IMG_7255 (1)  和歌山県所在の日本酒蔵元「平和酒造」 http://www.heiwashuzou.co.jp/#id16
  日本初のファクトリーブランド(アパレル工場自らの名前で製造し販売する商品・ブランド)通販サイト「ファクトリエ」 http://factelier.com/

 「平和酒造」4代目代表を務める山本氏と、「ファクトリエ」創業者である山田氏。この若き経営者二人が「日本のものづくり」にかける思いを対談形式でまとめたものが本書です。
 
  昭和48年の最盛期に比し、今や製造量は1/3、蔵元数は1/2となっている日本酒市場。国内製品のシェアはもはや3%に過ぎないと言われる日本のアパレル市場。

  共に典型的な衰退産業にありながら、両名は、衰退産業ゆえにチャンスがあることを感じ、そこで成功することのインパクトの大きさに思いを馳せます。目指すは永続出来る企業体。そしてその根底にあるのは、「日本のものづくり」への信頼と愛情。

  両名の営む事業の様子や、自身の経歴、今後の経営に寄せる思いなどが綴られた本書ですが、特に、「ファクトリエ」創業者である山田氏の経歴には興味深いものがあります。

  フランス留学経験のある山田氏ですが、現地のグッチ本店で働いた際に、同僚から言われた「日本には本物のブランドがない」という一言に発奮し、自身が「日本のブランド」を作ると宣言します。
  紆余曲折を経て、資本金50万円、社員1名でスタート。彼の狙いは名もなき地方の繊維や縫製工場をブランド化すること。とはいえ資金のない若者の提案に聞く耳を持つ工場主は多くはありません。
  いざ製品が出来ても、売り切れず自ら行商をしたり、生活のためのアルバイトを余儀なくされながらも、賛同者も増え、徐々に事業を軌道に乗せていきます。

  山田氏は、工場がブランド化することのメリットをこう語ります。

 ①価格決定権を持てること ②年間を通じた安定稼働ができること ③社内外の意識が変わること

  海外では、工場がブランド化することは当たり前だそうですが、日本では前例のないこと。
  海外製品のライセンス製造への依存、商社任せの受注体制、優れた技術がありながらも、名がないばかりに生産拠点の海外移転に抗えず、疲弊し淘汰されていってしまった日本のアパレル工場群。
そんな現状に一石を投じ、新しいビジネスモデルを作るべく奮闘する山田氏の姿勢には胸打たれるものがあります。

  山田氏の話に終始してしまいましたが、もう一人の著者である山本氏の話もまた興味深いものでした。
4代目という後継者ゆえの葛藤や悩みを抱えながらも、自らの蔵元が創り出す製品にプライドを持ち、新製品開発や販路開拓、組織変更への挑戦に取り組む様子は、事業承継された企業経営者の方には、山田氏のケースよりも共感できる点が多いかもしれません。

  三方よしの経営で、100年企業を目指す。メイドインジャパンの復権を目指す。

私利私欲を超えた高い志を持つ、若手経営者二人の思いの詰まった好感の一冊でした。
両名の動向、今後も着目していきたいですね。



                                                              2016- 1-16 VOL.134