名南経営 河津勇のツンドク?ヨンドク?

税理士法人名南経営 河津勇 公式ブログ。新刊ビジネス本から、皆様のビジネスに役立ちそうなヒントをあれこれ探ります。毎週日曜日更新中。

2021年04月

2021- 4-25  Vol.40945B666C1-7AEF-4370-B62E-E8C0B1EAD7DC

【概要】 

 
   みなさんは、レッドブルという飲料をお飲みになったことがありますか。今やコンビニのエナジードリンクコーナーのみならず、自販機でも見かけることもある同飲料。
 タイ発祥、値段も高く、量も少なく、奇妙な味がする・・・・・。そんな飲料が全世界で年間79億本(2020年)も売れているそうです。誕生は1987年。炭酸飲料の専門調査機関ですら、こんな飲料が世界中に広まり支持をされるとは、予想だにしなかったとあります。
 そんなプロローグで始まる本書。著者は、イギリスの広告会社 
ogilvy UKの副会長ローリー・サザーランド氏。

 このレッドブルの事例に見られるように、世に生まれる新たな商品やサービスの中には、従来の常識やロジックによる発想では、想像しえなかったものも少なくありません。
 本書タイトルにある錬金術。錬金術とは卑金属から貴金属を精錬する試みのことであり、その歴史は古く、古代エジプトや古代ギリシアにその起源はあるそうです。
 卑金属から貴金属を生み出すという行為は、常識では考え難く、錬金術という言葉には、どこか胡散臭さもつきまといます。それでも、そのあり得ない取り組みによって多くの化学薬品の発見がされるなど、その副産物が決して少なくなかったことは、歴史が証明をしているようです。

 それでは著者が本書で言う錬金術とは、何を指すのでしょうか。
著者のいる広告業界に限らず、人に何らかの行動を起こさせるという働きかけは、あらゆるビジネスの場において不可欠ですが、これまでの通説、常識、ロジックに囚われていては、先に挙げたレッドブルの様な成功は望めません。

 必要なことは人間の不可思議な心理についての理解。なぜ時に人間は、理屈や常識では語れない行動を取ってしまうのか。その行動を促す要因はどこにあるのか。そんな理解を深めることこそ、現代の錬金術に通ずるのではないか。著者が本書タイトルも込めた思いを、そのように理解をしました。 

【構成】

 全7章で構成された本書。第1章ではロジックに囚われる弊害につき触れ、第2章では心理学を生かしてロジックに考える心理(サイコ)ロジックの効用について言及。第3章以降は、下記所感に記した4つのSを中心に解説し、第7章のまとめに至ります。

【所感】

 冒頭のレッドブル以外に、多数の事例を紹介しつつ展開される本書。
著者の主張は、ロジックに囚われすぎないことの大切さ、人間の心理を理解する重要性にあります。とかくビジネスの場では、合理性やロジカルさが求められがちですが、大半の事柄は、想定通りに進むことはあまり多くはありません。なぜなら人間はしばしば非ロジカル(論理的)な行動を取るから。
 その理由として著者は ①シグナリング(signalling) ②潜在意識のハッキング(subconscious hacking) ③満足化(satisficing) ④心理物理学(psychophysics) の4点を挙げています。 

 ①のシグナリングについては、信頼や信用を呼び起こすことの重要性を説き ②の洗剤意識のハッキングでは、プラシーボ(偽薬)効果を引き合いに、人の潜在意識のメカニズムについて紹介しています。
 ③の満足化について、人は非現実的な世界に対し完全な解決策を見つけるより、現実的な世界で満足できそうな解決策を探す方を志向する傾向にあるとし ④の心理物理学では、外的な刺激と内的な対応関係を測定したり定量化しようとする学問領域について触れています。

