IMG_7298 (1)  ビジネス書のジャンルにあてはまるのか、悩ましいところはありますが、なかなか興味深い内容でしたので今週は本書をご紹介。

  逮捕歴のある元外交官にして、希代の論客でもある佐藤優氏が本書で解き明かすのは資本主義とは何か。

   格差が拡大し、すべてがカネに換算され、閉塞感漂う現在の日本。

  トマ・ピケティの「21世紀の資本」やアンソニー・B・アトキンソンの「21世紀の不平等」といった書籍が、我が国でも売れているのは、個人や国家がますます貧しくなっていく中、「我々はどのように生きたらいいのか」そんな思いを持つ人が少なくないことが背景にあるのかもしれません。

 「我々はどのように生きたらいいのか」それは「資本主義とどのようにつきあっていくか」という問いに置き換えることができるのだと著者は語ります。

 そのために必要なことは「資本主義とは何か」を正確に把握し、いまの状況をもたらした原因を探ること。
そこで著者は史実に目を向けます。

 日本が近代国家となった明治期まで遡り

 〇 明治維新~1880年頃までの日本的資本主義勃興試時代
 〇1890年~1900年代までの恐慌から産業革命時代
 〇 第一次世界大戦~終戦を迎える1945年までの帝国主義時代
 〇1989年~現在へ

と年代ごとに章立てをして、日本的資本主義の変遷を解き明かしていきます。

  史実を振り返るためには、それなりの素養が必要ですが、著者のすごいところは、多くの方が学生時代に一度は目にしたことのあるであろう教科書、山川出版社の「日本史A」を下敷きにしていること。そのため、さほど抵抗感なく読み進めることが出来ます。

   そして、故人ですがユニークな経済学者であった宇野弘蔵氏の方法論に沿うことで、一貫した論調を維持していることも読み易さにつながっているように思います。

  序章から史実順に読んでいくことがお薦めですが、まずはTPP、アベノミクス、同時多発テロ、格差といったテーマに触れた終章から読んでいくのもよいかもしれません。
我々が普段一番身近に接するテーマだけに、ここだけを読んでも、示唆を得るところも多いのではないでしょうか。

  さて、では我々はこの資本主義にどうつきあえばいいのでしょうか。
その答えは是非、本書をお読みいただきたいと思いますが、一つの処方箋はシェア経済ではないかと著者は語ります。

 皆さまのお考えはいかがでしょうか。是非、本書を手に少し思いを馳せてみてください。 

                                                              2016- 1-23 VOL.135