IMG_7319  いわゆる仕事術などのノウハウ本の類は、基本的にご紹介をしていませんが、たまには例外も。
本書は巷の安易なビジネスノウハウ本とは一線を画します。

  今週は、全てのビジネスパーソンにとって一読の価値ある一冊をご紹介させていただきます。

  業種や職種を問わず、いかなる仕事においても求められる根本的技法である「対話の技法」。

    この「対話の技法」を高めることが、我々の仕事力を飛躍的に高めることにつながるのだと著者の田坂氏は説きます。

  対話には二つの種類があるそうです。

    一つは「表層対話」というべき、「言葉のメッセージによる対話」
    一つは「深層対話」というべき、「言葉以外のメッセージによる対話」

  本書では、特にこの「深層対話力」を高める方法を、丹念に解説しています。

  全部で23章から構成されており、商談や交渉、会議、会合といった具体的な場面を描きながら、1章に1テーマを盛り込み、段階的にこの「深層対話力」につき理解を深める構成となっています。

  さて深層対話力を身に着ける要諦はどこにあるのでしょうか?
いくつかのポイントがありますが、本書で繰り返し説かれるのは、反省会を通じた振り返り。
今終わったばかりの商談や会議での、会話の様子、参加者の雰囲気などを、時系列に沿って相手の視点にたって追体験してみることにあると著者は説きます。
 
  出来れば一緒に参加したメンバーと。難しければ一人でも。
わずかな時間でもよいので、この振り返りを習慣化することが、我々の「深層対話力」を飛躍的に高めていくことにつながるそうです。

  それだけのこと?と一見、簡単に思える振り返りですが、これを継続し行うことは。容易なことではありません。うまくいった商談や会議ならまだしも、うまくいかなった場合に、自身のことを振り返るのは心理的につらいものがありますし、ましてやそこで客観的な視点をもつことは非常に難しいものがあります。

  でもそれ故に、そこには我々が成長するきっかけが数多く含まれているのかもしれませんね。

    田坂氏の著作を読んで感じるのは、構成の一貫性と田坂節とでもいうべき独特の文章による読み易さ。
一見さらっと読めてしまいますが、その根底にあるものは深く、繰り返し読むことで、はじめてその真の意図が理解できるように思います。それは繰り返し読めるだけの示唆に富むことの裏返しでもありますが。

  本書を読んで、個人的に一番印象に残ったのは、6~7章で本の読み方について触れた部分でしょうか。

 人は本や雑誌を読み、様々な「知識」を学んだだけで、プロフェッショナルの「知恵」をつかんだと勘違いしてしまいがちです。

 そこで「走馬灯リーディング」「即実践リーディング」という二つの読み方を提案しています。
これは本を読みながら、自身の実体験を思い起こし、本を読みながらそれを追体験すること。また本を読む際には、自身の抱える課題意識を明確にして読み進めること。

  すなわち自身の経験にリンクさせる読み方をしなければ、いつまでたっても知識のみが増え知恵を身に着けることは出来ないのだと我々を戒めます。

 新書にしておくのがもったいないような内容。

   新入社員からベテラン社員、経営者層まで、あらゆるビジネスパーソン必読の1冊がランチ程度の値段で買えてしまいます。是非お手元に(^^)


                                                                                   2016- 1-30 VOL.136