 一見非常識に思える広告が大成功を収めた事例など、本書で紹介されるエピソードは著者自身の経験の裏打ちもあり、大変面白いのですが、正直きちんと体系立てて記されてはおらず、読みづらさは否めませんでした。本書冒頭で著者の考える錬金術の法則とし、11の法則が紹介されていますが、この順に構成、展開される訳でもなく、法則といいつつ提言に留まっているものもあり、あまり本書を読み進める手助けにはなりませんでした。
 また最終章である第7章では、錬金術師へのレッスンと称した7つの項目が挙げられていますが、こちらも明確で具体的な実践方法を必ずしも論じているわけではありませんので、まとめと呼ぶには少々物足りなさを感じました。
 
 思うに著者は、ロジックへの疑問を呈し、自ら考えることの重要性を読者に説いているわけですから、体系立てて分かりやすく記し展開してしまえば、それこそがロジカルであり著者の意図に反するものなのかもしれません。著者の与える考えを鵜呑みにするのではなく、著者の提供する材料から読者自身が考えるきっかけを与えられていると考えれば、読みづらさも許容できるのかもしれません。

 組織においてロジカルに行動すれば、失敗しても解雇されることはなく、成功すればボーナスを与えられ出世するかもしれない。しかし非ロジカルに行動し、失敗すれば愚か者とみなされ、解雇は免れないし、仮に成功しても、まずまずの信用を得るが、あなたの行動はあたかも最初からロジカルであったかの様に表される。と身も蓋もないことも書かれています。
 それでもロジカルでありたいという衝動にわずかでも抵抗する意識をもち、行動することは、思わぬ貴金属を生み出す結果になるかもしれないと、本書を結んでいます。

  
                             東洋経済新報社 2021年4月29日発行

 

2021- 4-18  Vol.40802C1FBEB-334F-4AA2-AF95-9F3FD12A6EC3

【概要】
 

 国内人口の減少、コロナ禍によるインバウンド消費の激減、消費意欲の停滞、新興アジア企業の台頭・・・・・・。
先進国の中でも、もっとも低いGDP成長率にあえぎ、あらゆる産業が伸び悩む現在の日本。
 かつて世界を席巻したMADE IN JAPAN。端的に言うなら、その価値は「便利さ」と「安全性」にあったと著者は説きます。
 ものづくり大国として名を挙げた日本ですが、今やその製品の大半はコモディティ化しており、市場を席巻しているのは新興アジア企業の製品ということも少なくありません。

 ならばこれからの日本は、どんな価値を世界に提供していけばよいのでしょうか。
 今や人々は「便利さ」や「安全性」といった物質的価値から、「意味の価値」を求めるようになってきています。「意味の価値」とは「その消費がどのような意味を持つのか」を考え消費をすること。
 生産者を応援したい「応援消費」や、自然や環境に配慮した製品を求める「エシカル消費」などがその代表例と言えます。

 著者は日本企業が、発信すべき「意味の価値」とは「日本らしさ」にあると説きます。
企業の外部に目を向けるのではなく、企業の内部に目を向け、自社が備える「日本らしさ」に着目し自社のビジネスを考えることの有用性を説いたのが本書。京都を中心に、日本の伝統文化や工芸を世界に発信するプロデュース業に勤しむ著者の手によります。

【構成】

 全5章で構成された本書。第1章で「日本らしさ」とは何かを定義した後、第2章から5章では、その「日本らしさ」をどう自社のビジネスに活かすかを、4つの段階ごとに解説しています。
章や節のポイントまとめの様な記載はありませんが、主要箇所にはマーカー線が入れられています。

【所感】

 ビジネスで活かせる「日本らしさ」とは以下の4点だと著者は説きます。

 ①天命を知り追求する「求道心」 ②歴史に培われた「伝統的資産」 ③他者を受け入れる「調和の精神」④豊かな感受性による「美意識」

 嚙み砕いて言うなら、以下の様な内容となります。

 ①茶道、華道、書道など、日本の文化には「道」と付くものが少なくなく、日本人は「論理を超えた大いなる意思を感じながら自分の道を探し求める」意識がある。
 ②数値や言語で表してマニュアル化出来ない「職人技術」の存在。衰退傾向にあるとはいえ、まだ日本には多数の伝統技術が奇跡的に残っている。
 ③コミュニティでの調和の尊重。二項対立ではなく全体性を大切にする価値観が重んじられている。
 ④あらゆるものの些細な違いや変化をとらえ、そこに「美」を見出す「美意識」がある。

