2017- 1-22 VOL.187IMG_9713

【概要】

  日本一著名な通販会社 ジャパネットたかた。
本書は、その創業者でありテレビでもお馴染み(番組出演は2016年1月で引退)の高田明氏が語る自身の半生と、ジャパネットたかた躍進の記録。

  意外や意外これが初の著作だそうです。
長崎県佐世保市の小さなカメラ店からスタートして、約四半世紀。
同社は、いまや年商1,500億円を超える通販会社へと成長を遂げています。
  2015年1月に代表取締役を退任。その1年後には、番組出演からも退いています。最後の1年間は、努めて自身の経験や考え、行動指針を後進に伝えるための機会を設けたそうです。

  本書は、そんなエッセンスを中心にまとめられた1冊。
写真撮影やカメラ販売からラジオ通販、テレビ通販へと、販売チャネルを変えつつ大躍進を遂げた同社。それはいかに分かり易く商品の魅力をお客様に伝えるのか?試行錯誤の歴史でもあったようです。

【所感】

 5章から構成される本書。1~3章は高田氏の幼少期から、独立しテレビ通販に乗り出すあたりまでを中心に。
4章では、同社の肝ともいえる「コミュニケーション」の在り方について詳しく触れた後、最終章では同社最大の危機であった個人情報漏洩事件から、自身の引退に至るまでが綴られています。

  高田氏独特の、佐世保訛りの甲高い声が印象深い同社の番組ですが、個性的なキャラクターだから、多くの視聴者に関心を持たれ販売が伸びたのでしょうか。
いえいえ特異なキャラクターが受け入れられるのは一時。長く支持を受ける秘訣は、やはり高田氏の伝え方にあったのではないでしょうか。

  高田氏がこだわったのは、商品そのものの価値の訴求ではなく、その商品を購入した方の生活がどう豊かになるかの一点。ご自身が出演されている時には特に意識はされてこなかったようですが、本書では、他人に何かを伝える際に大切なことは、スキルとパッションそしてミッションと振り返っています。
本書では、同社が扱った商品を引き合いに、どう訴求したかも綴られ興味深く読ませていただきました。
 
  柔和な印象の高田氏ですが、その信条は「今を生きる。過去にとらわれない。未来に翻弄されない」となかなかクールなものです。またご自身が振り返る同社の経営も「長期的なビジョンを持たない積み上げ経営」であったそうです。

  ならば何に重きを置くか。それは今できることに最善を尽くすこと。
最善を尽くす中で、見えてきた課題へチャレンジをしていくこと。その繰り返しで同社は成長をしてきたのだと語っています。 明確な目標はもたないと語る高田氏ですが、一方では、他人(他者)と自分(自社)を比較しないことや、社員を大切にすることも重視しており、また「企業は人を幸せにするためにある」というミッションだけは決して揺るがせてはならないとも語っています。

  特に戦略などなかったと語る高田氏ですが、並みの覚悟や発想で、九州の地方都市のカメラ店がこれまでの規模になることはなく、非凡な経営者であることは間違いなさそうです。

  第一線を退いた高田氏ですが、現在は「おさんぽジャパネット」という番組で全国を回り、地方の知られざる一品を紹介されています。同番組は1月~2月に一度放送されているとのことですが、個人的には残念ながらまだ見たことはありません。
  地方創生への一助となるべく、動き出した高田氏。彼が地方から何を伝えてくれるのか?楽しみですね。