IMG_99242017- 3- 5 VOL.193

【概要】
 
  AI、シェアリング・エコノミー、IoT、フィンテック。最近よく耳にするキーワードですね。
   AIとは人工知能の略称。シェアリング・エコノミーとはネットを介し、個人間や企業間で余剰なモノやサービスのやりとりをすること。IoTは「モノのインターネット」、様々な機器がネットに接続され相互通信を可能にする仕組みのこと。そしてフィンテックはITを活用した金融サービスの総称と言われています。
   これら4つの新しいテクノロジーの普及を第四次産業革命と呼ぶむきもあり、我々の生活や仕事を大きく変えていこうとしています。

  事実、自動車の運転支援技術や「メルカリ」などのフリマアプリの人気。企業が保有していた業務ソフトやサーバー類のクラウドサービスへの移行などすでにその影響を受け始めていることも少なくありません。

  本書はそんな4つのテクノロジーの進展が企業に及ぼす影響を考察した1冊です。
6章で構成される本書は、最初に象徴的な最新事例を紹介した後に、4つのテクノロジーの特徴や影響につき1章ずつを割いて解説。そして終章では業界別に日本企業の将来を予想した内容となっています。


【所感】

     2年程前にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン教授が発表した論文「雇用の未来」。
それは米国労働省のデータに基づいて、702の職種について分析した結果、「今後10年~20年の間に米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高い」という衝撃的な内容であり、随分話題となったものでした。
  
    それは米国に限った話ではなく、我が国でも十二分に起こり得ること。
本書でも、象徴的な事例として、東京のタクシー初乗り料金の引き下げ、電通の不正取引・過労死問題、ソフトバンク社のARM社買収、日本におけるビットコインの準通貨化を取り上げながら、すでにその端緒があちこちに見られ始めていることを教えてくれます。

  4つのテクノロジーは、各々が独自に進化を遂げてきたものでしたが、今やこれらはインターネットを通じ有機的に結びついており、複雑に絡み合いながら、普及をしていくのではないかと著者は考察をしています。

 さて気になる日本企業への影響ですが、著者は、縦軸に30の業種、横軸に4つのテクノロジーをとった独自のマトリックス表を作成し、整理をしています。
 
  結果、最も影響が大きい(複数の項目の影響を受ける)のは、情報サービス業。次いで自動車産業と運輸業、小売・飲食サービス業が続いています。
本書帯には「トヨタが下請けになる」などセンセーショナルな記述がありますが、あくまで各業界を代表する企業を取り上げているに過ぎませんので、そのあたりを期待されると少々肩透かしをうけるかもしれません。

  ただ総じて言えるのは、このままでは大半の企業が苦境に陥ることは必須ということ。
IoT関連である日本電産など、センサーなど半導体を扱うメーカーは現状の優位性の維持が可能である点、宅配業界でラスト1マイルを抑えているヤマト運輸の大化けの可能性などは明るい材料として取り上げてはいますが。

    また本書では今後有望な職種やスキルが示唆されているわけではありません。
ただ今後は、どんな業界にもあった物理的な制約条件がなくなり、そこで働くビジネスマンの能力格差も無限大に広がる可能性があること。
  これは既存の価値観に捉われた人にはとても厳しい状況になりますが、いち早く価値観を変えれた人にはまたとない好機と言えるのかもしれません。

  我々が今後の業界動向や働き方を考えるうえで、テクノロジー進展の未来を簡潔にまとめた本書は一助になる一冊。これから起こる変化を恐れることなく、前向きに考えていきたいですね。