるためには、すでに流通し、性能や価格がこなれた部品や部材を使うこと。余計な機能を付加するのでなく、徹底的に絞り込み製品のコンセプトを歪めないこと。「これしか出来ません。使えません。」そんな思い切りの良さが極めて大切だということが伺えます。
小さな企業でも、世間の注目を集める商品開発は可能であり、むしろ様々な面で従前よりもそのハードルは低くなっていること。要はアイデアの勝負であり、自分たちが自信をもって欲しいと思うものを楽しんで作ること。そんなことの大切さを教えてくれる1冊でした。
清流出版 2021年2月18日 初版第1刷発行