 本書では、これを ①ミッション(目的)②ストラテジー(戦略)③アイデア(発想)④エグゼキューション(実現)の4段階に分けて解説をしています。
 本文中においては、著者が実際にプロデュースをした事業などを紹介しつつ、各段階におけるポイントを挙げています。①~②は事前準備、③~④が実践に向けた具体的な手順の解説といったところでしょうか。とかく「日本らしさ」と言うと海外への発信と考えがちですが、「日本らしさ」の探求は、日本国内においても十二分に消費者に訴求することが可能であると著者は記しています。

 外部環境に流されず、自身(自社)の有り様につき、深く考え、そこに「日本らしさ」を見出すべきという著者の主張は、多いに納得できるものですが、本書で紹介される大半の事例は京都のものであり、正直「京都」という揺るぎなきブランドがあっての観点ではないかと思う部分も少なからずありました。
 どんな地域、どんな事業であっても「日本らしさ」は見い出せるとの言及はありましたが、バックグラウンドの優劣さが与える影響はかなり大きいのではないでしょうか。

 個人的に、本書に期待したのは、海外のハイブランドの様に日本の製品やサービスが、いかに「日本らしさ」を武器に戦うのかという観点ですが、著者は、京都の老舗企業の様に大きく事業を伸ばすための戦略というよりも、ニッチな市場において、確実で丁寧な仕事を通じ、自社の製品やサービスを支持してくれる消費者や協力業者の方々とコニュニティーを形成をすること。規模は追わずとも、揺るぎない自社の立ち位置を固め、さりげなく変化しながらも永続を図ることの重要性を説いている印象を強く受けました。
 折しも、菅政権発足後、まことしやかにささやかれる中小企業の集約統合論。淘汰の波に巻き込まれないための一つの考え方としては、参考になる点も多いのではないでしょうか。 


                 クロスメディア・パブリッシング 2021年4月11日 初版発行

2021- 4-11  Vol.40744E86BC7-8D83-42E4-9681-866C44F3B4D4

【概要】
 

 高級カシミヤを主力製品とするイタリアのラグジュアリーブランド「ブルネロ・クチネリ」ttps://www.brunellocucinelli.com/ja/
 
 創業は1978年とラグジュアリーブランドとしては比較的、後発ながら、会長兼CEOの
ブルネロ・クチネリ氏は一代で同社を世界的企業へと成長させ、2012年にはミラノ証券取引所に上場を果たしています。
 メイドインイタリーにこだわった商品の質の高さもさることながら、同社が世界中の企業家から着目されるのは、その独自の経営哲学にあります。
 その経営哲学とは、本書タイトルでもある「人間主義的経営」。同社Webサイトによれば「人間の道徳的および経済的尊厳を尊重しつつ、自然との調和を図り、事業利益を追求する資本主義の確立を目す」とあります。

 事実、同社は大半のラグジュアリーブランドの様に生産拠点を海外に移すこともなく、イタリアのウンブリア州ペルージャ県ソロメオ村に本拠地を置き、生産の大半をここで行っています。
 1985年に当時衰退著しかったソロメオ村に、本社を移転。中世の古城を買い取り、そこを本社兼工場とします。さらに工場増築のため更に近隣の施設を購入したことに端を発し、村自体の再生にも着手することとなります。
 劇場やライブラリーを設置する他、教会の再生なども手掛けます。また2013年には職人学校を設立。このような施設の設置に加え、周辺の環境整備にも着手し、庭園や農業公園として見事に蘇らせていきます。
 その壮大な取り組みは、従来の企業経営の枠を大きく踏み出しており、折からのSDGsへの関心の高まりもあり、同社への注目度が高まっているようです。

 本書は、そんな
ブルネロ・クチネリ氏が自身の経営について語った1冊。
希代の経営者はいかに誕生し、どのような思いで同社を経営してきたのか。その経営哲学の源になっているものはなにか。そんなことに興味を抱き、本書を取り上げさせていただきました。

