2023- 5-28 Vol.519【概要】
今や手軽に写真を撮るのは、スマートフォンが当たり前の時代。
いまやスマートフォンは、「一人一台」「いつでも持ち歩け」「動画も静止画も撮れ」「ネットでいつでも共有や配信が可能」が当たり前というとんでもない道具であり、2007年6月のiPhone登場以来、猛烈な勢いで、デジタルカメラ市場を食い荒らしてきました。
ちなみに全世界のデジタルカメラ出荷台数は、2010年の121百万台をピークに急減。リーディングカンパニーであったカシオ計算機など、多くのメーカーが市場から撤退を余儀なくされました。
ソニーもまたそんな一社。レンズ一体系のデジタルカメラ「サイバーショット」で人気を博すも、他社同様、大打撃を受けます。しかし同社は、高付加価値製品にシフトをすることで、苦境を乗り切ります。「デジタル一眼レフ」という主製品で市場を占有する、キャノンとニコンの2社を猛追し活路を見出したのです。
本書は、そんなデジタルカメラ市場におけるソニーの奮闘を追った一冊です。
長らく同社のデジタルカメラ事業に携わってきた、元ソニーグループの副会長、石塚茂樹氏へのインタビューを中心に編纂されています。
【構成】
全11章で構成されています。第1章から第8章までは、ソニーのデジタルカメラ事業の変遷を時系列で紹介。第9章以降は、本書主役である石塚氏の仕事観や、ソニーでのモノづくりや、盛田昭夫氏との邂逅を振り返り結んでいます。
【所感】
ソニーで開発されたデジタルカメラの主製品を時系列で紹介しながら展開される本書。
最初の製品は1988年生まれというから驚きます。本格的に市場が動き始めるのは1997年頃から。
「サイバーショット」というブランド名が有名ですが、実は当時のヒット作は、3.5インチのフロッピーディスクに記憶させる「デジタルマピカ」という製品。撮った画像をフロッピーディスクを介し、簡単にパソコンなどへ取り込めたことがヒットに繋がったようです。
出井伸之氏が、ソニーの代表を務め、会社自体にも勢いのあった当時、次から次へとデジタルカメラの新製品を開発、投入。失敗作も少なくなかったようですが、技術者が作りたいものを世に問い、それが「ソニーらしさ」と評価してもらえた最後の時代だったのかもしれません。
イメージセンサーなど画像半導体の製造もしていたソニーですから、スマートフォン向け需要が急拡大し、遅かれ早かれ、コンパクトデジタルカメラ市場の縮小は予見されていました。それでも高額なデジタル一眼レフ市場は比較的安定しており、そこへシフトすることは当然の帰結。しかしそこはキャノンとニコンの2社で、8割を占有する市場。コニカミノルタからカメラ事業を承継した同社でしたが、高級カメラ市場では、まったく相手にされないソニーブランド。
しかし同社はミラー(レンズから入ってきた光を反射し方向を変える機能)レスに活路を見出して、2社の牙城を崩し始めます。本書帯にある「弱者の戦略」とは、小型ビデオや、イメージセンサーなどで映像に強いイメージのあるソニーなれど、こと「写真」については自社は弱者。その立ち位置を理解し何で他者と差別を図るのか。そんな愚直な取り組みが、画期的な製品を生み出す様子に峰踊りました。
ソニーを扱った書籍は、数多くありますが、デジタルカメラという一製品の編成を追い、ソニーという会社を見つめた習作の一冊。
石塚氏が折に触れてか語るモノづくりのフィロソフィーは「こだわり・わりきり・おもいきり」だそうです。そんな製品が生まれる限り、これからもソニーはソニーらしさを失わない企業でいられるのかもしれませんね。
日経BP 2023年5月22日 第1版第1刷発行
いまやスマートフォンは、「一人一台」「いつでも持ち歩け」「動画も静止画も撮れ」「ネットでいつでも共有や配信が可能」が当たり前というとんでもない道具であり、2007年6月のiPhone登場以来、猛烈な勢いで、デジタルカメラ市場を食い荒らしてきました。
ちなみに全世界のデジタルカメラ出荷台数は、2010年の121百万台をピークに急減。リーディングカンパニーであったカシオ計算機など、多くのメーカーが市場から撤退を余儀なくされました。
ソニーもまたそんな一社。レンズ一体系のデジタルカメラ「サイバーショット」で人気を博すも、他社同様、大打撃を受けます。しかし同社は、高付加価値製品にシフトをすることで、苦境を乗り切ります。「デジタル一眼レフ」という主製品で市場を占有する、キャノンとニコンの2社を猛追し活路を見出したのです。
本書は、そんなデジタルカメラ市場におけるソニーの奮闘を追った一冊です。
長らく同社のデジタルカメラ事業に携わってきた、元ソニーグループの副会長、石塚茂樹氏へのインタビューを中心に編纂されています。
【構成】
全11章で構成されています。第1章から第8章までは、ソニーのデジタルカメラ事業の変遷を時系列で紹介。第9章以降は、本書主役である石塚氏の仕事観や、ソニーでのモノづくりや、盛田昭夫氏との邂逅を振り返り結んでいます。
【所感】
ソニーで開発されたデジタルカメラの主製品を時系列で紹介しながら展開される本書。
最初の製品は1988年生まれというから驚きます。本格的に市場が動き始めるのは1997年頃から。
「サイバーショット」というブランド名が有名ですが、実は当時のヒット作は、3.5インチのフロッピーディスクに記憶させる「デジタルマピカ」という製品。撮った画像をフロッピーディスクを介し、簡単にパソコンなどへ取り込めたことがヒットに繋がったようです。
出井伸之氏が、ソニーの代表を務め、会社自体にも勢いのあった当時、次から次へとデジタルカメラの新製品を開発、投入。失敗作も少なくなかったようですが、技術者が作りたいものを世に問い、それが「ソニーらしさ」と評価してもらえた最後の時代だったのかもしれません。
イメージセンサーなど画像半導体の製造もしていたソニーですから、スマートフォン向け需要が急拡大し、遅かれ早かれ、コンパクトデジタルカメラ市場の縮小は予見されていました。それでも高額なデジタル一眼レフ市場は比較的安定しており、そこへシフトすることは当然の帰結。しかしそこはキャノンとニコンの2社で、8割を占有する市場。コニカミノルタからカメラ事業を承継した同社でしたが、高級カメラ市場では、まったく相手にされないソニーブランド。
しかし同社はミラー(レンズから入ってきた光を反射し方向を変える機能)レスに活路を見出して、2社の牙城を崩し始めます。本書帯にある「弱者の戦略」とは、小型ビデオや、イメージセンサーなどで映像に強いイメージのあるソニーなれど、こと「写真」については自社は弱者。その立ち位置を理解し何で他者と差別を図るのか。そんな愚直な取り組みが、画期的な製品を生み出す様子に峰踊りました。
ソニーを扱った書籍は、数多くありますが、デジタルカメラという一製品の編成を追い、ソニーという会社を見つめた習作の一冊。
石塚氏が折に触れてか語るモノづくりのフィロソフィーは「こだわり・わりきり・おもいきり」だそうです。そんな製品が生まれる限り、これからもソニーはソニーらしさを失わない企業でいられるのかもしれませんね。
日経BP 2023年5月22日 第1版第1刷発行