【構成】

 全10章で構成された本書。第1章で本書を記した心情を語った後、第2章~第9章では、自身の幼年期から現在までを、ほぼ時系列で綴っています。
 最終章の第10章では、小さい頃から
ブルネロ・クチネリ氏が書き溜めた、日々の出来事や思いを綴った雑記が掲載されており、冒頭では、十数ページにわたり同社施設の数々や職人学校の様子が写真で紹介されています。

【所感】

 同社はどのように商品企画をし生産し販売しているのか。どのような組織体でどういったマネジメントが行われているのか。具体的なことを知ろうとして本書を手に取ってしまうと、少々戸惑ってしまうかもしれません。
 ほぼ時系列で構成されていると紹介しましたが、本文中には、ほとんど具体的な年号の記載はありません。また数字や金額についても、創業時最初に作ったカシミアセーターが60着であったと記されているほかは、生産数や売上、利益といった事業規模の推移も記されていません。

 印象深いのは、生き生きと記された幼少期からの記憶とその当時の自身の思い。小さい頃から、様々な思いを書き溜めてきたとありますので、書く材料には事欠かないのかもしれませんね。
 州都ペルージャまでバスで1時間はかかろうかという小さな農村で生まれ育ったブルネロ・クチネリ氏。一族はおそらく小作農であり、その暮らしは決して裕福ではなかったようです。それでも豊かな自然や両親、親族らの愛情に恵まれ、慎ましく、欲を張らず適量で満足する一家の暮らしぶりは、氏にとって好ましく、かけがえのないものだった様です。

 そんな
氏に大きな転機があったのは15歳の時。ペルージャの学校に進学も、農村の出自ゆえ味わった差別と侮辱。またほどなくして氏の両親や家族も、農村での暮らしに見切りをつけ、工場労働者となるべくペルージャ近郊に自宅を構えることとなります。
 また16歳になった氏は、当時プレハブ用コンクリート製造工場の工員となった父親(当時45歳)が、雇用主から侮辱を受け、自宅で目に涙を浮かべ愚痴を言う姿に大きな衝撃を受けます。
 将来どのような職業につくか分からないが、自分は絶対に、倫理的も経済的にも、人間の尊厳を守るために生きて働くことを決意したとあります。
 その強い思いこそが、氏の経営哲学の礎であり、現在に至るまでその信念を貫き通していることに驚きを禁じえません。
 同社成長の過程には、様々な人との出会いがありますが、一貫して記されているのは、そんな出会いに関する自身の幸運への感謝と相手への尊敬の念。おおよそ幸運な出会いばかりではなかった筈ですが、他者への批判めいた記述は一切ない点でも「人間の尊厳」を守る姿勢が揺るぎないことが伺えます。
 また労働者としての就業経験は、ほぼなく起業した氏ですが、著名な経営者に師事をしたり、指導を仰いだ様子は伺えません。しかも創業者であり先代に教えを乞うことも出来ません。また通った学校も測量士の養成学校であり、経営について教わったわけでもありません。

 若い時分の氏は、夜な夜なバールに通い、論争や議論の場に身を置き、そこで語られる哲学者たちの言葉を耳を傾けたとあります。哲学者たちの発した言葉を咀嚼する中で、自身が驚くほど哲学の世界に傾倒し影響を受けます。本書内でもしばしば、彼らの言葉が引用されており、特にカントには強く惹き付けられたとあります。
 青年期に味わった侮辱と差別を、哲学者たちの言葉と内省によって、うまく昇華させ、唯一無二の経営哲学を生み出したブルネロ・クチネリ氏。誰に経営を教わったかと問われれば、多くの先人の知恵を参考にした。そんな答えが氏からは返ってきそうです。

 崇高な理念は理解できるが、はたして本当にそのような経営が可能なのか。そんな下種な気持ちを見透かすかの様に綴られた本書。ビジネス書というよりも、むしろ哲学書的な印象を強く受けた1冊でした。

                  クロスメディア・パブリッシング 2021年4月1日 初版発行

2021- 4- 4  Vol.4064EEFE854-EF63-4474-BCDC-1D61632B02AB

【概要】
 

 コロナウィルス感染症の影響で、急速に取り組みの始まったリモートワーク。
 通勤時間からの解放。やってみたら意外と出来た、快適だったという声が上がる一方で、その期間が長引くにつれ、様々な課題が浮かび上がってきたのも事実です。
 とはいえリモートワークの可能な職種は全体の3割程度と言われており、今回も大企業のホワイトカラーを中心に導入が進んだ感もあり、あまりピンとこない方も多いのかもしれません。
 今後、コロナウィルス感染症の影響が落ち着いたとしても、このリモートワークの様な働き方は、一定の職種で定着していくことは間違いはありません。
 そこで生じるのは、異なった環境下で仕事をする社員の増加。これまでの様に、みなが出社することが前提であれば、職場環境の整備を最優先に考えていけばよかったのですが、リモートワーク下においては、住環境や家庭環境も社員の働き方に影響を及ぼしていきます。
 これからの管理職は、この様な状況下で今後、マネジメントを行っていかねばならず、その難易度は格段に上がってきていると著者は説きます。

 特に考慮すべきは「感情」の問題。「人は感情の生き物」と言われる通り、所属するメンバーが抱く感情は多様であり、その傾向次第で組織の風土は良くも悪くも影響を受けてしまいます。
 そんな職場の「感情」について改めて考えてみようというのが本書。人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏の手によります。

【構成】

 序章、終章加え全8章で構成された本書。各章2~5のテーマで記されています。
序章~第2章までは、リモートワークの現状なども踏まえた問題提起。第3章~第4章では望ましい職場環境について考察をし、第5章~第6章では「感情」に影響を及ぼす項目を掘り下げ、終章へと向かいます。

【所感】

 実はリモートワークが、新たな職場の問題を引き起こしたのではなく、もともとその職場がもっていた問題を、浮かび上がらせたに過ぎないと著者は説きます。その問題は大別して3つあるそうです。

 ①信頼関係の欠如 
 同じ職場で顔を合わせていれば、上司や同僚間で信頼関係が薄くとも、なんとなく場の空気で進んでいた物事や、組織の運営が、これまで通りの考えや意識では難しくなりつつあること。
 ②レジリエンス(折れない心) 
 メンバー各人の心が折れないための配慮がこれまで以上に重要になっていること。
 ③エンゲージメント(帰属意識)
 組織への帰属意識を高め、貢献意欲を引き出すためのコミュニケーションがより重要になっていること。
 本書では具体的な事例をあげつつ、望ましい職場、望ましい職場像を浮かび上がらせていきます。
そこで明らかになってくるのは、いかに人の「感情」が組織に影響を及ぼすかということ。

 職場における「感情」に影響を及ぼす項目には 5つの要素があるそうです。
それは ①企業ブランド ②組織風土 ③仕事内容 ④リーダー ⑤同僚 

 中でも最も影響を及ぼすのは ④リーダーであり、リーダーが禁ずべき行為として ①否定的な言葉遣いをする ②いつもと違う行動や突飛な行動を取る ③感情が揺れ動く ④過度に悲観的な態度をとる ⑤人の感情を無視する が挙げられています。

 個人的にも、ここは正直耳の痛いところでした。「そんなこと言われてもなぁ」そんな感想も洩れましたが、腑に落ちる点が多く、自身の行動の戒めを強く感じた次第です。

 他にも、個々のメンバーの感情に配慮をし、職場環境を整えるために考慮すべき事項を様々な観点から記した1冊。一読いただければ、経営者、管理者の方のみならず、働く全ての方に立場にあった示唆を与えてくれるのではないでしょうか。

 さてそんな1冊を記した著者の説く、理想の職場とは、どういったものなのでしょうか。
 最悪なのは「頑張った者が馬鹿を見る」職場。理想は「一緒に働く仲間のために頑張る」職場と、
実はとてもシンプルなものでした。
「チームとして働く醍醐味は、働く喜びそのものだ。」 そのように本書を締めくくっています。 

                              日経BP 2021年3月24日 1版1刷

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